第4章 技法の学習
問題を聴く   内容の反映   感情の反映
 
2.問題を聴く
最近親友だったM君とうまくいかないことに悩んでいるB君の事例です。
 
2−1 生徒 M君とうまくいっていないんです。
教師 a.いつから親友になったの 
b.もう少し話してくれるかなぁ。 
c.M君とは口をきかないのか。
  
2−2 生徒 もう駄目です。お互い口もきかないし。楽しくない。
教師 a.どんなことがあったの。 
b.どうしたらいいのかなぁ。 
c.M君はどんな人なの。 
  
2−3 生徒 一緒に弁当を食べようと言っても、今日は違う友達と食べると言うんです
教師 a.そのことをどう思う? 
b.あなたはどんな友達とつきあっているの。 
c.M君はどんな友達と食べているの。
  
2−4 生徒 この前も学校の帰りに声をかけたんだけど、無視されてしまった。もう耐えられない。
教師 a.どうしてそんなことをするんだろうかね。 
b.耐えられないということについて、もう少し話してくれるかなぁ。 
c.どうしてM君があなたを無視したのかわかるかなぁ。
  
2−5 生徒 もうこれ我慢できない。屋上から飛び降りてしまいたくなる 
教師 a.どうするつもり。 
b.どうして絶交しないのかな。 
c.本当に死んでしまうつもり?
  
2−6 生徒 いいえ、実際にはしようと思いません。自殺なんてできない。
  教師 a.もう少し気持ちを話してくれるかなぁ。 
b.じゃ、自殺するつもりはないんだね。 
c.本気じゃないんだね。
  
2−7 
 
生徒 自分ではもうどうしようもない。Mとは別れたほうがいいのでしょうか。
教師 a.どうして別れた方がいいと思うの。別れてどうするの。 
b.M君と別れてどうするの。 
c.別れてどうするの。また、別の友達を探すの。
  
2−8 生徒 でも、Mとは昔からの友達だし、今まで何でも話してきたのに、どうして無視するのかわからない。できれば、今までどおり友達でいたいし……。
教師 a.M君はどう思っているのかなぁ。 
b.それで……。 
c.M君とはどれぐらいの時からの友達なの。
  
 
つぎへ
ふつー

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 3.内容の反映
  C君は高校3年生です。2年まで成績優秀な生徒でした。ところが、最近急激に成績が落ちてきました。心配になった担任が面接するために職員室に呼びました。
 
3−1 教師 おお、来てくれたか。
生徒 どうして呼ばれたのですか。最近、成績が落ちてきたからですか。
教師 a.どうして呼んだか、分かっているだろう。 
b.成績が落ちたから呼ばれたと思っているんだね。 
c.君の成績について話をしようと思って呼んだんだよ。
  
3−2 生徒 成績が落ちたのは、家の問題なんです。
教師 a.家の中がゴタゴタしているのか。 
b.家の問題が原因なのか。 
c.学校のことはどう思っているんだ。
  
3−3 生徒 2年の終わりから、両親が離婚問題でもめているんです。
教師 a.両親の離婚のことが気になっていたのか。 
b.両親に離婚してほしくないんだね。 
c.両親は君の成績は知らないの?
  
3−4 生徒 どうしたらいいのでしょう。
  教師 a.両親の離婚が気になっていることは分かったけれど、ここでは君の成績の話をしたいのだが。 
b.どうしたらいいか分からないんだね。 
c.自分の成績が下がっていることも気になっているし、それが両親の離婚が原因だと考えているんだね。
  
3−5 生徒 離婚のことも気になるけど、ここでは僕の成績について話したほうがいいですね。
教師 a.やはり両親の離婚のことも気になっているのか。 
b.ああ、君の成績のことを中心に話し合うべきですね。 
c.両親の離婚も気になるけど、ここでは成績のことを話しましょう。
  
 
つぎへ
ふつー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4.感情の反映
                                
別々の事例です。感情をうまく反映している応答を選んでください。
 
4−1 
 
生徒 (自分の進路希望に対する父の態度について話しながら)父は笑うのです。僕を馬鹿にしたように……。
教師 a.どうして笑わないでほしいと言わなかったの。 
b.軽蔑された感じ? 
c.腹が立ったんだね。
  
4−2 生徒 私は真剣に努力しています。でも、なかなか効果が上がらないのです。一生懸命やることがよい結果をもたらすとは思えません。私は幾ら努力しても他の人についていけません。
教師 a.絶望的な感じですね。 
b.一生懸命やっても仕方がないと感じているんですね。 
c.ずいぶん気落ちしているようですね。
  
4−3 生徒 (1か月前に彼氏と別れた)彼が別れようと言われた時、とても腹が立ちました。でも今は少し落ちつきました。
教師 a.もう少したてばまた新しい彼氏ができるよ。 
b.はじめはとても腹が立ったんですね。 
c.今はようやく落ち着きを取り戻したんだね。
  
