はじめに


 新学習指導要領の、第1章総則の、第1款教育課程編成の一般方針の「1」に、「学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,生徒に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で,自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに,基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り,個性を生かす教育の充実に努めなければならない」と、生きる力を創意工夫ある展開の中で育成することを書いている。さらに、新学習指導要領の目玉である「総合的な学習の時間」の中にも、その「2(2)」に「学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の在り方生き方を考えることができるようにすること」と書いてある。

 また、「国語I」に相当する「国語総合」の内容では、従来の「表現」「理解」の区分を「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」に改め、「話す・読む」力の育成に力点を置いている。その事項として、「ア 様々な問題について自分の考えをもち,筋道を立てて意見を述べること。イ 目的や場に応じて,効果的に話したり的確に聞き取ったりすること。ウ 課題を解決したり考えを深めたりするために,相手の立場や考えを尊重して話し合うこと。」を挙げている。

 この単元では、これら新学習指導要領を先取りした内容を展開する。つまり、総合的な学習の時間と国語の接点を探りたい。

 生きる力はどのようにすれば育成できるのか。当たり前のことであるが、将来の目標を持つことである。しかしながら、3年生になって次の進路をどうするか迷っている生徒が多いのが現状である。小学校までは将来の夢を書いたりして考える機会もあったが、現実的に実現するかどうかが明確になるに連れて、次の学校への進学のことなど目先のことに偏ってしまう。また、将来について考えるといっても、何々になりたいとかいうのが中心である。人生の価値観、結婚、育児、老後など、誰もが経験する課題について考える機会は少ない。この単元では、まず、これからの人生、高校を卒業してから死ぬまでの基本的な課題にどう対応していくのかについて考えさせたい。そして、それらを題材に、語り合い、聞き合い、調べ、発表することによって、国語の技術を身につけさせたい。この学習が、授業の中だけでとどまるのでなく、日常生活でも役立つように指導したい。

 この授業は、参加体験型の授業になる。成否は生徒がどれだけ積極的に活動してくれるかどうかにかかっている。どんな優れた参加体験型プログラムでも、いきなり実施しては成功する可能性は低い。そのために、ツカミが大切であるだけでなく、毎回、何らかの工夫が必要である。



1 「LIFE RPG」(1時間)


 高校卒業から老後までに起こるさまざまな岐路で、大切にする価値と犠牲にする価値を選択しながらコマを進めていき、ゴールした時に何に価値を置いて人生を送ろうとしたかがわかる仕組みの人生双六。
 これからの学習の導入として、ゲームを行い、関心を持たせる。

準備
好きな者同士四人組を作らせておく。


展開
1.くじ引きで、2チームを合体させる。

2.「LIFE RPG」のボード進め方プリント価値観プリントスコアシート・サイコロ・駒を取りに来させる。

3.進め方を説明する。
 ・枠の違い、価値観の選択肢の意味、選択の仕方、ポイントの記入の仕方。

4.ゲームをさせる。

5.チャート、感想を書かせて回収する。


留意点
◆人数が多い方が、様々な人の人生が見れておもしろい。
◆サイコロはサイコロキャラメル、駒はグリコのおまけを使ってみた。一番早く幸せな人生を終えた人に、キャラメルを食べる権利がある。
◆進め方がわからない生徒が多いので、机間巡視しながら説明する。


