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リンダ・ハワード・リーディング(その1)

---本気のストーリーを打ちまくる女王!---

シィアルからすすめられ、たてつづけに五冊読んだので、
この勢いで、リンダ・ハワード・ウィークを始めることにした。
なお、現段階で読んだのは、順に、

「二度殺せるなら」(加藤洋子訳/二見書房)
※ニューオーリンズが舞台。殺人事件を追う刑事と被害者の娘。
「青い瞳の狼」(〃)
※続編ではないが、前作からスピン・オフしたスパイアクション。
「黄昏に生れたから」(加藤洋子訳/ヴィレッジブックス)
※ニューヨークが舞台。画家で千里眼のヒロインと実業家の恋に殺人が絡む。
「心閉ざされて」(林啓恵訳/二見書房)
※アラバマを舞台に繰り広げられる南部の名家の大河ロマン。
「夢のなかの騎士」(〃)
※タイムスリップで出会うスコットランドの勇者と女性考古学者が悪の組織と対決。

リンダ・ハワードは初めてではあるが、ハーレクインの恋愛パターンは
教養として(?)どこかの回路に入っているし、
ミステリやらサスペンスやらは、なんだかんだとけっこう読んでいる。
(余談だが、私のミステリ系書評がここに少ないのは、ネットで
書き始める前に読んだものが多いから。
また余談だが、かの中山星香氏も、何年かに一度、男女の恋愛イメージを
強化するためにハーレクインに浸かるのだと述べられていた。妖精国の主役
二人も、そんなこんなで恋愛しているのだと思うと嬉しい)

だから、その二つが渾然一体となったロマンス系ミステリの女王たる、
アメリカはアラバマ州在住のリンダ・ハワードには
なじみやすい土台が、私のなかにできていたともいえる。
ハーレクイン作家から出発したキャリアを持つリンダ。
恋愛パターンにおいても、独自の境地を開拓している。
上記のようなバラエティに富んだストーリーを背景まで丁寧に書いた上で、
綿密な恋愛心理と執拗で濃厚なラブシーンが絡むわけで、
この人は本当に徹底していると思う。
もし、ラブシーンが今の半分以下でも、じゅうぶん面白いのに。
カバーの裏にポートレートが載っているが、
なかなか、女王の風格である。意思の強さが伝わってくる顔だ。

男性がこれらを読むとどう感じるのかわからないが、
アメリカ女性の圧倒的な支持を得ているという。
女性にとっては、癒し系ロマンス小説といわれるだけあって、
ツボをおさえたポジティブなストーリーに
共感が強いのではないだろうか。
主人公のほとんどが30代で、男性のリーダーシップの強さには
一貫したポリシーを感じる。
つまり、男は女を守るべきである、という掟だ。
(なぜ癒し系か、くわしくはその2へつづく)

これまで読んだなかで好みの主人公は、「青い瞳の狼」の
CIA工作員、ジョン・マディーナ。スパイものもかなり
読み漁った私が面白いと思ったのは、世界を股にかけたスパイアクションには
ハードなラブシーンもけっこう出てくるが、本当の恋愛を伴うものは
少ないからかもしれない。007が火遊びの典型であるように。

読みながら俳優の顔をイメージしたのは、「二度殺せるなら」の
主人公、マーク・チャスティン刑事。
ボールドウィン兄弟の長男、アレック・ボールドウィンである。
(キム・ベイシンガーの元夫。「ノッティングヒルの恋人」では
ジュリア・ロバーツに振られる恋人役)

そして、書きたくなかったのだが、あえて書く。
「夢のなかの騎士」のメチャクチャ強いテンプル騎士団の騎士、
黒髪のブラック・ナイルは、頭ではちがうとわかっているのに、
どうしても浮かんでしまうのが、「スコーピオン・キング」のあの方、
WWFのトップレスラー、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソン。
テンプル騎士団とWWFは同じく世界最強の団員つながりかも?(爆)

マーズ , 2002/05/07(Tuesday)  



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