  手料理
  
  <3>
  
      
  リョーマは手塚に抱き上げられて、ベッドに運ばれた。 
      いつも二人で寝ていた場所が、今日からは、二人だけの特別な場所になる。 
      手塚はリョーマをベッドにそっと降ろし、眼鏡を外してベッドヘッドに置くと、そのまま覆い被さって口づけた。 
      「ん、ふ、あ……ぅん……っ」 
      手塚がリョーマの唇を貪る音が、寝室に響く。 
      リョーマはうっとりと目を閉じて、手塚にされるがままにその激しい口づけを受け入れていた。 
      口づけながら、手塚の大きな手がリョーマの身体の線を確かめるように、肩から胸、腹、腰へと、順にゆっくりと滑ってゆく。腰まで降りた手はそこで少し留まり、やがて太股を辿り、ゆっくりとリョーマの雄を撫で上げ始めた。 
      「んんっ、んっ」 
      リョーマの身体がビクビクと揺れる。 
      「リョーマ…」 
      「あ……」 
      手塚は一度唇を離し、熱く名を囁いてから、リョーマの頬や額や瞼へと、愛しげにそっと唇を押し当ててゆく。 
      「好きだ…リョーマ…」 
      「ん……国光……」 
      嬉しくて、リョーマは手塚の首に腕を回して引き寄せる。 
      「国光……」 
      「ん……?」 
      リョーマの甘えるような声に応えながら、手塚も嬉しげに微笑んだ。 
      「国光…」 
      「……リョーマ…」 
      手塚はリョーマの唇にチュッと軽くキスをしてから熱を持った頬と頬を摺り合わせる。 
      「あぁ………リョーマ…」 
      「大好き……国光……」 
      互いがそれぞれの耳元で相手の熱い囁きを聴く形になり、それぞれが相手の声に熱く煽られてゆく。 
      手塚の手の動きが次第に熱く、飢えた者のそれのように変わってゆき、リョーマも追い上げられるように熱い吐息を頻繁に零し始める。 
      「リョーマ…」 
      手塚にじっと見つめられ、リョーマは潤む瞳で見つめ返してから、小さく微笑んだ。 
      「早く……もっと、触って……国光……」 
      小さな掠れた声で強請られ、手塚がゴクリと喉を鳴らした。 
      「リョーマ…」 
      手塚が身体を起こし、リョーマのベルトに手を掛けて外し始める。少し呼吸を乱しながら、リョーマはその様子をボンヤリと見つめた。 
      「あ…っ」 
      ズボンと下着を一気に引き下ろされ、取り去られて、リョーマは少しだけ驚いて声を上げる。 
      頭を擡げ始めている雄を隠すようにリョーマの膝がもぞもぞと立てられ、手塚の視線から逃れようとする様子にふっと笑うと、手塚は構わずにリョーマのシャツのボタンに手を掛けた。 
      ボタンを外しながら口づけてくる手塚の腕を、投げ出されていたリョーマの手がゆっくりと動き、そっと掴む。 
      「ね……オレの身体、つまんなくない……?」 
      ほんの少し不安を滲ませたようなリョーマの声に、手塚は不思議そうに視線を向けてから微笑んだ。 
      「そんなことはない。やっとじっくり触れてもいいのだと思うだけで、嬉しくて堪らない……」 
      その言葉の通り、手塚は柔らかな微笑みを浮かべたまま、リョーマの胸や腹を大事そうに両手で優しく撫でた。 
      寝室の明かりは点けてはいないが、隣の部屋と繋がるドアが開け放たれているせいで隣の照明が間接照明のように寝室を程良い明るさにしている。 
      その、仄かな明かりの中に浮き上がるリョーマの肌はあまりにも艶やかで、手塚の理性を早くも崩しにかかっていた。 
      「あ……」 
      手塚の両手が、ゆったりとした動きでリョーマの胸を掴み上げる。リョーマがギュッと目を閉じて熱い吐息を零した。 
      「あ…っ、む、胸、ないでしょ?……だから、つまんないんじゃ…ないかなって………」 
      「胸がないのはもう知っている……それより…」 
      両方の胸の突起を、手塚の爪が軽く引っ掻いた。リョーマは頬を真っ赤に染めて声を上げ、身体を揺らす。 
      「こんなに小さいのに、感じるんだな…」 
      手塚はそう言いながら、今度は両手指で突起を摘み上げる。 
      「あぁっ!」 
      途端に、リョーマの身体が跳ねるように仰け反り、身悶える。 
      「………」 
      手塚は再び喉を鳴らすと、リョーマの左胸の突起に口づけた。 
      「あ…っ」 
      右の胸は手塚の左手で緩く揉まれ、左胸の突起は手塚に熱っぽく口づけられ、吸い上げられ、時折噛みつくように歯を立てられた。 
      「ぁ、やぁ……んっ、ああっ」 
      リョーマが手塚の服の裾を掴み、イヤイヤをするように頭を左右に振る。 
