コミュニケーションのわーく 3

■ねらい。★留意点

10 1.呼吸法をする。
 ★継続して、マスターさせる。
2.「Special Work リラクセーション1」をする。
 ★継続して、マスターさせる。
5 3.前回の復習をする。
 (1)ワークをまとめたプリントを配布する。
 (2)各自読ませる。
  ★簡単に補足説明をする。
  ★基本的聴き方技法は理解した人が多いが、表情は難しかった。
  ★特に、怒りと嫌悪の違いが分かりにくかった。それは怒りと嫌悪が近い感情であるから。また、驚きと幸福も近いから似ている。
 (3)表情の作り方を実演する。
  ★教師がして、生徒にさせる。
  ★次々回までにデジカメに撮る宿題を確認する。
 (4)基本的聴き方技法を確認する。
  ★今回は、次の質問技法、統合的な技法について学習する下地を確認する。
10 「Lesson4 質問技法
■より積極的に聴くために、質問技法を学習する。漫然と質問するのでなく、質問の質や方向を確認した上で、質問を組み立てることを意識させる。
4.「Work6 One-wayとTwo-way」をする。
 (1)B5の白紙の用紙を配布する。
  ★ワークシートは配布しない。
 (2)教師がワークシートに沿って、質問を受け付けずに、指示する。
 (3)互いに見せ合わせ、違いを確認させる。
 (4)(2)と同じ指示を、1つずつ質問を受けながらして、用紙の裏に書かせる。
 (5)質問しないで描いた絵と比べさせる。
 (6)何人かに感想を聞く。
 (7)ワークシートを配布して、今したことを確認する。
10 5.「Lecture 質問技法」を説明する。
■今回は、実習をする前に説明する。新しい知識はこの順序で展開する。
 (1)「Lecture 質問技法」を配布する。
 (2)プリントに従って、説明する。
  ★図を板書しながら、例を挙げて、分かりやすく説明する。
  ★それぞれの特徴と、状況に応じた望ましい質問を考える。
3 6.「Lecture やりとりパターン」を説明する。
 (1)「Lecture やりとりパターン」を配布する。
 (2)プリントに従って、説明する。
  ★例を挙げて、図示しながら、分かりやすく説明する。
10 7.「Work7 やりとりパターン分析」をする。
 (1)「Work7 やりとりパターン分析」を配布する。
 (2)問題を解答させる。
  ★ここで休憩する。
10  (3)正解を解説する。
  ★図示しながら説明する。
  ★いろいろな解釈がある場合は生徒の意見も聞く。
  1)A→A・A←A・パラレル。スムーズな日常会話。
  2)A→A・C←P・クロス。XはAからAへ気配りゾーンのつもりで話したのに、Yは巨人ファンだったのか、不機嫌になってCPからFCへ応答している。
  3)C→P・C←P・パラレル。Xは下手に出て自分のACから相手のNPに向けて話している。Yもいつも私がいなけれゃダメなのねとNPからACへと返す。依存的な関係の会話。
  4)C→C・C←C・パラレル。XはやんちゃなFCから相手を誘う。Yは少しビビリながらもACで承諾する。少しずれはあるが、パラレルである。遊びの相談のパターン。
  5)P→P・P←P(C←P)・ビハインド。Xは自分のCPから同意を求めるように相手のCPに問いかける。Yは表面的には自分のCPから相手のCPへ返しながらも、裏面ではCPから相手のFCを批難している。パラ   レルで話が展開しているように見えて、実は腹の中では違うことを考えている。
