学習会講義資料バックナンバー 1−2
「構成的グループエンカウンター」(structured
group encounter=SGE)
1.目的
グループエンカウンターの目的は「ホンネとホンネの交流のできる人間を育成すること」である。構成法を提唱する國分は,2に詳述するエクササイズとシェアリングによって,「集団内にリレーション(心と心のふれあい)を作ることと個々が自己発見をすること」の二つを目的としていると述べている。
*ジョハリの窓〜自己並びに他者から見た自己の領域を表す概念。ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが提唱した概念であるので,二人の名前をとってこの名称がある。
自分が知っている自分 | 自分が知らない自分 | |
他者が知っている自分 | A 自他にオープンな領域 | B 自己盲点の領域 |
他者が知らない自分 | C 秘密の領域 | D 無意識の領域 |
・構成的グループエンカウンターは「小なるAを大なるA」に拡げていく効果がある。つまり,
Bの領域をAに組み込むにはフィードバックで相手に気づかせてあげることであり,Cの領域をAに組み込むには自己開示して相手に自分を知ってもらうことでAの窓が拡がっていく。
2.内容(2本の柱)
構成的グループエンカウンターは集団学習体験を通して,「リレーション作りと自己発見」,すなわち人間的な自己成長をねらっている。そのねらいに迫るために二つの柱が用意されている。「エクササイズ」と「シェアリング」である。
エクササイズとは心理面の発達を促すための課題であり,自己理解や他者理解,自己受容,自己主張,信頼体験,感受性の促進などをねらっている。エクササイズはカウンセリングの様々な理論に基づいて構成されるものである。
シェアリングとは,わかちあいや振り返りの意味であり,エクササイズを通しての気づきや感情を明確化し,ねらいを定着させる働きを持っている。さらに,一人の生徒の気づきや感情を集団全員が共有する働きもある。
*カウンセリング理論〜大まかに次の八つが挙げられる。精神分析理論,自己理論,行動理論,実存主義,論理療法,交流分析,特性・因子理論,ゲシュタルト理論。SGEの エクササイズはこれらの理論をもとにして,折衷的に,しかもよりマイルドに構成されている。
*ゲームとエクササイズの違い〜ゲームは楽しむもの,エクササイズは自己成長を目指すものであり,必ずしも楽しむものとは限らない。
<参考文献>
・エンカウンター.國分康孝.誠信書房.1981