      そのリョーマをチラリと見遣ってから、手塚は右胸を揉んでいた左手をするりと動かし、リョーマの雄に触れた。そこはいつの間にか固く変形を遂げていた。 
      「あっ、ダメっ……!」 
      手塚に雄を掴まれ、緩く扱かれてリョーマが小さく叫ぶ。 
      「ダメっ、アンタもちゃんと、服脱いでから……あぁっ」 
      先端を親指の爪で刺激されてリョーマはビクビクと震えた。 
      「国光……、服……」 
      「……ああ」 
      身体を起こして返事はしたものの、手塚は服は脱がずに、リョーマの中心に顔を埋めた。 
      「やっ、ダメだってば!風呂、入ってないのに……っ」 
      リョーマの抗議には耳を傾けずに、手塚はまだ幼さを残すリョーマの雄を口に含んだ。 
      生暖かい口内に取り込まれ、リョーマが息を飲む。 
      少し口内を出し入れしただけで、リョーマの先端からは蜜が零れ始めた。 
      「あ……は、あ、ぁんっ」 
      リョーマの両手が、何かを探すようにシーツの上を滑る。 
      「や、だ……そんなに……っあ……んっ」 
      手塚は逃げようとするリョーマの腰を押さえ込んで、根元から先端までを舌や口内を使って熱っぽく愛撫する。 
      そうして艶めかしい音をさせながら一度リョーマを口から解放し、いつの間にか両手で顔を覆ってしまっているリョーマを見遣った。 
      「リョーマ?」 
      「………」 
      両手の隙間から見えるリョーマの頬が真っ赤に染まっている。 
      手塚は小さく微笑んで、リョーマの手をそっと取り払った。 
      「…どうした?」 
      閉じていたリョーマの瞳がゆっくりと開かれ、同時に目尻から一粒の雫が流れ落ちた。 
      「!……リョーマ?」 
      手塚が僅かに動揺するのがわかって、リョーマは一瞬、珍しいものを見るように目を丸くした。 
      「そんなに嫌だったのか?」 
      「ううん。そんなことない」 
      優しく髪を撫でられて、リョーマはうっとりと目を細めた。 
      「そうじゃなくて、なんか…すごく嬉しいのと、すごく感じるのとで…どうしたらいいいかわかんなくなって……」 
      「…………」 
      手塚は安心したようにそっと溜息を吐くと、リョーマの額に触れるだけのキスを落とす。 
      「……俺も同じだ」 
      「え…?」 
      囁くような手塚の声に、リョーマは潤む瞳を向けた。 
      「俺も……どうしたらいいかわからないほど、お前が好きだ。こうしてお前に触れているだけで…眩暈がしそうなほど…嬉しい…」 
      「国光……」 
      手塚はゆっくり身体を起こすと、リョーマを熱く見つめたまま、シャツのボタンを外し始めた。 
      「あ……」 
      手塚がボタンをひとつ外すごとにリョーマの鼓動が加速してゆく。熱い吐息が零れる。 
      リョーマから視線を逸らさずにすべてのボタンを外し終え、手塚はゆっくりとシャツを脱ぎ捨てた。 
      「国光…」 
      手塚は小さく微笑んで静かにリョーマに覆い被さり、肌と肌を合わせるように、ぴったりと身体を重ねた。 
      「くに……」 
      間近で見つめ合い、唇を重ねる。 
      リョーマはそっと手塚の背に腕を回し、その肌を撫で上げた。 
      「…っ……リョーマ……っ」 
      手塚の身体がビクリと揺れ、布越しでもわかるほど、リョーマに押しつけられている雄が硬さを増した。 
      「国光……約束、したよね?」 
      「え……」 
      背に回していた手をするりとずらして、リョーマは手塚の首にそのしなやかな腕を回す。 
      「オレも……アンタのを口でしてあげるって」 
      「………」 
      目を見開く手塚に、小さく、恥ずかしそうに微笑みかけたリョーマは、手塚を避けるようにして身体を起こし、そのズボンのベルトに手を掛けて外し始めた。 
      「リョーマ…」 
      「その……初めてだから、あんまり上手には出来ないからね?」 
      「………」 
      息を飲む手塚には視線を向けずに小さな声でそう言うと、リョーマはファスナーを降ろし、下着を押し下げて、手塚の熱塊を解放させた。 
      「………すご…」 
      解放されて、いきなり跳ね上がった熱塊を見つめて、リョーマは目を見開いた。 
      圧倒されたように、ゴクリ、とリョーマの喉が鳴る。 
      「……無理は、しなくていい…」 
      「………」 
      小さく苦笑する手塚に、リョーマは少しキツイ目を向けた。 
      「無理なんかしない」 
      そう言いきって、リョーマは躊躇いなく手塚を口に含んだ。 
      「…ぁ……っ」 
      途端に手塚の口から小さな喘ぎが漏れ、リョーマは驚いて手塚を銜えたままその声の主を見上げた。 
