おたより(3)(福岡県在住、’みいちん’さん)

ママになりたくて

 今、『少子化』という現象が問題視されている中で10組に1組の確立で、パパ、ママになれずにいるカップルがいると言われています。周りを見渡して、結婚後しばらくたっても赤ちゃんを授からないカップルがいるとすればもしかしたら、『ほしいのにできない』という状況で苦しんでいるかもしれません。夫婦間の話し合いで、『ノーキッズ』という道を選ぶ人もいれば、『不妊症』という病気の治療の道を選ぶ人もいるわけです。私たちは、治療という道を選び夫婦で力を合わせ頑張っています。

産科メインの病院では、『不妊症患者』は厄介者といった感じです。『やる気があるなら続ければいい』確かに決めるのは患者ですが、産める状態の人がここの患者ですと言わんばかりの対応に肩を落として病院を後にしました。夫婦間の治療に対する考えの違いも、越えなければいけない大きな壁です。

私たちがその後『不妊専門病院』で受けた診断の結果は「顕微授精」というかなり高度な技術を要する体外授精法だったのです。医療技術の進歩が目覚しい今日、私はすぐにでもはじめるつもりでいたのですが主人の意見はこうでした。「そんな事をしてまで子供はいらない」彼はこれまでの情報から多胎、障害の不安を訴えたのです。

周りからの「子供はまだ?」という言葉、次々に妊娠していく友人達に自分一人取り残されていくような疎外感を覚え一日でも早く我が子を抱きたいと焦る気持ちと夫の気持ちは幾度となくぶつかりましたが、二人の願いは『我が子を抱きたい』この気持ちにいきつき治療が開始されました。高額な治療費を捻出するため、私はフルタイムでの仕事を続けざるをえませんでした。

保険が適用されない治療費は一度に40〜50万円を必要とします。しかし仕事との両立は身体的にもかなり難しく治療に専念するには妻の収入は諦めるしかないという現実にぶつかり結果仕事を辞めました。私たちは精神、金銭的にも想像もできないような苦しみを日々味わいながらも我が子を・・の願いを諦めきらず治療を続けています。
『ノーキッズ』という道を選択できずにいるからです。

出生後の環境整備はもちろん大切な事ですが、その影に多くの不妊症患者がいることも視野に入れ『少子化問題』について検討される事を心から願います。

この福岡県在住の女性’みいちん’のご意見に対して、ご感想をおもちの方、HP製作者までお願いします。メール転送させていただきます。よろしくお願い致します。
(’みいちん’さん宛と記入してください)

 

 

お便り(4)(千葉県在住:主婦の方)

☆不妊治療について☆

私も不妊治療で悩む一人です。
  私たちは結婚4年目。始めの内こそ、「そのうち出来るでしょ」ぐらいにしか 考えていませんでしたが、なかなか授からないので、友人の不妊治療経験を きっかけに始めました。
  今は、その理不尽さに、どうしようもない憤りを感じています。

  第一の憤りは治療にかかる高額の医療費です。  私たちの不妊の原因は私の排卵障害にあります。
  多嚢胞性卵巣のため、卵胞がうまく育たず、排卵できない症状です。
  まず、排卵を促すため排卵誘発剤の存在ぬきでは治療はありえません。 初めこそは錠剤でしたが、視覚障害の副作用が出たためホルモン注射に切り替 えました。
  おかげで、錠剤の頃の2倍の出費です。錠剤の頃は、1回の診療でだいたい 3,000円ぐらいでしたが、今はホルモン剤の種類と本数によっては軽く8,000円 は行きます。
  なかなか、卵胞が育たない場合は1ヶ月に4〜5回は通院しますので32,000〜 40,000円の出費となります。方法こそ、まだ、タイミング法なのでこの程度の 出費ですんでいますが、これから先人工授精になった場合、毎回50,000から 60,000円かかります。ですから、私たちは治療をしても人工授精を6周期まで と決めています。それ以上の高度不妊治療は、1回に30万円から50万円もする
  からです。この金額、通常の医療で考えられますか?

