教材観
教科書までのあらすじ  A.Kとお嬢さん  B.旅先での二人  C.私の恋愛観  D.Kの迷い  E.私の逆襲  F.Kの覚悟  G.私の疑念  H.私の決断  I.私の告白  J.私の良心  K.Kの自殺  L.私の結婚   M.私の寂しさ  N.私の内面の戦争  O.明治の精神 

指導観

授業の展開
導入  教科書までのあらすじ  Kの自殺  Kの迷い  私の逆襲  Kの覚悟  私の疑念  旅先での二人  Kとお嬢さん  私の恋愛観  私の決断  私の良心  私の結婚  私の寂しさ  私の内面の戦争  明治の精神

板書 


教材観

教科書までのあらすじ
 私は両親を病気で失い、遺産の管理を依頼していた叔父に裏切られ、深い人間不信に陥る。しかし、下宿の奥さんとお嬢さんに癒される。一方、Kは、真宗の寺に生まれ、医者の家に養子で出されたが、医学を勉強せずに哲学を勉強したため、実家からも養家からも勘当され、精神衰弱にかかる。Kは私と同郷で同窓であったので、下宿に引き取り、奥さんやお嬢さんに援助を頼む。しかし、次第にKがお嬢さんと親しくなるのを見るにつれて、
Kに嫉妬を覚えるようになる。ある日、Kが私にお嬢さんへの恋を告白する。私は自分もお嬢さんが好きであることをKに伝えようと思いながら、伝えられない。

A.Kとお嬢さん
 Kを下宿に引き取り、奥さんとお嬢さんのおかげで、Kの心は次第に打ち解けていった。
 ある日下宿に帰ると、珍しく奥さんが留守で、お嬢さんとKの二人がいた。私は何となく不自然を感じた。しかも、お嬢さんは訳もなく笑っている。私はそんな女が嫌いであったので、余計に不愉快になった。
 一週間後、また、二人がKの部屋にいて、お嬢さんは私の顔を見て、嫌な笑い方をした。
そして、食事の時に、私のことを変な人だと言った。
 私は、食後にKを散歩に連れ出し、奥さんやお嬢さんをどう見ているかと質問した。Kは二人のことよりも学問のことを気にしているようだった。しかも、お嬢さんに代表される女を軽蔑しているように見えた。
 また、プリントにはないが、房州旅行から帰ってきた時、お嬢さんはKの用事を後回しにして私の用事を先にしてくれているように見えて嬉しかった。ところが、十月の中頃、予定外でKの方が先に帰っていて、Kの部屋からお嬢さんの笑い声がしてきた。その後も、お嬢さんがKの部屋の縁側にいることが多くなった。また、十一月の雨の降る寒い日、二人だけで出かけているようなも出来事もあった。その時も、お嬢さんは嫌いな笑い方をした。それは私の嫉妬心からでた思い過ごしなのか、お嬢さんの技巧なのかわからなかった。さらに正月になって、四人で歌留多取りをした時、お嬢さんはあからさまにKの加勢をした。

B.旅先での二人
 私は無理やりKを旅に誘い出す。何をするでもなく、二人でボーッと座っているだけの変な旅である。私はお嬢さんのことを思っているが、Kも同じようにお嬢さんのことを思っているのではないかと根拠もなく疑いだす。思わず私はKの襟首をとらえて、海に突き落としたらどうすると聞くと、Kはちょうどいいやってくれと言う。しかし、この段階では冗談ともつかない会話で、Kの自殺には結びつかないだろうが、意味深である。
 この頃、Kの神経衰弱も回復に向かい、一種の自信さえ感じさせた。それに反比例して私は過敏になっていった。Kは恋愛には鈍い人だったので、安心して下宿に連れてきた。もし、Kの自信がお嬢さんに向けられるとしたら、Kを許すことができない。
 Kと私は何でも話し合える仲であった。恋については滅多に話さないし、話しても抽象的な理論に落ちるだけだった。二人の話題は、書物、学問、未来の事業、抱負、修養など堅い話題に集中した。「堅い」友情関係であった。
 そんなKに恋愛話などをして柔らかくしてやろうと思ったりもするが、Kは一切受け入れる態度を示さなかった。それは却って安心材料でもあった。
 私とKを比較すると、Kの方が、男前だし、性格もこせこせしていないし、間が抜けていてしっかりしている男らしさもあり、学力ははるかに上であり、すべての面で上回っていた。それを思うと、お嬢さんもKを選ぶだろうと思われた。

C.私の恋愛観
 そんな中、私は奥さんにお嬢さんをくれと談判する決心をしながら、断行の日を延ばしていた。それは意志が弱かったからではなく、Kが下宿に来るまでは、周りの人の勧めに簡単に乗りたくなかったからであった。Kが来てからは、もしかするとお嬢さんはKに気があるのではないかと思ったからである。それは恥をかくとかでなく、相思相愛でなければ嫌だという気持ちからであった。つまり私は高尚な愛の理論化であり、同時に迂遠な愛の実際家であった。
 また、私の恋を直接お嬢さんに告白することも考えたが、それは日本の習慣と許されていないと同時に、日本の若い女性は自分の思いを遠慮なく口にする勇気がないものだと思い込んでいたからである。
 こんな状況があったので、私はKに続いて切り出すことができず、悔恨の念に苦しんでいたのであった。

D.Kの迷い
 まず、Kの「薄志弱行」について考える。
 Kの告白を聞きながら、自分の気持ちをKに伝えられず悔恨の情に悩んでいた私に、絶好のチャンスが到来した。Kは私を図書館から散歩に誘い出し、例の事件=お嬢さんのことをについて口を切った。まだ、お嬢さんや奥さんに告白するという実際的な方面には進んでいないようである。Kは恋愛の淵に陥った自分を私がどんな目で眺めているのかと私の意見を求めてきた。これは、こうと信じたら一人でどんどん進んでいく度胸も勇気もある平生のKとは明らかに違っていた。私はなぜ批評が必要なのかは尋ねた。Kは迷っていて自分で自分がわからない弱い人間であることが恥ずかしいと言った。私は迷うという意味を聞きただした。Kは進んでお嬢さんに告白するか、退いてお嬢さんを諦めるか迷っているのだといった。ここで私は攻めの態勢に入り、退こうと思えば退けるのか、お嬢さんを諦められるのかと聞いた。Kは言葉に詰まり、ただ苦しいとだけ言った。
 ここでは、指示内容を確認しながら、内容を正確にとらえていく。