      「……っ」 
      リョーマと目が合い、手塚が微かに頬を染めた。 
      「ばか……そんなふうに見上げられたら……っ」 
      「…っ!」 
      リョーマの口内で手塚が更に膨れあがった。 
      「んっ」 
      一瞬驚いたリョーマだったが、一度口から手塚を出し、一息ついてから、その先端に舌を這わせ始めた。 
      「く……っ」 
      手塚の身体が、また小さく揺れる。 
      「んっ、んっ……は、ぁ……」 
      手塚が自分にしてくれたように気持ちよくしてやりたいが、熱く脈打つ手塚の雄を目の当たりにして、リョーマは冷静になどなれるはずもなかった。 
      それでもリョーマは、小さく喘ぎながら懸命に手塚に舌を這わせ続ける。 
      舌にたっぷりと唾液を馴染ませて、すでに大人の形をした雄の先端に塗り込めるようにして舌の平で撫で回す。そうしながら太い幹を手で扱いてやると、手塚が低く呻いた。 
      「ん……っ」 
      「……ちょっとは、気持ち、いい?」 
      固く張りつめた熱塊を手で緩く扱きながらリョーマが問うと、手塚は熱い吐息を吐き出してから頷いた。 
      「…そろそろ、俺にもお前に触れさせてくれないか?」 
      「え…?」 
      リョーマはふわりと頬を染めて身体を起こした。 
      「また…昨日みたいに…?」 
      「…いや」 
      手塚はリョーマを引き寄せて優しく組み敷いた。 
      「俺たちは性欲処理をしているわけじゃないんだ……ただ抜き合うのとは違う……わかるか?」 
      熱い手塚の瞳に真っ直ぐ見つめられて、リョーマは小さく頷いた。 
      そう、これは性欲処理ではなく、愛し合う者同士が互いの想いを確認し合う行為。 
      だが具体的に、この先自分はどうすればいいのかが、リョーマにはわからない。 
      その、リョーマの困惑を感じ取った手塚は、熱い瞳はそのままに、柔らかく笑んでリョーマの頭を撫でた。 
      「俺に、任せて欲しい」 
      「………うん」 
      落ち着いた手塚の口調に、リョーマの心は安心感に包まれた。
 
 
  すべてを脱ぎ捨てて、二人は肌と肌を合わせ、しっかりと抱き締め合う。 
      「……ん」 
      口づけながら腰を押しつけられてリョーマの頬が赤く染まった。 
      「国光……」 
      「ん?」 
      「大好き…」 
      「ああ……俺もだ…」 
      もう一度口づけてから俯せにされ、密着した身体で揺すり上げられてリョーマの身体が緩く揺れる。リョーマの腰の辺りに感じる手塚の雄は、すでに熱く固く、完全に変形を遂げて、リョーマの双丘の間を掠めて何度も擦りつけられた。 
      手塚と直に触れ合う肌の温もりの、じんわりとした何とも言えない快感が、リョーマの心も身体も溶かしていく。 
      ゆっくりとした動きで身体を起こした手塚が、リョーマの両足を押し開いて腰を上げさせ、奥の秘蕾を露わにさせた。 
      「あ……」 
      リョーマは一瞬、ハッとして振り返ったが、手塚に柔らかく微笑みかけられて抗議の言葉を飲み込んだ。 
      手塚の唇がリョーマの固い蕾に触れる。 
      「ひゃ……っ」 
      舌の平で蕾全体を舐められて、リョーマは思わず声を上げた。 
      「や……そこは……汚い…」 
      舐められるたびに息を詰めながらリョーマが制止の言葉を口にするが、手塚は一向に聴く気はないらしく、さらに指で蕾を拡げるようにして舌をめり込ませてきた。 
      「やっ、待っ……そんなの……っあ…っ」 
      熱い吐息を吹きかけられ、舌の先で丹念に舐め拡げられ、固かったリョーマの蕾が徐々にほころび始める。だが指を入れられそうになって、リョーマは小さく叫んだ。 
      「痛…っ」 
      身体を硬くするリョーマを見て、手塚はもう一度舌先で襞を拡げながら考えた。 
      「…リョーマ、少し待っていてくれ」 
      「え…」 
      手塚は身体を起こしてリョーマの頬にチュッと口づけると、寝室のドアのすぐ横に置いてある自分のバッグから何かを取り出して戻ってきた。 
      「なに…?」 
      不安げに振り返るリョーマに優しく微笑んでから、手塚は手にしたものをリョーマに見せた。 
      「あ……それ、マッサージ用の、オイル?」 
      「ああ。刺激のある成分は入っていないから、ちょうどいいだろう」 
      「…ちょうどいい、って……」 
      リョーマは真っ赤になってシーツに突っ伏した。 
      「…俺は純粋に『マッサージ用に』持っていただけだぞ?誤解するな」 
      「してないっス」 
