雑木林のぬしの里山講座 
その2 里山の山は、どうゆうの?
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てっちくん、NHKスペシャル「里山」見た?
てっちくん 見た、見た。きれいな映像だったねぇ。
ナマズの子もかわいかった。 親よりひげの数が多かったのは、ちょっとびっくり、ありゃオタマちゃんとはぜんぜん違うね。
あれは、「里山」の「里」に力点を置いた映像だったけど、しっかり「里山」の事を描けていたね。
さて、前回の話の続きだけど。
てっちくん そうそう、「里山」の「畑」の話
その前に、人の生活に何が必要かを考えてみよう。
てっちくん えっと、衣食住というから…
そう、じゃあまず衣服から、衣服は何から作る?
てっちくん 糸でしょ。
糸は何から作る?
てっちくん 糸はー、絹糸はカイコ。木綿は綿。麻は麻。毛糸は動物。
そのうち、日本では毛糸(ウール)は発達しなかったね。
じゃあ、一つづつ見ていくよ。まず、絹糸はカイコから採る。カイコは、桑を食べる。桑は水はけのよい土地でつくる。丘や河川敷でもね、あとは野蚕ね。絹糸は、天然素材の中でも最高の物なんだ、強く軽く暖かく、涼しい。
合成繊維の目標は、絹糸なんだよ。合成繊維が発達したのは、第二次大戦で日本から絹糸が入らなくなったアメリカが代替物として必要だったんだね。
てっちくん へぇー、合成繊維は戦争の副産物だったのか。
次に木綿、木綿が日本で作られるようになったのは戦国時代の頃で割と新しい。 主な産地は、大阪と三河だね。これは、ほぼ最初から商品作物だったから「里山」とは余り接点がない。
てっちくん じゃあ麻は?
麻も畑。 あとは、いろいろな草や木の繊維を工夫して糸を作っていたようだよ。
てっちくん ふーん、じゃあ次は、食ね。
主食の米は水田で、あとは畑や田の裏作でね。麦とかひえ・あわ・きびなんかだね。山地ではきびが主食だったようだよ。
てっちくん 主食以外は?
甘味料としての柿なんかは里でよく作ったね。山地や、北の方では、渋柿をつくって干し柿にした。砂糖が普及するまでは、干し柿が主な甘い物だったんだ。あとは、蜂蜜。日本で養蜂が始まったのは、奈良時代の頃と考えられている。それ以前は、野生の蜜を利用していたんだ。いまでも山間部にいくとやっているところもあるよ。それと、栗だね。 栗は、三内丸山でどうやら縄文時代から栽培されていたらしい。もう一つは、クルミ。保存食として利用された。その他にも、山菜・野草の類は、多いよ。
てっちくん 最近の山菜ブームは、一種の回帰現象なのか。
山菜類が多く採れるのも手入れの行き届いた雑木林・・すなわちこれを「山」というのだけれど…が維持されたからだね。
てっちくん なんか植物性のものばっかりじゃん、動物性タンパクはどうなの?
水田の水路やため池にいる魚やエビ・カニ・貝類。あとは、ワナを利用して動物を捕っていた。 江戸時代には、寺門の物が鳥・獣を肉として供給していたよ。山間部では昆虫食も多かったね。
てっちくん ああ、蜂の子やイナゴ・ザザムシなんかね。
最近、昆虫食は肉にかわるタンパク源として注目されているれど欧米以外では日常的にやっていたことなんだよ。
てっちくん 木の利用はどうなの?
これは、雑木については薪や炭だね。大体コナラ・くぬぎの類は、一度切っても、切り株からたくさんの芽が出る。 この芽の成長は早くて、普通にのびる枝より三倍以上も伸びる事もある。
てっちくん へぇー切ると伸びるのか?
うん、こうして伸びた枝のうち成長の良い枝だけ残して、あとは切る。
これを「シバ刈り」と言うんだよ。
てっちくん あの、昔話の「おじいさんは、山へシバ刈りに…」のシバかい?
そう。
てっちくん あれは、「芝刈り」かと思っていたよ。
漢字でかけば「柴刈り」、意味では「枝葉刈り」の方がわかりやすいね。「柴」は、火を起こす時の焚き着けに使ったりしたんだ。そして葉っぱは、堆肥にする。 また「刈り敷き」といって、葉のついた枝を田にすき込んだりしたんだ。
てっちくん 木材は?
 日本では、スギ・ヒノキが濃密だったから、雑木を木材に利用することは少なかった。 鉄器の普及が遅れたのも一因かな。でもヨーロッパでは、重要な木材資源だったんだ。日本で利用されたのは、大黒柱としてケヤキなど、梁として松類ぐらいかな、あと細かい造作では色々使ったようだね。この辺が「住」かな。だから「山」は、生活に必要な物のほとんどを生産する場でもあったんだ。
 家の「山」はもちろん、村の「山」も、村人総出で守ってきたんだ。これが崩れはじめたのは実は、明治維新だったんだけれど、これについては、また今度。
てっちくん そんなもったいつけなくても。
へへ…
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