コミュニケーションのわーく 1

■ねらい。★留意点

5 1.前回の復習をする。
 (1)ワークをまとめたプリントを配布する。
 (2)各自読ませる。
  ★簡単に補足説明をする。
10 2.セルフエスティームについて学習する。
 ■交流分析の観点から、セルフエスティームを考える。また、セルフエスティ ームを高めるためには、基本的な欲求の充足が必要なことも理解させる。
 (1)「 Work6 セルフエスティーム」を配布し、させる。
  ■2回のワークを終えて、どれだけセルフエスティームがあるか確認する。
  ★今後も何度かして、その変化を調べるので、日付を書いて保管させる。
 (2)「Lecture セルフエスティーム」を配布する。
 (3)プリントに従って、説明する。
  ★基本的な構えについて説明する。
  ★時間があれば、人間の脳、欲求階層を説明する。
3 3.「コミュニケーションのワーク」のねらいを説明する。
 (1)表紙を配布する。
 (2)ねらいを読む。
25 「Lesson1 コミュニケーションとは」
4.「Work1 キャッチボール」をする。
 ■言葉ではなく、実際にボールを使ってやりとりすることによって、コミュニケーションのあり方を考えさせる。
 (1)机を後ろに引き、自由に動ける空間を作る。
  ★普段と違った空間を作ることによって、気持ちも変わる。
 (2)新聞紙をまるめてボールを作る。
  ★自分の手でボールを作ることから始める方が、参加感が高まる。
  ★紙のボールだと、当たっても痛くないし、転がりにくいので取りにいくの も楽になる。
  ★なによりも手軽で安上がりである。
 (3)名簿などの順で、2人組を作る。
  ★好きなもの同士だと入れない生徒がいる。
  ★生徒が奇数なら、教師も入る。
 (4)ボールを1つずつ持ち、各組場所を決めさせる。
 (5)互いに気持ちよくキャッチボールをさせる。
 (6)AさんとBさんを決めさせる。
 (7)ワークシートの3)〜8)をさせる。
  ★教師が説明しそれぞれデモンストレーションをしてから、生徒にさせる。
  ★各段階ごとに、キャッチボールをさせた後、「Lectureコミュニケーション」にあるような言葉を適当に付けながらキャッチボールをさせる。
20 5.「Work2 二人の距離」をする。
 ■言葉を使わないコミュニケーションの最初に、人それぞれパーソナルスペースがあり、それが相手によって変わることを体験させる。
 ★ワークシートは後で配布する。
 (1)「パーソナルスペース記録シート」を配布する。
 (2) Work1と同じペアで、先攻と後攻を決めさせる。
 (3)ワークシート3)〜7)をさせる。
  ★教師がデモンストレーションをする。
  ★教室の床の板が30cm四方になっているので、それを目盛にして距離を測ら せる。
  ★自分がa)stopをかけた距離、相手がb)stopをかけた距離、c)別れ方を「記録シート」に記入させる。
 (4)すべてのペアが終わったのを見計らって、ペアを変えて何回かさせる。
  ★回数は時間を見計らって決める。
  ★最後は、異性同士ペアを組むように指示をしてさせる。




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「Lesson2 非言語技法」
■言語技法に先立って、非言語技法から入る。それは、コミュニケーションの8〜9割が非言語であることと、いきなり言語から入るより、体を動かす方が入りやすいと考えたからである。
6.「Work3 鏡になる」をする。
 ■相手の動作や表情をまねることによって、言葉以外にもいろいろなコミュニ ケーションがあることに気づかせる。
 (1) 「Work1 キャッチボール」のペアに戻る。
 (2)先攻と後攻を決めさせる。
 (3)ワークシート3)〜7)をさせる。
  ★教師がデモンストレーションをして、恥ずかしがらずにするように指示す る。
  ★いろいろなことを試させる。椅子から立ち上がって動いても良い。
  ★時間は教師が計り、知らせる。
  ★キッチンタイマーを使うと、アラームが鳴って便利である。
 (4)適当に相手を代えてさせる。                    
10 7.コミュニケーションや非言語技法について小講義をする。
 (1)「Work1 キャッチボール」と「Lectureコミュニケーション」を配布する。
 (2)プリントに従って、説明する。
  ★キャッチボールでしたことを、会話に置き直す。
  ★コミュニケーションの6段階を説明する。
  ★話を聞くポイントを説明する。
 (3)「Work2 二人の距離」「Work3 鏡になる」を配布する。
  ★今したことを確認する。
 (4)「Lecture非言語技法1」を配布する。
 (5)プリントに従って、「パーソナル・スペース」の説明をする。
  ★パーソナル・スペースの説明は、黒板に距離の目盛を書いて、生徒に出て 来させ、その距離の所に立たせながら説明する。
  ★記録シートの解説をする。
 (6)座り方を、生徒と実演しながら説明する。
  ★視線と目線の違いに注意する。
  ★さまざまなジェスチャーを生徒に聞きながら説明する。
  ★パーソナルスペースは、ボディコンタクトの一種であることを説明する。
10 8.ふりかえりシートを書かせる。
9.全体でふりかえりをする。
 ★何人か指名して、感想を言わせる。
 ★教師は一人ずつに反応し、プラスの言い換えによって、自尊感情を持たせるようにする。
 ★最後に教師も今日の授業について自己開示をする。