E.私の逆襲
 私は理想と現実の間を彷徨していたKを一撃で倒す策略だけを考えていた。ここで、「理想と現実」とは何を指すのかが問題になる。@理想=自分の道を進む、現実=お嬢さんに恋をしてしまった。A理想=お嬢さんに告白すること、現実=お嬢さんに告白できていないこと。B理想=お嬢さんの恋を諦めること、現実=お嬢さんを諦められないこと。この段階では、Bはないだろう。生徒の多くはAだろうが、『私の疑念』に出てくるKの性格を読めば@が妥当だと思う。そこまで、答えは保留する。
 私はすぐにKの虚につけ込んで、「精神的に向上心のないものはばかだ」と言い放った。この言葉は、房州旅行の際に、お嬢さんへの恋に悩む私にKが言った言葉であった。そこには同情というより侮蔑の気持ちが強かった。Kは精進という言葉が好きで、道のためには全てを犠牲にすべきものだという信条が込められていた。道とは、自分だけでなく人をも幸せにすることである。そのためには欲を離れた精神的な愛すらも道の妨げになるという厳しいものであった。ここでKの真摯な生き方を確認させる必要がある。
 その立場が今逆転した。しかし、私は単なる復讐のために言ったのではない。Kの前の恋の行く手をふさぎ、今までどおりの道を積み重ねていかせようとしたのである。それは私の利害と衝突するのを恐れた、単なる利己心の発現であった。私の意図を確認する。
 同じ言葉を二度言われたKは、「僕はばかだ」と答えた。それは居直ったにしては力に乏しいものであった。自分の本来の生き方を再認識し、お嬢さんに恋したことを深く反省している言葉である。

F.Kの覚悟
 Kは私より背も高く学力や容貌も私より上であった。Kはお嬢さんの話はやめようと頼んだ。狼のような私は羊のようなKの喉笛へ食らいついて、お嬢さんの話をやめるだけの覚悟があるのかと言った。私の使った「覚悟」はお嬢さんを諦めると言う意味であった。
 するとKは萎縮して小さくなったように感じた。私は勝ったと思い安心した。その時、Kは突然、覚悟ならあると独り言のように夢の中の言葉のように言った。Kは文脈から切り離して「覚悟」と言う言葉を受け取っている。それは悲壮な決意という非常に強い意味のものになっている。
 しかし、覚悟の意味については、『私の決断』で私が捉え直している部分を学習してから考えることにする。

G.私の疑念
 Kには投げ出すことのできない過去があった。それは真宗の寺の子に生まれ、医者の家に養子に出されたが、医学を学ばず、養家からも実家からも勘当されてまで哲学を学んだ過去である。また、Kには現代人(明治の後期)の持たない強情と我慢もあった。その双方からKが古い自分を投げ出して新しい方角へ走り出さないものと、私は確信していた。だから、Kはお嬢さんを諦めると思い、比較的安静な夜を迎えた。
 しかし、その深夜に間の襖が二尺程開いて、もう寝たのか、近頃は熟睡できるのかとKが尋ねた。自殺した夜のこの間の晩とはこの夜のことである。翌朝、私はお嬢さんの話をするつもりだったのかと念を押すと、Kはその話はもうやめようと言ったではないかと注意するように言った。
 ここで問題になるのは、なぜふすまを開けたのか。@この夜に自殺するつもりだったのか、A自殺するための準備なのか、B私に何か言いたかったのか、とすれば何を言いたかったのか。しかし、ここではまだこの問題については触れられない。

H.私の決断
 Kは一般的に果断に富んだ性格で、お嬢さんへの恋においてだけ優柔になったのは例外だと私は解釈していた。しかし、お嬢さんへの恋にも果断に富んだ性格が発揮されるのではないか、それが「覚悟」の意味ではなかったかと考え直す。このあたりは論理的に考えているので、私の論理を追う。その時もう一度公平に見回せばそれが間違いであることがわかるのだ

I.私の告白
 Kの最近の様子を聞いたが何もなかったので、突然奥さんにお嬢さんを下さいと談判する。奥さんよく考えたのかと念を押した後、父親のない子を宜しく頼むと何の条件も出さなかった。そして本人が承知しているようなことも言った。つまり、奥さんとお嬢さんの間では話はできていたのである。と言う目で見ると、お嬢さんのKに対する親切な態度も私の気を引く策略であったかもしれない。ここで再び『Kとお嬢さん』が注目される。

J.私の良心
 私は奥さんの記憶とお嬢さんの想像で一杯でした。そしてKの部屋の前を抜ける瞬間にKに対する良心が復活した。もしKと二人きりなら謝っただろうが、奥に人がいる。体面を気にする私にとってそれはできなかった。
 私にKになんとか事態を告げようと考えたが、倫理的に否を自認しているのでできない。
奥さんに頼んでありのままを告げてもらっても倫理上の問題は解決しない。こしらえごとを話してもらおうとすれば理由を話さねばならず自分の弱点をさらすことになる。結婚する前から恋人の信用を失うことはしたくない。私は、Kに謝罪するという正しい道を歩くつもりで、自分の体面のためにその機会を逸して足を滑らせた馬鹿者、狡猾な男であった。その事に気づいているのは、天と私の心だけである。
 五、六日後、奥さんがKに私とお嬢さんの結婚を告げたことがわかった。その時Kは最も落ち着いた驚きで迎えたらしい。Kは@動揺したが平静を装ったのか、Aお嬢さんのことはあきらめていたのでどうでもよかったのか。このことは、再びKの自殺の原因を考える時に合わせて考える。
 私はそれを聞いて胸がふさがるような苦しさを覚えた。Kの立派な態度に私は罪悪感を感じる。Kを出し抜いて奥さんに直談判した「策略」ではKに勝ったが、人間としては負けたという人間が持って生まれた自然な「良心」に苛まれる。それでも、進んでKに謝罪しようか、よしてそのままにしようか迷っている内に、Kが自殺してしまう。

K.Kの自殺
 Kの遺書を発見した第一印象は、Kに恋を告白された時と同じである。私は固まってしまい、棒立ちになって立ちすくんだ。次に、「しまった」と思った。自分の責任でKを自殺に追い込んだことが世間に明白になり、私の未来は取り返しのつかない黒い光に照らされてしまうことになる。(このあたりの私の心理は『Kの告白』に書かれているが、私とのやりとりを学習した後、時間があれば学習する。)
 それでも私は冷静になり、Kの遺書を発見する。それは予期したように私宛になっていたが、予期したような私を責める内容ではなかったので、助かったと思った。それは世間体の上だけだが、体面や恥を気にする私にとっては最大の関心事であった。
 遺書の内容は、Kが薄志弱行で行く先の望みがないから自殺する。最後にもっと早く死ぬべきだった、なぜ今まで生きていたのかと書いてあった。しかし、お嬢さんの名前はなかった。
 この遺書で問題になるのは、1)薄志弱行とは何を指しているのか。2)死ぬべき時期は何時だったのか。なぜ今まで生きていたのか。3)なぜお嬢さんの名前がないのか。これらを総合的に考えればKの自殺の原因が解明できる。
 1)は、道を捨てて恋をしてしまったことなのか、お嬢さんを失ったことなのか、信頼していた私に裏切られて一人で生きていけないことなのか。
 2)は、お嬢さんに恋をした時なのか、私に恋を告白した時なのか、「覚悟ならある」と言った時なのか、私とお嬢さんの結婚を知った時なのか。あるいは、実家から勘当された時なのか。死ぬ時期は、お嬢さんを諦められなかったからか、私の謝罪を待っていたのか、私もお嬢さんが好きなのに告白してしまって私を追い詰めたことを謝罪したかったからか、なんとか一人で生きていこうとしていたからか。
 3)は、未練たらしく思われたくなかったからか、お嬢さんに迷惑が掛かると思ったからか、お嬢さんのことはきっぱり諦めていて書く必要もなかったからか。
 また、遺書の内容以外に、4)仕切りの襖がこの間の晩と同じように開いていた状況も考えなくてはならない。私への当てつけか、お嬢さんや奥さんに発見されて恐怖心をあおりたくないので私に発見させるようにしたのか、私に謝罪しようとしたができなったのか。この部分は、『私の疑念』で比較しながら学習することになる。
 この4点を整理し、その理由をグループで考えさせる。そして、下線部の以前の状況を確認する。Kの自殺の真の原因は、この後の部分を読まなければわからない。

