先ず、このグラフをご覧ください。
このグラフは、各国の子供の成長に対して、親がどのように評価しているか・・・。を示しています。アメリカ・イギリス・スウェーデンにおいては、満足しているというのが90%近く達しているのに対して、日本はようやく50%を超えたところです。(地域による宗教感の違いかもしれません。)
これは、画一的な教育を受けた親(私もその1人です)が、画一的な評価で子供を見ているからにほかありません。これでは、子供が精神的に苦痛であるとともに、親自身も精神的に疲れてしまうのではないでしょうか?
「○○すべきだ!」とか、「こうあるべきだ!」を追い求めすぎると、「もう一人子供をつくろう」とは思わなくなってしまいます。確かに、今の一部の中学生や高校生の生活態度をみていると、「甘やかしすぎ?自由ってそんなもの?」といった疑問も涌きます。が、その子供の個性を素直に良いものとして受け止め、ともに延ばしていくという喜びを見つけない限り、子育ては楽しくなりません。
我が家においても、「あれしなさい!」「これしなさい!」そして、その間に「パシッ」が入って「はやくしなさい!」(たまにですけどね)の繰り返しです。勿論、しつけは大事です。人間の才能に多きな隔たりがあるとは思えませんから、しつけ次第で人は大きく変わってしまいます。
が、もう少し違う接し方を見出さなければ、親のほうが先に疲れはててしまいます。勿論、私自身、自分の子供には、せめて私たち親を超えて欲しいと思います。しかし、過度の期待を捨て、子育てを楽しむ喜びを見出さない限り、誰しも嫌なことを進んでしようとは思わないはずです。
少子化を解決する為に、行政に多くの期待がを寄せられています。もちろん行政が社会の仕組みを変えることは、不可欠であり、しかも大変有効な手段だと思います。
しかし、人が子供を産もうとしないのは、単に経済的な問題や、住居の問題、まして、女性の高学歴化など、ひょっとすればあまり関係ないのかもしれません。親がもう少し、過度の期待を捨てて、力を抜く・子育ての楽しみをもっと引き出す・・・。
これが最も基本的な少子化の解決策かもしれません。
但し、現在の親がリラックスして子供を育てる。→その子供が親になって子育ての楽しさを知る・・・。少子化が解決する・・・。このサイクルからいけば、効果がでるまでに30年ぐらいはかかりそうです。
(1999年9月24日記載)
このことは、厚生白書「少子化問題を考える」にも明言されていることです。
女性は、高学歴化になるとともに、家庭に閉じこもることより社会に飛び出していく道を選びました。このことは当然の結果であり、むしろ喜ぶべきことです。但し、他方で家庭生活を拒否しているものではけしてないはずです。(ひょっとすると単純にそうなのかもしれませんが)、終身雇用制度下においては、一旦会社生活から退いてしまうと、2度と自分の能力発揮の場所や、正社員の枠を与えられませんから、やむなく”しがみついている”という状況も見うけられます。結果として、この精神的なプレッシャーが初婚年齢を押し上げている一つの要因ではないでしょうか?
’87年 ’92年 ’97年 男性(夫) 2.6年 2.9年 3.3年 女性(妻) 2.5年 2.9年 3.4年 夫婦の平均交際期間:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」
男性にとっても、終身雇用というシステムがあり、1回のミスやマイナス点が延々と記録され、育児休暇や家庭の為に時間を割くということに、どうしても消極的になってしまうのではないでしょうか?
また、昇格にあわせて賃金制度も年功序列となっています。支出の多くなる年代に基本給や手当が充実するのは良いのですが、本来は、支出が多くなる前に多くの賃金を受け取り、個々の生活設計に基づいて貯蓄をはじめたほうが、将来に対する展望が開けるのではないでしょうか。将来、自分や肉親以外の人間を養っていく自信が無くて、結婚に対して消極的になっているような気さえします。
男 女 ’82年 ’87年 ’92年 ’97年 ’82年 ’87年 ’92年 ’97年 いずれ結婚する 95.9%
91.8%
90.0%
85.9%
94.2%
92.9%
90.2%
89.1%
一生結婚する気はない 2.3%
4.5%
4.9%
6.3%
4.1%
4.6%
5.2%
4.9%
全国の18歳以上〜35歳未満の未婚男女を対象とした調査「出生動向基本調査」より一部抜粋
又、現行の制度では定年制が導入されています。
子供が家庭を持つまでは現役でいたい!との思いの反面、子供の就学終了年齢が高くなると、
「もう1人欲しいけど、子供が卒業する頃には・・・」との理由で、あと1人の子供をあきらめているご家庭も多くあるのではないでしょうか。
勿論、終身雇用・年功序列の考え方は、雇用者にも非雇用者にも大きなメリットをもたらしてきました。又、現行の制度を、一度に変革すると、若年時代に低賃金で頑張ってきた中高年層に大きなデメリットを与えることも想定できます。
しかし、1999年度の新入社員のうち48%が「終身雇用を望まない」と答えるとともに、23%は「終身雇用は時代遅れ」と感じています。(産能大学の調査)
会社の理想的な雇用構造については、別に考察をお願いするとして、少子化問題だけに限定して考えれば、日本独特の雇用形態・賃金形態は、早急に改革すべきだろうと思います。
(1999年9月24日記載、26日改@)