[ 闘 病 記 F ]

    病 状 説 明  

  彰一郎の入院の日、骨髄検査が終わり病室へ落ち着くと、私は面談室で先生から病状の説明を受けました。
>「息子さんの病気は、今の段階では3つ考えられます。悪性リンパ腫、血友病、そして白血病です。先程骨髄の検査  をしましたので、その結果が夕方5時過ぎには出ると思います。その段階でこの3つのどれかと言う事は、はっきりす  るでしょう。取り合えず血小板がかなり減少していますので、今から輸血を始めます。」
>「3つのどれかとおっしゃいましたが、可能性はどうなのでしょうか?」
>「3つの病気の中で一番困るのは白血病です。しかし残念ながら白血病の可能性は高いと思われます。どの病気だと  しても長い入院生活となりますので、お母さんも気持ちをしっかり持って息子さんと頑張って頂きたいと思います。」
涙があふれてきました。
もしかしたら、間違いかも知れない・・・という期待は、はっきりと壊されてしまいました。

泣いていたのが解らないようにトイレで顔を洗い、何度も笑顔の練習をして病室へ戻りました。
病室では、彰が『待ってました』とばかりに
>「何て言ってた?いつ退院出来るって言ってた?」と聞いてきました。
>「夕方、さっきやった検査の結果が出るんですって。それからだって。まだまだ、いっぱい検査するみたい」
と話をしているところへ看護婦さんが点滴の用意をして入って来ました。
>「今から輸血します。お母さん達は少し、外へ出ていて頂いて宜しいですか。」
>「はい、解りました。彰、頑張ってね!」と声を掛けて外へ出ました。

母が「どうだった?」と心配そうに聞くので、簡単に説明しました。
また涙が出て来て困りました。とにかく彰の前では、いつものようにしなくてはなりません。彰が心配しないように私に出来る、せめてもの事だから・・・・
その日から本当に具合が悪くなった日まで、あの子の前で涙を見せた事はありませんでした。

  夕方、主治医のK先生から検査結果の説明がありました。
>「息子さんの病名は、残念ながら やはり白血病です。ただ白血病と言っても色々な種類があります。それによって入  院の期間や治療方法が変わってきますので、今どれくらいの入院期間とかはお話出来ません。最低半年は入院して  頂きます。息子さんには私の方からキチンとした期間が出た段階で説明しましょう。」
私が下を向いて泣いている姿を見て先生は
>「皆さん、白血病と聞くと『死』というイメージを持っているので困ります。
  白血病の治療は、この10年間で目覚しく発達しています。どうしてもテレビドラマとかのイメージで悲観的になられま  すが、種類によっては、かなりの人たちが5年生存率を更新しています。なんとも言えませんがあまり悲観的になら   ず頑張ってほしいと思います。」

>「早急に治療に入りたいので、明日の朝から抗がん剤の投与に入ります。副作用が人によってかなり出ますので、そ  の辺の事は私の方から息子さんに説明したいと思います。あともう一点、抗がん剤はかなり強い薬ですので腕から   の点滴では漏れたり、半年以上の点滴で血管がもたない事も考えられますので胸にカテーテルを着けて注入する形  となります。その手術をしますので同意書にサインして下さい。子供ですので一応全身麻酔となります、了承して下さ  い。」
>「白血病と言うと骨髄移植というイメージがあるのですが・・・・・」と聞くと先生は
>「今のところ、骨髄移植は考えていません。」
>「皆さん、骨髄移植をすれば必ず治ると思っているようですが、違います。まず抗がん剤で治療をして全く効果がない  時、又は再発という時は骨髄移植を考えます。息子さんの場合は抗がん剤の治療のみと言う事になります。」
>「解りました、宜しくお願いします。」


      
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