![]() 教材観 展開 本文 生徒の感想 教材観 1 展開 1)第六段までのプリントを配布する。 1.登場人物について
2.私と学校について ●第1段「鳥獣戯画という〜と思い途方に暮れるのです。」 1)「私の名前がはくぼくに踏みにじられる」の意味を考える。 ・私の名前=私という個人 ・踏みにじられる=否定される ・私という個人が否定され、集団の一員になる始まり 2)「学校を人生にする」の意味を考える。 ・人生=一番時間をかけていること ・学校=眠るより長い時間生活をする所 ・学校が生活の大部分を占める。 3)「学校のものになる」ことが「途方に暮れる」ことになるのはなぜか。 ・私という個人を殺して生活しなければならないから。 3.私とクラスの友だちとの関係について ●第1段「鳥獣戯画という〜と思い途方に暮れるのです。」 1)教壇の上から見下ろすと耳が聞こえなくなるのはなぜか。 ・自分の世界に入って観察している。 2)私と皆の立場の違いは何か。 ・私には大勢の中から友だちを選ぶことができる。 ・皆には私を受け入れるか拒否するかの2つしかない。 ★結局、二つの内、拒否を選ばれることになる。 3)教壇を降りると耳が聞こえるようになったのはなぜか。 ・学校のものになったから。 4)冒頭の「鳥獣戯画」の意味は。 ・同級生が鳥や獣に見えた。 ・私が紹介された時に皆がお腹をすかせた雛鳥のように見えたり、私をいじめる同級生が獣になったりする。 4.私の望む人生について ●第1段「鳥獣戯画という〜と思い途方に暮れるのです。」 1)どんな人生かを探させる。 ・水のような人生 ・退屈な平和 2)どうすれば水のような人生が送れるかを考える。 ・好かれるのは面倒くさい。 ・嫌われるのはもっと嫌。 ↓ ・嫌われなければいい。 ★人間関係に煩わされない生活。 5.私の皆に対する気持ちについて ●第1段「休み時間に、最初、〜転校生を迎えた経験もあまりないのです。」 1)言葉に対してどう思ったかをまとめる。 ・田舎臭い。 ・軽蔑はしてないが、受け入れもしない。 ・言葉が人間を決めるのだから用心しなければと思う。 ★後で失言がいじめの決定打になる。 2)女の子に対して、マニュキュアをみせびらかすのはなぜか。 ・憧れる女の子を田舎臭さを計算していたから。 ・嫉妬など思いもよらない純朴さに感謝する。 3)男の子に対して、女臭さを認めて笑わせるのはなぜか。 ・行動は容易に予測がつくから。 ・人生経験が足りない。 6.私の先生への接し方について ●第1段「その愛すべきものたちのひとつに〜苦笑せずに入られませんでした。」 1)先生の私への言動と私の先生への対応を順を追って抜き出す。 1)先生は、私に好かれたがっていた。 2)先生は、意識して、他の子供の前では私に厳しくする。 3)私は、先生にだけ解るように睫毛を震わせる。 4)先生は、廊下で合った時に慈愛に満ちた表情を浮かべる。 5)私は、天真爛漫な笑顔を浮かべて許してあげる。 2)先生が私に厳しくした意味は。 ・私を特別扱いしていないことを示す。 3)私が睫毛を震わせた意味は。 ・しおらしく反省しているフリをして良心を刺激する。 ・良心の呵責が気持ちよいことを知っていた。 ・人が気持ちよくなることは自分も気持ちよくなるという法則を練習した。 4)先生の慈愛に満ちた表情の意味は。 ・厳しくしたことへの自己弁護。 ・私に好かれたい。 5)私が笑顔を浮かべた意味は。 ・先生を、暗い気持ちから脱出させてあげる。 ・私は、先生というのも素朴なものだと感じる。 7.大人と子供の分け方について ●第1段「私は人間には〜私はとても驚きました。」 1)大人と子供の分け方の基準は何か。 ・実際の年齢ではない。 ・精神的な成長の度合い。 ・クラスの友だちは子供が多い。 ・先生にも子供が多い。 8.いじめのはじまりについて ●第2段「私は彼が授業の最中〜子供のすることは予測がつかないからです。」 ●第3段「それにしても、今さらのように〜欲望を満たそうとしているのです。」 1)女の子の間で、陰惨な空気が充分に流れて出口を見つけているような感じがあったことを確認する。 2)「陰惨な空気」とは何か。 ・みんな吉沢先生が好きである。 ・恵美子なら許せるが私では許せない。 3)私では許せない理由は。 ・恵美子は、自分たち同じ田舎の子供である。 ・私は、都会の子供である。 ・私に吉沢先生をとられることは、田舎者である自分たちも否定されたことになる。 ・「彼女たち全員の存在価値が崩れてしまう」 4)きっかけになったのは何か。 ・恵美子の「いい気になっちゃってさ」という言葉。 ・最初の反逆の言葉。 ・最初の泣き声。 5)「泣き声」と表現されている意味は。 ・泣き声は、弱い者が強い者に発する。 ・いじめとすると、私が恵美子に対して発することになる。 ・しかし、ここでは、恵美子が私に発しているのはなぜか。 ・田舎者である恵美子の都会人である私に対する劣等感。 ★テキストでは、恵美子がクラスの女の子の母親の死に対して「泣き女」になった部分をカットしてあるので、正しい読み かわからない。 9.いじめの構造について ●第3段「私は自分が生贄にありつつある〜指を動かされるを得なくなるのです。」 1)いじめを一種の宗教と言い換えていること、痒さに譬えていることを確認する。 2)いじめが発生する過程の比喩についてまとめる。 a)ただ痒いような気がする。 b)誰かが引っ掻く。 c)本当の痒さが生まれる。 d)また引っ掻く。 e)掻かなくてはいけないという強迫観念に駆り立てられる。 f)憑かれたように指を動かされるを得なくなる。 3)いじめに置き換える。 a)何となく嫌悪感を感じる。 b)恵美子の一言。 c)いじめる理由が生まれる。 d)またいじめる。 e)いじめなくてはならない。 f)訳も分からずいじめる。 4)どの部分が宗教になるのか。 ・強迫観念 ・憑かれたように ・理性では判断できないものによって、集団としての一体感を味わうために、多くの人が同じ行動をする。 10.私の対応について ●第3段「掻きむしられた私に〜何も見ないようにするだけで精一杯です。」 1)不良になるには年令が若すぎる。 2)登校拒否になるには家族が大人過ぎる。 ・私に干渉しないので無関心である。 3)平静を装う。 1)( )に入る私の持ち前は何か。 ・自尊心 2)みんなの受け取り方は。 ・まだまだやれると思ってさらにいじめる。 3)先生も気がつかない。 ・先生の教えがあれば解決する。 ・子供は無責任だから、自分で決定するより先生にゆだねた方が楽である。 4)先生までいじめに加担する。 5)私の陥った感情を( )内に入れる。 ・絶望 11.エスカレートするいじめについて 1)狂気の張りついた獣のような瞳とはどんなものか。 ・道徳も常識も感情も存在しない。 ・習性をまっとうしようとする欲望 2)私の反応ばどうか。 ・叫び声をあげることはしなかった。 ・私の体には触れてほしくない。 ・本物の殺気を感じていたから抵抗しなかった。 3)冒頭の「鳥獣戯画」との関係を考える。 12.遺書について ●第5段「ママ、パパ〜縄の代わりになるようなものを見つけてこようと思いました。」 1)遺書を書く目的は何か。 ・死ぬからには誰かが損をしなければならない。 ・私が死んだ後で、恵美子を初めとするクラス全員が後悔を引きずって生きる。 ・恵美子やクラスの友だちが、私に許されることなく一生を終える。 ・彼らに一生かかっても拭いさることのできない恥を残す。 ★しかし、私が死んでも、彼らは損をしたり恥を残すことにならない。私の幼さの表れである。 2)何を書くとメモしたか、それはなぜか。 1)いじめた人の名前 ・恵美子、女の子全員の名前、男の子の全員の名前 ・私が死ぬからには誰かが損しなくてはならない。 2)どういうふうにいじめたか。 ・世間をあっと言わせる。 3)いじめた理由。 ・理由なし。 ・吉沢先生を悪者にしたくない。 4)終わりの言葉。 ×一生恨んでやる。 ・遺書が読まれる時には死んでしまっているので文脈がおかしい。 ×一生たたられるだろう。 ・怪奇映画のようである。 ○死んだ後も許さないでしょう。 ○泣いてすむと思わないでください。 ・許されることなく一生を終えることほど恐ろしいものはない。 3)メモを書き終えて私はどんな気持ちか。 ・短い一生を終えるのは嫌。 ・死ぬ気になってできることなど一つもない。 ・死んでしまった方がやり遂げられることもある。 13.母と姉の話を聞く。 ●第5段「寝室からの父の声に〜とうとう出来ませんでした。」 1)私が死ぬというのに私のためにシュークリームを焼く相談をしていることを確認する。 2)なぜ母と姉の話を聞いて愕然としたのか。 1)家族の日常は流れている。 2)私も家族の日常に組み込まれている。 3)私が突然欠ければ、家族の日常が成り立たない。 