      リョーマがシーツに突っ伏したままクスクス笑うと、手塚も小さく笑んで、オイルを手に取り、擦り合わせるようにして温め始める。 
      「あ…」 
      オイルにぬめる手塚の指が、リョーマの秘蕾の周りを撫で、するりと、一本が差し込まれた。 
      「痛いか?」 
      「ううん…」 
      小さく答えるリョーマの声に安心して、手塚が指を動かし始める。最初はゆっくりと出し入れをし、次第に円を描くように回す。 
      「ん……なんか、……変な感じ……あっ」 
      指が増やされたのがリョーマにもわかった。 
      「柔らかくなってきたようだ……」 
      「………」 
      リョーマは軽く唇を噛んで黙り込んだ。心臓が、壊れそうなほどドクドクと早く脈打っている。 
      「あっ」 
      ぐっと深く指を挿れられて、リョーマは思わず声を上げた。 
      「…痛いか?」 
      ふるふると、リョーマは首を横に振る。 
      (もうすぐ……国光と……) 
      後孔に差し込まれた指に身体全体まで小さく揺すられながら、リョーマは緊張していく自分を止められない。 
      手塚はリョーマの後孔を解しながら、チラリとリョーマを見遣り、小さく溜息をついた。 
      「リョーマ……どんな感じがする?」 
      「………変な感じ」 
      「……『ここ』は?」 
      そう言って手塚がある一点を撫でた瞬間、リョーマの全身に電流のような衝撃が走った。 
      「ひゃっ、あっ………何?今の……あぁっ!?」 
      もう一度撫でられて、リョーマの身体がビクビクと痙攣した。 
      「あ……あ、それ、……すごい……」 
      固く目を閉じて譫言のように言うリョーマの耳元で、手塚が囁いた。 
      「気持ち…いいのか?」 
      「うん」 
      リョーマが素直に頷くのを見て、手塚はゆっくりと身体を起こした。オイルでベタつく後孔から指を引き抜くと、リョーマから甘い抗議の声があがる。 
      「やだ……今の、もっと……」 
      「ああ」 
      手塚はもう一度手にオイルを多めにとり、リョーマの後孔に流し込むようにして指を差し込んだ。 
      「ああ……んっ、んぁ…っ」 
      再びリョーマの感じる一点を手塚が擦ってやると、リョーマの腰が緩く揺れだした。 
      「あ、ん……気持ち、いい……ぁ…っ…んっ」 
      手塚がそっとリョーマの前に手を回して震える熱塊を握ってやれば、さらにリョーマが甘い声で喘ぐ。 
      素直に自分に身を委ね、感じるままに声を漏らすリョーマが愛しくて、手塚は熱い吐息を零しながら少しだけ自分を落ち着けようとゆっくり瞬きをした。 
      「リョーマ…」 
      「ああ、あ……だめ……まだ……あっ!」 
      完全に指を引き抜かれてしまい、リョーマはもどかしげに身体を小さく震わせながらシーツを握り締めた。 
      「リョーマ」 
      優しく名を呼ばれて、リョーマは手塚に視線を向ける。 
      「………いいか?」 
      「え……?」 
      「挿れても…いいか?」 
      「………っ」 
      リョーマは目を見開いて真っ赤になった。 
      「リョーマ?」 
      「………」 
      コクリ、と小さくリョーマが頷く。手塚は嬉しそうに微笑んでリョーマを抱き締めた。 
      「あ……」 
      「…大丈夫だ…ゆっくり…行く…」 
      「ん…」 
      チュッと音をさせてリョーマのこめかみに口づけてから、手塚は左手でオイルを塗りつけるように自身を数回扱く。 
      そうして、右手でリョーマを抱き締めながら、左手に持つ熱塊の先端で、ほころんだ蕾を開かせ始めた。 
      ビクリ、とリョーマの身体が震える。 
      「…怖いか?」 
      「………」 
      唇を噛み締めたまま、リョーマが首を横に振る。 
      「力を抜いて…できるだけでいい………そうだ…」 
      手塚に言われるままに身体の力を抜けるだけ抜いて、リョーマは自分の胸に回されている手塚の腕を抱き締めた。 
      「リョーマ……」 
      熱い囁きと共に、手塚の先端がめり込んでくる。 
      「っう……っ」 
      途端に硬直するリョーマの肩に、手塚が優しく口づける。 
      「…ゆっくり呼吸して……」 
      「ん」 
      手塚の言葉に頷いて、リョーマは唇を震わせながら深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。それを何度か繰り返していると、身体の硬直が和らいだ。 
      「好きだ……リョーマ…」 
      手塚の右手がギュッとリョーマを引き寄せ、唇が首筋に優しく触れる。そのままの体勢でじわりと手塚がリョーマの中へ入ってきた。 
