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  激しすぎた情交のせいで、リョーマはなかなか呼吸を整えることが出来ない。 
      それは手塚も同じで、珍しく肩で息をしながらリョーマの隣に身を横たえてきた。 
      「…大丈夫か?…リョーマ…」 
      手塚が優しくリョーマの前髪をはらってやる。 
      「……ん、死ぬかと思ったけど……たぶん……大丈夫、みたい…」 
      リョーマは気怠い身体をゆっくり起こすと、手塚に覆い被さって口づける。 
      「くにみつ………オレ、美味しかった?」 
      頬を染めて尋ねるリョーマの身体をしっかり抱き締めると、手塚はその耳元に「最高だった」と甘く囁いた。 
      「もう寝るか?…………それとも…」 
      言いながら手塚の指がリョーマの唇を優しくなぞる。 
      「………ちょっと休ませてよ………死んじゃう…」 
      手塚が「そうだな」と言って小さく笑った。
 
 
 
 
  「やっぱり減ってる」 
      翌朝。 
      ベッドの中で、リョーマが呟く声に手塚は目を覚ました。 
      「……どうした?」 
      手塚がちょっと掠れた声で尋ねながら、リョーマの方へ身体を向ける。 
      「アンタ、オレのチョコ、食べた?」 
      「………ん?」 
      リョーマがちょっと拗ねたように頬を膨らませた。 
      「アンタがオレにくれた生チョコの数が減ってるんスよ」 
      「………さあな。俺は食べてはいない」 
      リョーマは手塚の言葉に何か引っかかりを感じたが、なぜ引っかかるのか思い浮かばなかった。 
      「また作ってやる。拗ねるな」 
      「べつに……拗ねてなんかいないけど…」 
      眺めていたチョコレートの箱をベッドサイドに置いて、手塚に身体を擦り寄せる。 
      「ん?どうした?」 
      手塚を見つめて嬉しそうに頬を染めるリョーマに、手塚が優しく問いかける。 
      「…なんかさ……アンタってPolestarみたいだなって……」 
      「 Polestar………北極星、か?」 
      リョーマは微笑んで頷いた。 
      「オレの中でアンタはもう、誰にも動かせないくらい大切なところにいるから……だからオレのPolestar」 
      手塚は一瞬目を見開くと、やわらかく微笑んだ。そっと、リョーマの肩に腕をまわして抱き寄せる。 
      「ならば、俺にとってもお前はPolestarだ。俺の世界はお前を中心に回っている」 
      「オレを……中心に?」 
      リョーマに唇を寄せながら、手塚が甘く囁く。 
      「お前がいないと、俺は動けない……きっと自分を見失う…」 
      「アンタが?………みんなの中心にいた『手塚国光』が?」 
      「俺の中にあるべき本当のPolestarと出逢ってしまったからな……」 
      言いながら手塚がリョーマに深く口づける。 
      リョーマは手塚の求めるままに唇を開いて甘く応えた。 
      「…愛しているんだ……リョーマ……もう元には戻れない」 
      真っ直ぐに見つめてくる手塚の瞳を受け止めて、リョーマが瞳を揺らした。 
      一途で切なげな手塚の告白が、リョーマの心の奥底にある誰にも踏み込ませなかった場所にまで染み込んで甘く揺さぶってくる。 
      「オレも、アンタを愛してる………たぶんずっと、アンタはオレのPolestarだ」 
      手塚が微笑んだ。リョーマも微笑み返した。 
      誰にも入り込めない、心の奥の神聖な場所に、二人は互いの名前を刻み込む。
  どこにいても、どんなときでも、変わらずに頭上にあり続けるPolestarのように。 
      決して見失わない、『永遠』という言葉に似た想いを、今、二人は誓い合う。
      『愛してる』
 
 
  新たな光の世界へと、二人は共に足を踏み出した…………
 
 
 
 
  
      
      THE END        
      2003.2.14       
      (と書きたいけど2.15)   
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