まるで散々焦らされたかのように、二人は激しく舌を絡ませあう。
口づけの合間に互いの名前を呼び合い、競うように相手の服を剥ぎ取ってゆく。
「ベッド……いかないの?」
リョーマの言葉に手塚がふと動きを止める。ベッドの方を見やってから、すくっと立ち上がった。
「くにみつ?」
手塚は無言でベッドから毛布を引っぱり出して床に敷いた。
「…ここでするつもり?」
「ベッドの軋む音は響くだろう?」
かなりキワドイことをサラリと言われ、リョーマの鼓動がドキッと音をたてる。
ベッドサイドの明かりをつけて部屋の照明を落としながら、手塚がリョーマに左手を差し出した。
「来い、リョーマ」
リョーマがその手を取ると、勢いよく引き寄せられた。
「あ…っ」
間近で見上げた手塚の瞳が雄の輝きを放っている。
「くにみつ……あっ、や……っ」
「あまり声を出すな……できるか?」
リョーマは縋るような瞳をしたが、小さく頷いた。
「…すまない…つらかったら言え」
「…うん」
手塚は愛しげにリョーマの髪を撫でると、噛みつくように唇を求めてくる。そのまま毛布の上に押し倒され、リョーマは口づけてくる手塚の首に腕をまわして縋り付いた。
「リョーマ…」
激しい口づけの合間に手塚が掠れた声で甘くリョーマの名を呼ぶ。その声にリョーマの熱が一気に上がり、下腹部に甘い疼きが走る。
手塚の唇がリョーマの首筋に移り、そのまま徐々に下がってゆくと、リョーマの唇から熱い吐息が漏れた。
「あ………っ、…ぁっ!……んっ」
手塚がきつく肌を吸い上げるたびにリョーマの身体が揺れる。
ぷっくりと立ち上がった胸の突起に爪を立てられると、リョーマが自分の口を押さえて身体を捩った。さらにその固くしこった蕾に歯を立てられ、きつく吸い上げられて、リョーマの身体が激しく痙攣する。
「………どうした…?ひどく敏感だな…」
「……だ…って……最近…あんまり……逢えな……かっ……んっ」
まだ穿いたままのスウェットの上から熱塊を撫でられて、リョーマの唇が震えた。
再び深く口づけながら手塚がさらに強く撫で上げると、リョーマの腰が緩く蠢く。
「んん…っ………んうっ…」
水音をさせながら唇を離すと、手塚が熱い吐息を漏らし、低く呻いた。
「くにみつ……?」
「……っく…」
手塚が何かを堪えるように眉を寄せて歯を食いしばった。
リョーマがふと手塚の下腹部に視線を移すと、手塚の熱塊がかなりつらそうにスウェットを押し上げているのが目に留まった。
「くにみつ…」
リョーマは身体を起こすと、手塚の上体を少し後ろに倒させスウェットに手をかけた。
「リョーマ…?」
リョーマが手塚のスウェットをゆっくり下ろすと、中で押さえ付けられていた熱塊が解放されて勢いよく跳ね上がった。
「すごい……アンタこそ、どうしたの?」
先程の仕返しとばかりにリョーマがニヤッと笑う。
手塚は観念したかのように苦笑した。
「…これが若気の至り、と言うヤツか。今日は煽られっぱなしだったからな………やはりさっきの風呂がマズかった」
「こんなになるまで我慢しないでよ。身体に悪いっスよ」
リョーマがちょっと困ったように笑った。
「アンタも相当意地っ張りだね」
「そうかもな」
手塚が溜息をつきながらまた苦笑する。
「ねえ、たまには先にイかせてあげようか?」
「え?……んっ」
リョーマが躊躇いもなく手塚の熱い屹立を口に含んだ。
「リョーマ…っ」
括れから割れ目のあたりを舌先で嬲ると、手塚の熱塊がさらに膨れ上がる。太い幹を手で扱きながらさらに先端を舐め回す。
「お前…どこでそんな…っ、……っく」
「親父が見てたエロビデオにこーゆーシーンがあった」
「………。」
ほんの少し暴走に歯止めがかかり、手塚は微かに安堵の溜息をついた。