      「あ……あ…っ、国光……熱い、よ……?」 
      「ん……お前の中も……熱い……っく…」 
      「あ…っ」 
      少しずつ進み、僅かに腰を退き、また進んで、手塚は太い幹の付け根までをリョーマの蕾の奥へと捩り込むことに成功した。 
      「あ……国光……っ、なんか、へん……」 
      「うん……お前の中に……全部入ったんだ……」 
      「全部…?」 
      リョーマは先程目にした手塚の巨大なものを思い出して、信じられないというように目を見開いた。 
      「うそ……」 
      「ほら」 
      手塚がゆるりと腰を回す。 
      「あぁっ…?」 
      途端に身体の奥を掻き回されるような感覚がして、リョーマは驚いて声を上げた。 
      「……つらいか?」 
      手塚がリョーマを抱き締めながら耳元で不安げに囁く。 
      リョーマはその声に少しだけ落ち着きを取り戻して、手塚の腕を撫でさすった。 
      「…大丈夫だよ……アンタが、優しくしてくれるから……どこも、痛くない」 
      「リョーマ…」 
      安堵の溜息をついて、手塚はリョーマの肩口に顔を埋めた。 
      「…ずっと……こうしたかった……お前が欲しくて……堪らなくて……だがそんな自分が浅ましく思えて……」 
      呟かれる手塚の告白にリョーマはゆっくりと目を閉じて耳を傾ける。 
      「お前に、誰か好きな人がいると知っていたから…お前が幸せなら、それでいいと……納得しようとしていたんだ……なのに…お前に強引に触れてしまって……罪悪感で潰されそうになっていた…」 
      「オレも……」 
      ポツリと零れたリョーマの声に、手塚はふと視線を上げてリョーマの横顔を見た。 
      「アンタに好きな人がいると思っていたから……でも、それでも、アンタが触れてきてくれたのがすごく嬉しかった。だけど…オレなんかがアンタに好きって言ったら、アンタの迷惑になると思って…ずっと、言えなかった…」 
      手塚は眉を顰めてリョーマを強く抱き締めた。 
      「……すまなかった。最初から言えば良かったんだ。お前が好きだと。お前だけを見ているのだと。お前だけを………」 
      「国光……あ…?」 
      リョーマは手塚の腕に目を留めた。右手の甲から腕の半ばにかけて、赤い火傷のあとのようなものが残っている。 
      「国光、これ、まさか…」 
      「ん?」 
      手塚は右手を見つめ、「ああ」と思い出したように頷いた。 
      「お前を抱えて火の中から飛び出した時に少しやられたようだ。痛みはそんなにないから、心配しなくていい」 
      「国光……」 
      リョーマは手塚の手の甲の傷にそっと触れた。 
      「ごめん……ありがと……アンタがいなかったら、オレはあの時死んでたよね」 
      「………」 
      「オレの命は、アンタが助けてくれたんだ。だから、オレは、オレの命ごと、アンタのものだよ?」 
      手塚の右腕を愛しそうに抱き締めるリョーマを見て、手塚は目を細めた。 
      「……お前に何かあったら、俺だって生きてはいられない……俺の命はお前が握っている……だから、俺こそ、お前のものなんだ……」 
      「国光………ん……っ」 
      リョーマに覆い被さって、手塚が口づけてくる。その拍子にリョーマの中の手塚が動き、リョーマは口づけに応えながら眉を小さく寄せた。 
      そのまま、手塚が小さく腰を揺すり始める。 
      「んっ、ん、んっ」 
      奥をつつかれるような感覚にリョーマの背筋がぞわりと震える。 
      「…リョーマ…」 
      「あ、ぁ…っ」 
      唇を離した手塚が、リョーマの耳に熱い吐息を吹きかけると、リョーマの身体がさらにゾクゾクと震えた。 
      「リョーマ……リョーマ……っ」 
      次第に手塚の腰の揺れが大きくなってくる。奥を突くだけだった肉剣が、半ばまで引き抜かれ、さらに奥へと捩り込まれる。 
      「あぁ……国光……、あ……」 
      肉剣の半分ほどを緩く出し入れされ続け、リョーマの腸壁がもどかしさのようなむず痒い感覚を伝えてくる。 
      「国光…んっ、あっ」 
      手塚の呼吸が荒くなってくる。リョーマの呼吸もまた、そのむず痒いような感覚に乱れ始めた。 
      「リョーマ…っ」 
      少し掠れた手塚の声がリョーマの名を呼ぶ。そうしてそれまでゆるゆるとリョーマを浅く擦っていた手塚の雄が、微かな粘着音をさせてリョーマの奥にいきなり捩り込まれた。 
      「あぁぅっ!」 
      「く……っ」 
      奥まで突き進んだ手塚の肉剣が、そのままもっと奥まで進もうとするかのように、リョーマの身体ごと揺すり上げる。 