生徒の評価

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1.セルフエスティームの理解
2.キャッチボールとコミュニケーションの関係の理解
3.パーソナル・スペースの理解
4.非言語技法の理解
5.今日の授業の満足度

生徒の感想
1)キャッチボールをすることで言葉はなくても相手に伝わる何かを感じられた。良いコミュニケーションを取るには、問いかけに適応した返事や態度をとることが大切だと思った。コミュニケーションというと会話というイメージがあったけど、言葉を使わなくてもうまくコミュニケーションをとることができた。
2)キャッチボールは言葉が見つからず少し分かりづらい。パーソナルスペースは男同士でも少し恥ずかしかったから女のことやるときはもっと恥ずかしかった。3)パーソナルスペースが意外に面白かった。やっぱり自分が親友だと思っている人とは相手も自分も人をstopをかける距離が短かった。こういうことで自分の友達との心理的な距離が分かってて素晴らしいと思いました。4)この授業でコミュニケーションでもかみ合っていないコミュニケーションもあることが分かった。1のコミュニケーションを出されたら、1のコミュニケーションで返すのが一番のコミュニケーションだということも分かったし、返し方も注意しようと思う。5)セルフエスティームは、マイナスの数字が高くてどんなけ人間嫌いなんやって思った。いまの自分に満足しなくて、満足できる自分になれるように努力しようと思った。6)キャッチボールで、本気じゃなくても無視されたり会話にならない言葉が返ってきたりしたらすごく嫌な感じがしました。普段の自分は、相手とどのような会話をしているのか不安になりました。7)今日の授業して思ったことは、何か恥ずかしかったです。こういうのはちょっと苦手だなぁと思いました。あと僕はすぐに腕組みをししまうので、それをなくそうと思いました。8)人とのコミュニケーションには、バーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーションの2種類があって、ノンバーバルコミュニケーションが、言葉を使わなくてもアイコンタクトでもコミュニケーションをとることができる。バーバルコミュニケーションでは、相手に自分の名前を呼ばれることによって親しみがわいて、コミュニケーションが取れるということが分かった。9)言葉のキャッチボールをやってて、正直すごくいろいろな感情が生まれてきた。イライラしたり、悲しかったに。それが言葉として日常生活であるんだなぁと思った。やっぱり相手が返しやすい言葉をかけてあげることが、1番お互いが気持ちよくなる話し方なんだなぁと分かった。10)言葉のキャッチボールは何か大切な感じがした。日常的に使っているのかと気づくとふだんの生活や会話などを振り返れた。11)私は話しかけられたら絶対に話し返すのでボールを投げられて無反応で返すのはあまり気持ちよくなかったです。私はコミュニケーションは下手なことが知っていたけれど、改めて認識しました。12)セルフエスティームでは自己のあり方も対人関係もマイナスだったので、ちょっとショックだった。確かに今、何か自信があるかと言われれば自信はないと答えると思う。だから「人からの評価が気になる、人の目が気になる」を全く気にすることは無理だけれど、少しでも気にならない気持ちになれるようにしようと思った。13)こういうことをしてやっぱり自分は人に合わせているのかなと感じた。人とのコミュニケーションも大切だけど自分の考えをもっと出していこうと思った。14)セルフエスティームで見たら僕は、私はOKで人もOKということになりました。読んでみたら、自分も安定しているから他人も受け入れることができるいうことが書いてありました。これからもこの状態を保てるような自分でいたいと思いました。15)人と接するのが苦手な僕だけど、少しコツというか、何かわかったような気がする。初めて会った人とかに、はじめどう接していけばいいのか分からない。こういうのがその基本になっているのか


教師の感想
 さすがに体を動かす実習は難しい。顔見知りで、少人数で、意欲的に選択した生徒なので、動いてくれたが、そうでないと難しい。「キャッチボール」は、単純なワークなのでまだできる。それでも、無視したり、投げ捨てたり、強く投げ返すのは関係や雰囲気ができてないと難しい。しかし、「二人の距離」になると、異性同士は恥ずかしがってなかなかペアにならない。強制的に女子を並ばせて、ネルトンみたいに向かい合って男子を並べてさせた。やってくれたからいいが、メンバーによっては動かないだろう。ましてや、「鏡になる」は恥ずかしさが前面に出るので、動きにくくなる。
 これだけのハードなワークに付き合ってくれた生徒に感謝したい。
 生徒が奇数なので、教師も参加したが、思わず楽しんでしまった。いい自己開示にはなったのではないだろうか。僕も恥ずかしがり屋の方だが、だれでもできるかといえば、ノーだろう。何度も言うが、体を動かすワークは難しい。でも、生徒は新鮮に受け止めてくれたようだ。でも、ふりかえりシートに「恥ずかしかった」と書いてくれた生徒には、これからのワークでは配慮が必要だろう。生徒は面と向かったコミュニケーションが苦手な生徒が多いことが改めて確認できた。


参考文献
Lesson1 コミュニケーションとは
『コーチングマネジメント』伊藤守(Discover)2002
『ピア・カウンセリング入門』ヒューマックス編(オーエス出版社)2001
Lesson2 非言語技法
『手にとるように心理学がわかる本』渋谷昌三(かんき出版)1999
『ピアヘルパーハンドブック』日本教育カウンセラー協会編(図書文化)2001
『人づきあいの技術』相川充(サイエンス社)2000



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