第1学年1学期人権学習


ねらい
1.自分が生きる上で何を大切に考えているのかを考えさせる。
2.他の人が生きる上で何を大切に考えているのかを理解させる。
3.多くの人が共存して生きるには何が大切なのかを考えさせる。
4.自分の意見を主張し、他人の意見も理解し、説得と納得によって調整しながら物事を決めていく話し合いのプロセスを体験させる。
5.話し合いの中で、自分がどのような役割をしているかを理解させる。


展開

10分 1.私の価値観を決める
1)ワークシートを配布する。
2)まえがきを読み上げ、この人権学習のねらいを説明する。
3)課題を指示する。
4)それぞれの価値観を読み上げながら、簡単に説明を加える。
5)ワークシートに順位と理由を記入させる。
4)それぞれの価値観の違いについて補足してもよい。
・d)f)i)j)は個人的なことである。
・c)e)h)は身近な相手のあることである。
・a)g)k)は社会的地球規模のことである。
・b)は個人的な面と社会的な面がある。
5)大切だと思う順だけでなく、優先する順も判断の基準にさせる。
 教師が様々な例を話してもよい。
ex最近駅のホームで注意して殺された人がい  る。正義を優先させると生命が危ない。しか し、正義がなくなれば生命の安全は保障され なくなる。
ex家族や恋人(恋愛)や友達(友情)のため  に、自分の生命を犠牲にできるか。
ex恋愛と友情ならどちらを選ぶか。
ex愛(恋愛)があれば極貧の生活(経済力)で も我慢できるか。
20分 2.グループ の価値観を決める
1)グループ分けをし、グループごとに机を囲んで座らせる。
2)進行係と発表係を決めさせる。
3)進行係に指示して、グループ内の発表の順番を決めさせる。
4)進行係に進行させて、一人一人発表させ、ワークシートに記入させる。
5)進行係に司会させて、グループの順位を決めさせる。
1)遠足や掃除の班でもよいし、席の近い生徒5〜7人でグループ を作ってもよい。
2)話し合いが望ましいが、ジャンケンでもよい。イジメや押しつけにならないようにする。       
5)巡回しながら、話し合いがうまく進んでいるかを見る。
 ・うまくいっていない場合は、アドバイスをする。
 ・多数決やジャンケンで決めようとしているグループは話し合いで決めるように指導する。
 ・参加しない生徒には、理由を聞きながら、できるだけ参加するように促す。
 ・時間がない場合は、上位3位と下位3位を決めさせる。               
10分 3.グループ の価値観を発表する
1)発表係にグループの順位を発表させ、板書していく。
2)全体の傾向を分析し、解説する。
1)展開3の段階で、黒板に発表を記入する欄を書いておく。              
5分 4.ふりかえり
1)最後にもう一度、今回の学習の狙いを確認する。
2)感想文用紙を配布する。
3)感想を書かせる。
4)グループ内で感想を読ませて、交流させる。
5)感想文用紙だけを回収する。
1)さまざま価値観があること。どれも大切で順位が付けにくいこと、できればすべての価値観が共存できるようにすることが一番いいことをを付け加える。
3)話し合った内容、話し合いの経過、話し合いでの自分の役割について書かせる。
4)時間がなければ割愛する。
5)ワークシートは回収しない。