L.私の結婚
 Kの葬式で、私はKの自殺の原因について質問される。第一発見者であり、唯一の親友であったのだから当然の人選だが、私はその質問の裏に、お前が殺したのだろうという声を聞く。それはそういう自覚があったからである。遺書のおかげで、私の罪はばれず、Kはきちがい扱いまでされる。しかし、ばれなかったことが却って真綿で首を絞めるように私を苦しめる。ただ、お嬢さんの名前が出なかったことは幸いだった。
 引っ越し、卒業、結婚。私は外面上は幸福の連続であった。しかし、この結婚が自殺への導火線に火をつけたことになっていたのであった。ある日、妻が私をKの墓参りに誘う。妻はKに結婚を報告して喜んでもらうつもりだっただろうか、私は心の中で済まないと繰り返すだけだった。早くも二人の間に亀裂が走る。穿った見方をすれば、妻は私の所業を知っていて、私を誘ったとしたら、じわじわと私を苦しめ、死にいたらしめる序章であったとも考えられるが、考えすぎだろう。

M.私の寂しさ
 私が自殺の導火線になる結婚に不安があったが、もしかしたら新しい生涯へのプロローグになるかもしれないとの一縷の望みをかけたが、無残にうち砕かれる。妻を見るたびにKのことが思い出され、自然妻を遠ざける。妻からは詰問や怨言を受ける。そのころの私には結婚前のような自尊心はなく自分を弁護する必要はなかった。ありのままを話せば妻も許してくれることは分かりながら、妻にKの自殺に関係していることを知らせないために、つまり妻を守るために話さなかった。とすれば、Kが遺書にお嬢さんの名前を書かなかった理由も自然と納得される。Kも自分の自殺にお嬢さんを巻き込みたくなかったのだ。ただ、穿った見方をすれば、妻はそんなことは先刻承知で私のひとり相撲だったかもしれない。
 私は何もしないで過ごすようになった。妻は心の弛みだと言うが、実際は叔父に裏切られ人に愛想を尽かしたのに、Kを裏切ってしまい自分にも愛想を尽かしてしまったのだ。それを妻に説明できない自分が悪いのだが、たった一人親愛する妻にも理解してもらえない寂しさを痛感する。その時、はたと、Kも唯一の親友だと思っていた私に理解されない寂しさのために自殺したのではないかと思い当たる。Kは奥さんから婚約の話を聞かされた時、「覚悟」の意味をお嬢さんに進むと誤解されたことに気づいて、驚いたのだ。自分はそんな人間に見られていたのかというショックである。そして、私は、私もKと同様自殺するのかとこの時初めて自覚して、ぞっとする。

N.私の内面の戦争
 私が世の中に意欲を持とうとすると、そんな資格はないと私を押さえつける力が働く。そんな繰り返しに私は疲れ果てる。その時、一番楽な努力で遂行できる道として、自殺が手を広げて待っている。Kの遺書にあった「薄志弱行」とはこのことだったのだろう。しかし、私は妻を一人残すことが不憫で、また一緒に死ぬ勇気もなく思い止まる。穿った見方をすれば、妻は一人でも生きていけるし、それを願っていたと考えると、身も蓋もなくなってしまう。

O.明治の精神
 そんな私もついに自殺を決意する日がくる。その引金になったのが、明治天皇の死であり、乃木大将の殉死である。厳格と完全を求める古い部分と、自由と独立を求める新しい部分を表裏一体に併せ持った明治の精神を生きた自分の、そろそろ引き際だと思った。お嬢さんへの恋に代表される新しい精神と、Kに体する罪悪感を担い続けた古い精神、そんな明治の精神を体現している自分が次の時代を生きるのは時代後れだと感じた。
 気になる妻も一人で残す決意をした。乃木大将のように妻を道連れにするのは、忍びなかった。たが、妻には残酷な血の色は見せたくないし、自分のおぞましい過去も知らせたくない。妻はいつまでも純白のままでいてほしい。Kが襖を開けたまま自殺したのも、私に発見させることでお嬢さんに血の色を見せたくない思いからだったのだろう。たとえ、きちがい扱いされてもいいとも思ったのだろう。
 私は、Kに対する罪悪感で何をするのも許されない人間であったが、最後に長い遺書を書くことによって、こんなふうにして生きてきた自分を、明治の精神を、青年の胸に記憶してもらおうとした。その試みは、成功したのだろう。


指導観
 教科書に掲載されている部分は一部なので、教科書までのあらすじを、二人の生い立ちと関係、Kの告白と私の悔恨までの部分を「恋愛か友情か」という身の上相談的なプリントで考えさせておく。
 教科書の部分でまず気になるのは、Kの自殺である。自殺の夜の状況や遺書から自殺の原因を考える。各自初見の段階で理由を書かせ、グループに分かれて話し合わせる。これが今後どのように変化していくかがわかるように、一枚もプリントに以後も書き込めるようにしておく。また、グループの結果は掲示板に張り出して、他のグループも見れるようにしておく。
 そして『Kの迷い』に戻り、私がKの平生とKの揺れ動く気持ちを対比しながら、Kのやりとりしていく様子を追う。そして、Kの「覚悟」という言葉までを導く。この段階で、
二人の会話部分を抜き出して、ロールプレイをさせる。Kの平生からすれば恋を諦めるとタカをくくっていたが、襖事件を境に、Kがお嬢さんへの恋に進むと思い込む。ここで、「覚悟」の意味について、2回目の書き込みをさせ、グループで話し合わせる。現代人のように優柔不断ではないKの性格が正確に把握できるかどうかが鍵になる。
 この後、私は最後の決断をして、奥さんに談判し、Kを自殺に追い込むことになる。この事態になるまで、さまざまな事柄を確認したくなる。
 まず、二人の友情はどのようなものだったのか。Kの告白前、房州を旅した時の『旅先の二人』に戻る。二人の特殊な友情、Kに対する劣等感、Kの人を寄せつけない態度からお嬢さんに対する安心、Kもお嬢さんが好きなのではないかという根拠のない不安を確認する。
 そんなKがなぜお嬢さんに興味を持ったのか。『Kとお嬢さん』で、お嬢さんの思わせぶりな態度を確認する。
 また、私がもっと早くお嬢さんに告白していれば、こんな問題は起こらなかったはずである。『私の結婚観』で、私がお嬢さんに告白しなかった理由を確認する。
 こうしたことを確認した上で、Kの自殺までの、最後の決断、奥さんへの談判、私の罪悪感について考える。『Kの自殺』まで終わった段階で、私とお嬢さんの婚約を知ったKの落ち着いた態度の意味を考えながら、Kの自殺の原因について、3回目の書き込みと話し合いをさせる。
 さらに、『Kの自殺』以降の部分を読み、私の自殺の原因を考えていく内に、私とKは双子のようであることを理解し、私の自殺の理由を考えることによって、Kの自殺の原因について、4度目の書き込みと話し合いをさせる。