4)クラスの友だちは、私の日常を乱した。 5)日常生活を乱されることは、私が最も嫌悪すべきことである。 6)私が自殺すれば、家族の日常を乱すことになる。 7)私は家族に対して最も嫌悪すべきことを行おうとしている。 3)( )内に死ねない理由を表す言葉を入れる。 ・責任 ・家族に対する責任 4)「幸せな奴隷」とはどういう意味か。 ・奴隷=足枷がかけられ拘束され自由がない。 ・幸福=家族に愛されていることに対する責任という幸せな足枷である。 ・家族の愛情という足枷をかけられ、死ぬという自由を奪われた。 5)私が泣いた理由は。 ・死ぬと決心した時は、いじめに対して何もできない悔しさの為に泣いた。 ・生きなくてはいけないのだと気づいた時は、家族に愛されている嬉しさの為に泣いた。 ・甘い悲しみ。 6)眠ってはいけないと思った理由は。 ・自殺しなければならないから。 ・しかし、家族の愛に報いるという生きる責任の方が強かった。 14.いじめを超える私の論理について ●第6段「何が可哀相なもんか。〜心ん中で殺していったのよ。」 1)先生の話の内容をまとめる。 1)自分に止まっている蚊を観察する。(私をいじめるクラスの友だちを観察する) 2)蚊はいい気になって血を吸う。(友だちはいい気になって私をいじめる) 3)蚊は腹一杯になって腕から離れる。(友だちは私をいじめて満足する) 4)蚊は腹一杯だから満足に飛べない。(満足してうまく動けない?) 5)そこを一気に叩きつぶす。 2)私の場合と重ねる。 ・1)の( )内。 3)姉の話とは何か。 1)いじめっ子をひとりひとり殺していった。 2)自分の心の中で殺していった。 ●第6段「その授業が終わり〜じわじわと殺していくのです。」 4)私の生み出した殺し方とは何か。 ・( )に殺し方の二文字を入れる。 ・軽蔑 ・自分を人間だと思っている愚かな友だちを動物までおとしめる。 ・じわじわと殺していく。 ★冒頭の「鳥獣戯画」と重なる。 ●第6段「私は、目頭が熱くなるのを〜トイレに行こうと立ち上がりました。」 5)目頭が熱くなった理由は。 ・いじめを超える方法を発見した喜び。 ・気持よくさせた相手をつぶしてもう一段上の快楽を手にする。 ・残酷な喜び。 ★昨夜の涙は、家族に愛されるいる幸せな喜びであった。 6)人間として生きている証とは何か。 ・欲望 7)食べることや寝ることでなく、なぜアッコの汚れた上履きに触れたい欲望に駆られたのか。 ・生死にかかわる本能的な生物的な欲望ではなく、もっと高次元の人間的な欲望。 ・マスローの欲求階層 ・生理的欲求→安全の欲求→所属と愛情の欲求→自尊の欲求→自己実現の欲求 15.私の心象風景 ●第6段「いつでも殺人を犯せる〜若いただの生きものなのです。」 1)私の心の中の墓地とは何か。 ・私が殺した友だちの死骸が野ざらし(=風葬)にされている。 2)それをどのように思っているのか。 ・残酷だとは思わない。 ・いじめた友だちは当然の報いがあるべきだから。 3)草や木は何を表しているか。 ・クラスの友だち。 ●第1段「夏休みの間に私と私の家族は〜秋が始まりつつあるのを嘆くのです。」 4)この部分の草や木の意味について考える。 ・あまりにも若く逆に私に殺されてしまったただの生きもの。 ↑ ・草や木は私をちっぽけなものだと思っている。 ・自分よりも草や木の方が生きている、強いと思っている。 ・草や木に殺されている。 5)最後の部分の変化は何を表しているか。 ・杏の変化=成長を象徴する場面として、さらに「いじめ克服」という具象的・個別的な事象をより抽象化する装置。 ・自分という生命を取り巻く他の生命の力の前で立ち尽くしていた杏が、自分の生命の力を信ずることが出来るようになった、という変化。 16.私の変化を論理療法的にとらえる。 1)私の出来事と結果と思い込みをまとめる。 1)いじめ →(自尊心)→絶望 2)いじめ(絶望)→(復 讐)→自殺 3)いじめ →(軽 蔑)→一段上の快楽 2)出来事がすぐに結果に結びつくのでなく、その間に思い込みがあり、その思い込みを変えることによって結果も変わる。 3)「思い込み度チェック」をする。 17.「風葬の教室」を読み返して、適当な題をつけて文章を書く。 ・全体の感想ではなく、あるテーマに絞り込む。 ・できれば、感想文ではなく意見文を書く。 |
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