そんな手塚に気づかず、必死に奉仕を続けるリョーマを見つめ、手塚が目を細める。髪を撫でてやると、リョーマが手塚を見上げてきた。
「…ねえ、気持ち、いい?」
「…ああ」
手塚の言葉に嬉しそうに微笑む表情が愛しくて、手塚はリョーマの髪を撫でてから優しくその身体に手を滑らせる。
ふと思い立って、手塚は自分の指を舐めてからリョーマのスウェットの中に忍び込ませ、まだ固い秘蕾を濡れた指で探り始めた。
「…あ…っ?」
いきなり後孔の周りを指で刺激され、リョーマが目を見開く。
それでも律儀に奉仕を続けようとするリョーマの名を手塚が優しく呼んでやると、リョーマの秘蕾がヒクッと窄まった。手塚の熱塊がリョーマの口内でビクリと揺れる。
「んっ、ん……んっ!」
手塚の長い指がリョーマの秘蕾に埋め込まれると、リョーマがきつく眉を寄せた。
「んんっ」
深く差し込まれた指が、生き物のようにリョーマの狭い器官を広げ始める。
後孔の指の動きに腰を震わせながらも、そちらに意識を奪われまいとリョーマはムキになったように口内の手塚を追い立てる。
「……っく……リョーマ……っ」
手塚の呼吸が荒くなる。
「離せ………リョーマ……っ」
リョーマはチラッと手塚に目をやっただけで、一向にやめようとはしない。
手塚の唇から熱い吐息が漏れる。限界が近い。
「だめだ…これ以上は………っ」
リョーマがとどめとばかりに手塚の熱塊を強く扱きながらきつく吸い上げた。
「う………っく、うっ!…………んっ!」
手塚の呼吸が止まり、腰が浮き上がる。その次の瞬間、手塚の熱塊から勢いよく熱い体液が吹き上がった。
「!」
手塚がリョーマの頭を押さえ込み、その口の中へ肉剣を押しつけるようにしてすべてを吐き出してゆく。
「ん………っく……っ!」
絶頂を終え、深く息を吐いてようやく手塚の身体が弛緩すると、リョーマがゆっくりと口を離した。そのまま両手で自分の口を押さえ込んだリョーマを見て、手塚が慌ててその顔を覗き込む。
「…っすまない、早く吐き出せ」
リョーマが口を押さえたまま首を横に振る。そしてギュッと目を閉じると、口の中のものを飲み込んでしまった。
「ば……っ」
大声を出しそうになって思い留まり、手塚が声を潜める。
「ばかっ、そんなもの飲むんじゃないっ」
はぁ、と息を吐いて、リョーマが手塚を見つめた。
「…アンタだってやったことあるじゃん」
「それは……」
「初めてっスね。オレの口でイったの。………気持ち良かった?」
手塚は溜息をついて、リョーマをそっと抱き締めた。
「ああ、すごくよかった。ありがとう、リョーマ」
「…礼なんか言われると照れるってば」
リョーマはクスッと笑いながら手塚の背に手を回した。
「次はお前の番だな」
言いながら手塚の指がリョーマの熱塊を探る。
「………くにみつ……」
「ん?」
リョーマは自分のものに添えられた手塚の手に自分の手を重ねた。
頬を真っ赤に染めて手塚を上目遣いに見上げてくる。
「……アンタにイかされたい………来てよ………まだダメ?」
手塚が目を見開き、すぐに細める。
ベッドサイドの明かりを映して妖しく揺れるリョーマの瞳に引き寄せられるように、手塚が唇を重ねてゆく。
しっとりと舌を絡ませ、そっとリョーマの唇を噛んでやると、リョーマが目を閉じたままうっとりと甘い吐息を漏らした。
そんなリョーマの艶めかしい表情に、手塚の瞳が再び雄の輝きを放ち始める。
「…たまらない、か?」
ゆっくりと目を開けて微笑むリョーマの身体を、手塚がぐいっと引き寄せる。
「あ……っ」
「たまらないのはお前の方だ、リョーマ……まだしばらくは寝られないと思え」
手塚の言葉にリョーマが目を見開いて赤面する。押しつけられた手塚の熱塊がすでに回復しているのを感じて、リョーマはちょっと挑むような瞳を手塚に向けた。
「アンタこそ寝かさないっスよ。オレの中をアンタのでいっぱいにしてみなよ…」