授業の展開

導入

1.「恋愛か友情か」と原稿用紙を配布する。
2.問題を読み上げ、質問かあれば受け付ける。
 ・「こころ」の教科書までの部分を身の上相談風にまとめたもの。
3.友情か恋愛か、どちらかを選ばせて、その理由を原稿用紙に書かせる。
4.回収する。
5.次時に、結果と代表的な意見を発表する。

あらすじ
1.全体の構成を説明する。
 ・〈先生と私〉〈両親と私〉〈先生と遺書〉の三部構成である。
 ・〈先生と私〉は、学生である私と先生の出会い。
 ・〈両親と私〉は、私の重病の父親の看病。
 ・〈先生と遺書〉は、先生の遺書。ここでの「私」は「先生」のこと。
2.教科書までのあらすじをまとめる。
 ●私
  ・病気のために両親を失う。
  ・遺産の管理を託していた叔父に裏切られ、極度の人間不信に陥る。
  ・遺産を整理して上京する。
  ・下宿の奥さんとお嬢さんの世話になる。
  ・下宿のお嬢さんに心を開いていく。
 ●K
  ・寺の子に生まれ、医者の家に養子になり、大学へ行く。
  ・大学で医学を学ばず、哲学を学んだために勘当される。
  ・経済的に苦しい。
  ・神経衰弱に陥る。
 ●私=K
  ・幼なじみで大学の同級生。
 ●私→K
  ・下宿に同居させ、お嬢さんに面倒を見てくれるように頼む。
 ●K
  ・健康が回復する。
  ・お嬢さんと親しくなる。
 ●私→K
  ・Kがお嬢さんと親しくなるにつれて、Kに嫉妬する。
 ●K→私
  ・私にお嬢さんへの恋を告白する。
 ●私→K
  ・自分の気持ちも伝えようとするができない。
3.『Kの迷い』(図書館の場面)から『Kの自殺』までを黙読させる。

Kの自殺.(わたしが進もうかよそうか〜血潮を初めて見たのです。)
1.結局、私はKとの友情を裏切ってお嬢さんとの恋愛を取り、Kは自殺してしまったことを確認する。「こころ」の大きなポイントの一つは、Kの自殺であるが、その原因を考えるために、まず遺書を読むことを説明する。
2.音読させる。
3.私の様子をまとめる。
 1)棒立ちに立ちすくむ。
  ・Kから恋を告白を受けた時と同じ。
 2)しまったと思った。
  ・取り返しのつかないことをした。
 3)遺書を発見して読む。
  ・私にとってつらい文句が書きつらねてあるだろうと予期した。
 4)世間体の上で助かった。
  ・予期したことが書いてなかった。
 5)みんなの目につくように元通りに置いた。
 6)振り返って襖の血潮を見た。
4.遺書の中の、原因を考えるのに必要なポイントを質問する。
 ヌ薄志弱行で行く先の望みがない。
 ネお嬢さんの名前だけはない。
 ノもっと早く死ぬべきだった。
5.不自然な状況を質問する。
 ・Kの部屋との仕切りの襖が開いている。
6.問題点を整理する。
 ヌなぜ襖が開けてあったのか。
 ネ何に対する意志が弱かったのか。
 ノなぜKはお嬢さんの名前を書かなかったのか。
 ハ死ぬべき時期とは何時だったか。
7.書き込みプリント「こころの謎」を配布して、問題点を考えながら、「1.Kの自殺の原因」を書かせる。
8.席の近くの者と4人グループを指定し、意見を交流させ、グループの意見をまとめ、発表させる。
 ・まとめたプリントは後ろの掲示板に張り出し、他のグループが見れるようにする。
 ・書き込みプリントは回収する。

Kの迷い(ある日私は久しぶりに学校の図書館〜私は違っていました。)
1.時間を逆上って、Kの自殺の原因を考えていくことを説明する。
2.音読させる。
3.K例の事件について口を切ることを確認する。
 1)イ「例の事件」とは何か質問する。
  ・私にお嬢さんへの恋を打ち明けたこと。
4.K実際的な方面に進んでいないことを確認する。
 1)「実際的な方面」とは何かを質問する。
  ・お嬢さんに告白する。
5.K私に向かって「どう思う」と言ったことを確認する。
 1)「どう思う」とはどういう意味か質問する。
  ・恋愛の淵に陥った彼をどんな目で私が眺めているか。
  ・現在の自分について私の批判を求めたい。
6.私Kの平生と異なる点を認めたことを確認する。
 1)Kの平生と異なる点とは何か質問する。
  ・私の批判を求めてきたこと。
 2)「Kの平生」とはどのようであったか質問する。
  ・人の思わくをはばからなるほど弱くない。
  ・こうと信じたら一人で進んでいくだけの度胸も勇気もある。
7.K「弱い人間であるのが恥ずかしい」と言ったことを確認する。
 1)「弱い」とはどういうことか質問する。
  ・迷っているから自分で自分がわからない。
 2)「迷っている」とは何に迷っているのか質問する。
  ・進んでいいのか、退いていいのか。
 3)「進む」「退く」とはどうすることか質問する。
  ・進む=お嬢さんに告白する、退く=お嬢さんを諦める。
  ★これだけ迷っているKは確かに平生のKではない。
8.私すぐ一歩先に出て「退こうと思えば退けるのか」と問うたことを確認する。
9.K不意に行き詰まり、「苦しい」と言うだけであることを確認する。
10.「確認テスト1」を2分間で実施し、回収後、解答する。

私の逆襲(わたしはちょうど他流試合〜そろそろとまた歩きました。)
1
1.「確認テスト1」を返却する。
12.音読させる。
13.K理想と現実の間を彷徨していることを確認する。
 1)「理想と現実」とは何かを質問する。
  ・理想=お嬢さんに告白する。
   現実=お嬢さんに告白できない。
  ・理想=自分の道を貫く。
   現実=お嬢さんへの恋に進む。
  ★意見を聞くだけで結論は持ち越す。
14.私「精神的に向上心のないものはばかだ」と言い放ったことを確認する。
 1)Kが私に言った時の状況を説明する。
  ・二人で房州を旅行していた時にKが私に言った。
  ・私=お嬢さんを恋していた。
   K=同情より侮蔑の気持ちで言った。
 2)この時は、二人の立場が逆転していることを確認する。
 3)「向上心」に込められたKの第一信条は何か質問する。
  ・道のためならすべてを犠牲にすべきだ。
 4)「道」とは何か説明する。
  ・人生の修行。立派に生きること。
 5)「すべて」とは何か質問する。
  ・欲を離れた恋そのものも道の妨げになる。
  ★お嬢さんへの恋が精神的なものであったにしても、それさえ犠牲にすべき。
 6)私はどういうつもりで言ったのか確認する。
  ・復讐以上に残酷な意味を持っていた。
  ★単に言い返しただけではない。
 7)「復讐以上に残酷な意味」とは何か質問する。
  ・Kの前に横たわる恋の行く手をふさぐ。
  ・道を今までどおり積み重ねてゆかせる。
 8)私が言った真の理由を確認する。
  ・Kが私の利害と衝突するのを恐れた。
 9)その心を何と言っているか質問する。
  ・単なる利己心。
15.K「僕はばかだ」と力に乏しい声で答えたことを確認する。

