公開資料 25 「リーダーへのスーパービジョン」(片野智治)                 

1.世界のあいさつ(担当:Jam)
【ねらい】信頼体験
【内容】いろいろな国のあいさつをポーズ付きで。身体を動かし,リラックス!!
【スーパービジョン】
○よかった点
・基本中の基本であるデモンストレーションをおさえている
・インストラクションの説明が長くなかったのはよい。
○改善点
・あいさつがなぜ,信頼体験やリレーションづくりにつながるのか,その心理学的な根拠を持つとよい。例えば,「中国のあいさつでは相手の人の目をしっかり見てください」,「アメリカのあいさつではハイタッチをしてください」と指示した後で,「アイコンタクトとスキンシップが愛情交流の二つをカバーするものです。ですから,リレーションづくりに効果的です」と根拠を示せば,リーダーとして迫力が出てくる。子どもにやるときにはそのような説明はいらない。しかし,大人相手にリーダーをするなら,それくらい言った方がいい。大人を動かすには理論的な裏付けもあると強い。
○その他
・皆,ニコニコやっていたが,私の場合は,せいぜい二つくらいしか気持ちが乗れないだろうと感じた。
 
2.四つの窓(担当:スプリング)
【ねらい】自己・他者理解
【内容】四つの選択肢からお気に入りを選んでみましょう。様々な価値観に気づくかな?
「二者択一」の応用編。
【スーパービジョン】
○よかった点
・グループからはぐれてしまった人への対応(他のグループに入ってもらった)はよかった。
・与えられた時間に合わせて,エクササイズの中身を調整したところはよかった。
○改善点
・インストラクションでなぜこのエクササイズを行うようになったのか,その経緯を話していたが必要ない。
・ねらいについて言い切れなかったということだったが,ねらいは自他理解,人様の選択の理由に触れることで,自分を振り返ることになる。触れることでもっと自分を見つめるということだろう。要約すると,個人間の差異から学ぶということ。
・デモンストレーションでは,エクササイズで使うワークシートを使って,「私の場合はこれを選びました。理由は○○です」と伝えればよい。
3.時間半分トーク(担当:KEN)
【ねらい】傾聴
【内容】ペアになった相手の人の話をどれくらい聴けるかな? スキルトレーニング!?
【スーパービジョン】
○よかった点
・インストラクションが大らかでゆっくりした感じでよかった。
・デモンストレーションでメンバーがイメージできたのはよかった。
○改善点
・ねらいには「自己主張」も「受け止めてもらう気持ちの良さ」も含まれるということだったが,デモンストレーションを見た限りでは,「自己主張」の感じではなかった。「傾聴」をねらったのなら,次のように説明するとよい。「ねらいは傾聴です。そしてポイントは二つです。話をきちっと受け止めることと,後でそれを要約してフィードバックすることです。」そして,例を挙げて説明するとよい。例えば,「臨終間際の人が死の怖さを語った。あなたの言っている気持ちはわかりますよ,というよりも,その人の言葉を繰り返す,つまり,要約して返す方が相手に沿うという認識がある。ある研究者の調査結果にも示されている。だから,要約して返すスキルは大切である」と言えば,受容と要約がとても大切なことだとメンバーにはわかるだろう。
 
4.私は私のことが好きです。なぜならば………(担当:さゆりん)
【ねらい】自己受容
【内容】グループで順番に自分の好きなところを発表。誰が何と言っても自分が好き!!
【スーパービジョン】
○よかった点
・ねらいの説明が2段構えなのがよかった。ねらいを話し,なぜ,ねらいの「自己受容」が必要なのかを付け加えたことがよかった。
・エクササイズに取り組みたい理由をコンパクトにして伝えたのもよかった。
・終わったときに,自分のコメントをコンパクトにして伝えたのもよかった。
○改善点
・「〜したいと思います」,「ご協力いただきありがとうございます」という言い方はSGEのリーダーにはなじまない。「俺についてこい」方式がSGE。「〜をやります」という言い方がよい。
・ジャンケンで順番を決めているグループがあった。あのような場面は,後で一言伝えるとよい。例えば,「SGEは実存主義の考えが根底に流れている。やりたい人が,『ハイ,やります』と自分から動く積極性を大切にしている。だから,ジャンケンはいまいちだなぁ」など。
 
5.トラスト・フォール(担当:KAZU)
【ねらい】信頼体験
【内容】ペアの人を信じて後ろに倒れる。しかも目を閉じて。どんな自分に気づくかな?
【スーパービジョン】
○よかった点
・インストラクションが簡潔であった。なぜ簡潔なのか。それはインストラクションの仕方を自分の中で反芻しているからだろう。何回も反芻しながらやっていくと,あのような適度な量になっていく。KAZUが「好きなエクササイズ」と言う裏にはそうした作業がある。
・デモンストレーションで,「下の方まで倒すことがねらいではない」と言って,やって見せたのはよかった。
○改善点
・「信頼体験」の「信頼」の意味を言ってみたらどうか。もし,まだそこまで考えが及ばないとしたら,「信頼の意味について考えているが,まだ言葉にならない。」とメンバーに言えばよい。「このエクササイズは信頼体験をねらったエクササイズである。しかし,信頼がどういう意味であるか,皆さんに伝えるものを私はまだ持っていない。でも,今日は皆さんとぜひこのエクササイズをやりたい」と言えば,メンバーに伝わるだろう。
・「100%,120%の信頼ができたかどうか」と質問するが,どういう意味があるのか。むしろ,信頼体験よりも,不安にさせない支え方のスキルにねらいが流れていくように思うが,どうか。
  
        

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