[ 闘 病 記 J <親友>]

   安西もん   

 <安西もん>


小学校5年でクラス替えがあり、安西君という1人の男の子と同じクラスになりました。

何が合うのかいつもどちらかの家を行き来し、電話をかけては誘い合い、毎日一緒に過ごしていました。 2人を見ると対照的なのです。 彰一郎は、前にも述べましたように体型が太め 安西もんは、スマ−トで細め 性格も彰は、誰にでも人なつっこく挨拶をするような明るい子 安西もんは、ちょっとニヒルではにかみやさんのおとなしい子 この2人が何で気が合うのか?

とにかく彰が入院するまでクラスが違ってもよく2人でくっついていました。
入院してから薬の副作用で頭髪が抜けてしまい人前に出るのを嫌がっていた彰が唯一接していた友人でもあります。
外泊で帰って来ている時 「誰かに電話したら?誰も気にしないよ」と 何度声をかけても
「イヤだ!絶対に変だって言われるよ」となかなか納得しなかったのに何度目かの外泊の時
「安西もんに電話してみようかなぁ?」と言いだし
「そうよ 電話してごらん もう少ししたら部活も終わって帰って来るんじゃ ないの」
「うん」

私は さっそく彰にわからないように安西もんの家に電話を入れました。
彼のお母さんとは子供を通じて親しくしてもらっていたので何でも話せる間柄でした。 
前から「逢っても大丈夫なら秀樹と遊ばせるのに いつでも言って」と言って下さっていたので
「安西もんに電話しようかな?と言い始めたの。悪いけど秀樹君に彰の髪の毛の事 一応説明しておいてくれる?秀樹君なら大丈夫だって安心してるけど」と伝えると 快く 「わかった。大丈夫よ 任せて」と言って下さいました。

夜、安西もんに電話をしていました 「明日 遊びに来るって」と とても嬉しそうです。
「でも、髪の毛を見たらビックリするかなぁ〜」
「大丈夫よ 仕方がないじゃない 薬のせいなんだから薬を止めたら 又はえてくるって説明すればいいじゃないよ」
彰にいいながら そんな言い訳をしなければいけない彰が不憫で また涙を飲み込みます。

次の日は久しぶりに同じ位の友達と遊んで満足そうです。
夕食にピザを取ってやり、少し遅くまで居て貰いました。
さすがにちょっと疲れた様子でしたが本当に嬉しそうでした。
安西もんが帰ったあと 「安西もんがねぇ 髪の毛の事言ったら『薬のせいじゃ仕方がないじゃん 全然気にならないよ』って言ってくれたよ」と満面の笑顔で話します。
そのことが心配で心配で仕方がなかったのでしょう。 安西もん ありがとうね  彰は、また1つ山を乗り越える事が出来ました 本当にありがとう。

それからは外泊の度に安西もんから電話があり遊びに来てくれました。
私が仕事で出かけなければならない時も安西もんが一緒に過ごしてくれました。
これをステップにと思い「ほかの友人にも遊びに来て貰ったら」と声をかけても電話で話したりはするものの最後まで逢う事はありませんでした。


安西もんに彰が危篤となった時の4月8日の夕方、電話を入れ病院に逢いに来てもらい この日一緒に見取ってもらいました。

この間まで一緒に遊んでいた友達が、また一緒に遊ぼうと言っていた友達がいろいろな機械に繋がれて変わり果てた姿になっているのを見てかなりショックを受けてしまったのではないでしょうか。
申し訳ない思いです。
でも、彰は一番逢いたかったに違いない 意識はなかったけど最後に逢えて嬉しかった。

安西もん ごめんね   そして ホントにありがとう


      
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