京極堂案内人口上  


長らくの御乗車お疲れ様でした。外房へようこそ。
  自然の美、海産物の美味で名高いこの地はまた、かの「絡新婦の理」事件の
舞台として、京極夏彦先生の高名の書によって知られるところとなりました。
地元の素封家、織作家の崩壊と共に「蜘蛛」もまた消滅しましたが、張り廻らされた
蜘蛛の網は未だに至る所で思わぬ人を捕え続けています。
今あなたが御覧になっている「現在」の「現実」の風景も、蜘蛛の網の広い外縁の
一部なのです。
  さあ、残された蜘蛛の糸を伝って巣の中心部「蜘蛛の巣館」へ参りましょう。
…どうなさいました?大丈夫ですよ、館自体は既にすっかり取り壊されてしまい
ましたし、それに…あなたはそもそも、“網(ネット)”にかかってこんな所まで
おいでになったのでしょう。どんなに遠くに行ってもこの“くもの巣(ウェッブ)”からは
逃れられないのですから、楽しんでいらして下さい。  



行    程

 (1)  鵜原 ― 明神岬 館へ至る道
 (2) 興津 ―  茂浦と郊外 首吊り小屋と聖ベルナール女学院
 (3) 小湊 ―  誕生寺 呼んだら海から来る仏
 (4) 勝浦 ―  八幡岬 館跡


さぁ参りましょう
(観光案内へ)


1998年08月



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