夢の!USA遠征記
Are You Ready For Some Football?
ぼくがアメリカンフットボールの魅力を知ったのは、中学3年の冬。観るスポーツといえば野球(西武)か
相撲(千代の富士)しか知らず、まだJリーグも存在しない頃だった。深夜に放送されていたNFL中継を見た
ぼくは、たちまちアメフトのとりこになった。
…ゲームとしての緻密さ、合理性、そしてカッコよさ。高1の夏には幸運にもアメリカでホームステイする機会があり、その縁でミネソタ・バイキングスという
応援チームもできた。その後、大学の夏休みにホームステイ先を再訪しがてらアメリカ横断に挑戦し、大リーグとMLS(サッカー)を
観戦した。それはもちろんすばらしい経験だったけれど、9月開幕のNFLは観ることができなかったのは
心残りだった。
社会人になっては、長い休みを取ることも難しくなり、NFLは夢のままになっていた。それが2009年、秋の「シルバーウィーク」の登場で、連休に数日の有給を付ければ、10日程度の休みを
取ることができるようになった。その年はバイキングスのホームゲームの日程が合わず断念したが、
生のNFL観戦が急に現実味を帯びてきた。
その年、我がバイキングスは数々の通算パス記録を持つ鉄人ブレット・ファーヴを司令塔に迎え、
悲願のスーパーボウル制覇を目指した
(ぼくが応援し始めてから20年、バイキングスがスーパーボウルに出たことはまだない)。
かつて3年連続でMVPに輝いた名QBとはいえ、シーズン中に40才になる大ベテランの獲得を疑問視する
声も大きかったが、ファーヴは彼の魅力でもあった強引なプレーをあえて封印し、正確なパスと強烈な
キャプテンシーでチームを上昇気流に乗せた。
地区優勝を果たし、プレーオフでも順調に勝ち上がったバイキングスは、スーパーボウル出場をかけた
大一番に臨んだ。この試合は点の取り合いとなったが、同点で迎えた終了間際にファーヴの見せ場が
やってきた。これまで幾度となく終盤に決定的な仕事をしてきた彼の豪腕はここでも冴えを見せ、
フィールドゴールでの勝ち越しが可能なラインまで攻め込んだ。あと一歩、ほんとうにあと一歩だったのだが…一気に試合を決めにかかったファーヴのパスは、相手選手の
胸に吸い込まれた。今シーズン最高のヒーローが、最後の最後に犯した、彼らしいミス。勝機を逸した
バイキングスは延長戦の末に敗れた。
それは自分のスポーツ観戦歴の中でも、最もくやしい出来事だった。また来年などという言葉は、栄枯盛衰の
激しいNFLでは何のなぐさめにもならない。ましてファーヴの年齢を考えれば…。
彼は進退を明言しないまま、フィールドを後にした。しかし2010年初夏、ファーヴが現役続行のためトレーニングを開始したというニュースが飛び込んできた。
勝負の世界に「次」はあるのか? ファーヴ最後の戦いをこの目で観たい…!
こうして、ぼくははじめてのNFL参戦を決めた。
その@ あこがれのNFL (ミネアポリス・メトロドーム)
そのA 月夜の夢 (ミネアポリス・ターゲットフィールド)
そのB 世界一有名な球場 (シカゴ・リグレーフィールド)
そのC アメリカでサッカーを (シカゴ・トヨタパーク)