生徒の感想

▼みんな人が思うさまざまな価値観があって、それを聞いていると、この人はこれが大切だと思っているんだと、みんなこれはあんまり重要と思っていないんだと、自分と違う意見に少し考えさせられました。後これを選択するとき、どれも大切なことなので、どれが1位でとでが11位になってしまうのかだいぶ迷っていました。
▼人によって価値観というものは全然違うということが改めてわかりました。私は価値観に順位を決めるときに困りました。最下位はすぐに決まったけど、1位だけはすごく悩みました。結局家族にしました。友情も健康も大切だと思ったけど、家族を失ったが自分がいちばん悲しむと思ったから1位しました。最下位を学力にしたのは1番必要ないと思ったからです。
▼友情は班の中でも価値観が高く、クラスの中でも1番だったので、みんな友達をすごく大切にしているだなと思った。一班一班いろんな価値観のとらえ方があって、すごく面白かったし、班の中でもいるの意見が聞けてよかった。
▼自分の1番にしていた環境がグループの一位になったけど、他のグループはほとんど下位になったので自分にはちょっと違うと思った。
▼人権学習と聞いたときに「なんかだるそうやなあ」って思っていたけど、やってみるとそうでもなかった。結構楽しかった。私は1位を生命とした。みんなそうだと思っていたのに違った。Aさんは9位とか言っていたから、合わないなと思った。あと学力もすごい悩んで最後にしたけど、みんなも12位とか11位という結果だがのは意外だった。
▼楽しかった。中学の時やったときは人をが意見をするとみんな引いてしまって孤独だったけど、今日は楽しかった。
▼僕のグループはなぜかで恋愛が1位だったのがビックリした。他のグループは恋愛は下位だった。やっぱり友情が上位だった。友情は大切だと思った。
▼自由≠平等です。自由ってのは自分の個性を伸ばしたり好きなことをすること。平等というのはみんな同じことをする。優劣とかは関係ないってこと。もともとこの世界は弱肉強食。
▼人権学習て感じじゃなかった。十人十色な考え方があって面白いと思う、何が1番に来てもおかしくないと思う。自分は自由が大事だが、生命より大事だと明言しよう。命はいずれ尽きてしまうが自由は本来そうではないと思う。
▼人それぞれいろいろな考え方をしているなあと思った。
▼今日をやって皆の考えが自分とほとんど違うのにびっくりした。他の班では生命が1番大切っていうのもあってすごいと思った。大切なものは全部だから選ぶのはすごく難しかった。いろいろな考え方があって面白かった。違う考えを持っているって言うのも楽しい。みんな違ってもいいと思う。
▼個人で価値観は違うと思ってたけど、結構揃ってていたし意外やった。でもやっぱり自分が1位と思っているやつを他の人が11位とかにしてたら悲しかったなぁ。反対に自分が11位とかにしてたやつを誰かが1位とかにしてたら頭の中「?」が100個ぐらい出た。
▼僕はこの人権学習をして結構楽しかった。人が何を大切にしているかわかったし、自分の考えと比べることができてよかった。
▼僕は人権学習をして、いろいろな大事なことを学んだ。これからも人の人権を尊重していきたいです。
▼みな価値観のとらえ方が全然違うなと思った。うちは友情が1番やと思っているけど、他の人が1番じゃなかったりするしみんないろいろや。
▼いろいろな人のいろいろな意見が聞けて楽しかった。
▼難しかった。これがどう人権学習になっているんだろう。今までの硬いのではなくて面白かった。
▼人権学習をやってみて思ったことはやっぱり愛情より友情をとるんかなと思いました。僕の第一希望は生命でした。僕のグループは生命が4位でした。はじめ僕は人権なんか全然面白くないと思っていました。けどやってみると結構面白かった。僕は人権を大切にしてこれからも人権を大切にしていきたいと思います。
▼何か非常に楽しかった。たまにみんなでしゃべれて楽しかったです。
▼意見が結構ばらけたからよかった。
▼人権学習を通じて思ったことは人権は生きていくために大切だと思った。
▼人それぞれ価値観が違うけど似たような考えを持っている人もいるってことが分かった。
▼価値観は。一人一人違うから一人一人の考えも大切にしなあかんし、個人の考えも大切にしなあかん。
▼全部大事なことだと思うので選ぶのが大変だった。でももしどちらかを選ばないといけない時がきたら僕はどうしているだろうと思った。
▼やっぱり友情が上位を占めていた。私も友情が大切だと思った。また学力は下位ばっかりだった。どんなに頭が良くてもいいことばっかりじゃないと思う。勉強ばっかりやっていても友達を大切にしないと独りぼっちになったりして楽しくないと思う。ていっても、全部大事だから順位を決めるのは難しかった。
▼友情が。1番大切なんやなあって思った。他にもいろいろ大切なことがあった。この順位を決めているときめちゃ悩んでしまった。今まで自分の経験でも犠牲にしたりいろいろしたけど、でもグループの人と話していていろんな考え方があって勉強になったと思う。
▼面白い。人をそれぞれの価値観が違うし、みんなバラバラだったから。多分全員一致で同じじゃないから面白いやと思う。みんなバラバラから面白いなと思う。
▼初めての話し合いやったけど、面白かった。もうちょっとくだらなくて、つまらないものだと思ったけど、話し合いがあったしよかった。中学の時と違って。
▼みんな分かってない。環境が汚いと生物は生きていけないというのをわかっていないのだろうか。どれも大切だし決めるのは難しかった。
▼人それぞれの考え方や物受け取り方が違うからバラバラでした。だいたい同じだったのが学力が1番低いことでした。
▼やっぱり生命が大事だった。友情が高かったのは意外だった。
▼面白かった。何でかっていったら班でまとまることがあんましないからです。
▼人それぞれ大切なものが違うんだなと思った。やっぱり学力が11位になったのは納得した。生命は大切だと思いました。総合的な順位では1〜3、8〜10位は同じようなものだなと思いました。
▼みんなの価値観が分かった。みんないろいろ考えているんだなと思った。
▼みんなの価値観が全然違うから見てて楽しかった。価値観に順位をつけるのは難しかった。うちの班はみんな生命を選んでて、結構自己中やと思った。
▼人権学習をやってみてみんなそれぞれの価値観があって班のみんながバラバラだった。話してみてわかったことは結構みんなは自分よりも回りを大切にする人が多くて、僕は回りよりも自分を大切にしたいと思っている。人それぞれで面白いと思った。本当は順番なんて決める必要はないと思う。全部大切だと思う。
▼人それぞれの大切にするものの順番が違ったので面白かった。班は私はやっぱり生命が1番、友達も大切やし恋愛もなかったらアカンと思った。
▼みんなバラバラだった。同グループの結果は私のと似ていた。面白かった。


