2002学習会講義資料バックナンバー 2-2  

 
交流分析理論より;「ストローク論」
 
1.交流分析(TA;トランザクショナル・アナリシス)とは?
(1)定義
 「一つのパーソナリティ理論であり,個人が変化し成長するための系統だった心理療法である。」
 
(2)主要概念
@自我状態(構造分析) A交流分析(やりとり分析) Bストローク C時間の構造化D人生の基本的立場 E人生脚本 F値引き Gゲーム Hラケット Iスタンプ
 
(3)支える哲学
・人は皆OK
・誰でも考える能力を持っている。(脳に損傷のない限り)
・自分の運命は自分で決め,その決定は自分が変えることができる。
 
2.ストローク論
(1)ストロークの定義
・定義;相手の存在や価値を認めるような様々な刺激のことをストロークという。
・辞書的な意味は,「なでる,さする」という愛撫的な意味である。
 
(2)ストロークを与えたり,もらったりする手段
・ストロークを与えたり,もらったりする手段に次の三つのことがある。
 @スキンシップによる;子どもを抱きしめる,握手をする,肩を抱くなど
 A言語による;あいさつをする,話しかける,褒める,励ますなど。
 B非言語による;うなづく,見つめる,傾聴するなど。
 
(3)ストロークの内容
・肯定的ストローク − 否定的ストローク
・条件付きストローク − 無条件ストローク
*上段と下段のストロークが組み合わさる。例〜試験に合格したら,すごいと思うなぁ。(条件付きの肯定的ストローク)
 
(4)ストロークの法則
・「人はプラスのストロークを求めるものである。しかしながら,それが得られない時には,マイナスのストロークを求めてしまう。」 例〜お母さんに褒められたいと思っている子どもが,それがかなわないとなると,叱られるようなことをする。マイナスのストロークを挑発するような行動をとることが多い。ストロークがないよりはあった方がいい。「僕のことをかまってよ」というサインでもある。
・「人は条件付きのストロークを与えられ続けると,自分自身は真のストロークを受けるに値しない人間であると感じるようになってしまう。」 例〜いつでも,他人の評価や価値観に左右される人間
・「ストロークは銀行と同じ。相手に与えてばかりいると,そのうち『預金』が底をついてしまう。」
 
(5)メンタルヘルスに生かす『ストロークプラン』
 日常生活において,十分なストロークを得て,より豊かな人間関係を作るためには,次のような「ストロークプラン」を立てるとよい。肯定的ストロークをお互いに交換しあい,自分自身のストロークが赤字にならないようにするためのキーポイントは次の点である。
 
@与えるべきストロークがあれば,惜しみなく周りに与えよう!!;身近な人に三つの手段を使って惜しみなく。(上司,夫や妻,友だちにたっぷりと)
 
A欲しいストロークは要求しよう!!;FC(自由な子どもの心)を使って,明るく,楽しく要求するようなプランづくりをしよう。身近な人の名前を書き出し,その人から欲しいストロークを紙に書き出してみてもいい。例〜「来週の水曜日は私たちの結婚記念日ね」,「この服,似合うかしら」など。
 
B欲しいと思っているストロークが来たら,喜んで受け取ろう!!;謙遜の美徳よりも,欧米人のように素直に「ありがとう」と言えばよい。「とてもうれしいです」と素直に受ければよい。
 
C欲しくないストロークが来たら上手に断ろう!!;「服のセンス悪いね」,「あなたは何の取り柄もないね」と言われたら,「そう思うのね」,「なるほど,そうかもね。どうすればいいかしら」と,A(大人の心)で冷静に受け止め,中立的な立場を崩さなければよい。
 
Dストロークが不足したら,自分で自分にストロークを与えよう!!;鏡に向かって自分を褒めればよい。何かで失敗した時,「あの時には上手にやれたじゃない。だから,次は大丈夫」と言ってやればよい。
 

☆エクササイズ;「プラスストロークの交換」
(ねらい)お互いのストローク貯金を増やし合う。
(内容)ペアになる。日頃,相手に感じている好印象,今日のかかわりの中で感じた
   好印象を伝え合う。時間は90秒。
 
 
*参考;「ターゲットストローク」;関心を持っている,認めてほしい,求めているストローク。例;キッチンドリンカーになってしまった妻が夫に求めているターゲットストロークは,夫の優しさや愛情だろう。ターゲットストロークを与えたり,もらったりすることで,自他の感情は肯定的になり,スムーズな対人関係が生まれる。
 
<参考・引用資料>
・第24回カウンセリング研修会資料集,繁田千恵,2002
・交流分析のすすめ,杉田峰康,日本文化科学社,1990
 

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