アクティブ・リスニング(3)
 
I 導入のインプロ「ブロックとイエスアンド」をする。
1.目的を説明する。
 ・相手を拒絶したり受容したりするゲーム。
2.「ブロック」とは何かを説明する。
 ・相手の話を拒絶すること。
3.2人組になる。
4.AがBに、例えば「カラオケに行こうよ」と提案する。
5.Bは、「いいえ」と言って、たとえば「忙しいから行けない」とAの提案を否定する。
6.Aは、Bの返答を「いいえ」と言って、例えば「今日は暇だと言っていたはずだ」と否定する。
7.同じようにして、1分間繰り返す。
8.気持ちを話し合う。
9.「イエスアンド」とは何かを説明する。
 ・相手の話を「イエス」でポジティブに受け入れて、「アンド」でさらに自分のアイデアを付け  加えること。
10.AがBに、例えば「今日はいいお天気ですね」と同意を求めるようなことを話しかける。
11.Bは、「はい」と言って受け止めて、「しかも」と言ってその後に、例えば「最近はいいお天気が続きますね」と新しい情報を付け加える。
12.今度はBから話しかけ、Aが「はい、しかも〜」と新しい情報を付け加える。
13.同じように1分間繰り返す。
14.気持ちを話し合う。
 
かかわり技法の説明
1.「傾聴のスキル(2)」を配布する。
2.「うなずき」の説明をする。
 ・話の合間に首をタテに振る。
 ・相手のペースについていくことを態度で伝える。
 ・楽しい話→「コクッ」と速く浅く。
 ・深刻な話→「ふ〜ん」とゆっくり深く。
 
3.「あいづち」の説明をする。
 ・相手の話の合間に短い言葉をはさむ。
 ・相手の話の全てを聴いて理解しようとしていることを伝える。
 ・同じあいづちでも、様々なバリエーションがある。種類を増やして、使い分ける。
  「はい」「はいはい」「はい、はい」「はあい」「はい?」  :目上
  「ええ」「ええ、ええ」「え、えー」「ええ?」「ええそう」 :同等
  「ふん」「ふんふん」「ふん、ふん」「ふーん」「ふんふん?」:目下
  「そう」「そうそう」「そう、そうそう」「そうよ、そう」  :肯定
  「なるほど」「なるほどなるほど」「なるほどねえ」     :強い肯定
 
4.「はげまし」の説明をする。
 ・話の合間や切れ目に短い感想や励ましの言葉をはさむ。
 ・ひとりよがりにならないように注意する。

5.「繰り返し」の説明をする。
 ・相手が使ったそのままの言葉で返す。
 ・相手の話のキーワードを聴いていることを伝える。
 ・おうむ返しになると、相手はバカにされたように感じる。
  「朝、目が覚めたらもう8時、飛び起きました」
    ×「朝、目が覚めたらもう8時で、飛び起きたんですか」
    →「もう8時だった」
    →「飛び起きた」
  「朝食も食べず自転車に乗って行こうとしたら、パンクしていたんです」 
    →「自転車がパンクしていた」
 
6.「言い換え」の説明をする。
 ・自分が感じ取った短い言葉で返す。
 ・相手の話のキーポイントを理解していることを伝える。
 ・相手の考えを整理したり、具体化したりする。
 ・自分の理解を確認する。
 ・ピタッとくる繰り返しをするには、相手の話をよく聞き、語彙を増やしておく。
 ・相手に確かめるような言い方をする。
 ・「〜と言ってもいいのかなぁ」「〜のように感じるのですが」など。
 ★高度なスキルとして、相手が言おうとすること、あいまいな部分を先回りして言う。効果的だ  が、危険を伴うので慎重に。
  「朝、目が覚めたらもう8時、飛び起きました」
    →「あわてますよね」「しまったという感じですか」など
  「朝食も食べず自転車に乗って行こうとしたら、パンクしていたんです」
    →「今度はパンクですか」「嫌になりますよね」など
 
7.話の方法を説明する。
 ・アドバンス(ヨコ)と「エクステンド(タテ)
  A1 もうすぐ試験だね。                   
  B1 この前の試験は散々な出来だったよ。      タテ ↓ 
  A2 特に国語の試験は平均が40点台だったね。   タテ ↓ 
  B2 数学もひどかったね。             ヨコ → 
  A3 英語はみんな頑張っていたけどね。       ヨコ → 
  B3 それにしても国語の時間は睡魔との戦いだよね。 タテ ↓ 
  A4 板書もバラバラでノートがとりにくいしね。   ヨコ → 
 ・繰り返しや言い換えの部分によって変わる。
   「この前の日曜日に、家族で遊園地に行ったの」         
   a 「この前の日曜日に」→「私の誕生日だったのよ」      
   b 「家族と」     →「よく家族で出かけるのよ」     
   c 「遊園地に」    →「遊園地が大好きなの」
 
かかわり技法の実習
1.3人組になる。
2.「傾聴のスキル」を配布する。
3.話し手、聞き手、観察役を決める。全員が全ての役ができるように回す。
4.ステップ1〜3をさせ、そのたびごとに振り返る。


生徒の感想
1)最初は簡単だと思ったけれど、実際やってみるとめっちゃ難しかった。人は知らず知らずの内に人と関わることで学んでいるんだなと思いました。▼2)今日の授業はとても楽しかった。ステップ1の時は「うなずき」「あいづち」だけではもの足りず、思わず色々なことを話してしまった。こういう授業がずーと続けばいいのに。▼3)聞き役もすごく楽しいと思った。聞き役って重いイメージがあったけど、自分の中でええんちゃう?って思った。▼4)僕は話してばかりでしたが、聞き手の人がよい聞き方をしてくれると話がはずむ。▼5)話す時はすごく楽しかったけど、やっぱり聞き手の方はすごく難しかったです。聞き手の対応で話がしやすくなったし盛り上がった。▼6)最後の実習では役に立つどころか盛り上がって楽しかった。話はやっぱり聞いてもらってる感があるのとないのとでは全然違うなぁって思った。▼7)次々と要素を考えて話を構成していくのは難しいと思った。今度はもっとうまく使いたい。▼8)初めからはげましとか入れてしまったけど、楽しかった。すごく盛り上がった。共通の話題があるとたくさん話ができると思った。▼9)みんなの話が楽しかった。話し手がとても良かったから話が盛り上がった。またやりたい。▼10)少しわざとらしいあいずちをしてしまったなと思う。やっぱり話をしたり聞いたりするのは楽しいと今日思いました。▼11)今回は色々あったけど、最後の傾聴が一番楽しかった。普段あまり話をしない話題が分からない人とでも盛り上がれたのでよかった。▼12)相手の反応によって話の雰囲気が変わってくる。
10
理解ができたか
興味が持てたか
役に立ちそうか


教師の感想
今日も盛り上がったけれど、反省することが多かった。まず、ウォーミングアップに時間をかけ過ぎてしまって、実習の時間が短かった。講義もすこし冗漫になってしまった。予定では実習の時間が多すぎると思って調整したのが裏目に出たようだ。実習をもっと時間をかけてゆっくりやりたかった。ステップ1のうなずきと相づちだけでどれだけ聞けるかも挑戦させてみたかった。それでも生徒は高い評価をしてくれていることは、生徒の力であると思う。ただ、注意しなければならないのは、おしゃべりが盛り上がっただけの授業にならないこと。しっかりとしたスキルを意識して、いつ、どこでも、誰とでもコミュニケーションがとれる力をつけてほしい。コミュニケーションが苦手だという最近の生徒でも、スキルを意識すればある程度話せるようになってほしい。           



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