Kの覚悟(私はKと並んで足を運ばせながら〜自分の部屋へ引き取りました。)
16.音読させる。
17.私とKの身長差を確認する。
 ・Kは私より背が高く、私はKを見上げる。
16.私とKの態度を動物に例えていることを確認する。
 ・私=狼
  K=罪のない羊
17.K「もうその話はやめてくれ」と頼むように言ったことを確認する。
 1)「その話」とは何か質問する。
  ・お嬢さんの話。
18.私「やめるだけの覚悟があるのか」と言ったことを確認する。
 2)何を「やめる」のか質問する。
  ・お嬢さんの話。
  ・ひいては、お嬢さんとの恋までも含ませている。
  ★巧妙なすり替えが行われている。
19.Kの身長が萎縮したように感じたことを確認する。
 ・立場が逆転したことを表している。
20.K「覚悟ならないこともない」と独り言のように夢の中の言葉のように言ったことを 確認する。
 ★私の「覚悟」とKの「覚悟」が一致しているかどうか、この段階ではわからない。

私の疑念(そのころは覚醒〜思い込んでしまったのです。)
1.音読させる。
2.上野公園のやりとりを受けて、私がKの「覚悟」の意味をどのように捉えたかを考えることを説明する。
3.「覚悟」の解釈その1について
 1)Kが古い自分を投げ出して新しい方角に走らない「覚悟」だと考えたことを確認する。
 2)「古い自分」とは何かを説明する。
  ・道のためにはすべてを犠牲にするという生き方。
 3)「新しい方角」とは何かを説明する。
  ・お嬢さんとの恋に進むこと。
 4)新しい方角へ走らなかった理由を確認する。
  ヌ投げ出すことのできないほどの尊い過去がある。
  ネ現代人の持たない強情と我慢があった。
 5)「尊い過去」をまとめる。
  ・道のために全てを犠牲にしてきた過去。
  ・養家の意志に背いて道を追求したために勘当された過去。
 6)「現代人」とは明治四十五年頃であることを確認する。
  ・当時の人も昔の人に比べれば、強情や我慢がなかった。
 ★Kの意志の固さを確認する。そう簡単には変わらないものであるはずである。
4.その夜の襖事件について
 7)何が起こったかをまとめる。
  @私の名を呼んで起こす。
  A間の襖を開けて、黒い影法師のようなKが立っている。
  B「もう寝たのか」と普段より落ち着いた声で言った。
  C翌朝、調子の抜けた頃に「近ごろは熟睡できるのか」と聞いた。
  D「お嬢さんのこと話すつもりではない」と強い調子で言い切る。
 8)問題点を質問する。
  @なぜ私の名を呼んだのか。
   ・何か相談したかったのか。
   ・相談しないとすれば、起きるかどうか試すためか。
  Aなぜ襖を開けたのか。
   ・Kが自殺した夜も襖が開いていた。
   ・自殺した夜の「この間の晩」とはこの晩のことである。
   ・Kの自殺を考える上で重要なポイントである。
  B「もう寝たのか」とはどういう気持ちか。
   ・Kは「たいした用でもない」と言っているが、無駄口をきかないKがわざわざ起こすのは不自然である。
   ・私が寝ていたのは知っているのだから、疑問ではなく、確認である。
   ・寝たかどうかの確認よりは、「もう」にウエイトがあり、よくも寝られるなぁという気持ちがある。
  Cなぜ普段より落ち着いていたのか。
   ・何かを決心している。
  Dなぜ調子の抜けた頃に「近ごろ熟睡できるのか」と確認したのか。
   ・「近ごろ」に対して「以前」があり、それは『Kが告白した夜』の部分である。その箇所のプリントを配布して、その夜とこの夜の違いを確認する。
    ・Kが私に告白した夜、二人は寝られずに、襖越しに会話する。
    ・私の方が、「おい」と呼びかけた。
    ・応答があったので、「まだ寝ないのか」と聞いた。
    ・私が朝の告白の話題を蒸し返したが、Kは生返事をしただけだった。
   ・会話の途絶えた時間に何を考えていたのか。
  Eなぜ強い調子でお嬢さんの話ではないと否定したのか。
   ・本当にお嬢さんの話でないから自尊心が許さずに強く否定したのか。
   ・本当はお嬢さんのことだが、図星にされたので強く否定したのか。
5.「覚悟」の解釈その2について
 1)私はKの性格について、どのように理解していたかまとめる。
  ・Kの果断に富んだ性格。
  ・この事件についてだけ優柔である。
 2)「この事件」とは何か確認する。
  ・お嬢さんとの恋。
 3)「一般を心得たうえで、例外の場合をとらえたつもりで得意だった」の「一般」「例外」とは何かまとめる。
  ・一般=道に対しては果断に富んだ性格。
  ・例外=恋に対してのみ優柔。
 4)「この場合も例外ではない」と考え、お嬢さんへの恋にも、果断に富んだ性格が発揮される、つまり、Kがお嬢さんに対して進んでいくと解釈したことを確認する。
6.「確認テスト2」を2分間で実施し、回収後、解答する。
7.書き込みプリント「こころの謎」を返却して、「2.Kの覚悟の意味」を書かせる。
8.前の4人グループで、ロールプレイをする。
 1)「ロールプレイシナリオ」を配布する。
 2)グループで、私役とK役と観察役を決めて、一人一回私とKを体験するようにロールプレイをさせる。
9.4人グループで、意見を交流させ、グループの意見をまとめ、発表させる。
 ・まとめたプリントは後ろの掲示板に張り出し、他のグループが見れるようにする。
 ・書き込みプリントは回収する。
10.考えられる説を検証する。
 1)恋愛突入説
  ・お嬢さんに対して進んでいくという意味である。
  ・私もお嬢さんが好きであることに気づいた。
  ○道を捨ててお嬢さんに進むことを決めたから、落ち着いていた。
  ○お嬢さんのことではないと強く否定したのは策略である。
  ×私を起こして何を言おうとしたのか。抗議や宣戦布告ならなぜ言わなかったのか。
  ×Kの正直な果断に富んだ性格からして、策略を使うことは考えられない。
 2)恋愛断念説
  ・お嬢さんを諦め、もう一度道を追求する。
  ・私もお嬢さんが好きであることに気づいた。
  ○お嬢さんを諦め、もう一度道を追求すると決めたので、落ち着いている。
  ○恋の告白をして私を苦しめたことを謝りたかった。または、これからの人生について私と語りたかった。
  ○お嬢さんを諦めているのにお嬢さんの話かと言われて、自尊心が許さなかった。
  ×Kの性格からして、人生について私と語ることはない。
  ×なぜ謝らなかったのか。自尊心が邪魔をしているなら、わざわざ襖を開けなくてもよい。
 3)自殺説
  ・この夜、自殺の予行をした。あるいは、自殺するつもりだったが未遂に終わった。
  ○私が寝ている間に自殺しようと、呼んで起きるかどうか試してみた。
  ○起きたので、誤魔化した。
  ○自殺を決めていたから、落ち着いている。
  ○お嬢さんを諦めているのにお嬢さんの話かと言われて、自尊心が許さなかった。
  ○未遂説なら、この時点で遺書を書いていたことになる。遺書は簡単だったので、可能性はある。「もっと早く死ぬべきだった」と墨のあまりで書いてあったのは、自殺した夜に書き加えた可能性も考えられる。
  ×自殺する動機がない。上野公園での「覚悟」が死ぬ意味だとするのは、性急すぎる。
  ×自殺することは、恋に進む以上に過去を投げ出すことになる。
  ×予行説なら、下見をするのはKの果断に富んだ性格から考えにくい。

