[ 闘 病 記 B ]

中学生活(〜発病まで)

  1998年10月8日
  翌日、偶然逢った友人に息子のアザのことを話すと「自分の妹の子供も風邪をひいて、やはり大きなアザが出て、すごく心配した。」という話を教えてくれました。
高い熱が出たり、食欲がなかったり・・・風邪をこじらせているのかも知れないと、良いように自分を納得させて少しホッと
していました。
ところが、その夜
>「アザ、どうなった?」と聞くと
>「変なんだよ、増えちゃったよ」とTシャツをめくって見せました。
その瞬間、血の気が引くとはこう言う事を言うのでしょう。どうしよう、これは絶対普通ではない!とはっきり感じました。
>「彰(彰一郎のこと)、やっぱりこれは変だよ。明日は何が何でも病院に行くよ。」
>「なんだよう、新人戦まではダメだって言ってるだろう!何の病気なんだよ、どうして解るんだよ!」と、ふて腐れています。
>「何バカな事言ってるの。体が1番大切でしょう!とにかく明日は朝練休んで病院に行くから、何もなかったら学校へ  戻ればいいじゃない」
彰一郎は自分の部屋のドアをバタンと思いっきり閉めて、閉じこもってしまいました。
この後の不安は言葉では言い表せません。
そうよ、あの食欲旺盛で食べても食べても食べたりない子が、このところ食欲が全く無かったじゃない。私は何をしていたんだろう!
じっとして居られず、夜遅くまでやっている本屋へ自転車を走らせました。

  「白血病」・・・漠然と見えてくる病名。医学書を開くと、余計に不安になってきます。
病気に似合う、似合わないがあるとしたら、彰一郎に白血病ほど似合わない病気があるでしょうか。
「白血病の項目」・・・・風邪のような症状、関節痛、内出血・・・・読むほどに全て当てはまり、不安は広がる一方でした。

主人は「こういう病気は、そういうふうに見るとみんな当てはまるような気がするもんだ。今、メソメソしていても仕方ない
明日病院に行って、キチンと原因が解れば大丈夫だよ」と言いますが、とても慰めにはならず一睡も出来ずに朝を迎えました。

翌朝、私がその年の4月に子宮筋腫の手術をした総合病院へ連れて行きました。
小児科の待合室に居る間、早く「お母さん、大袈裟ですね。」と先生の声が聞きたくてイライラと順番を待ちました。

だいぶ前の話になりますが、前に同じような経験があります。
彰一郎の3つ違いの姉(長女)が、まだ1歳半位の頃に同様な不安の思いで大学病院の待合室に座って居た事があります。
乳幼児の母親向けの雑誌で「新生芽腫」という子供の癌の特集を見て、その症状である「お腹が膨らみ、シコリができる」がお腹の大きくシコリがあった長女に当てはまり、癌に違いないと思い込み、大きな大学病院へ連れて行きました。
娘を診察された先生は笑いながら、「お母さん、赤ちゃんのお腹は大きくて当たり前ですよ。このシコリは、けんじょう突起と言ってみんな誰でも持っている骨なんですよ。しっかりして下さい。」とおっしゃいました。
笑われながらも、私は心から救われた思いでした。今の今まで、生きた心地がしなかったものですから・・・・。
「そうだ、そんな事があったじゃない!彰一郎だって・・・・。いつも私は大袈裟に騒いで、よく主人から怒られるじゃない」
などと自分に言い聞かせ不安と期待で押し潰されそうになりながら順番を待ちました。その時間はとても長く感じられました。


      
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