雑木林のぬしの里山講座 
その6 水が荒れるとは何の事?
雑木林のぬしINDEXへ
リリオホームへ戻る

てっちくん 主さん、9月に入って雨がつづくねェ
これを秋の長雨「秋雨」って言うネン
てっちくん 何か、なまってない?
まあ、それは置いといて。
ちょっと降り過ぎの感はあるねえ
しかも、局地的に大雨があるもんだから、いろんなところで山がくずれている。
山が健康ならここまでひどくならないんだろうけど、大変な事だね。
てっちくん そういえば、今回は水が荒れるってことだけれど、そういう意味なの?
ま、それもあるけど、実はもっと大変な事もあるんだよ。
てっちくん 例えば?
うーん、例えばカキがとれなくなるとか。
てっちくん カキってサルカニ合戦の?
おーい、そんなとこでボケかまさないの!海の牡蠣! オイスターのこと!
てっちくん へ???なんでそんなところで海のカキがでてくるの。
カキは、今や養殖物全盛だね。
おいしいカキは、良い川の河口から遠くないところで養殖される。
たとえ短くてもいいから、養殖場の近くに川があった方がいいんだ。
てっちくん すると、山が荒れて土砂が流されるとカキの養殖に悪い影響がでるんだ。
あんまり先走ると結論まちがうよ。
てっちくん 違うの?
それも重大な影響なんだけれど、それだけじゃない。
カキがおいしいのは、多量にミネラル分を含んでいるからなんだ、カルシウムや鉄分なんかをね。
てっちくん それで?
このミネラルは、主に山から川を伝って海に流れ込んでいる。
てっちくん ふんふん。
でも、直接 土砂から流れでるわけではないんだよ。
てっちくん ふーん。
一度、植物の体を通して流れ出たものでなければ意味がないんだ。
てっちくん はあ?
つまりね、動物が利用できるミネラルっていうのは、鉱物をそのままではなくて、植物の体を一度作ってからでないと吸収できないんだよ。
植物っていうのは食物連鎖の土台でしょ。動物は、直接・間接に植物を食べているわけじゃん。
てっちくん まあ、そうだね。
海の生物も一緒。海水に溶け込んでいるミネラルを植物が固定して、それを動物がたべる。
てっちくん で、それと山が荒れるのと、どう関係するの?
なにか最近せっかちになってないかい?
てっちくん 何言ってんの、主さんのほうが気ガ短いじゃないの、それに、忙しくて山にも行けないって愚痴をこぼしていたのはだれ。
えへへ、その件はこっちに置いといて。
 さて、前に今の日本の山は、スギ・ヒノキなどの拡大造林が進んでいるといったよね、しかも手入れが行き届かない。
てっちくん うん、それで山に落ち葉が少なくなって。。
そう、そこだよ問題は。
てっちくん 川の底?海の底?
何ぼけてんの!
スギ・ヒノキの葉は、なかなか分解されない。て事は、植物が固定したミネラルを動物が利用しにくくなっている。落葉広葉樹の場合は、落ちた葉が分解される過程で、水に溶けて川を伝って海にミネラル分が流されていく、それを海の生物が利用する。で、植物プランクトンが育成し、それをカキが食べる。
てっちくん すると丸々と太ったカキが食べられる。 てわけだね。
その通り、チョット冴えてきたね。
それに気づいた漁師さんたちや、養殖業者さんたちは、山に落葉広葉樹を植える活動を始めているね。
てっちくん 漁師が山に登るか。
最近、磯焼けっていう現象が沿岸でいわれているけど、この原因の一つが川の水の栄養不足だって言われている。
いままでの海草が育たなくなって、石灰質のカラをもった藻が増えてしまったのが、磯焼けなんだけれど、こうなると魚の産卵場所は無くなるわ、エビ・カニも住まないわけで、海の砂漠化なんて言われているね。
てっちくん いやあ、陸も海も砂漠ですか、こりゃ大変だあ、何か対策ないの?
即効性のあるのは、無い。
地道に山を維持したり、山の植生を回復したり、川の生気を回復したりの地道な作業の積み重ね以外には難しいね。
てっちくん うーん、山はスギ・ヒノキの拡大造林が放置され、川はコンクリートで固められ、ダムやなんかで寸断されて…じゃあ無理かな?
 ま、その辺はどうにかしようという気があればなんとかなるんだろうけどね。
もともとは、漁師さんたちは、森を大切にしてきたんだよ。「魚付林」とかいってね。 必ず漁ができる場所を守ってきていたんだ。それが、いつのまにか忘れられて行ったのか、ここに来て復活しはじめたってことかな。
てっちくん 少しは、未来に期待がもてる、 てことかな。
じゃ、わたしは出かけるからね、禁猟も近いし。
てっちくん あれ、店はどうするの? ねぇ。
またねェ
てっちくん いっちゃった。
BACK NEXT
雑木林のぬしINDEXへ
リリオホームへ戻る