つながりのわーく(5)

前時のグループワークのふりかえりをじっくりする。

1.「ウィンター・サバイバル ふりかえりシート」を配布する。
2.問題解決のポイントを説明する。
 ・問題の状況や解決の手順を確かめる。
 ・自分の意見を筋道立てて説明する。
 ・他の人の意見をしっかり聞いて理解する。
 ・多くの人が発言できるようにする。
 ・全員が納得するまで十分に話し合う。
 ・時間に注意する。
3.各自で1〜3を記入する。
4.グループになって、交流する。
5.グループでふりかえりシートを回して、4〜5をする。
6.グループ内の役割について説明する。
リーダー      目標に向かってグループをリードする。
コーディネーター  意見を聞いてほめたり支持したりしてまとめる。
アイデア・メーカー 前向きな意見を出す。
ムード・メーカー  グループの雰囲気を盛り上げる。
チェッカー     意見をチェックする。
サポーター     時間を計ったり記録をしたりする。
 逆に、うまくいかないグループでは、次のような役割になっている。
ボス とにかくリーダーになろうとし、他の人の意見を軽く扱ったり、強引に進めようとする。
トラブル・メーカー アイデアメーカーやムードメーカーになろうとするが、全体の流れや雰囲気が読めずに問題を引き起こす。
イエスマン     周りに合わせすぎて自分の意見を持たない。
アウトサイダー   話し合いにあまり参加しない。

 うまくいく、うまくいかないは、役割の違いというよりは、その人に行き過ぎた所があったり、他に目的があったりすることが原因になることが多い。

自分の人間関係の特徴について考える。

1.「人間関係チェックシート」を配布する。
2.5段階で回答させる。
3.集計させ、下の表に記入させる。
4.人間関係について説明する。
 1)ドイツの精神科医のホーナイは、人間は世の中でいつも不安を感じていて、それを解消しようとして、3種類の行動をすると考えた。さらに、それぞれ好ましい関係と好ましくない関係がある。
 2)T=人とつながろうとする動き。
    g=愛情、連帯感。人とのつながりを大切にし、誰とでも親しくなろうとする。
    p=他者基準、同調。自信がなく、できるだけ人に頼って合わせようとする。
  A=人に反発しようとする動き
    g=企画力、指導力。人の先頭に立って、自分で計画して実行する。
    p=攻撃性、嫉妬心。他人はすべてライバルだと考えて、攻撃的になる。
  I=人から離れようとする動き
    g=責任感、独創性、謙虚。みんなで楽しくやるよりも、一人でコツコツ取り組む。
    p=優越感、孤独。人間関係がわずらわしく、協調性がない。
5.リーダー性について解説する。
 1)社会心理学者の三隅は、リーダーシップの機能を2つに分類しPM理論を提唱した。
 2)目標達成機能「P」(performance)
  ・グループの目標を達成するために計画を立てたり、メンバーに指示や命令を与えることを重視する。
  集団維持機能「M」(maintenance)
  ・メンバーの立場を理解し、グループ内に友好的な雰囲気をつくったり、集団の結束を維持することを重視する。
 3)リーダーが多く持っている場合を大文字でP・M、少ない場合を小文字でp・mと表す。
  組み合わせによって、リーダーのタイプを4つに分類する。
  PM型=理想タイプ。目標達成を目指しながら、集団の人間関係にも気を配り、いい雰囲気を作る。集団の生産性やメンバーの満足度が非常に高い。
  P型 =猛烈タイプ。目標達成に重点を置き、人間関係には気を使わないので、雰囲気が悪くなったり敵を作りやすくなる。重要な仕事を立ち上げる時や、深刻な問題に直面
している時に力を発揮する。
  M型 =調整タイプ。集団の人間関係に気を配り良い雰囲気を作るが、目標はあまり達成できない。活動が軌道に乗り順調に行き始めた時に力を発揮する。
  pm型=非リーダータイプ。目標達成にも、人間関係にも消極的で、指導者としては向いていない。
                                            
6.「わたしの人間関係」を配布して、課題にする。
7.ふりかえりシートを配布して書かせる。

生徒の感想
 
1)自分は聞き役ばかりなのでもっと自分の意見を出していこうと思いました。▼2)自分がリーダー的な存在に見られていたことがうれしかった。人間関係のチェックは面白かった。▼3)意見をまとめるのが今回特に難しかった。自分でもリーダーに向いていないと思ったが、本当に向いていないという結果になって少しショックでした。▼4)理想のタイプだったけど、自分ではそう思えなかった。攻撃性、嫉妬心が低くて自分は争いごとが嫌いなのがよく分かった。▼5)今までリーダー性とかないと思っていたのに、知らず知らずの内にしていたようでびっくりした。▼6)自分の傾向が分かったのでよかったし、当たっていた気がした。その傾向の長所がしれたことがよかったけれど、短所が知れたことが改善していく上でよかった。▼7)自分がリーダーに向いているとか、どういう人間関係を持っているかが分かった。複雑だなぁと思った。▼8)自分がどう思われているかとか聞けて楽しかった。リーダーには向いてないと思っていたけど、少し自信がついた気がする。▼9)この前の授業の振りかえりをして、懐かしい気持ちになった。相手がどう見ているかなどがよく分かりました。▼10)自分は集団の中でどんな役割を果たすとか興味が持てました。参考にしたいと思います。▼11)みんなで楽しめてやれた。人にはいろいろな役割があってトラブルメーカーも必要だと思った。▼12)自分ではそう思っていなかったのですが、みんな私はグループの動きを調整したり、積極的に発言していると見てくれているのをチェック表で初めて知った。自分が思う自分と他人が自分を見るのとでは見方が違うんだなと思った。
10
理解ができたか
興味が持てたか
役に立ちそうか

教師の感想
 
おかしな話ですが、グループワークをして初めてじっくり振り返りの時間をとった。いつもは1時間の枠の中で実習と振り返りをしてしまうので、不十分にしかできなかった。5日前のワークを、しかも土日を挟んで振り返るのは難しいけれど、生徒はよくしてくれました。その中で、意外な一面を認められてうれしく思っている生徒も多く、よい時間を持てたと思う。当たり前だけど、振り返りは大事、その時間をどのようにとるかだ。また、役割であるが、リーダーだけが偉いのではない。「船頭多くして船山に登る」の諺にもあるように、リーダーだけでは物事は進まない。それぞれの役割に等しく価値があることをしっかり教えていく必要を感じた。

 



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