水の選び方
◆ 正しい水の選び方 ◆



どんなにきちんといれても、
ロンドンで飲んだお茶にはかなわない。

ホテルの備え付けの小さな湯沸しポットでお湯を沸かして、
ごくごく普通の安い紅茶のティバックを浸す。
「Tyhoon」というメーカーだ。デパートで買う高級茶ではない。

けれど。
ほんとうにおいしい。
無造作にいれたお茶なのに。

それは、窓の外に見える憧れの街の魔法だろうか?
それとも、遠ざかる記憶の中のお茶は常に おいしく感じてしまうものだろうか。

そうではなくて。
それは「水」。水が違うから。



ロンドンの硬水がお茶をおいしくしている。
日本の軟水には出せない、微妙に違う味わい。


ずっとそう思っていた。


ある紅茶の本に「紅茶には軟水が最適」と出ていた。
軟水とか、硬水とか水の味わいの差はよくは分からない。
けれど、あの味の違いの秘密は 水にしかないと、ずっと思っていた。

それは勘違いだったのだろうか。

「四季の英国紅茶」(出口保夫/東京書籍)の中に、
「完全な発酵茶には硬水やミネラル・ウォーター、
ナチュラル・ウォーターが適している。」とあった。


ああ、やっぱり。
ロンドンで飲む紅茶のおいしさの秘密は水にあったのだ。
”硬水”だ。


「紅茶には水を選ぶ必要がある。」(P100)
その本にはそう書いてあった。
あ、益軒先生と一緒だ。
 

─ 注 ─
硬水:カルシウム塩、マグネシウム塩を多くふくむみず。洗たくには適さない。
軟水:石灰石・マグネシウムなどの塩類をふくまないみず。
(角川国語辞典)
発酵茶 → 紅茶・白茶 (参)[ 紅茶百科 / 茶の分類 ]



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