生徒の感想
★時間の浪費ばかりがかさんでしまった。私の人生って短いのだなぁ。100年ぐらいほしいんだよ。って、ゲームだった。他のを見てみよう。安定はしている。一番多いんだなぁ。きっとのんびりしているに違いないなぁ。ストレスが溜まっているというのは少しいや。注意しておこう。出世が+1の私はあまり多く伸びないのかなぁ。うれしいのか、悲しんでいいのかよく分からない。専門職だったらあんまりそういうのは関係ないのだろう。家族もお金も+−0で 普通ということなのかなぁ。そういうことには関心のないワ・タ・シ。案外だったのか案外だったのが、自分らしさの+1。
★バランスがとれていると思いますが、出世、お金、安定が+1なのが 気に食わんです。私は出世街道まっしぐらなのかと思うと、「あ痛っー」と言う感じです。なぜなら、私は漫画家になって、祖母と母を養える程度のお金があればいいと思うから。そのために自分らしさを大切にすることとストレスをためないのが良いなぁ。
★かなり悩みました。特に離婚では、自分を取るか家族を取るか悩み所でした。私はお金や時間を気にせず、家族や人間関係を大切にするんやなぁと思いました。このせいで自分を犠牲にしている感じ。つくすタイプということが判明。
★ストレスがかなりたまっているけど、お金と人間関係と安定と家族が良いのでいいと思う。出世できなかったけど安定しているし良い家族やと思う。
★ゲームだったけど、かなり真剣に頑張った。現実に家族だ楽しく明るかったらいいと思う。
★やたら安定した日々が送れそうな気がした。でもきっとこういう風には行かないと思う。時間が−2だった。確かにそういう気もする。時間を犠牲にしてもやりたいことはやりたい。




2 「life simulation」(1時間)


 人生を、就職、結婚、出産・育児、中年期、老年期に分け、それぞれの段階で発生する問題についてアンケートや心理テストや心理ゲームを使って考えていく。
 前の時間のゲームで概観した人生の選択について、さらに掘り下げて考えさせる。次々の授業で使うテキストにもなる。

展開
1.「life simulation」を配布する。

2.次々の時間に回答をもとに話してもらうことを予告する。

3.各自でアンケートに答えさせる。

4.F〜Hの心理テストの見方を配布する。

5.感想や悩んだことを書かせる。

6.回答用紙を配布し、解答を転記させる。

7.回答用紙だけを回収する。


留意点
◆進み方は各自バラバラなので、机間巡視しながら、質問に答える。



3 生き方を語ろう(2時間)


 ワークシートやチェックシートを使いながら、効果的な話し方や的確な聞き方について考える。
 そして、「life simulation」」の結果を話題にして、カウンセリングの傾聴訓練を応用して、実習をする。

展開1
1.「上手な聞き方・上手な聞き方プリント」を配布する。

2.話し方チェックをさせる。
 ・仮に、8点以下は話し下手、9点〜16点はやや話し下手、17点〜31点は普通、32点〜39点は話し上手、40点満点は詐欺師と、ランク付けする。
 ・個々の項目について、説明する。

3.上手な聞き方について説明する。

4.「聴き上手チェック」を配布し、各自でチェックをさせ、集計をさせる。

5.「聴き上手の条件」を配布し、自分の特徴と長所と短所を考えさせる。

6.感想を書かせて、感想だけを回収する。


展開2
ウォーミグアップ
1.コミュニケーションの難しさを体験するウォーミングアップをすることを伝える。
 ・実習の成否は生徒のやる気が大きく影響するので、ゲームをして雰囲気を作る。

2.チームの中で2人組を作らせ、机を挟んで向かい合わせで座らせる。

3.話し手と聞き手を決めさせる。

4.話し手に、課題の絵の描いたプリントと絵を描く白紙の紙を配布する。

5.話し手に、白紙の紙だけを聞き手に渡させる。

6.1分間、話し手にプリントに描かれた絵を口頭で説明させ、聞き手に質問をさせず絵を描かせる。
 ・一方通行のコミュニケーションと双方通行のコミュニケーションを体験させる。

7.さらに1分間、今度は聞き手に質問させて絵を完成させる。
 ・双方通行の必要性を感じさせる。
8.出来上がった絵と課題の絵を見比べさせる。

9.双方通行のコミュニケーションの必要性を確認する。

実習1
1.前々時に実施した「life simulation」を出させる。

2.話し手と聞き手を決めさせる。
 ・後で交代することも告げておく。

3.話し手に、自分の話したい人生のステージについて、自分が選択した結果を、1分間で話すように指示する。

4.聞き手に、聞き方の指示をする。
 ・姿勢は、腕組みや足組をせず、上体を少し前に傾ける。
 ・目線は、逸らさず見つめず、自然に見る。
 ・うなずきと相づちだけで、口を挟まずにひたすら聞く。
 ・相づちには、「ふんふん・そう・それから」などがある。