      「ああっ、あっ!」 
      そのまま数回深く奥を抉られたあと、また手塚が少し引き抜かれた。だがリョーマがホッと息をつくとすぐに、また同じように深く入り込んだ手塚に奥を抉られる。 
      それを繰り返しているうちに、リョーマの中に、圧迫感だけではない感覚が、時折、全身を走り抜けるようになってきた。 
      それは、最初は微かに、だが次第に強くはっきりとした感覚となって、リョーマに快感を伝えてくる。 
      「あっ……ああ、んっ、……くに、みつ……んっ」 
      「…………」 
      リョーマの声音の変化に、手塚も何かに気付いたように目を細めた。 
      手塚はゆっくりと身体を起こし、リョーマの腰をしっかりと両手で掴んだ。 
      「あ……あっ!あぁっ!」 
      浅く引き抜いた肉剣をリョーマの感じる場所めがけて強く押し込んでやると、リョーマの声音がさらに艶を帯びた。 
      「ここ、か…」 
      「ああっ、あっ、あぁっ、あ!」 
      少し勢いをつけて数回その一点を突いてやると、リョーマの背が撓り、嬌声が上がる。 
      手塚はゴクリと喉を鳴らして、さらに勢いをつけてその一点だけを狙い始めた。 
      「ああっ、やぁっ、あっ、あ、あ、んぁっ」 
      「く、ぅ…リョーマ…っ、あぁ…っ」 
      リョーマの締め付けに、手塚も感じ入ったような声を漏らす。 
      「あっ、いい……すごい、くに、みっ……あぁっ!」 
      「ぁ、っく……っ」 
      抽挿を繰り返していた手塚は奥まで突き込んで一旦そこに留まり、そのまま腰を回すようにしてリョーマの感じる場所を大きく抉った。 
      「は、あぁっ、ああ…っ」 
      堪らずにリョーマの身体がビクビクと痙攣する。 
      「あぁ……」 
      手塚の口からも熱い吐息が零れた。 
      「リョーマ…」 
      腰を大きく回しながら、手塚がリョーマの名を呼ぶ。 
      はぁはぁと呼吸を乱しながら、リョーマはチラリと手塚に視線を向けた。 
      目があった手塚にふわりと柔らかく微笑まれて、リョーマも小さく微笑み返す。 
      「あ……ぁ、んっ」 
      腰を大きく回して、手塚の動きが止まった。ずるりと大きな異物が体内から引き抜かれる感覚に、リョーマが小さく声を上げる。 
      「やっ、なんで……っ」 
      手塚の大きな手がリョーマの肩に掛かり、そっと仰向けに寝かされた。 
      「国光…」 
      「この方がつらいかもしれないが……いいか?」 
      「……うん」 
      言葉にしなくても、手塚がそうする理由がリョーマにはわかる。 
      (この方が…抱き締められるよね…) 
      リョーマが嬉しそうに微笑むと、手塚も優しげに目を細めて微笑んだ。 
      「あ…」 
      それでも、大きく脚を開かされ、腰の下に枕を入れられた恰好をとらされると、あまりの恥ずかしさにリョーマの瞼はギュッと閉ざされる。 
      「んっ」 
      開いた脚を胸に着くほど折り曲げられ、再び手塚が入ってきた。 
      「う……っあ、あぁっ」 
      先程よりも摩擦は少ないが、ひどく圧迫感を感じてリョーマが呻く。 
      手塚も苦しげに低く呻きながら、それでも根元まで熱塊を埋め込むと、深く息を吐いてリョーマを抱き締めた。 
      「リョーマ…好きだ…」 
      「国光……オレも…」 
      手塚が熱く吐息を零しながらリョーマに口づける。甘く舌を絡め合い、リョーマは手塚の首に腕を回してギュッと抱き縋った。 
      「リョーマ……」 
      「国光……」 
      熱く、迷いのない真っ直ぐな手塚の瞳がリョーマを射抜く。 
      「あ…」 
      見つめられたまま腰を揺すられて、リョーマは甘い切なさに眉を寄せた。 
      「あぁ、あ、あっ、ぁんっ」 
      「ぁ……リョーマ……っ」 
      腰を揺すりながら、手塚が何度も唇を寄せてくる。赤く濡れたリョーマの唇を音を立てて啄み、下唇を優しく噛み、頬や額にもキスを落とす。 
      「あ…国光……っあ、……くに…み…っ……あぁっ」 
      折り曲げられて大きく開かされた脚に食い込む手塚の指の感触が痛いはずなのに、それすらも快感に思えて、リョーマは幸福感に包まれながら手塚の名を繰り返し呼び続けた。 
      リョーマの後孔が手塚の大きさにすっかり馴染んだのを感じ取り、手塚は腰の動きを止めずにゆっくりと身体を起こす。 
      「あっ、ああっ、やっ、ぁっ!」 
      ゆるゆると動かされていた手塚の腰の動きが、大きく、激しく、抉り、捩り込み、叩きつけられ、大胆になってゆく。 
      「リョーマ…っ」 
      「ああっ、ああっ、あっ、や、だぁっ!」 
