軌跡~𠮷岡生夫短歌論集~ 


  「あとがき」より抜粋

「和歌と狂歌の歴史的分裂関係を解消せよ」という
天の声に始まる長い旅を終えるにあたって、
はっきりと見えてきたことがあった。
とりわけ最後の「仮名遣いと五句三十一音詩」を書きながら、
気がついたことである。
それはなにか―。
/私は近代短歌を相対化する試みに賭けてきたのである。
/その実相、
五句三十一音詩史に日本語史を重ねるという視点に、
少しでも関心を持って頂けるならばこれ以上の幸いはない。
    

装画に寄せて

  ようやく辿り着いた階段
  この先にあるのは出口のはずだが
  出口とは入口の謂いでもある

  一段、一段
  希望と相半ばする不安
  だが、たとえ開かれるのが
  全く未知の世界であるとしても

  分け入るほかはないだろう
  マイルストーン マイルストーン
  私の足跡が途絶えるまでは
 


 軌跡~𠮷岡生夫短歌論集~                                        目次   各論
五句三十一音詩論    
  私の五句三十一音詩史 
句またがりの来歴 
字余りからの鳥瞰図~土屋文明『山谷集』~ 
文語と口語 
文語体と口語体 
歌の円寂するとき 
短冊短歌と応募原稿 
狂歌論   
  夫木和歌抄と狂歌 
近代短歌と機知
狂歌とは何か~上方狂歌を中心として
狂歌と歌謡~鯛屋貞柳とその前後の時代~
近世の狂歌~ターミナルとしての鯛屋貞柳
狂歌と歌謡~覚書~
用語論  
  用語論~鯛屋貞柳を狂歌師とは言わない~ 
用語論~矮小化された近世の狂歌すなわち「上方狂歌」の名称について~
用語論~文語体短歌から古典語短歌へ、口語短歌から現代語短歌へ~
仮名遣い論   
  日本語と五句三十一音詩 
仮名遣いと五句三十一音詩 
辞世論   
  なつかしさの原郷 
そこはかとなき墓の歌
辞世の歌 
贈答歌再発見~辞世の場合~ 
辞世あれこれ 
歌人論  
  ダンディスト町野さんの置土産
前田宏章さんの歌
高瀬一誌の初期歌篇を読む
吉井勇紀行
くずやんの大阪~葛西水湯雄歌集『のらりくらり』評~
岸上大作~忘れ得ぬ歌人たち・関西編~
坂野信彦『銀河系』一九八二年
素志の力~井上美地歌集『空の邃きに』~
異界の扉~小谷博泰歌集『夢宿』~ 
眼ひらけり~小畑庸子歌集『白い炎』~ 
永井陽子の一首
 あとがき  

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