お便りのご紹介(1)
(埼玉在住、男性サラリーマンより)


ホームページ拝見しました。。ただ、現実はもっと違うのではないかと思います。
子供が欲しくてもできない夫婦が世の中に何万カップルいるか? 
世間の視線の中で大声を出せずに思い悩んでいる奥さんたち(私の妻もそう)が
非常に多いことを分かってもらいたいと思います。

また、あなたのホームページでこの問題に付いても深く探求して頂きたい・・・とい
うお願いです。この問題は、厚生省で生殖医療の問題として扱われているようです
が、本来、少子化問題の中で医療費控除・医療機関の充実・悩みを持つ人へのメンタ
ル的ケアも含めて考えて頂きたいと思っています。

現在、厚生省でも少子化問題などで審議会をもって検討しているようですが、女性の
働く環境改善のことばかりで現実を見ていないように思えます。確かに、働く環境
が改善されていないから、子供を作らないという夫婦も多いかとは思いますが、それば
かりではないように思えます。

我が家の場合は、子供が欲しくてもなかなかできずに、いわゆる「生殖医療」に挑戦
している夫婦です。結婚10年ですがなかなかできず、ご近所の「どうしてつくらないの?」
と詰め寄る、おせっかいおばさんたちの言葉に、妻はノイローゼ状態
になっています。

この生殖医療については、厚生省や産婦人科学会でもいろいろ偏見があるようで、そ
れに携わる医者は何かと問題視されがちであったりと、なかなか適正なかたちで世間に
オープンになっていないのです。私たちも、子供を真剣に欲しいと思い、年齢も差し
迫っている状況の中で、わらをもつかむつもりで、病院を探し回りましたが、いい情報
にたどり着くことは至難の技なのです。ましてや厚生省HPでも紹介はしてくれません。

ここで、問題なのが、

@医療費の異常ともいえる高額さと、医者の患者の足元を見た拝金主義的な態度。
保険が利かないこともありますが、ホルモン注射だけで1回8千円ほど。排卵日
近くなると4〜5回通院しなければならず4万円。人工受精(夫の精子を妻に注入・
・・成功例は極めて低い)で2万円ほど。従って月になんと6万円。
私たちはこの治療を約12ヶ月続けました。 妻が駄目なたびに、医者にいろいろ聞いても
「イヤならやめてもいいんだよ!」という態度。頭にきてその病院をやめました。
 そして、現在、あの、林真理子さんが成功した病院を何とか紹介して頂いて、体外
受精(シャーレの中で妻の卵子と夫の精子を受精させ、また妻の体内に戻す)に先
月、挑戦しましたがやはり駄目でした。この医療費は先ほどのホルモン注射と同じ経
緯をたどり、カッコ内と同様のことを施すわけですが、これだけで40万円〜70万円です。
私は埼玉ですので、比較的東京の病院に通うのは簡単ですが、中には、群馬や静岡、
新潟など非常に高額な交通費も使って来る人も多いのです。

 私はサラリーマンで、この金額をニコニコ笑って出せる収入はありません。
小遣いも減額し、パソコンの買い替えもあきらめてやっとのことです。
 また、大きな問題は、この医療をおこなうようになって、妻は仕事(派遣社員)を辞め
ざるを得なくなった事です。先ほど書いたように、排卵日近くなると何日も通わなけ
ればならず、その度にいい訳をするのがひじょうに厄介なのです。ウソも3度までで、
「実は・・・」と言わなければなりません。この言った後の屈辱感と、その後に派遣を
断られた妻の衝撃は、夫の私も唇をかむものです。
 
 
A少子化問題といいながら、職場での女性地位向上ばかりを主張する女性有識者の発
言。女性正社員の労働環境改善、妊娠に関わる育児休業休暇などは私も賛成です。
でも、不妊治療についてはどうでしょうか? おそらく誰も大声で言わないでしょう。
「子供ができない女性が何を言ってんの?」とさげすみの声をいわれるのが関の山だ
から。このような「声なき声」を顕在化させるのが、女性の立場で有識者の席に座る
女性の責務であるはず。ではないかと思いますが。
 
 最後に、現在、診て頂いている病院は、夫と一緒に通院するのが基本になってま
す。病院は常に満員です。患者は常に2人ですから当然ですが。私も恥ずかしくてためら
いましたが、みな夫達が前を向いて毅然としている姿に、力を与えてもらいました。
 おそらく、どの夫婦も状況は同じだと思うのです。失敗した時の「ごめんなさい」
という妻の涙、情緒不安定な中の夫への罵声、「もう死にたい」という弱気な言葉、
近所の子供を見てカーテンを閉める妻・・・それらをかいくぐってきている夫達の顔
は、疲れているはずなのに、みんな仏様のような表情をしているのです。

 どうか、あなたのホームページでこの問題を取り上げて頂きたいと思います。

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