4−4 生徒 試験が終わってホッとしています。でも、出来は最悪でした。通知表を親に見せられません。
教師 a.試験が終わって嬉しそうですね。 
b.悪い成績を親に見られるのが嫌なんですね。 
c.試験が終わったのは嬉しいけれど、悪lい成績を親に見られるのが嫌なんですね。
  
4−5 生徒 (椅子に腰掛けてモジモジして手を握りしめながら)久しぶりに学校に来たけどみんな温かく迎えてくれたよ
教師 a.みんな温かく迎えてくれてよかったね。でも何か心配があるようだが。 
b.学校にこれてよかったね。 
c.ずいぶん落ちつかないようだね。
  
4−6 生徒 (数分間、モジモジしている)
教師 a.(生徒が話し続ける用意ができるまで黙って待っている) 
b.そんなに話しにくいこと?話してくれないと援助できないよ。 
c.話そうと思うことに何か不安があるようだね。
  
 
ふつー

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

問題を聴く
2−1  
b  事実を引き出したり、「はい」か「いいえ」で答えられる閉ざさたた質問ではなく、開かれた質問で自由に話が続けられるようにします。また、「〜してくれますか」という尋ね方は生徒から幅広い柔軟な反応を引き出し、会話を進めやすくなります。 [もどる]
2−2  
a  面接を進めるには話題に添った必要な情報を得なければなりませ ん。ここではA君に関する「どんな(What)」を尋ねる質問によって事実に関する情報を知ることができます。同じ開かれた質問でも、bのように急ぎ過ぎたり、cのように生徒の話したいことから逸れてしまう質問はよくありません。[もどる]
2−3  
a  単に事実を確認したりする質問は避け、生徒自身について焦点を当てた質問をします。「どのように(How)」を尋ねる質問によって生徒自身に焦点を当てた個人的主観的な考えを聴くことができます。[もどる]
2−4  
b  「どうして(Why)」を尋ねる質問は生徒を防衛的にし話しにくくさせるので、できるだけ避けたほうがよい。[もどる] 
2−5  
c  生徒が自殺をほのめかす発言をしているので、どの程度深刻に考えているか判断することが重要です。閉じられた質問はそのことをはっきりさせることができます。aのような開かれた質問は危機介入には役立たないし、bはアドバイスのようであり生徒を防衛的にさせます。[もどる]
2−6  
a  閉じられた質問の連続は詰問しているような感じを与え、生徒は追 い詰められて防衛的になります。そのうえ、「〜ないんだね」という問い方は一層追い詰められるような印象を受けます。ここでは、再び開かれた質問によって生徒の話を引き出す雰囲気をつくり出すことが大切です。[もどる]
2−7                 
b  2つ以上の質問は生徒を混乱させます。また、閉ざされた質問を後にすると前の開かれた質問が帳消しになります。[もどる]
2−8  
b  この場合は最小限の励ましによって、教師が生徒の話に興味を持っていて続けてほしいことを伝えます。aは焦点が生徒自身から逸れて教師の興味の方向に誘導してしまおうとしています。cは閉じられた質問で生徒の関心から逸れてしまっています。[もどる]
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
内容の反映
3−1  
b  生徒の言葉をしっかり受け止め内容を歪めないで言い換えます。[もどる] 
3−2  
b  推測したり話の内容を無視したりせず、内容を正確に反映することによって、生徒はしっかり聴いてもらっているという感じを受けます。[もどる] 
3−3  
a  感情に触れたり両親に焦点を当てたりせず、生徒の話の認知的側面に焦点を当てます。[もどる]
3−4            
c  ここまでの要約として、生徒の話してきたことを並べ、生徒がどの問題について話すか自分で決められるようにします。bのような安易なおうむ返しは真剣に聴いてもらっていない気になる。[もどる]
3−5  
c  生徒の話の内容を反映して、面接の方向を明確にします。[もどる]
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
感情の反映
4−1  
b  人に笑われたら自分ならどう思うかと置き換えてみるとよく分かります。aは開かれた質問であり、cは推測のしすぎで解釈になっています。[もどる]
4−2            
c  生徒の情動的な言葉に注目します。aは過度です。強すぎる反映は生徒を脅かしたりイライラさせたりします。bは表面的すぎて話が深まっていきません。[もどる]
4−3            
c  生徒の話は現在から過去や未来に及ぶことがありますが、できるだけ現在の感情に対して反映することが効果的です。[もどる]
4−4  
c  複合した感情が述べられている時はすべてを反映しないと、問題の一面にしか注意を示せないことになり、他に重要な面があっても見落とすことになります。[もどる]
4−5            
a  生徒が言葉で表現しようとしたことと行動で伝えようとしていることが一致していないこともあります。両方の感情を反映します。[もどる]
4−6           
c  沈黙が長く続いた時、感情の反映が効果的であることもあります。
 
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もう一度よく考えて 
 
 
 

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