      手塚の腰が叩きつけられる衝撃で、リョーマの腰が深く沈み込み、沈み込んだ勢いでまた跳ね上がってくる。ベッドのスプリングの良さで、二人の身体は鞠のように弾み、縺れ合った。 
      「ぁあっ、国光っ、ぁっ……国光……っ!」 
      「くっ、ぁ、……リョーマ……っぅ、くっ……」 
      呼び合う声の切なさを掻き消すかのように、ベッドが激しく軋み、肉のぶつかり合う音が寝室を満たす。 
      「くに、みつ…くに……っ、あっ、くに…みつっ」 
      突き込まれる衝撃でずり上がってしまうリョーマの身体を引き寄せ、その細腰をしっかりと押さえ込んで、手塚はさらに奥深くを抉り込んだ。 
      「ゃあっ、ああっ、あ、あ、あ、っあぁ!」 
      「くっ、あっ、リョーマっ、……っう、くっ」 
      挿入の衝撃で一度は縮こまっていたリョーマの雄もいつの間にか固く張りつめ、その先走りの液で手塚の腹を濡らしている。 
      「国…っ……も、……イく……あぁっ、……イくっ…イっちゃうっ!」 
      リョーマが強すぎる快感に瞳を潤ませて手塚に訴えてくる。手塚もリョーマを激しく突き上げながら「ああ」と応えた。 
      「俺も……イきそうだ……っ、リョーマ……中に……出したい…っ」 
      「んっ、いい、よ……全部、オレの中に…っあっ、は、ぁっ……っあ」 
      リョーマの身体がビクンビクンと痙攣を始める。 
      「リョーマ…っ!」 
      手塚は身体を倒して、リョーマをしっかりと強く抱き締めた。 
      「ぁあっ、あっ、国光……っ」 
      リョーマを抱き締めたまま手塚が激しく腰を振り立てると、リョーマの腕が手塚の背にまわり、爪を立てて縋りついてくる。 
      「リョーマ…」 
      愛しくて、堪らなくなって、手塚は荒い呼吸を繰り返して喘いでいるリョーマの唇に無理矢理口づけた。 
      「んんっ、んっ、んはっ、あっ、ん…んっ」 
      「はっ、んっ、リョーマっ」 
      互いに苦しげに息を継ぎながら、それでも甘く舌を絡ませ合う。 
      「…いくぞ…っ」 
      手塚の低い呟きと共にベッドの軋みがひときわ激しくなり、二人はとうとう絶頂に向けて駆け上り始めた。 
      抱き締めたリョーマの身体に腰を打ち付ける手塚の動きがさらに加速する。 
      ガクガクと揺さぶられながら、リョーマは振り落とされないようにするかのように、強く手塚にしがみついた。 
      「やぁっ、うぁっ、あああぁっ!」 
      「く、うっ、あぁっ……リョーマ……っ!」 
      一番深いところで繋がり合い、二人の身体が同時に硬直する。 
      その瞬間、リョーマは自分の身体がふわりと宙に投げ出されるような錯覚を覚えた。 
      身体中が熱を帯び、目の奥まで真っ白にスパークしている。 
      このままどこかへ吹き飛ばされてしまうのではないかと思ったその時、力強い腕が自分の身体を抱き締めるのがわかった。 
      「国光……っ」 
      愛しいその名を呼ぶと、身体に籠もっていた熱が一気に放出されていくのがわかった。そしてその代わりに、さらに熱い流れが、自分の体内に注ぎ込まれるのを感じる。 
      「……っう、くっ、……あっ、ああっ、リョーマ……っ」 
      手塚の喘ぐ声が耳元に聞こえてきた。 
      そうして、吹き飛ばされそうになった自分を抱き留めて捕まえていてくれたのは手塚の腕だと、リョーマは知る。 
      「くっ……んっ」 
      リョーマの身体は未だ手塚にきつく抱き締められ、揺すり上げられ、その直腸の奥に、手塚の体液を注ぎ込まれ続けていた。 
      「あ……はぁっ……ぁっ……」 
      長い長い絶頂が少しずつ退いてゆき、リョーマの直腸の奥をたっぷりと自分の精液で満たしてから、漸く手塚は腕の力を緩めた。 
      「ああ………は…ぁっ……はぁっ……」 
      荒い呼吸のまま、手塚がリョーマに口づけてくる。 
      「んんっ、んっ」 
      苦しげに舌を絡めてから唇を離し、やっと満足したように、手塚は深く息を吐き出した。 
      手塚の背に回されていたリョーマの両腕が、ポトリとベッドに落ちる。 
      「………大丈夫か?」 
      「ん……」 
      手塚に優しく髪を撫でられて、リョーマは閉じていた瞳をうっすらと開いた。 
      「国光……」 
      「……ん?」 
      これ以上ないほど優しく聞き返され、リョーマの胸が愛しさに苦しいほど締め付けられる。 
      「国光…」 
      リョーマは投げ出していた両手をそっと手塚の首に回す。 
      「アンタは……何もかも、全部最高だね……」 
      そう言って微笑むリョーマにちょっと驚いたように目を見開いてから、手塚も嬉しそうに微笑んだ。 