「ああ、望み通りにしてやる」
手塚はリョーマの身体を毛布に横たえると引き締まった両足を大きく広げ、露わになった小さな秘蕾に自身の湿った熱塊を擦りつけた。
「あ………ああ…」
リョ−マの腰が微かに揺れる。
押しつけられた手塚の先端から先走りの液が溢れ出し、湿った音をたて始めると、手塚はゆっくりとリョーマの中に肉剣を押し込んでゆく。
リョーマの喉が反り返った。
声をあげてしまわないように、歯を食いしばって堪えている。
まだ固さを残す秘蕾がゆっくりと手塚の形に広げられていった。
半分ほど押し込めたところで一旦動きを止め、リョーマの脇に手をついて手塚が苦痛に歪むリョーマの顔を覗き込む。
「……つらいか?」
リョーマが涙ぐんだ瞳を手塚に向け、小さく微笑んだ。
「熱くて、……甘いっスよ……とびきり、ね」
手塚もふっと微笑むと、リョーマの唇を優しく啄んだ。
「お前の中も…熱くて甘いな……」
「コアントローも…効いてる?」
「……ああ…もうすでに酔わされている…」
手塚が今度は深く口づける。舌を絡ませながら、自身もリョーマの奥へとさらに押し込め始めた。
リョーマの眉がきつく寄せられる。目を閉じると涙がこぼれた。
「………っ」
「リョーマ……っく……」
手塚はすべてをリョーマの中に捩じ込むと、あまりの締め付けのきつさに甘い苦痛の表情を浮かべた。
「もう少し力を抜けないか………これでは動けない……」
リョーマがきつく目を閉じたまま首を横に振る。
手塚はリョーマを見つめて小さく溜息をつくと、一旦自身を引き抜いた。
「あ……だめっ」
「待っていろ」
身体を起こしかけたが、リョーマは再び身体を倒して素直に手塚を待つことにする。と、突然後孔に暖かく湿った感触がしてリョーマは驚いた。
「なにして……っ」
大声を上げそうになってリョーマは慌てて口を押さえる。
手塚がまた指を入れてきたので、リョーマは口を押さえ込んだまま身体を震わせた。
しばらくそうして甘い刺激に堪えていると、再びゆっくりと手塚の熱塊がめり込んできた。
「んんっ……!」
先程よりは楽に奥まで迎え入れることが出来、リョーマがホッと息を吐く。
自身を根元まで埋め込んだ手塚が、リョーマにそっと口づけてきた。
「あ……チョコ……?」
絡ませた手塚の舌に、確かにチョコレートの味を感じ取ったリョーマが目を見開く。手塚は何も言わずにふっと微笑んだ。
「待たせたな」
「っ!んんっ!」
手塚が緩く肉剣を出し入れし始める。
滑らかに、しかし次第に激しく内壁を擦られて、萎えかかっていたリョーマの雄も再び頭を擡げてゆく。
声の代わりに息を吐き出そうとして、リョーマの呼吸がいつもより荒くなる。それでも漏れ出てしまいそうになる声をかみ殺そうと、リョーマは歯を食いしばった。
手塚は容赦なく腰を打ちつけ始める。
濃厚な粘着音と肌を打つ音、そして二人分の荒い息遣いが室内を満たした。
「…っ、…っ、んっ、……んうっ!」
「っく……っ、……リョーマ……気持ち…いいか?」
自身を深く捩じ込みながら囁かれた手塚の低い声に、リョーマがうっすらと目を開ける。
「ん……良すぎて……死にそ……っう、んんっ!」
手塚の腰の動きが加速した。
何度も何度も激しく突き込まれ、時には深く捩じ込まれたまま左右に揺すられ、叫びそうになる口をリョーマは両手で必死に押さえ込んだ。
だが、声を発することが出来ない分、リョーマの中にいつもより激しい快感が渦巻き始める。
手塚もまた、声を発しないように歯を食いしばってリョーマを激しく抉り続けた。
発散することの出来ない互いの熱が、より一層、二人の行為をエスカレートさせてゆく。
リョーマの身体が嵐のような手塚の打ち込みに揺さぶられ、毛布の上を滑ってしまうのを手塚が強引に引き戻して、動けないように真上から突き下ろす。