  6)P→C・A←A・クロス。Xはあまりに勉強しないYに向けてCPからFCに向けて叱ったのだが、YはAからAへ冷静な議論で返してきた。Xは怒る気を削がれるか、ますます怒りに拍車がかかるか。
  7)ここからは難問編。P→C(C→C)・P←C(A←AorC←P)・ビハインド。XはCPから相手のACに向けて電話をしなかったことを責めている。しかし、内心は淋しくてFCからFCへの発信である。それに対してYはACからCPに従順に謝りながらも、内心はもう愛していないから電話もしなかった。Yが冷静だと考えればAからAへ、Yがうんざりしていると考えればCPからFC。
  8)『こころ』の1シーン。C→P・C←P(C←A)・ビハインド。XはKでYは私。KはACから私のNPにアドバイスを求める。私は同じPでもCPからKのACに厳しい忠告をする。しかし、私はKにお嬢さんを諦めさせようとしているのだから、裏面では冷静なAからKのACへの計算づく言葉である。
  9)『舞姫』の1シーン。P→C(A→C)・P←C(P←A)・パラレルorビハインド。Xは豊太郎でYはエリス。豊太郎が憐憫の情からエリスに声をかけたのだからNPからACへ。エリスも父の葬式代がなくて困っているのだからACからNPで、パラレル。しかし、豊太郎に下心があったなら、AからAC。エリスも金を貸してくれるカモを探しているとしたらAからNPで、ビハインド。
25 8.「Work8 トータル・コミュニケーション・トレーニング」をする。
■「コミュニケーションのワーク」で学習したことを統合する。
★次回から2週にわけて、1人ずつ前に出てトータル・コミュニケーション・ト レーニングのテストをすることを予告する。
 (1)「Work8 トータル・コミュニケーション・トレーニング」「コミュニケーション・チェックシート」を配布する。
 (2)ワークシートに沿って、やり方を説明する。
 (3)くじ引きで3人組を作り、適当な場所に移動する。
  ★前回に続いてのロールプレイである。前回と同じくくじ引きで3人組を決める。前回と同じメンバーになるとは限らない。
 (4)自分の好きなことを書き出させる。
 (5)話し手・聴き手・観察者のローテーションを決めさせる。
 (6)「コミュニケーション・チェックシート」を使ってポイントを説明する。
  ★パラレル・パターンになるようにする。
  ★視線や目線、表情やジャスチャーなどの非言語技法を使う。
  ★うながし技法、繰り返し技法、言い換え技法を使う。
  ★質問技法を使って、自他共有ゾーン・掘り下げゾーン・タイムリーゾーンになるようにする。
 (7)1組目の話し手と聴き手で、話題を決め、3分間ワークをさせる。
 (8)「コミュニケーション・チェックシート」に記入しふりかえりをさせる。
 (9)2組目3組目も同じようにさせる。
15 9.全体でふりかえりをする。
 ★全員に指名して、感想を言わせる。
 ★教師は一人ずつに反応し、プラスの言い換えによって、自尊感情を持たせるようにする。
 ★最後に教師も今日の授業について自己開示をする。
10.ふりかえりシートを書かせる。
 ★ふりかえりシートの記入と、全体のふりかえりは同時進行でもよい。
11.トータル・コミュニケーション・トレーニングのテストの組み合わせを決める。
 ★1〜15までくじで決め、1が聴き手で2が話し手、3が聴き手で4が話し手とローテーションにする。

