てっちくん | あれ? 主さん何やってんの? |
主 | やあ、てっちくん。 なにか「あっ」という間に8月も終わったねェ。 今年の夏はどうだった? |
てっちくん | そうそう 今年は山にカブトムシが少なかったよ。 去年は異常にはやくて犬山で5月末には出てくるし、今年は少ないし何か関わりがあるのかなあ。 それと、いつも虫のいた木が何本も切られていたりして。 |
主 | 木を切られたのは残念だねぇ、他人の土地だから何も言えないけれど。 でも、今年のガブトムシの少ないのは、その影響では無いと思うよ。 たぶん、去年の秋の台風の大雨でやられたんじゃないかなあ、最近は 山の保水力が小さくなってすぐに災害をおこすからね。 |
てっちくん | そうそう、水といえば。 |
主 | 今回のテーマは「水」だったね。 まあ、ブナ林がみどりのダムとして有名になったから知っていると思うけど・・・。 ブナ林を1とするとスギやヒノキは1/10、草原ではさらにその1/10の保水力しかもっていないと、いわれているね。 |
てっちくん | じゃ、いわゆる里山は? |
主 | しっかり手入れしてある里山ならばブナ林程ではないにしろ、近いものがあるだろうね。 実は、データが無いんだよ。 いずれにしても、落葉樹系の方が常緑樹林よりも保水力が高い事は確かだね。 なぜそうなるかというと、落葉樹は一時期に大量の落ち葉をつくる。しかも、冬場に。 |
てっちくん | 枯れ葉よ〜♪ |
主 | 何・・・、君はいくつだ? |
てっちくん | 落ち葉の下って暖かいんだよね。 それに落ち葉を集めて… |
主 | 芋でも焼くのか? |
てっちくん | うん。 |
主 | で、大量に降り重なった落ち葉のしたで虫や小動物が活躍する。 落ち葉を食べたり、分解したり、その時に発生する熱で地中の温度は保たれる。同時に多孔質の空間がつくられる。この隙間に水を蓄える訳だね。 生の枯れ葉だけだと、表面で水がはじかれてしまってダメだけど生物が分解したものは、表面に小さな穴があいているし、カビや菌類が葉っぱ同士をくっつけるからね。水が溜まりやすいんだ。 |
てっちくん | じゃあどうして、常緑樹はダメなの? |
主 | ダメじゃないさ、常緑の広葉樹ならそれ程問題にならない。 でも、一時的に大量に葉が落ちるということが無く、徐々に落ちるということで、表面に溜まる層が少なくなる。それが温度の高さによってすぐに分解されてしまう。だから保水能力は少し下がるのは、否めないね。 |
てっちくん | で、針葉樹は? |
主 | うん、針葉樹は、防虫・防カビ材としても使うヒノキチオールなどの精油分を葉にも持っている。 で、なかなか虫や菌を寄せ付けない。ということは、分解されにくい。 と、いうことやね。 |
てっちくん | でも、あの匂いは好きなんだけどナ、 ヒノキ風呂なんていいじゃん。 |
主 | まあ、少しくらいならね。 でも、密閉空間にヒノキやスギの生チップと一緒に入ったりすると…。 |
てっちくん | どうなるの? |
主 | そやってみるかい? まあ、近い状況としては、よくカブトムシを飼うのに「オガクズが良い」なんて言って、製材所の生のオガクズをもらってきたりして、虫を入れておくと、あっけなく死んじゃたりするんだけど、あれは針葉樹の生だから死んだのであって、虫の寿命というわけではないんだよ。 そうなりたい? まあ、日本の木造建築なんてスギやヒノキをふんだんに使うけれど、あれはある程度、精気を抜いたものを用いて、開放空間だからできることでね。今の気密性の高い住宅にふんだんに使ったら、防虫・防カビ効果抜群! ついでに…なんて事になるかもね。 |
てっちくん | 脅かさないでよ。 |
主 | はっはっはっで、分解されないから水は表面を上滑りして流れてしまう。まあ、充分に手入れのいきとどいた、つまり間伐などがしっかりしてあればもう少し事情がかわってくるんだけどね。 |
てっちくん | ここでもやっぱり手入れが… |
主 | サツの手入れとちゃうねん。 |
てっちくん | 何言っとんの? |
主 | ゴホン、 ということで広葉樹林の方が保水力が高いということは、いいかな?で、降った雨は、落ち葉の分厚い層(腐食土っていうんだよ)を通って岩石層に達する。 ここも、表面は小動物によって耕されているから、さらに地下の岩石層にへと染み込んでいく。やがてその水が、不透過層の上に滞まって地下水になったり、流れて地下水脈になるわけだね。 これが地表にでると、泉になったり川になる。 このシステムを人工的にやっているのが、浄水場であり、下水処理場でもあるわけだ。 |
てっちくん | ふーん、それで森が水をつくるというこっちゃね。 |
主 | 森が荒れると、水も荒れるのだよ、ついでに水の中まで荒れちゃうんだからたいへんだァ! とは、また今度。 |