自分も相手も大切にするコミュニケーション;アサーショントレーニング
担当 じゃむ
1.アサーションとは?
あるアメリカの心理学者は人間関係の持ち方には大きく分けて3つのタイプがあると言っています。第1は自分のことだけ考えて他者を踏みにじるやり方(攻撃的・aggressive),第2は自分よりも他者を常に優先にし,自分のことを後回しにするやりかた(非主張的・non-assertive),第3は自分のことをまず考えるが他者をも配慮するやりかた(assertive)です。アサーションとはこの3つの中では第3のやりかたのことを言います。 (引用;平木典子「アサーショントレーニング」)
アサーティブ・・・@自分を卑下したり相手を見下さない
A自分の気持ちにうそをつかない
B言いたいことを率直に伝える
C自分の行動に責任をもつ
※アサーティブを意識して「10秒会話」をしてみよう。
@会話をはじめる。(目を見る・あいさつをする・握手をする・自己紹介をする)
A会話を続ける。(自分のことを話す・相手に質問する)
B会話を終える。(会話を切る言葉を出す・さっと去る)
2.アサーションチェック
1.すでに始まっている会話に加わることができますか。
2.情報が欲しいと思った時,説明を求められますか。
3.食事や買い物,映画やパーティーに一人で行けますか。
4.自分が間違っているとき,それを素直に認められますか。
5.助けが欲しい時,人にそれを言えますか。
6.自分がとても緊張している時,それを認められますか。
7.自分の良いところや達成したことを人に言いますか。
8.会話から抜け出しその場を去ることができますか。
9.他の人と異なる意見や感じをもった時,それを言いますか。
10.他人の良い点をほめることができますか。
11.不当な要求をこばむことができますか。
12.押し売りやキャッチセールスを断れますか。
13.助けを求められたが断りたいとき,断れますか。
14.長話や長電話を切りたいと思ったとき,そうできますか。
15.ほめ言葉やプレゼントを素直に受け取れますか。
16.気のすすまない会合を断ることができますか。
17.店で注文したものとは違うものが届いた場合,それを言って交渉できますか。
18.好意をもっている人からの誘いを断れますか。
19.話に割り込んできた人にそれを言えますか。
20.自分の行為が批判された時,受け答えができますか。
3.子供に必要なアサーションは?
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※子どものためのアサーショングループワークの実際は こちらをごらんください。 http://homepage2.nifty.com/jamneko/index.htm 「エンカウンターで学級が変わる」 |
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4.アサーティブなコミュニケーションをするために
アサーティブなコミュニケーションをするためには,ものの見方考え方が影響します。
人の言動のもとになるものの見方考え方の問題点を指摘し,自己成長と人間関係のあり方に大きな影響を与え,貢献した人は「論理療法」の創唱者A・エリスです。エリスは「感情は考えに対する反応であり,考えは状況に対する反応だ」と述べています。エリスによると,感情とは何らかの状況や出来事に対して抱いたり,状況から引き起こされる反応であるかのように思われているけれども,そうではないと言うのです。つまり,感情は,実はものごとそのものへの直接の感情ということはなく,ものごとを人がどう受け止めたかによって引き起こされるというわけです。
エリスの理論は,「ABCD理論」とも呼ばれ,英語の語呂合わせを楽しみながら次のように説明されています。
A(Activing event)物事を引き起こすような出来事
B(Belief)信念,思いこみ
C(Consequence)結果,問題,悩み,症状など
D(Dispute)論破,論駁
(引用;平木典子「アサーショントレーニング」)
例えば,
A:レストランの禁煙席でタバコをすっている人がいた。
B1:「なんて失礼で自分勝手な人なんだろう絶対に許せない」
C1:「あの!煙いんですけど!」と強い調子で相手を非難する。
B2:「私さえ我慢すれば相手の気分を害さなくて済む」
C2:黙って耐える。
B3:「私の気分に相手はいつも注目するべきだし,決して私を不快にさせてはならない」
C3:わざとらしく咳き込み「人が食事してるのによくタバコなんか吸えるわよね」と本 人以外に向かって言う。
B4:「私が不快に思っていることを伝えない限り相手には分からない。やめてくれると は限らないがダメでもともと頼んでみよう。」
C4:「タバコが苦手なので食事中は控えて頂けますか?」と伝える。
※実践!アサーショントレーニング「それはお断りー自己主張のエクササイズー」
アサーティブなコミュニケーションをするためには,次のような順を追って話をするようにします。ロールプレイが有効なトレーニングになります。
タバコが煙い 困っている やめてほしい お願いします
・3人組を作る
・自分が貸したくない大切なものを決める
・一人ががそれを「貸して」と言い,一人がが断り続ける。一人は見ていて必要に応じて アドバイスをする。(2分)
・最後には「いいよ。」と言う。
・役割を交代する。
・振り返り用紙記入。
・感想を話し合う。(グループシェアリング)
参考・引用文献
平木典子著 アサーショントレーニング−さわやかな<自己表現>のために− 金子書房
園田雅代・中釜洋子著 子どものためのアサーショングループワーク 金子書房
「子どもに必要なアサーション」
國分康孝監修 ソーシャルスキル教育で子どもが変わる 小学校 図書文化
「考え方をチェンジ」
國分康孝監修 エンカウンターで学級が変わる 中学校編 図書文化
「それはお断り 自己主張のエクササイズ」
國分康孝監修 エンカウンターで学級が変わる ショートエクササイズ集Part2 図書文化