ストレスマネジメントのわーく 3
■ねらい。★留意点
10 | 1.前回のふりかえりをする。 (1)「Home Work ストレス日誌」を回収する。 (2)ワークをまとめたプリントを配布する。 (3)各自読ませる。 (4)さまざまなストレッサーやストレス解消法があることを振り返る。 |
5 | 2.コーピングについて説明する。 ■さまざまなコーピングがあることを理解させ、おおよその分類をする。 ★今日の授業のガイドラインにする。 (1)前々回のストレッサーのKJ法の結果と、前回のストレス解消法のKJ法の結果をまとめたプリントを配布する。 (2)全体の傾向を (1)「Lecture コーピング」を配布する。 (2)プリントに従って説明する。 ★グループでの話し合いの結果と対照させる。 |
20 | 3.動作法をする。 ■コーピングの中で、ストレス反応に対処するリラクセーションの1つとして、動作法をとりあげる。ペアでする段恣意は身体接触があり、次の肉体的な肯定的ストロークにもなるので一石二鳥である。 (1)呼吸法をする。 (2)「Work3 体の緊張をゆるめる」を配布する。 (3)ワークの内容を簡単に説明する。 (4)教師が指示して、準備運動、構えの姿勢、肩の上下(1人で)をさせる。 ★プリントは配布するが、絵だけ見て文字の部分は教師が指示してやる。 (5)同性同士、好きな者と2人組を作る。 ★女性1人が余るので、ジャンケンをして教師と2人組を作る。デモンストレーションをする組にする。 (6)肩の上下の声の援助と触れる援助をする。 |
10 | 4.ストロークのワークをする。 ■次に、評価に対処する言葉によるストロークについて体験する。 (1)「Work4 気持ちのいいストローク」を配布する。 (2)各自で、言ってほしい言葉を○で囲ませる。 (3)2人組になり、シートを相手に渡し、言ってほしい言葉を言ってもらう。 (4)Work34を振り返って、感想を話し合う。 (5)「Lecture ストローク」を配布する。 (6)プリントに従って説明する。 |
20 | 5.論理療法をする。 ■次に、もう一つ評価に対処する論理療法をする。ストロークが感覚的なものであったのに対して、論理療法は知覚的である。 (1)「Work5 頑固な思い込みチェック」のチェックシートだけを配布する。 (2)チェックをさせる。 (3)集計をさせる。 (4)頑固な思い込みのパターンを書いたプリントを配布し、点数を転記させる。 (5)「Lecture 頑固な思い込みと柔軟な考え方」を配布する。 (6)プリントに従って、説明する。 ★受け取り方を変えることによって、感情や行動が変わることを理解させる。 ★柔軟な考え方に変える方法を教える。 (7)(4)で配布したプリントで、得点の高い「頑固な思い込み」を「柔軟な考え方」に書き換えさせる。 |
10 | 6.ふりかえりシートを書かせる。 ★何人か指名して、感想を言わせる。 ★教師は一人ずつに反応し、プラスの言い換えによって、自尊感情を持たせるようにする。 ★最後に教師も今日の授業について自己開示をする。 |
生徒の評価
10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
1.体の緊張をゆるめられた | 4 | 2 | 3 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
2.気持ちよいストロークをもらえた | 3 | 5 | 2 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
3.ストロークは理解できた | 4 | 2 | 4 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
4.自分の頑固な思い込みに気づいた | 5 | 2 | 3 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
5.柔軟な考え方に変えられた | 2 | 3 | 3 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
6.コーピングについて理解できた | 1 | 2 | 3 | 4 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
