展開
1.教師が音読する。
2.感想文を書く。
3.はじめ〜一三三14 を音読する。
4.戦争が終わった時の私について
1)私の年齢は。
(当時の中学は現在の高校に当たる。)
2)私は戦争についてどのように思っていたのか。
- 日本を守るために戦死する。
- 日本が戦争に負けるとは夢にも考えたことがなかった。
5.今にして思う「いろいろな理屈」とは。
- 日本のアジアに対する侵略戦争である。
- いかなる理由があっても戦争はよくない。
- 日本がアメリカに勝てるはずかない。
- 特攻隊として死ぬことは無駄死である。
- 国のために死ぬことは愚かである。
- なぜ戦争に反対しなかったのか。
★祖父の話。
6.敗戦時に「いろいろな理屈」を考えつかなかったのはなぜか。
- 人間の心理状態を決めるのは、論理でなく、一つの状況であるから。
- 論理は平和で冷静な時には働くが、異常な状況にある時は働かない。働いても、状況を打開する力はない。
- 後世の人や他の状況にいる人には、明らかにおかしいと思えることも、その状況にある人には正常にしか思えない。
- 当事者でない者が批判することは無意味である。
- 例えば、オウム真理教や従軍慰安婦問題などがこれに当たる。
7.敗戦を知った時の反応は。
- ほっとしたのでもない。
- がっかりしたのでもない。
- びっくりした。
8.戦争中の朝鮮人の状況は。
- 天皇陛下の赤子(日本人)である。
- 日本語をしゃべることを強制されていた。
- 姓名まで日本風のものに改めなければならない。
9.敗戦によって朝鮮での状況はどのように変わったのか。
- 強者(日本人)が弱者に。
- 支配者が囚人に。
- これまで悪とされていたことが英雄的行為に。
10.一三三15〜一三五02を音読する。
11.父親と学生のやりとりをまとめる。
1)父親=殴る。
2)学生=反射的に「哀号」と小さく叫ぶ。
3)父親=「朝鮮語は使うな。アイゴウとは何だ」と静かな口調で言い、さらに殴る。
4)学生=再び小さな声で「哀号」とつぶやく。
5)父親=「ようしそういうことか」とかすかに笑いながらうなづいて、力を込めて殴る。
6)学生=姿勢を立て直すとまたもや「哀号」と泣き笑いのような妙な表情で言う。
12.「哀号」の意味は。
- 悲しい時、うれしい時、困った時の瞬間的な言葉。
- 日本語の「ああ」に当たる。
- ここでは悲しい時。
13.学生の「泣き笑い」と、父親の「かすかな笑い」の心情は。
- 学生=民族の誇りをかけた屈辱感と抵抗心。
- 父親=学生の抵抗された衝撃を強がって誤魔化した。
学生の抵抗心を確認して感服した。
★父親は良心的な教師であったが、日本人の代表でもあった。
14.一三五03〜一三六02を音読する。
15.植民地での日本人について
1)一般にはどういう言われ方をしてきたか。
★論理の上での反省である。
★直接、戦争という状況になかった者の反省である。
2)作者の場合はどうか。
16.作者の「ある借りを背負って生きてきたという実感」について
1)日本人が日本人を殴ることと、日本人が朝鮮人を殴ることの違いは。
- 日本人の場合=個人として殴られる。
- 朝鮮人の場合=民族として傷つけられる。
2)生徒や父兄に好感をもたれていた父親が朝鮮人を殴ったことについても、
- 父親が生徒や父兄に好感をもたれていた=個人的事情
- 父親が朝鮮人を殴る=対民族の状況
★良心的な人が殴ったとしても、状況は変わらない。
4)作者のものの考え方、感じ方は。
1)過去の日本人の立場をいわゆる原罪意識で振り替える気持ちはないことを確認する。
2)「いわゆる原罪意識」とは。
3)「そこ」の指示内容は。
4)作者のものの考え方、感じ方は。
- 論理的には説明できない、ある状況下においてやむをえず出る人間の行為である。17.一三六03〜おわりを音読する。
18.敗戦直後、私が「哀号」と叫んだ時について
1)私の心の働きは。
- 反射的で、複雑なもの。
- しまったという気持ち。
- 自分を日本人と相手に悟られたくなかった。
- どうなるか恐ろしい気がした。
2)「どうなるか」とは。
- 集まってくる朝鮮人たちが、立場の逆転した私にどういう態度に出るか。
- 取り囲まれて殴られる。
3)おばさんが「日本人ノクセニ」とはっきりした日本語で言った気持ちは。
- 敗戦までいばっていたのに、卑屈になったことへの軽蔑の気持ち。
4)私が大声を上げて坂道を駆けだしたいような気になった理由は。
- 日本人として恥ずかしい気持ちがした。
- 父親に殴られた朝鮮人学生との対比。
19.現在、私が「哀号」とつぶやく時について
1)どんな気持ちか。
- 複雑に入り組んだやりきれない気持ち。
- 情けない気持ち。
- 自分の責任を明らかにせず、それを見透かされた恥ずかしさと自分を責める気持ち。
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