      「……愛している……リョーマ……」 
      「オレも……アンタだけ、愛してるよ」 
      そう言って、うっとりと瞳を閉じるリョーマに、手塚は再び覆い被さっていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  日付が変わって数時間経った頃、漸く二人は繋ぎ合っていた身体を離した。 
      それでもまだ名残惜しくて、互いの身体のあちこちを手でなぞる。 
      「どこか痛むところはないか?」 
      「うん……ちょっと、喉が痛いかも…」 
      ひどく掠れたリョーマの声に、手塚は小さく眉を寄せる。 
      「何か飲むか?」 
      「ん……」 
      ほんのりと微笑むリョーマに頷いてから、手塚はそっとベッドを降りて冷蔵庫からミネラルウォーターを持ってきた。 
      「起きられるか?」 
      「無理」 
      リョーマが苦笑すると、手塚も小さく苦笑しながらミネラルウォーターの封を切った。 
      「飲ませて」 
      「え?」 
      「飲ませて。アンタが」 
      上目遣いで見つめてくるリョーマに一瞬ゴクリと喉を鳴らしてから、手塚はミネラルウォーターを自分の口に含み、口移しでリョーマに飲ませてやった。 
      「もっと」 
      「………」 
      リョーマに請われるままに、手塚は何度もリョーマに水を運んだ。 
      「…ありがと」 
      リョーマが満足したのを見て、手塚は自分の喉もついでに潤す。 
      「国光…」 
      「ん?」 
      「朝になったら、一緒にお風呂入ろうね」 
      「…ああ」 
      今入らないのか、と訊こうとして手塚はその言葉を飲み込んだ。ベッドから起きようとしないリョーマの顔は疲労困憊で、たぶん、もう起きる気力もないのだろう。 
      「朝になって目が覚めたら、俺が綺麗に洗ってやる」 
      「……うん」 
      すでに夢の世界に行きかけているリョーマは、まるでうっとりしているような瞳で手塚を見つめる。 
      「国光……こっち…早く」 
      リョーマに呼ばれて、手塚はペットボトルのふたを閉め、床においてからリョーマの隣に滑り込んだ。 
      嬉しそうに微笑みながら、リョーマが手塚にすり寄ってくる。 
      「……ずっと、こうやって寝たかったんだ……」 
      幸せそうにそう呟いたリョーマは、すぐにすぅすぅと寝息を立て始めた。 
      「……俺もだ、リョーマ」 
      愛しげにリョーマの髪と頬を撫でて、手塚もゆっくりと瞳を閉じる。 
      まるで夢のようだ、と手塚は思う。 
      ずっと恋い焦がれていた。 
      ずっと、願い続けていた。 
      リョーマとこうして、心も身体も固く結ばれる日を。 
      出来ることならば、明日もずっと、こうしてリョーマを抱き締めていたい。 
      そんなふうに言ったらリョーマはなんと言うだろうと考えて、手塚はクスッと笑みを零した。 
      (朝になったらケロリとして「目玉焼きが食べたい」と騒ぐのかもしれないな……) 
      手塚はゆっくりと目を開けて腕の中のリョーマを見つめる。 
      「なんでもしてやる……お前のためなら……リョーマ……」 
      ぐっと抱き締めると、眠ったままのリョーマが熱い吐息を零した。 
      「リョーマ…?」 
      「ん………オムライス」 
      「?」 
      きょとんと目を見開いてから、手塚は肩を揺らして小さく笑い出した。 
      「…楽しみにしているぞ、お前の特製オムライス」 
      そう囁きながら、手塚はリョーマを胸に抱き寄せ、もう一度目を閉じた。 
      「おやすみ、リョーマ」 
      手塚は深く息を吐いた。 
      幸せすぎて、どうにかなりそうだった。 
      だが、同時に、手にしたこの幸せは絶対に手放さないと密かに心に誓う。 
      (何があっても。どんなに障害があっても……離さない……) 
      そうして手塚も腕の中に抱く温もりの心地よさに、ゆっくりと夢の世界へ吸い込まれていった。
 
 
  大きなベッドの真ん中に小さく身を寄せ合うようにして、二人は朝までの短い眠りを貪る。 
      日が昇り、二人が再び目覚めた時に起こる賑やかな騒動のことを、今はまだ、何も知らずに……… 
      
 
 
 
 
 
  
      続
 
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      20051001 
      
      
  
    
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