生徒の評価

10
1.呼吸法のマスター
2.質問技法の理解
3.やりとりパターンの理解
4.コミュニケーション全体の理解
5.トータルコミュニケーションの出来
6.今日の授業の満足度

生徒の感想
1)質問にもいろんなパターンがあり、質問によっては話し手を困らせたり、機嫌を悪くさせることもある。逆に、良い質問で進んでいくと話し手も気持ちよく話せた。
2)質問技法は少し難しくて相手のことを読み取ったりするのは、そう簡単にはできないことだし、できたら人ともっと仲良くなるし、信頼ができると思います。
3)普通の会話をしていたら、大概がパラレルパターンになる。ということは、何も気にしなくてもいいんだということがわかりました。
4)今日やったPとAとCが理解できなかった。3人に分かれてパラレルパターンになるように気をつけながら話したり聞いたり観察したりした。
5)普段の会話の中でも「このことを言っている」と質問もせずに勝手に解釈していると途中で「それ何の話してるの」と自分の想像と違うことになることがある。
6)相手の心の中まで考えるとなんか怖いなあと思いました。話し手だけの個人的な話でなく、聴き手への気配りのある、共通の話題を見つけるのも大事だなと思いました。
7)今日はトータルコミュニケーションで、班がみんな男子だけなので話しやすかったし面白かったです。
8)パラレルパターンはずーっとそれが続くと、相手の人がしんどくなるから、話し手の人もたまにビハインドとかもしてあげないといけないと思った。
9)普段は普通に会話をしているからパターンとかあまり意識しなかったけれど、勉強して相手の返し方で変わるものだなと思った。
10)話し方の方法と聴き方の方法によっては、同じ言葉をしゃべっていてもいろいろな方向に言葉が流れていくのだなと思いました。
11)話を始めることが難しい。うまく話せないで聴き手も困ってしまうのである。話題を考えるのは難しいので、聴き手の方が私にとっては気が楽です。
12)呼吸法は毎時間最初にやっているから、だんだん慣れてきたのか、力が抜けるようになってきた。自分が話したくない話題でも、相手と話を続けるためには、相手の興味の持っている話題で話を始めたらいいことが分かった。特に初めて会った人と話をするときはそういうふうに話を進めていったらうまくいくんじゃないかと思った。
13)ぼくはひとり勝手に話すほうなので、ちゃんと人の話も聞きながら話そうと思った。
14)今日の授業はとても頭を使った。やりとりパターンはとても難しく、相手の裏の考えを読んでやっていくこともあるんだなと思った。裏を読まれないようにしたい。
15)やりとりパターンが難しかった。でも僕らは普段無意識にやっているんだな。うん。

教師の感想
 呼吸法は段々定着してきたが、リラクセーションはイマイチ。違うのに変えよう。「Work6 One-wayとTwo-way」は図形を2人1組でする方法もあるが、時間の関係で教師対生徒全員で実施した。ウォーミングアップによく使う軽いワークだが、こうすれば一つのまとまったワークになる。何人かの生徒が質問してくれるので、質問しない生徒も刺激される効果がある。質問技法とやりとりパターンの説明が続いた。この講義パターンは初めて。
 生徒も少し違和感を持った。でも、このパターンが普段の授業のパターンなのだから、この授業がいかに異次元にあるかがわかる。質問技法は黒板に図示しながら、いろいろ例を挙げると、生徒もこんなこともあると反応してくれるのでやりやすかった。座標で分けて、善し悪しをはっきりさせると整理しやすいようだ。やりとりパターンも図示すると分かりやすい。答えが決まらないものもあるが、正解を出すのが目的ではなく、自我状態を使ってコミュニケーションを考えるのが目的なので、余りこだわらない。「こころ」や「舞姫」の文学作品の1シーンを扱ったのは、大好評だった。そして、トータル・コミュニケーションは次時の試験の予行練習にあたる。前回同様のロールプレイだが、繰り返すことによって習熟していく様子がよくわかった。2組目3組目と回数を重ねる事に上手くなって言った。

参考文献
Lesson4 質問技法
『ピアヘルパーハンドブック』日本教育カウンセラー協会編(図書文化)2001
『新グループワークトレーニング』日本リクレーション協会監修(遊戯社)1995
『質問力』齋藤孝(筑摩書房)2003
『マイクロカウンセリング』アレン・E・アイビー著/福原真知子ほか訳編(川島書店)1985
『面接のプログラム学習』D.エバンス,M.ハーン,M.ウルマン,A.アイビー著/援助技術研究会訳(相川書房)1990
『カウンセリング技法入門』玉瀬耕治(教育出版)1998
『コーチングマネジメント』伊藤守(Discover)2002
『説得技術のプロフェッショナル』伊東明(ダイヤモンド社)2002
『イラスト版ロジカル・コミュニケーション』つくば言語技術教育研究所編(合同出版)2002
『図とイラストでよむ人間関係』水田恵三・西道実編著(福村出版)2001
『人生ドラマの自己分析』杉田峰康(創元社)1976
『交流分析入門』桂戴作ほか著(チーム医療)1974
『教育カウンセリングと交流分析』杉田峰康(チーム医療)1988
『新しい自己への出発−マネジメントのためのTA−』岡野嘉宏・多田徹佑(社会産業教育研究所出版部)1988
『人と組織を育てるコミュニケーショントレーニング』諏訪茂樹(日本経団連出版)2000



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