教師の感想

 従来の教師主導型ではなく、生徒が主体で、楽しめて、しかも役に立つ参加体験型の人権学習を模索していた。
 また、学年全体でしたかったので、フツーの先生ができるようなものをしたかった。
 その意味で、今回の人権学習は大成功だった。
 生徒の感想を見てもわかる通り、ほとんど全ての生徒が楽しいと書いている。始まるまでは、今までと同じように、先生が一方的にしゃべり、せいぜいワークシートに書き込む程度の人権学習をイメージしていたと思う。それが、やっている内におもしろくなってくる。
 その理由の一つは、クラスで話し合うと言う体験である。最近の生徒はコミュニケーション不全と言われているが、生徒たちは話し合うことを求めているのである。ただ、自分たちでそういう場をを設定できないでいるのだ。こういう形で、一度場を設定してやることによって、もしかしたら自分たちでこういう機会を持つことがあるかもしれない。その動機付けとしても意味が大きいと思う。
 もう一つの理由は、選択肢がすべて重要なものであり、順位を付けにくい、答えがないものだったからだろう。最近の生徒はすぐに答えを求めたがるというが、感想を見る限り、一人一人が違っていることを当然と考えているし、違っている方が面白いとも考えている。至って健全である。そして、順位が付けられない、すべて大切であると考えた生徒が多かったというのも、大成功と言える理由である。
 先生方の反応も非常に良かった。2週間前の学年会で指導案を提示して、主旨と進行の仕方と留意点を説明しておいた。始まる前の時間は、どの先生も、勿論僕自身も不安であったが、どのクラスも生徒の食いつきが非常によく、話し合いも、発表もよかった。先生方が前向きにやってみようと思えれば、十分にできる無理のないプログラムであるということが証明されたと思う。
 一度成功体験を持つと、次もやってみようと思うのは人の常である。次は何をしようか、今から楽しみである。



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