とりあえずおなかもおさまったので、宿に荷物を置いて、さっそく島内探検に出かけた。集落は海から200m程も高い位置にあり、どこからでも海が見える。とりあえず、役場と郵便局を表敬訪問。他には雑貨屋が2軒あるだけで、 食堂すらない。(だから民宿は3食付!)つまるところ、現金を使う機会がない。。 こう書くとえらくさみしい所のようになってしまうが、人口200人とはいっても、せまい地域に密集しているので、集落内を歩いてるとけっこう人に出会う。すれちがうひと、みんながあいさつしてくれる。

気が付くのは、意外と若いひと、そして子供たちが多いこと。あとで宿のおじさんに聞いた話では、八丈島とのあいだにヘリコプター便が就航してから、役場の職員(島外から募集している)がそのまま島に定住するケースが増えたとかで、いまちょっとした出産ラッシュなんだとか。役場のとなりには立派な学校が建っているが、ここの生徒も10年間で倍近くに増えたそうだ。


青ヶ島ご自慢の小中学校。図書館も併設されている。

集落は外輪山の”比較的”緩やかな斜面にあるが、といってもかなりの傾斜地だ。集落のずっと上のほうに、携帯電話のタワー(Docomoさんホントにすごい)が立っているのが見えたので、あそこまで行ってみたい、高いところが好きなわたくしとしてはつい足が上へ上へと向かう。汗をかきかき登る事15分、ようやく塔の足元にたどりついた。心臓ばくばく。

振り返ると、家々やさっきの学校が小さく見え、そしてその向こうは高い海。絶景に満足満足、なのだが、いま登ってきた斜面の一部が、緑色のコンクリートで固められているのが目障りでちょっと気になった。ガケ崩れするような傾斜ではないし、これは一体何なのだろうか?
役場でもらった地図をみると、この先さらに遊歩道がのびていて、展望台まで行けるようなので足を伸ばしてみた。観光客がそもそもわずかなのに、こんなところまで来るひとが大勢いるとは思えないのだが、それでも遊歩道はきれいに整備されている。道はやがて外輪山の”ふち”の部分にかかり、その内壁の断崖すれすれに立つ展望台に出た。

うあー! いままで見たことのない景色が、目の前に広がった。おわんの中にプリンを伏せたような、みごとなカルデラ地形。上の写真で、この島の地形がみなさんにもおわかり頂けただろうか? どうしてこんな景観が生まれたのか、理屈としてはわかるけれど、実際目の当たりにしてみると、その奇抜さに見とれるばかり。

 いやー、よくぞここまで来たものだ。これが見たくて、はるばる青ヶ島まで来たんだ..
結局、1時間近くも展望台にいただろうか。

帰り道、宿への道をのんびり下っていると、防災無線のスピーカーから『夕焼け小焼け』のメロディーが流れてきた。すると、集落のあちこちから”モ〜”と牛の鳴き声が聞こえてきてびっくり。そういえば、この島の特産物は和牛らしい。ひょっとしたら今晩の食卓に..などと、ぼくは怪しからぬことを考えたりした。

つづく