  我が家は、お世辞にも裕福な家庭ではありません。ニュースなどで平均給与額 やボーナス金額などを流されても、その金額には到底及ばない収入です。そん な中から毎月これだけの出費はかなりの痛手です。なのに、なぜ公的保険は利
  かないのでしょう?政府は少子化を叫びながらマスコミも少子化を嘆きなが ら、なぜ、私たちの存在に気付いてくれないのでしょう?昔は貧乏人の子沢山 と言いましたが、今は、貧乏人は子供を産むなと言うことでしょうか?少子化 のニュースが流れるたびに、理不尽に思えてなりません。政府は、埋めよ増や せよと言うけれど、それは自然妊娠できる人たちに言ってるのであって、自然
  妊娠が期待できない輩は放っておこう、お前達には期待していないよと言うの でしょうか?

  第二の憤りは就職難です。
  埼玉の男性の奥様同様、私も派遣会社に登録しておりましたが、次の仕事を紹 介してもらう際に、トラブル(そんな話聞いてない、騙したなetc)を回避す るために正直に不妊治療の件を話しました。結果は、「妊娠を希望している人 に、仕事は紹介できない」というものでした。夫の収入だけでは生活していく だけでやっとなので、私が働いて治療費を稼ぐしか方法がありません。でも、
  治療のことを話すとパートでさえ不採用でした。じゃあ、何でバカ正直に話す の?と思われるかもしれません。それは、ひとえにストレスなく通院したいと 言う思いからです。

  先に書きました通り、卵胞の成長具合によって1ヶ月の通院回数は変わりま す。そして、一度通院が始まると、「じゃあ、次は3日後に、5日後に来てくだ さい」と日数を指定されてしまいます。そうなると、平日仕事を持っている身では、なかなか治療が出来ません。おのずと嘘をついて休むことになります が、それも、いつまで使えるかたかが知れています。結果、短い間で転職を繰
  り返し、いつも不安と隣り合わせで生活しなければなりません。そうなると、 極度のストレスになります。とんでもないトラブルです。そしてストレスは不 妊の大敵です。

  そういったことを少しでもなくしたいと思い、お話するのですが、残念なが ら、今まで一度もご理解いただいたことはありません。以前のところも、結局 小さな嘘をついて勤めていました。(不妊治療と言わず、婦人科の治療と話してありました。)月に何度か休みを取ることを条件に働いているので、休むと きにストレスはありませんが、それでも、最後のほうは休みづらくなってまし
  た。最終的にその事務所は8月に事務所が閉鎖されたので、それを期に退職し、現在は幸いにも1ヶ月ほどで次の勤め先が見つかりました。シフト制なので、事前に話をして断られないところを選びました。治療の時間を確保しているた
  め、治療の話はしていません。する勇気がなくなったのです。
  話はそれましたが、おそらく皆さん、治療費を稼ぐために、何らかの嘘をつきだましだまし働いていらっしゃるのだと思います。治療を続けるためには働かなくてはいけない。でも、理解してもらえないから、クビになるから治療のことは話せない。でも、治療して子供は欲しい。そうなると治療費がいる・・・ 堂堂巡りのメビウスの輪の中にいます。

  先日、あるTV番組で7時のゴールデンタイムに不妊治療の特集を放送していました。私は涙と鼻水(!)まみれで見ました。(もちろん、ビデオにとって夫にも見せました)その最後に、次のような内容のナレーションが入りました。
  『普通の夫婦が、あたりまえに子供を欲しいと思い治療をしているのに、取材に応じてくれた夫婦のほとんどが仮名で顔にぼかしを入れ、音声まで変えなくてはならない。そうさせてしまう、社会のあり方自体、私たちは考えなければならないのかもしれない』
  確かこんな内容だったと思います。
  何人の方がこれを見ていたかはわかりませんが、一人でも不妊治療を理解してくださる方が増えて欲しいと願わずにはいられません。お願いです。私たちは、自分たちの子供を産みたいのです。そのためには社会の皆様の手助けが必要です。その手助けを、どうぞ、よろしくお願いします。!!!