特別指令:「熊野古道妖怪探検隊」に潜入せよ!   


■ 別名:猫や世紀末・夏の大冒険待ったナシ!!

ミッションは8月28日、つまり前日に猫八さんから下りました。
普通なら行けない状況なのですが、いろんな条件がなぜか
クリアできてしまい、後は勢いで乗るか反るかだったので、
マーズ&シィアルは、えいっとばかりに飛び乗ったという次第です。

このツアーは和歌山県田辺市を発着して熊野古道を訪ねるもので、
南紀熊野体験博の一環イベントです。田辺市主催。
そして、水木しげる氏と京極夏彦氏、多田克己氏らが同行すると
いう、ファンにはおそれおおくも舞いあがる企画でした。





行程:
1999年8月29日Sunday(快晴)
10:30am紀伊田辺駅よりバス3台で出発。
野中の一方杉周辺、いやしの広場で昼食(近露王子)、
滝尻王子、清姫淵などを訪ね、田辺駅へ4:30pm帰還。

夜の部は、紀南文化会館大ホールにて、「第3回世界妖怪会議」
が開催され、上記の作家諸氏に荒俣宏氏が加わる。

我々にとっては、田辺駅に着いて猫八さんに会うまでが
この旅の大部分を占めていました。作家の先生方に会うという
より、無事行き着けるかというのと、なんせあわただしく出発
したので、猫八さんに会えるかどうか、そちらの方が心配でした。
猫八さんにとっても、我々が本当に来るのか、心配をかけました。
ともあれ、めでたく集合場所にてお互いを発見。
私とシィアルを間違えなかったですね、猫八さん。

さてさて。
ツアーは、途中のスポットで作家諸氏と合流するスタイルでした。
参加者はやはり若者が中心。それにしても人数が多い…
スポットで作家を見つけてどよめく人々。後はぞろぞろと歩きます。
お昼はテントのある休憩広場で各自もらったお弁当を食べる
というものでしたが、ここで猫八!
とっさにするっと先生方の正面の席をゲット!
数メートルしか離れていない席で、猫やはそれどころでなく、
先生そっちのけで食事しました(笑)
途中でラッキーにも多田先生のサインをもらった猫八さん。
重い本をたくさん持ってきてたのも無駄ではなかった。
(なぜか我々は本を持たずにマーカーだけ入手していた。)
特産のミルクの入ったソフトクリームはおいしかったね
(これはオプション)。

私には初めての南紀熊野、シィアルには2度目の訪問。
見渡す限り快晴の空に、山の緑が映えて、とても暑いんだけど、
日陰に入ると心地よい風が吹いているような日でした。
山を歩くと、あちこちに可憐な花が咲いています。
南紀の植生はこちらとはまた違い、繊細な感じ。
山の気というものも、穏やかに感じられました。
やわらかい味の梅干の育つ山…そんな風に見てはいけない。





妖怪ツアーの後、私たちは時間のつごうで会議に参加せずに
帰ってしまいましたが、猫八さんは参加していて、こんな
ドキュメントを送ってくれました。

●多田先生が、「神社で粘菌採取しているうちに、粘菌の神秘から
神社の神秘に興味が移って、今や妖怪研究家」と言った時、
「うへぇ、神の薬屋…」と一人受け。

●京極先生は「普通の情報はコピーすると劣化するが、妖怪
(という情報)はコピーすると劣化しないでどんどん広がる」と。
コピーする時にオリジナルと違う部分が出来てしまうと普通は
「劣化」だが、妖怪はそれがプラス。生命力って感じでしょうか。





ツアーには妖怪は出没しなかったようですが、
妖怪探検隊なので、もう少し地元の妖怪とお近づきに
なりたかったなと思ったりしました。
お昼のお弁当の箸袋についていた妖怪は微笑ましかった。
ナルシアへのおみやげは、ほとんどこれだけ?
水木先生が体調を崩したため、簡単なあいさつのあと、
午後から先生方は帰られましたが、もしやそれが妖怪の
しわざだったのだろうか?
あと、我々が帰りの便にまんまと乗り遅れ、帰宅が
遅れたのも妖怪のしわざだったのか?
見えないものとの付き合いは、もう始まっているのかも
知れません(猫八さんも今まで見えなかったし?)。

もっと先生方の様子などレポートすべきかも知れませんが、
なんせ、こういう状況だったもので、我々一同、気が動転
していて、それどころではなかったというのが実情です。
きっと、いつもの先生方でした…ということで、お許しを。
取材の方も入ってたので、各方面で明らかにされるのを
待ちましょう(私も待ちたい)。


報告:隠密その一、魔阿巣


1999年08年



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