房州旅行の二人(Kはあまり旅に出ない〜不安に立ち返るのです。)
1.私の覚悟の解釈が正しかったのかを確かめるために、Kが告白する以前の二人の関係を考える。特に、これから私は卑劣な手段を使うわけだが、なぜそこまでしなければならなかったのか。私のKに対する劣等感について考える。
2.補助教材プリントを配布する。
3.音読させる。
4.この場面は、Kが私の下宿に来てしばらくしてからのことだが、この頃のKの様子をまとめる。
 ・神経衰弱がだいぶよくなっていた。
 ・落ち着いていて、一種の自信を持っているように見える。
 ・私のお嬢さんを愛している素振りに全く気がついていない。
5.そんなKに対する私の気持ちをまとめる。
 ・だんだん過敏になってきていた。
 ・Kの自信が自分の進んでいく道に対してならいいが、お嬢さんに対してであれば許すことができない。
 ★この頃から私はKを警戒していた。
6.この旅の目的をまとめる。
 ・自分の心をKに打ち明ける。
 ・自分の心=お嬢さんを愛していること。
 ★Kに告白される前に、自分から告白しようとしていた。
7.旅先でも、私がKに嫉妬していることを確認する。
8.私がKを下宿に連れていた理由を確認する。
 ・Kは女に鈍い男なので安心していた。
9.その後、Kの神経衰弱が回復し、自信を取り戻すが、それにつれて私が過敏になった理由をまとめる。
 ・その自信が、学問や事業など未来の光明に関することならいい。
 ・お嬢さんに対してであれば許せない。
10.私の嫉妬心をかき立てる理由の一つとして、私のKに対する劣等感をまとめる。
 ・容貌も女に好かれる。
 ・性格もこせこせしていない。
 ・間が抜けていて,それでいてどこかしっかりした男らしさ。
 ・学力でも優れている。
 ★生徒のKに対する暗いと言うイメージを払拭させる。
 ★全ての点でKにはかなわないと思っている。

Kとお嬢さん(Kと同じ科でありながら〜房州に行くことになりました。)
1.私はKとお嬢さんの関係に不安を抱いているが、どんなことがあったのかを読んでみる。『房州旅行の二人』の直前の部分である。
2.房州旅行前の出来事であることを説明する。
3.音読させる。
4.お嬢さんがKの部屋に二度もいたことを確認する。
 ・必然的な用事があっていたのか。
 ・私への挑発なのか。
 ★これが私の嫉妬心をかき立てたもう一つの理由である。
5.お嬢さんがわざと私の嫌な笑い方をする理由を考える。
 ・自然にしているのか。
 ・私の気を引くためにしているのか。
6.Kの女性観をまとめる。
 ・女には学問は要らない。
 ・女を軽蔑している。
 ・お嬢さんを軽蔑していることになる。

私の恋愛観(私はそれまで躊躇〜私は見込んだのです。)
1.私はKとお嬢さんの関係に嫉妬をしているが、それならKが告白する前に自分から言い出せばよかったことになる。私の女性観・結婚観はどんなものだったのかを読んでみる。房州旅行から帰ってしばらくたってからの部分である。
2.房州旅行後の部分であることを説明する。
3.音読させる。
4.奥さんにお嬢さんをくれと談判しなかった理由をまとめる。
 1)Kが現れる前は。
  ・人の手に乗るのが嫌だ。
  ・人の噂通りにしたくない。
 2)Kが現れた後は。
  ・お嬢さんがKの方に気があるのではないかという疑念。
6.私の恋愛観についてまとめる。
 1)どう思っているか確認する。
  ・こっちでいくら思っていても、向こうが他の人に愛の眼を注いでいるならば、そん   な女と一緒になるのは嫌である。
 2)これを漢字四字で言い換えるとどう言うか質問する。
  ・相思相愛。
 3)こういう自分の恋愛観を何と言っているか質問する。
  ・高尚な愛の理論家。
   ・素晴らしい恋愛論を持っている。
  ・迂遠な愛の実践家。
   ・実際には恋愛に進まない。
7.直接お嬢さんに告白しなかった理由をまとめる。
 ・日本の習慣として許されていない。
 ・日本の若い女性は自分の思いを遠慮せずに口にする勇気がない。
 ★だから、直接告白すれば、私を好きでなくても承知してしまい、相思相愛であるか確かめられない。
 ★奥さんを介せば、お嬢さんの本当の気持ちを確認できる。

私の決断(私は私にも最後の決断が〜私のすべての新たにしました。)
1.今までの二人の関係、Kとお嬢さんの関係、私の結婚観から、私は最後の決断をする。
2.音読する。
3.私の「最後の決断」についてまとめる。
 1)最後の決断とは何かを確認する。
  ・Kより先に、Kの知らない間に、事を運ぶ。
 2)「事を運ぶ」とは何かを確認する。
  ・奥さんにお嬢さんをくれと談判する。
4.私は、仮病を使って奥さんに談判したことを確認する。
5.私の様子をまとめる。
 1)Kが何か言わなかったか聞いたことを確認する。
 2)「何か」とは何かを質問する。
  ・Kが先に奥さんにお嬢さんをくれと談判すること。
  ★先にKが談判していたなら自分行動は手遅れになる。
 3)突然「お嬢さんを下さい」と言ったことを確認する。
6.奥さんの返事についてまとめる。
 1)返事の内容をまとめる。
  ・驚いた様子を見せない。
  ・即座に承知した。
  ・何の条件も持ち出さなかった。
  ・本人の意向さえ確かめるに及ばない。
 2)本人の意向を確かめる必要がない理由を確認する。
  ・本人が不承知のところへ、やるはずがない。
  ・お嬢さんも私が好きであった。
 3)返事からわかることを質問する。
  ・奥さんはお嬢さんが私を好きであることを知っていた。
  ・奥さんとお嬢さんの間で、私との結婚話ができていた。
  ・奥さんは私が談判に来ることを予期していた。
 4)お嬢さんのKに対する態度は何だったのか質問する。
  ・私がお嬢さんにKを世話してくれと言ったことを忠実に守っていた。
  ・私とKと二人に好意を持っていた。
  ・私がお嬢さんを好きであることに気づいていたが、なかなか求婚して来ないので、私に嫉妬させて、求婚を急がせる策略であった。
 5)「何の条件も出さなかった」とあるが、私はどんな条件を予想していたか質問する。
  ・私の財産に関する条件。
  ★すべてにおいてKに劣っている私が、唯一Kに勝てるのは経済力である。
  ★かつて、叔父が財産目当てに、自分の娘と結婚させようとした。
 6)条件を出さないとすれば、純粋に私を愛してくれていたことになることを確認する。

