[ 闘 病 記 H−4 〈初めての外泊〉]

    交 換 日 記  

  11月10日 (母)
この頃 良い天気が続いていますね
昨日は、チョットショックだったね  でも、彰の事だからもぅ大丈夫だと思っています
昨日 高校の事 心配してたけど、あと1年以上あるんだから・・・ あまり心配しないこと
病気なんかに負けて、諦めたりするのは駄目だよ
少しずつでもいい 強くなってほしい  病気に負けないでほしい
                                                            

 11月11日 (彰)
この間はチョットごめん  でも、やっぱショックだった
オイラの病気って血の病気でしょう   血の病気なら血を全部入れ替える事 出来ないのかナ
何かいい方法ないのかな  そうすれば早く退院出来るのに   早く帰りて〜
外泊の予定たてたよ   今度、教えるよ


 11月13日 (母)
今日、魔の13日の金曜日ダァ〜   別に何がある訳じゃないけれど 何となくいやだね
学校の勉強の方はどうですか?   少し慣れたかな? また数学の先生が良い先生で良かったね
早く病院の学校へ通えるといいね  来週あたりは行けるかもね。 そうすれば又、少しは楽しみが
増えると思うよ


入院後の生活 (彰)



 《初めての外泊》

初めての外泊は14日土曜日の12時半頃。 土曜日なのでお弁当を持ち込める日
彰の大好きな春巻きを作っていた時に電話が鳴りました
「ネェ〜 ネェ〜 帰っていいって 今日外泊していいって!」 嬉しそうな声が飛び込んで来ました
「ウソ〜 ホント?どうして?」 「ホントだよ とにかくすぐ来て!もぅ帰れるから 居て良かった、
居なかったらどうしようかと思った。 とにかくすぐ来て!」

「うん わかった すぐ出るから」 エプロンを外し、バックを抱えてそのまま家を飛び出しました。
1週間早い外泊です。1ヶ月ぶりの帰宅です。 思わぬプレゼントに 私も彰も大喜び!
病院に向かう途中 主人に電話しました。
「なるべく早く帰って来てね 今 迎えに行って来るから」声が弾みます。

病院に着くと、彰は3階のエレベ−タ−の前の病棟のイスに腰掛けて待っていました。
私の顔を見ると本当に嬉しそうな顔をしました。看護婦さんと外泊の注意など手続きをしている間も
そわそわしています。
「荷物 用意した?」 「とっくだよ 完璧」

「彰一郎君、とにかく喜んでお母さんが来るのを長椅子でずっと待っていたんですよ。
『病室にいれば』って言ったんですけど『ここで待ってる』って言って、よほど嬉しいんですね」
と看護婦さん。
「1ヶ月ぶりに外に出られるんですものね でも調子に乗ると危ないからね あまり歩いてないから
足がもつれたりするかもしれないから気を付けてね」 などの注意を受け看護婦さんに見送られて
エレベ−タ−に乗りました。

帰る車の中でも嬉しいのか いろいろ話します。
「今日ね 初めて学校にも行ったよ 学校っていうより今日 音楽祭だったから飛び入り参加させら
れちゃったんだよ」
「え〜 そうなの 大丈夫だったの?」
「タンバリンで参加しただけだから。 でも音楽の先生に『初めて登校して、いきなり音楽祭でこんな
に楽しそうに参加してくれて嬉しい』って泣かれちゃったよ 感激したんだって」
「へ〜 それは良かったね。 これから学校にも少しづつ参加出来るからいいね」

「さぁ〜 今日はどうしょうかな〜 ネェ〜 帰りにファミレスへ寄っちゃダメ?
食べたい物がいっぱいあるんだよ」
「いいよ じゃ 寄って行こうか? でも、この時間に食べて夕食も食べれる?」
「全然 大丈夫 何でも食べれるよ」
「現金ね 病院の食事は 残してばかりいるくせに」
「いいから いいから!今回は いろいろ食べまくるゾ〜」
こうして初めての外泊は 始まりました。
1ヶ月前 ダンボ−ルの山の中で寝た新しいマンションは片づけられて彰も自分の部屋に満足そう
でした。

この部屋であの子は ト−タル何日過ごせたのでしょう。
「ホント 家はいいね すっごくいい!」

嬉しそうに2泊3日の短い外泊を終えました。
月曜日の朝 送って行くのですが、この時 いつもぐずぐずします。
「早くしないと間に合わないわョ」何度も声をかけます。 病院に戻りたくないのでしょう。
気持ちがわかるだけに、こちらも辛いのです。
心を鬼にして「早くしなさいって言ってるでしょう 時間を守らないと もぅ帰してもらえなくなるよ」と
つい大きな声を出してしまいます。


      
トップページ 闘病記 写真集 タツボー
動物園
リンク集