5.1分間計って実習させる。

実習2
1.話し手に、実習1で話した選択の理由や迷ったり、悩んだりしたことを、2分間で話すように指示する。

2.聞き手に、聞き方の指示をする。
 ・話のキーワードや重要だと思う点を、相手の言葉のまま繰り返す。
 ・話のキーワードや重要だと思う点を、自分の言葉で言い換える。

3.2分間計って実習させる。

実習3
1.聞き手に、実習1、2で聞いて、もっと聞きたいことを、2分間で質問するように指示する。

2.質問の仕方を説明する。
 ・閉ざされた質問は、「ハイ」「イイエ」で答えられたり、答えが客観的に決まっている質問。例えば、「国語が好きですか?」「何年生ですか?」。
 ・開かれた質問は、「ハイ」「イイエ」で答えられない、自分のことを長く話さなければならない質問。例えば、「〜についてはどう思いますか?」「なぜ〜なのですか?」。

3.話し手に、できるだけ質問に答える、わからないことや答えたくないことはハッキリ言うように指示する。

4.2分間計って実習する。

5.ふりかえり用紙を配布し、記入させる。

実習4
1.話し手と聞き手を交代させて、実習1〜3をさせる。

ふりかえり
1.もとのチームの4人組になる。

2.パートナーの話を、1分30秒ずつ、あとの2人に話す。これを全員にさせる。

3.今回の実習について4人で話し合わせる。

4.ふりかえり用紙に実習の感想を書かせる。

5.ふりかえり用紙を回収する。


生徒の感想
★今日は、すごい真剣に話して、私の人生を聞いてもらってうれしかった。それと、人には考え方とものの見方とかか違うことにすごく勉強になった。みんなとても面白い考え方を持っていると思う。
★いつもしない話をしていろんな話を聞けた。やっぱり人それぞれそれなりの考えがあり、同じものを選んでいても考えがまったく違った。
★みんな人生がリアル過ぎて、自分の人生について考えてみた。この1時間はめちゃめちゃ面白かった。
★普段の友達とは違うイメージがわかって発見だった。みんな人それぞれいろいろな価値観みたいなのがあってすごい面白かった。いつも人生についてとか話さないから、いつも話しているのとは違って新鮮な気分になった。
★自分のことや人のことを説明することが難しいということを改めて実感しました。また私は自分の人生を真剣に考えていないのかもしれないと思いました。
★すごく聞き上手で、ついつい気持ちよくペラペラとしゃべってしまった。相手がうなずくだけでも、話せるけど、いざ少し詰まってしまったり、思いだせないときに、質問されたりすると、さらに話しやすくなることが分かった。
★机をくっつけるところが小学校思い出して楽しかった。それで私は聞き上手だったけど話下手だった。相手はすごく話が細くてよく分かった。ゆえに良い質問ができた。
★いつも仲良くしている友達でも、すごく奥が深いと思いました。そう思うともっと相手のことが知りたくなりました。
★授業がが楽しかった。ちょっと遊びながら学べるなんて、とってもいい授業でした。またこんなふうに授業したいです。相手のことがよくわかりました。
★面白かった。自分の言いたいことが言えてすっきりするし、ストレスを発散できるし。でも思ったより聞く方は難しいと思う。
★自分のことを相手にわかってもらえるように話すのがすごく難しかった。相手に自分のことを分かってもらったのでなんかよかったです。
★聞き手の時は相手が何を伝えたいのかをわかるにはちゃんと質問をしなくてはいけないなと思った。
★相手に自分のことを教えたり、聞いたりして少し恥ずかしいところや、あまり知られていない所などを知ってもらって、自分のことをよりいっそう知ってもらえだと思う。
★私は人の話すのを聞くということができない人です。これは前からわかっていたけど、今日をやって本当に人の話を聞かないなぁと思いました。それから、話をいろいろ聞いてもらった方が話しやすいなぁと思いました。
★ハイテンションで楽しくやれた。人にはそれぞれの人生観があるだと思った。相談員みたいで面白かった。
★初めて真剣に将来についてを人に話したので少し恥ずかしかった。しかし聞いてもらっているせいか話していてもいろいろと頭に将来の自分が浮かんできた。自分の話をより分かりやすく明確に話すには、話し手の技量だけでなく聴き手にも理解が必要であることが分かった。
★普段、しゃべるとかあまり考えたりすることはなかったけど、聞き手や話し手に分かれてやったら、自分がどういうふうに聞き取られているとかがよくわかった気がした。