私の良心(私はそのまま二、三日〜大いな苦痛でした。)
1.仮病まで使ってお嬢さんを手に入れた私は、今度はKに対する良心に悩まされ、Kにどのように説明しようかと悩む。
2.音読する。
3.私のKに対する気持ちについてまとめる。
 1)どのように思っていたのか確認する。
  ・すまないと思っていた。
 2)なぜお嬢さんとの婚約をKに知らせられないのか確認する。
  ・論理的に弱点を持っていることに負い目を持っていたから。
 3)「論理的に弱点」とは何か質問する。
  ・先にKから相談を受けていたのに、Kを裏切ってお嬢さんを手に入れたこと。
4.お嬢さんとの婚約をKに知らせる方法についてまとめる。
 1)自分で話す方法の欠点を説明する。
  ・自分が直接Kから非難される。
 2)奥さんに頼んで言ってもらう方法について2つの場合を想定する。
  @ありのままを告げてもらう方法の欠点を説明する。
   ・間接的ではあるがKから非難される。
   ・奥さんにKが先に告白していたことがばれる。
  Aこしらえごとを話してもらおう方法の欠点を説明する。
   ・「こしらえごと」とは、例えばお嬢さんや奥さんの方から私に求婚した。
   ・奥さんに理由を詰問される。
   ・すべて事情を話さなければならない。
  Bいずれにしても、自分の弱点を自分からさらけ出さなければならない、結婚する前か  ら恋人の信用を失うことになることを確認する。
5.「正直な道を歩くつもりで、つい足を滑らした」についてまとめる。
 1)正直な道とは何か質問する。
  ・お嬢さんへの恋を選んだこと。
  ・自分の気持ちに正直になる。
 2)足を滑らすとは何か質問する。
  ・Kを裏切った。
 3)それを知っているのは、「天と私の心」だけであることを確認する。
  ・漱石に座右の名である「則天去私」の説明をする。
6.婚約を知ったKの反応をまとめる。
 1)どのような反応をしたか確認する。
  ・最後の打撃を最も落ち着いた驚きをもって迎えた。
 2)「最後の打撃」とは何か確認する。
  ・私とお嬢さんが婚約したこと。
  ★それは私が最後の打撃と考えているだけで、Kには打撃ですらなかったのかもしれ   ない。
 3)落ち着いていた理由を質問する。
  ・私がお嬢さんを好きなことに気づいていたので、あまり驚かなかった。
  ・お嬢さんを諦めていたからどうでもよかった。
  ・自殺を覚悟していたからどうでもよかった。
  ・驚いたが、驚くことはプライドが許さなかったから、自分の驚きの感情を抑えた。
7.Kの反応を聞いた私の気持ちを確認する。
 ・策略で勝っても人間としては負けた。
 ・策略とは、Kを出し抜いてお嬢さんへの恋を奥さんに伝えたこと。
 ・人間としては負けたとは、Kが私に対して以前と異なった様子を見せず、私を責めず  にいること。
8.「確認テスト3」を実施し、回収後、解答する。
9.再びKの自殺についてまとめる。
 1)遺書の内容をまとめる。
  ・薄志弱行。
  ・お嬢さんの名前がない。
  ・もっと早く死ぬべきだった。
 2)自殺するまでの不可解な点をまとめる。
  ・「覚悟」の意味。
  ・襖事件。
  ・婚約を知った時の落ち着いた驚き。
  ・自殺の夜、襖が開いていたこと。
10.書き込みプリント「こころの謎」を返却して、「3.Kの自殺の原因」を書かせる。

私の結婚(Kの葬式の帰り道に〜墓参りをしないことにしました。)
1.前時で教科書に収録されている部分は読み終わったが、Kの自殺については様々な考えを残したままになっている。Kと私は双生児のようであり、Kの自殺の原因を考えるには私の自殺の原因を考える必要がある。教科書ではその後のあらすじとしてまとめられているが、ここでは原文を読むことによって考えていく。
2.補助教材プリントを配布する。
3.音読させる。
4.Kの自殺の原因についてまとめる。
 1)質問の裏にどんな声を聞いたかを確認する。
  ・早くお前が殺したと白状してしまえ。
 2)恐れていたことを確認する。
  ・お嬢さんの名前を出されたらたまらない。
 3)実際新聞にはどのように報道されていたか確認する。
  ・勘当された結果厭世的な考えを起こして自殺した。
    厭世的=世をいとい、物事を悲観的に考えるようす。
  ・気が狂って自殺した。
  ★Kの遺書にお嬢さんの名前がなかったことが幸いしているが、内心苦しめられてい   る。
5.間もなく引っ越した理由を確認する。
 ・Kの自殺した夜の繰り返すのが苦痛だったから。
6.二カ月後、大学を卒業したことを確認する。
7.まもなくお嬢さんと結婚したことを確認し、その様子をまとめる。
 1)外面をまとめる。
  ・妻は幸福らしく見えた。
  ・私も幸福だった。
 2)私の幸福には黒い影がついていたことを確認する。
 3)「黒い影」とは何か確認する。
  ・最後に私を悲しい運命に連れていく導火線。
 4)「悲しい運命」とは何か確認する。
  ・私の自殺
8.二人でKの墓参りをしたことを確認し、その様子をまとめる。
 1)妻の気持ちを確認する。
  ・二人の結婚を喜んでもらう。
 2)私の気持ちを確認する。
  ・腹の中で自分が悪かったと繰り返す。
 3)「新しい墓・新しい妻・新しいKの白骨」の表現を説明する。
  ・Kの墓も白骨も、妻も、新しい。しかし、私の心だけは新しくない。
  ・そして、それら新しいものから嘲られているような気になる。
 4)結婚当初から、私と妻の間にはズレがあったことを確認する。