肉剣が奥深く打ち込まれるたびに、リョーマの身体は硬直して手塚をきつく締め上げた。そのきつい締め付けに、さらに手塚の熱が暴走してゆく。
あまりの激しさにリョーマは呼吸さえままならなくなってきた。強すぎる快感に、意識が飛びそうになる。
「も、………ダメっ」
リョーマはそれだけ口にすると、堪えていた熱を一気に迸らせた。
手塚に揺さぶられながら撒き散らされた愛液が、リョーマの頬にまで飛んでくる。
「あ……ふ……んんっ……っ」
どうにか意識を手放さずにすんだリョーマは、未だに固さを保ったまま自分を抉り続ける手塚の肉剣に驚きつつ、再び身体の奥に熱が灯されてゆくのを感じた。
「待っ……あっ…くに…みつっ」
腕を捕まれ、リョーマが何かを言おうとしていることに気づいた手塚が、動きを緩やかにする。
「……つらいのか?」
リョーマは首を横に振る。
手塚は動きを止めて息を弾ませながらリョーマに顔を寄せた。
「声……もう…我慢…できそうに…ないから……後ろから…して…」
真っ赤な目を揺らしながら掠れた小さな声で恥ずかしそうに頼んでくるリョーマがたまらなく愛しくて、手塚は再び体重をかけて奥深く肉剣をめり込ませると、リョーマの顔を覗き込んだままゆっくりと腰を回してみる。
リョーマがきつく眉を寄せて歯を食いしばった。
「ん……っ…あっ!」
手塚が熱い吐息とともにリョーマに口づける。
「…………リョーマ………本当にお前は…たまらないな……」
「………すけべ…っ」
リョーマが真っ赤な目で睨んでくる。手塚は目を細めると、リョーマの中から自身を引き抜いた。
「!!……はっあ…っ」
いきなりの喪失感に、リョーマの瞳が切なく揺れた。だがすぐに俯せにされ、腰だけ高く上げる恰好をとらされる。
「んんっ!」
自分の恰好を恥ずかしがる暇もなく、再び手塚の熱い肉剣に奥まで一気に貫かれる。リョーマは咄嗟に毛布へ顔を埋めて、なんとか叫ばずにすんだ。
さらに間髪入れずに手塚が動き始め、激しく腰を打ちつけられて、リョーマの視界がスパークする。
「…っ、……っん、んっ、んんっ、んんっ!」
パンパンと肉を叩く音が室内に響く。時折下から抉り上げるようにゆっくり深く捩じ込まれ、リョーマは指の感覚がなくなりそうなほど強く毛布を握りしめて堪えた。
「リョーマ……っ」
「うっ、っく、……んんっ」
手塚の腰骨がリョーマの尻朶に深く食い込み、最奥を抉り回してから抜け出そうなほど引き戻される。
延々と続く甘い責め苦に、リョーマの意識が再び飛びそうになってくる。だが手放しかけた意識が手塚の艶やかな呻き声に引き戻された。
ようやく手塚に絶頂の兆しが見え始めた。
リョーマの雄もしっかりと勃ち上がり、激しく揺らされながら解放の時を待ちわびている。
手塚がリョーマの腰を抱え直し、そこから一気に絶頂を目指してさらに激しい抽挿が始まる。
「んーっ、んんっ、んんっ、んあっ!」
「…リョーマ……っ」
ガツガツと奥深くまで打ち込まれる衝撃に、リョーマがまた歯を食いしばって必死に堪える。だがそれが苦痛だけではない証拠にリョーマの腰が手塚に合わせて妖しく揺れている。
「あっ、はっ、はぁっん、ああっ」
呼吸に紛れて、とうとう我慢できずにリョーマが喘ぎ始める。
「気持ち…いいっ、……く…みつ……んんっ、また…出……っ!!」
「リョーマ………いくぞ………っ!」
手塚が力任せにリョーマの腰を引き寄せ、息を詰めて身体を震わせる。二度目の割にはかなり大量の体液がリョーマの腸壁に叩きつけられた。
リョーマもほぼ同時に、毛布の上へと熱い白濁液を振りまいた。
手塚はきつく締め上げてくるリョーマの秘蕾を何度か出し入れしながらすべてを注ぎ込み、荒い呼吸のまま毛布の上に崩れ落ちるリョーマからそっと自身を引き抜いた。