 



4.分析しよう(1時間)


 「life simulation」のデータを分析する。

展開
1.「これからは情報化の時代。データをどれだけ分析できるかが人生の成否を決定することもある」と、授業の目的を説明する。

2.「life simulation集計」を配布する。

3.チームで相談し、分析するstageを選ばせる。

4.分析の着目点について説明する。
 ・回答数の多い選択肢と少ない選択肢。
 ・予想以上に回答数の多い選択肢。
 ・男女の差が明らかな選択肢。例えば、男の子に期待するものと女の子に期待するもの、結婚や出産と女性の仕事、家事の分担、生まれ変わりなど。
 ・質問内容が関連しているもの。例えば、結婚の利益と不利益、親の介護と自分の介護など。
 ・自分の意見や選択と大きく違う質問項目。

5.カード式ブレンストーミング法で、分析させる。
 1)1人にカード8枚ずつ配布する。
 2)各自で分析したことを、1枚に1つずつ書き出していく。
 3)1人ずつ順番に自分のカードを読み上げて、前に出す。
 4)他のメンバーは発表を聞き,わかりにくければ質問する。
 5)他の人が自分と同じ分析を発表したらその分析は発表できない。
 6)他の人が発表している間に新たなカードを書いてもよい。
 7)全員が手持ちのカードがなくなったら終了する。
 8)チームで優れた分析であると判断した順番に8枚選ぶ。

6.まとめの用紙「データを分析しよう」を配布し記入させ、回収する。
 ・メンバー、分析結果を8つ、書くようになっている。



5.リサーチしよう(2時間)


 前回の分析結果をもとに、さらに調べたい問題を追究する。
展開1
1.前回の各チームの分析結果をプリントしたものを配布する。

2.分析結果を見て、チームでさらに追究したい課題を決めさせる。
 ・例えば、就職のstageで、働く目的では、男女とも「人間」が多いが、職場での好ましい人間関係とはどのようなものか。

3.2で考えた問題について、チームで意見を出し合う。
  ・例えば、
   ・失敗してもカバーし合う。
   ・ライバル関係が厳しく、互いに競い合う。
   ・仕事のあと、みんなで飲みに行ける。
   ・家族ぐるみのつきあいをする。

4.アンケートのとり方と、インタビューの仕方を説明し、客観的なデータを得るために、アンケートかインタビューかを選ばせる。

5.まとめの用紙「リサーチしよう」を配布し、記入させ、回収する。
 ・メンバー、リサーチするstage、追究するテーマ、リサーチ方法、リサーチの概要、を書かせる。

展開2
1.前回の「リサーチしよう」を張り合わせてプリントしたものを配布し、進行状況を交流する。
 ・他チームの進行状況を見て、参考にしたり、刺激したりする。

2.アンケートやインタビューの内容について、チームで話し合わせる。
 ・対象と、質問内容を決めさせる。

3.まとめの用紙「リサーチしよう2」を配布し、記入させ、時間の終わりに回収する。
 ・メンバー、テーマ、目的、リサーチ方法、対象、質問項目、実施日を書かせる。
 ・回収した後、添削し、アドバイスを記入してチームに返す。
 ・アンケートをするチームは、アンケート用紙を作成させ、印刷してやる。

4.休み時間や放課後を利用して、アンケートやインタビューをさせる。
 ・先生方には、職員会議などで、協力を依頼しておく。



6.プレゼンテーションしよう(3時間)