私の寂しさ(私の亡友に対する〜胸を横切り始めたからです。)
1.音読させる。
2.二人の結婚生活についてまとめる。
 1)Kとのことがあるのに、結婚に踏み切った理由を確認する。
  ・私の気持ちを一転して新しい生涯にはいる端緒になるかもしれない。
 2)実際はどうだったか確認する。
  ・妻が中間に立って、Kと私を結びつけて離さない。
 3)その結果、私は妻を遠ざけたがったことを確認する。
 4)妻は、気に入らないことがあるのかと詰問(問いつめる)したり、隠していることが  あると怨言(恨み言を言う)を言ったことを確認する。
 5)私は、ありのままを打ち明けようとしたことを確認する。
 6)すると、自分以外のある力が不意に来て私を押さえつけることを確認する。
  ★ここまでは、利己心や自尊心の発現からであり、Kの告白や、私の良心と同じパタ   ーンである。
 7)「自分以外のある力」とは何か質問する。
  ×利害の打算ではない。
  ○妻の記憶に暗黒な一点を印するに忍びない。
 8)「暗黒な一点」とは何か質問する。
  ・妻がKの自殺の原因に間接的に関わっていること。
 9)このことからKの自殺の原因との関連を説明する。
  ・Kの遺書にお嬢さんの名前を書かなかったことと重なる。
  ・遺書にお嬢さんの名前があれば、お嬢さんの記憶にKの自殺という暗黒な一点を印   すことになる。
 10)私は、腕組みをして世の中を眺め出したことを確認する。
 11)そういう生活を妻はどう観察していたか確認する。
  ・今日に困らないからこころにたるみが出るのだ。
 12)動かなくなった原因を確認する。
  ・人に愛想を尽かし、自分にも愛想を尽かしたから。
 13)自分に愛想を尽かす経過をまとめる。
  ・叔父に欺かれる。
  ・人は頼みにならない。
  ・自分だけは立派な人間だという信念があった。
  ・Kのために破壊された。
  ・自分も叔父と同じ人間だと意識した。
 14)そういう生活をしている私の気持ちを確認する。
  ・世の中で最も信愛しているたった一人の人間すら、自分を理解していないのかと思   うと悲しかった。
 15)私は、Kの死因をどのように考えていたか確認する。
  ・失恋。
  ・現実と理想の衝突。
 16)そして、Kの自殺の真因をどのように考えたかを確認する。
  ・私のようにたった一人で寂しくて仕方なくなった結果、急に自殺した。
 17)「ぞっと」した理由を確認する。
  ・私もKと同じ道をたどっている。
  ・自殺する。
3.Kの自殺の原因、覚悟の意味、私の婚約を聞いた時の驚きの謎を考える。
 1)私の寂しさをKに当てはめるとどうなるか説明する。
  ・最も信頼する人は、私である。
  ・その私に理解されていない。
 2)理解されていないことの代表が、「覚悟」の意味であることを確認する。
 3)Kの「覚悟」の意味は何だったことになるか質問する。
  ・私は恋に進む覚悟だと理解した。
  ・Kの「覚悟」は、お嬢さんを諦めることだった。
 4)婚約を知った時の驚きの理由を質問する。
  ・お嬢さんをあきらめており、また私がお嬢さんを好きだったことに気づいているので、お嬢さんを取られたという驚きは感じなかった。
  ・自分が私に理解されていないことを知って驚いた。

私の内面の戦争(死んだつもりで〜会うつもりでいたのです。)
1.音読させる。
2.私の内面の苦しい戦争についてまとめる。
 1)私の内面をまとめる。
  ヌ外界の刺激におどりあがる。
  ネ恐ろしい力が動けないようになる。
  ノぐたりとしおれてしまう。
  ハこれを繰り返す。
 2)「恐ろしい力」とは何か確認する。
  ・お前は何をする資格もない男だ。
 3)私はどのように感じるようになったかを確認する。
  ・一番楽な努力で遂行できるものは自殺より外にない。
  ★Kの遺書の中の「薄志弱行」と重なる。
 4)私が自殺を思い止まった理由を確認する。
  ・妻と一緒に死ぬ勇気はない。
  ・私がいなくなった後の妻を想像すると不憫になる。
  ★生きているのも苦しいが、死ぬことも許されない私の出口のない気持ち。
3.ビデオを見せる。
 ・K役の俳優が、私より背が低く、顔もたいしてよくないなどキャストの面や、上野公園の場面も図書館内で、しかも私から声をかけたことになっているなどストーリーの面でも原作と異同がある。
 ・それ以外部分では、原作に忠実である。
 ・ただ、お嬢さん役に葉月里緒菜を起用して、「お嬢さん策略家説」に基づいて作成されている。そこまでするかというほど徹底した策略家ぶりである。最後のシーンも、第一部の私、青年と先生の墓参りをして、青年が故郷に誘う。第三の犠牲者が……。

明治の精神(すると夏の暑い盛りに〜おわり)
1.音読させる。
2.明治天皇の崩御についての私の思いをまとめる。
 ・明治の精神が終わった。
 ・最も強く明治の影響を受けた私が生き残るのは時勢遅れだ。
3.乃木大将の殉死について
 1)乃木大将の様子をまとめる。
  ・西南戦争で旗を奪われた申し訳に、死のう死のうと思って今日まで生きていた。
  ・生きていた三十五が苦しいか、自殺する一刹那が苦しいか。
  ★自殺することよりも生きていることの方が苦しいこともある。
 2)乃木大将の心情を推測する。
  ・西南戦争で部下の戦死によって敵に旗を奪われ、処罰を申し出たが許された。
  ・少しの過ちも許さない武士道の厳格主義の持ち主であった。
  ・自分の過失について、他人からの非難はないにもかかわらず、忘れられずに「恥」の意識に苦しみ続け、死に場所を求めていた。
  ・主君である天皇が崩御したので、臣下も殉じて死を選んだ。
4.私の自殺の決心について
 1)自殺を決意した理由は。
  ・明治の精神に殉死する。
   殉死=死んだ主君の後を追って自殺すること。
  ・乃木大将の殉死。
  ・苦しい戦争からの解放。
 2)妻への配慮は。
  ・妻に残酷な驚怖(血の色)を与えたくない。
  ・妻が私の過去に対して持つ記憶を純白に保存しておいてやりたい。
  ★Kが襖を開けて自殺した理由と重なる。
  ★Kは私に発見させ、お嬢さんに血を見せたくなかった。
5.明治の精神について、乃木、私、Kの生き方を考える。
 ・乃木大将の殉死、私の自殺、Kの自殺に共通するキーワードである。
 1)「明治の精神」の二つの精神について説明する。
  ・古い明治の精神=江戸時代から受け継いだ武士道的・儒教的精神。
  ・新しい明治の精神=自己本位の精神。
 2)武士道的・儒教的精神について説明する。
  ・厳格主義と完全主義。
  ・忠義、礼儀、名誉、武勇、廉恥などを重んじ、卑怯、未練、粗忽などを排する。
  ・欲望をおさえ自己を抑制することを道徳の規準とする立場。
  ・いかなる事情があろうと、責任の一切を自分が負担する。
  ・仁義、道徳、教養を重んじる。まず自己を修養し、最終的に社会や国家に尽くす。
 3)乃木大将の場合は。
  ・厳格主義から、敵に旗を奪われたことを許せない。
  ・その責任の取り方を考え続ける。
  ・天皇の崩御を機に自害した。
 4)私の場合は。
  ・叔父に裏切られ、自分だけは立派な人間になろうとする。
  ・恋をめぐる自己本位主義のために卑劣な手段を使いKを裏切って自殺させてしまう。
  ・厳格主義から自分の罪を許すことができない。
  ・孤独感に陥り自殺した。
 5)Kの場合は。
  ・自己本位主義から、実家や養家の意志に背き自分の道を進む。
  ・厳格主義から、すべての欲望を犠牲にする。
  ・自己本位主義から、お嬢さんに恋をしてしまう。
  ・さらに、自己本位主義から、私の気持ちも考えずに恋を告白し苦しめる。
  ・厳格主義から、そんな自分を許せない。
  ・親友の自己本位主義を知ってしまう。
  ・孤独感に陥り自殺した。
  ★「覚悟」とは厳格主義の体現した言葉である。
6.「確認テスト4」を実施し、回収後、解答する。
7.「こころ まとめと基本問題」を配布し、全体の粗筋を確認し、問題をしておくように指示する。
8.最終感想文を書かせる。
9.プリント「Kの手記」を配付し、教師の読みを示す。



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