7.今日の授業の満足度 | 5 | 4 | 3 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
生徒の感想
1)自分の考え方は絶対にあっていると思っても、思い込みであることもある。他人からしてみれば、それは違うと思うこともある。ストロークで、相手と褒めあいをしていると、うれしくなった。テンションが上がった。
2)気持ちのよいストロークは、言ってほしいけれど、実際行ってもらうと恥ずかしい。
3)ここ僕は頑固だ。自分の考えをを柔軟にしようと思わない。だって自分の考えだから、それを無理矢理変える気はないです。
4)自分で思い込んでしまっていることをもっと柔軟に考えてい気楽に行こうと思った。プラス思考で行こうと思った。
5)あぁいう表にしてみると頑固な思いこみの部分が分かる。何にでも柔軟のある考え方ができたら、心の広い人になれると思った。
6)ほめられると、やっぱりお世辞でもうれしいし、気分が良いなあと思った。大人になったら、ほめられる機会が少なくなってしまうし、自分で励ませるようになりたいです。
7)思い込みは、何か当たっている気がしたし、それを柔軟にできたと思う。
8)ストレスを克服するには、自分なりにプラス思考を持っていた方がいいということが分かった。
9)性格の違いで同じ出来事でも受け取り方が変わるから、友達にそのことで相談しても違う受け取り方での答えが返ってくるんだと思う。私は結構思い込みが激しいから、これをみてすごく実感した。これが原因でいつも悩んだりあせったりしてストレスのタネを作っていたのかもしれない。
10)相手から言われる言葉でも、ずっと言われ続けると逆に疑ったり気持ちが悪くなる。だから時々は自分のだめなことも言ってもらえないといい人間になれないと思うか。
11)頑固な思い込みは意外な結果だったと思った。
12)頑固な思い込みチェックでは、「よく知らないことや不確実なことに恐怖や不安を感じるのは当然だと」が1番高く、確かに自分は思い込みで不安を感じているのだと気づいた。でも、それを柔軟な考え方に考えるのはとても難しくなかなか思い浮かばなかった。
13)ストロークのワークで、自分が言われたことと思っていることとの違いが分かった。言われたいことを言われるとちょっと恥ずかしいけど、思っていることを言われるとそうだなと感じる。そんな違いが分かった。
14)頑固な思いこみチェックは、僕がこんな思い思い込みをしていると思わなかった。直していきたいと思う。
教師の感想
動作法は難しかった。自分でも2〜3回体験したことがあるが、その程度では、全く知らない多くの生徒に教えるのは難しい。生徒が微妙な体の感じを受け止めるのも難しいし、それを何人もの生徒にやらせ、ひとりの教師がフォローするのは無謀な試みだった。肩たたきとかの分かりやすいワークの方がよかった。
その点、言葉のストロークは好評だった。普段あまりほめられていないのだろう。照れくさいけれども、いい気持ちになった生徒が多かったようだ。
3つ目の論理療法も中途半端だった。もっとじっくり考えさせられればよかったのだが、3つのワークはハードスケジュールだった。チェックリストはできるものの、思い込みについての説明が不十分で、それを柔軟な考え方に変えるところまできっちり指導できなかった。もっとも、時間があっても難しい。もっと個々の細かなケースに沿って考えないと、正しく理解してもらいにくいと思った。
参考文献
Lesson2 コーピング
『ストレスマネジメント・テキスト』ストレスマネジメント教育実践研究会(東山書房)2002
『ストレスマネジメント教育 基礎編』山中寛・冨永良喜(北大路書房)2000
『発想法入門』星野匡(日経文庫)1989
『問題解決手法の知識』高橋誠(日経文庫)1984
『脳みそのほんとうの使い方 マスターズ編』行宗蒼一(日科技連)2000
『発想法』川喜田二郎(中公新書)1967
『続・発想法』川喜田二郎(中公新書)1970
『リラクセーション』成瀬悟策(ブルーバックス)2001
『交流分析入門』桂戴作ほか著(チーム医療)1984
『新しい自己への出発−マネジメントのためのTA−』岡野嘉宏・多田徹佑(社会産業教育研究所出版部)1988
『こころのセルフ診療室』マーサ・デービス著/河野友信訳(創元社)1999
『自己変革の心理学』伊藤順康(講談社現代新書)1990
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