 アンケートやインタビューでリサーチした結果をまとめて、発表する。
展開1
1.プレゼンテーションについて説明する。
 ・「プレゼンテーション」、簡単に言えば「人前で発表する」ことです。
 ・いまや、ビジネスの世界では、この能力がなければやっていけません。
 ・これからは、日常生活の場でも、この能力は必要になってくるでしょう。
 ・プレゼンテーションのもう一つの特徴は、「視覚的な資料を使って訴える」ことです。図やグラフや表などの資料を見せながら話すとより効果的です。

2.まとめの用紙「プレゼンテーションしよう」を配布し、説明する。

 1)リサーチ結果をまとめる。
  ・ここでは、意見を書かずに、事実だけを書く。
  ・アンケートの場合は、アンケートをとった対象、集計総数、項目と数を書く。
  ・インタビューの場合は、インタビューした対象、内容をまとめる。

 2)リサーチ結果を分析する。
  ・先に、結論を、簡明に書く。
  ・次に、その根拠を書く。
  ・1つの文に1つの事柄を書く。
  ・関連づけの表現を使って、文と文を結びつける。
  ・関連づけの表現とは、「つまり」「ところで」「しかし」「というのは」「次にお話しするのは」「以上申し上げましたように」などである。

 3)リサーチするにあたって、工夫した事、苦労した事をまとめる。

 4)今回のリサーチの感想をまとめる。

 5)話し方を工夫する。
  ・口を大きく開けてはっきりした声で話す。
  ・日常の会話より少しゆっくりした速さで話す。
  ・聞き手を見て話す。
  ・自分の話したことが相手に理解されているか確かめるために「間」をとって話す。
  ・ジェスチャーを交えながら、話の内容を補強する。

 6)視覚的な資料を作る。
  ・視覚に訴える資料を利用すると効果的である。
  ・視覚的な資料には、ポイントの箇条書き、図、グラフ、表などがある。
  ・視覚的な資料は、大きな紙に書いたり、プリントして各自に配ったりする。

3.プレゼンテーションの条件などを説明する。
 ・1チーム、5分以上8分以内で発表する。
 ・聞いている人は、次の観点で採点する。
   ・発表の内容(十分なリサーチができているか。深い分析ができているか。)10点満点
   ・発表の仕方(分かりやすいか。工夫されているか。)5点満点
 ・その平均点と、教師の点数で、評価する。

4.くじ引きで発表の順番を決める。
 ・10チームあるので 、2日に分ける。
 ・1日目は6チーム、2日目は4チームにする。

5.チームごとにまとめの作業をさせる。

展開2、3
1.順番に発表させる。
 ・採点用紙を配布し、発表の内容、発表の仕方を点数化させ、簡単なコメントを書かせる。
 ・4人で交代しながら発表するチーム、一人で発表するチーム、ワープロでシナリオを作って発表するチームもあった。
 ・プリントを用意して配布して説明するチームもあった。

2.すべてのチームの発表が終われば、今までの授業をふり返り、感想を書かせる。


評価
・まとめの用紙が5点×4回、発表の内容が生徒10点+教師10点=20点、発表の仕方が生徒5点+教師5点=10点。合計50点満点。
・チームの得点を4人に同じように与える。


