2002学習会講義資料バックナンバー 6-2  

  ショート講義「面接の基礎(工事)」  担当:あさとも

※かなり担当者の偏見・独断が強いレジメです。斜体の部分は簡単に信用せず、十分ご検討下さい。

★「面接」とは? 〜 「特定の目的を持った人が、面と向かった相手と会話をすることによって、その目的を達すること、またはその方法をいう」

★面接の用途(例) @人物試験 A取材などの情報収集 B研究・調査
          Cガイダンス・指導 D診断・評価 E治療 etc.

★「面接」を構成するモノ a.人間(2人以上) b.時間 c.空間 d.目的  e.関係・役割 f.コミュニケーション(非言語・言語) etc.

※上記のどれでも工夫・改善すれば、それだけで個別面接の効果が高まる
  ⇒「個別面接のスキルアップ」になる!
 

A.人間 〜 人格・人間性を高める?
 Aカウンセリング(面接)とは、「聖人が行うことではない」「個人的影響を与えてはイケナイ」と言われるが、(同じことを同じように行うならば)人格・人間性の高い人間が行う方が、効果は上がるに決まっている。
 A面接は1人では出来ない。自分だけでなく、相手の人格も高められれば、更に効果が上がるハズ。さて、どうするか? ⇒ 対等の関係性を保つ。

B.時間 〜 「時間の意味付け」と「枠組みとしての時間」
A面接を「重要な時間」と認識し、それを相手にも伝える・表現する。
  ex. 約束の時間を守る 中座しない同時間に他の予定を入れない etc.
 A集中して聴く為に、面接時間は1時間以内にする。
 A相手が面接に不安・緊張・抵抗などを感じていそうな場合、最初から終了(予定)時間を話しておいても良い。

C.空間 〜 「面接室の環境」と「位置関係・座り方」 ←ケッコウ重要!
 A出来れば、四畳半程度の広さ適度な採光窓があるが、外部からの目が気にならないような部屋。
  調度・備品は、落ち着いて座れる椅子を、余分に用意する(遊び椅子)  絵・カーテン・観葉植物・水槽 火(暖房器具) BGM 飲食物 etc.
 A緊張が高まるので、なるべく真正面に向き合う位置に座らない。
  90度法で、互いの間に何も置かない座り方が無難。
  相手の不安が強ければ、机をはさんだり、同じ方向を向いて並んで座る。
  歩く、ボールいじり、草むしり等、単調な動作をしながら話しても可。

D.目的 〜 何の為に面接するのかを、常に念頭に置く
 A精神科面接の3側面は 1.話を聴く 2.観察する 3.相手と関係を作る
  学校で行う面接でも、目的は上記3つ + 3.の延長として「指導する」が入るのでは?
 A1回の面接でも、面接のすすみ具合で目的が変わることもある。その際でも、「今は何を目的にしているのか?」を見失わないように。
 A「指導」の留意点。拒否範囲の助言を受けた相手は、自己の立場に固執したり、反対の方向に態度変化を起こし易い。逆効果になる恐れがある。

E.関係・役割 〜 「保たねばならない関係」と「普段の役割に囚われない」
 A面接の構造を逸脱し過ぎると、「不適切な関係」に陥り易い(転移・逆転移の作用)。「教育」「援助」の関係であることを、保ち続ける。
 A面接では、相手の話をよく聴くことが重要。しかし、普段の役割にとらわれたままでは、話し難い・聴き続けられない雰囲気になることも....。
  (ex.教師−生徒役割では、生徒は校則違反の話をし難く、教師は途中で叱責・指導を入れたくなる)
 Aその為にも、面接の当事者同士は対等の関係であり、相手を尊重することを銘記する。

F.コミュニケーション 〜 「非言語」と「言語」
 A主要な非言語コミュニケーションのメディア →  @人体(性別・体格・年齢など) A動作(姿勢・動き) B目 C周辺言語(音声特徴)
  D沈黙 E身体接触 F対人的空間(距離・位置など) G時間(タイミング・スケジュールなど) H色彩 
 A特に視線 → 視線の高さは同じくらいにする
  長時間「目を見て話す」のは苦痛。時々そらし、時々(重要な時にはなるべく)視線をあわせる
  「面接中に目をそらせるポイント」(Cの調度・備品)を用意する
  アイコンタクトで、相手の「話したい」気持ち・「話を終わらせたい」気持ちを察する

 参考文献
・東山紘久 『プロカウンセラーの聞く技術』 創元社
・神田橋條治 『精神科診断面接のコツ』 岩崎学術出版社
・河合隼雄 『心理療法論考』 新曜社
・河合隼雄 『カウンセリングの実際問題』 誠信書房
・国分康孝 『カウンセリングの技法』 誠信書房
・黒田正典・徳田安俊・木村進 『応用的見地からの一般心理学』 八千代出版
・外林大作・辻正三・島津一夫・能見義博 『誠信心理学事典』 誠信書房  
・マジョリー・F・ヴァーガス 『非言語コミュニケーション』 新潮選書

 
 

back