[ 闘 病 記 K <初恋>]

   初恋   

 <初恋>


中学2年となり、少しは大人になった彰一郎が、ある女の子に恋をしました。
これは 私の想像です。 恋と迄 言えたかどうか?
でも 同じクラスで、同じ部活の女の子にたまに電話をかけたりしていました。

私は彰のお姉ちゃんが色々ありチョット過敏になっていたので心配で
「今は 他の事が大切なんだからね 彰はチャントわかってるよね」 と声をかけると
「何 言ってるんだよ 何でもないよ ただ電話で話してるだけだよ うるさい事言わないでよ」と怒られてしまいました。

休みの日に仲間で一緒にテニスをしたりと、その程度の事だったようです。
今 思うと知らん顔をしていれば良かったと思います  そうすればもう少し思い出が出来たかもしれないのに・・・

彰の初めての恋心は 白血病と共に散ってしまいました。
その子からクラスの仲間と一緒に手紙を貰った時 「返事 書いたら?」と声をかけたり 「電話 してみたら?」と言ってみたりしましたが 「いい 関係ない」と強がっていました。

負けん気の強いあの子がよく口にした言葉に 「同等になってから会いたい」という言葉があります。
髪が抜けていたり、顔がむくんでいたり、薬の副作用とはいえ格好悪い所は見せたくなかったようです。

彰が亡くなってから その女の子とは何度か話しをしました。
お線香を上げに お友達と何度か家に来てくれました。 とても真面目で、可愛らしい、優しいお嬢さんです。 
彰との思い出を楽しそうに話してくれます。

その女の子も少しは彰に想いを寄せてくれていたそうです。 
その言葉を聞いて とても嬉しかった。


その女の子は高校は看護科を受験し(合格したそうです)看護婦さんになると人づてに聞きました。
何故か胸が熱くなりました。 彰一郎は優しい看護婦さんに囲まれて、その点ではとても幸せでした。

彼女も優しい、そしてちょっと厳しい、素敵な看護婦さんになる事でしょう。

彰に甘酸っぱい思い出を作ってくれた彼女に 心から感謝しています。





      
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