生徒の感想
▼人前で発表するのはすごく難しいと思いました。上手く伝えなきゃいけないし、わかりやすく言わなきゃ全然言っていることがわからないということを、話し手と聞き手になってわかりました。だから前に立っていろいろ説明している先生たちはすごいなぁと思いました。そしてリサーチ結果を見たりして人によって考えていることが全然違うんだなと思いました。
▼ふだんの授業は、「他人の気持ちになる」というのが前提で、どことなく分かったようなわからなかったような時がいっぱいあった。でもこの授業は「自分の気持ちを自分で分かる」という普段考えているようで考えていないことを改めて考えることがよかった。自分のこれからのことなんて実際わからないのに、勝手に理想や夢を作っているのも大変やのに、さらに相手に伝えなければいけなくて、自分の気持ちを分かってもらうのって、すごく難しいと思いました。
▼心理テストとか、パッパッと答えたらいいのに、なんか自分のこととなると「えー、どっちやろ」と本気で悩んだりしました。これも自分が結婚とか子供とか考えると私になってきたからかなぁと思いました。老後とかのことを考えるとずいぶん先の話やなぁと思ってたけど、実際自分が小さいころ、「高校生の自分」とかすごく遠かった。でも今思うとこの十何年間ものすごく速かったです。自分はまだ若いとか余裕を持ってたら、痛い目にあうだろうと感じました。そう思うと、今のうちに何事も青春時代をエンジョイしようと決意しました。
▼自分的に普通だと思っていたで、世間一般の物差しで区別させられたことに腹が立った。先のことをいくら考えてもどうにもならないで自分の人生を楽しみたいと思った。
▼小学校から10年間今まで国語勉強してきたけど、こんな授業をしかも長くやったのは初めてです。私はlife simulationに続いてデータの分析、リサーチ、プレゼンテーションは楽しめてできたかなと思います。他の人がどんな人生を生きたかなど、これからの自分の人生の参考になったのでよかったです。プレゼンテーションでは、もう少しまとめられればよかったのになと思います。
リサーチやプレゼンテーションは大変でした。先生にインタビューするのは目上の人だからすぐ緊張するし、ちゃんと答えを返してくれるかもわからない。しかも自分が忙しくてメンバーに迷惑をかけまくったり、自分の考えを通してしまったりした。それでも私がまとめてきたらすごいとほめてくれたのでうれしかった。
▼最初は国語の授業っぽくなくて面白くないと思っていたけど、何回かやっているうちに、みんなの考えていること知れたりして楽しくなっていった。でも発表ているのがすごく嫌だった。嫌というのはまとめるのがすごく難しかったから。でもできたときはちょっと嬉しかったし、いい経験ができなと思いました。
▼私はみんなの前で発表したけどすごく難しかった。私は話すのがすごく下手だから、すごく緊張しました。速く話したらあかんて頭の中で考えているのに、緊張しているせいで頭の中が真っ白になって、自分がうまくコントロールできなかった。人の前でしゃべれるというのは本当に大変なんだなと思った。学校の先生とかも緊張したりしているのかなと思った。でも練習しているうちにどうやったらみんなに聞いてもらえるかが分かってくるようになると思う。上手に話すにはやっぱり練習するのが1番だなって思いました。


教師の感想
★研究授業をすることになって、長年培った教育相談の技法を利用して、総合的な学習の時間の先取りをしてやろうと思った。
★研究授業の時間は、「3 生き方を語ろう」の2時間目の傾聴訓練を利用した授業にしようとすぐに決まった。そのためのウォーミングアップの2時間もすぐに決まった。
★研究授業は、成功であった。生徒たちの協力の賜物であるが、指導主事には理解してもらえたかどうか?合評会では,「一人一人の評価はできるのか」という質問もあったが、「まず評価ありき」では新しい試みはできない。頭の固くなった人には、切り替えが必要だろう。
★問題は、この後の授業である。
★アウトラインはぼんやりと頭にあった。去年、3年生の国語表現で仕残したことをしたいと思っていた。リサーチ&プレゼンテーションである。
★ここから先は、いつもながらの得意の一輪車操業であった。
★1年生に、これからの人生を考えることができるのだろうか。リサーチする力があるのだろうか。私自身にとっても、未知の分野であるだけでなく、苦手な分野であった。
★国語一は週5時間だが、現代文は週に2時間曜日を決めてしているので、結局6週間かかったことになる。古典の時間にも進行状況を確かめ、遅れているチームにはハッパをかけながら進めた。
★結果的には、十分とは言えないが、やってよかったという充実感は、生徒にも私にも残ったと思う。もう少し、個々のチームに細かなアドバイスができればよかったのだか゜力不足であった。
★来年、もう一度やろうと思うには、もの凄いエネルギーが必要なような気がする。
★最後に、改めて、クラスの生徒たちに感謝したい。このクラスはフツーのクラスで、勉強が好きな生徒は少ない。国語の力が素晴らしいといえる生徒も少ない。でも、そっを向いてしまう生徒もいない。そんな彼らの協力があってこそである。ありがとう。

 



コメント

ホーム