展開1
- 導入
- 0.「学習プリント」を配布して、漢字の読みと語句調べと段落分けを宿題にする。
- 1.宿題点検(5分)
- 2.教師がゆっくり芝居っ気たっぷりに範読する。(20)分
- これで生徒の目はバッチリ引きつけられる。
- 野村万作の朗読テープは秀逸であり、非常に参考になる。
- できればBGMなんかをかけると効果倍増である。
3.感想を聞く。(5分)
4.李徴が考える虎になった理由を考えることを指示し、感想を書かせる。次の時間に提出させる。(15分)
5.段落構成について説明する。(5分)
第一段 虎になる以前の李徴
第二段 袁參との出会い
第三段 虎になった気持ち
第四段 詩の伝録
第五段 臆病な自尊心と尊大な羞恥心
第六段 妻子の依頼と別れ
第一段
1.語句の意味を説明しながら音読する。(5分)
2.「若い頃の李徴の様子」について、質問する。(8分)
- 博学才穎(才能に恵まれる)
- 若くして名を虎榜に連ねる(エリートコースを歩む)
- 性狷介(協調性がない)
- 自ら恃むところが厚い(自信過剰)
- 賤吏に甘んずるを潔しとしない(自尊心が高い)
- 「若くして名を虎榜に連ねる(エリートコースを歩む)」には「科挙」という非常に難しい官吏登用試験に合格せねばならない。そのためには、「博学才穎(才能に恵まれる)」で、家柄や家庭環境、幼児教育に恵まれていなければならない。
- こうした成育暦をもった人は、「性狷介(協調性がない)」で、「自ら恃むところが厚い(自信過剰)」「賤吏に甘んずるを潔しとしない(自尊心が高い)」性格が形成される。★現在も幼児教育が盛んであり、同じような状況である。とすれば、李徴のような人物が増えていく可能性がある。また,住専やエイズの問題で、大蔵省や厚生省の役人が問題になっているが、彼らも同じような性格の持主である。
3.「退官した理由」について、質問する。(3分)
- 詩家として名を残すため
- 「人との交わりを絶って詩作にふける」ことは、虎になった理由の自尊心や羞恥心の現れである。
4.「復官した理由」について、質問する。(5分)
- 貧窮に堪えず、妻子の衣食のため
- 己の詩業に半ば絶望したため
- 虎になった理由に、妻子よりも詩業を気に掛けているからだとあったが、ここでは妻子のことを考えている。
- 「半ば」ということは完全ではない。詩業に未練はあるが、自尊心が強いために「文名が容易に上がらず」ことに我慢ができない。
- つまり、退官したのと同じ理由で復官したことになる。
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- 5.「復官後の様子」について、質問する。(5分)
- 自尊心が傷ついた
- 怏怏として楽しまず(不平不満)
- 狂悖の性が抑え難い(常識外れの言動)
- 自尊心が3回傷ついたことになる。しかも今回は以前馬鹿にしていた者たちの命令を受けなければならないので、一層深い傷である。
- 若いころの李徴と比べて理解する。
- 6.出張先で行方不明になったことを説明する。
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- 7.「あなたは上司とうまく付き合えるタイプか」チャートをさせる。(15分)
- 第二段
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- 1.難しい語句を解説しながら音読する。
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- 2.李徴と袁惨が友人であった理由を質問する。
- 袁惨の温和な性格
- 李徴の峻峭な性情↓
- 衝突しない
- 生徒の友人との性格について考えさせる。似たようなもの同士が友達になることは多いが、全く性格の違う友達がいれば、互いにないものを求めあい衝突しないことになり、この二人の場合と同じになる。
3.この状況の異常さについて説明する。
- 人間が虎と話している。しかし、その虎は草むらに隠れているのだから、袁惨は草むらに向かって喋っていることになり、草むらのなかから人間の声が聞こえてくる。もっとも、虎が人間の言葉を喋っているところが見えればさらに異常である。
第三段
1.音読する。
2.虎になるまでの過程を説明し、その後の気持ちを質問する。
- 戸外でだれかが我が名を呼んでいる
- 声を追って走る。
- 気がつくと虎に変身していた。
- 目を信じなかった
- 夢にちがいないと思う
- 茫然とし、どんなことでも起こりうると思って懼れた。
- 理由を考えたがわからない。
- 死のうとを思った
- 兎を見たとたんに食い殺してしまった。
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- 3.「だれか」とは誰か。
- 自尊心(李徴の内部に潜む悪魔の声)
- 運命★多くの生徒に当てるが答えは出ないだろう。後で考える。
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- 4.「理由も分からずに押しつけられたものをおとなしく受け取って、理由も分からずに生きてゆくのが、我々生き物のさだめだ」「獣でも人間でも、もとは何かほかのものだったんだろう。初めはそれを覚えているが、しだいに忘れてしまい、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか」について考える。
- 1)みんなは自分が今の姿で生きている理由を知っているか質問する。
- ○なぜここにいるのか。
- ○なぜ日本に住んでいるのか。
- ○なぜ人間なのか。
- 2)理由もわからず生きていることに対して、人間はどうするのか。
- ○無自覚で生きていく
- ○何らかの理由や理屈をつけて納得する
5.死のうと思うが死ねない苦しさを説明する。
6.「自分の中の人間はたちまち姿を消した」とはどういうことか。
- 7.人間の心に還る時の様子。
- 人間の言葉も喋れるし、複雑な思考もできる。
- 虎としての残虐な行いの跡を見、自分の人生を振り返るのが、情けなく恐ろしく憤ろしい。
- ★矛盾する気持ちに注意する。
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- 8.人間の心が消えてしまうことについて
- 1)なぜ「しあわせ」と考えているのか。
- ○虎としての残虐な行為に悩まなくてすむ
- ○自分の存在を懐疑しなくてすむ
- ○詩への未練が断ち切れる
- 2)なぜ「恐ろしく」感じているのか。
- ○運命に引きずられる不安
- ○人間、詩人への未練
- 3)李徴の本心はどちらか。
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