仙台スタジアム


 仙台名物・牛タンの元祖『太助』で早めの夕食を済ませたら、さあ、いよいよ憧れの仙スタへ。地下鉄に乗ると、すでにサッカー観戦らしい人たちがたくさん、さすがJ2でNo,1の人気を誇るベガルタだけのことはある。

最寄駅は地下鉄の終点・泉中央。地上に出た電車は、スタジアムの白い屋根をすぐ右にかすめて駅にすべりこんだ。駅ビルにイトーヨーカドー、大きなバスターミナルもあり、かなりにぎやか。ここで飲食関係は完璧に揃いそうだが、さらに改札を出てすぐのところで『牛タン弁当』(\850)の売店が出ており、至れり尽せり。 スタジアムまでは徒歩5分の近さである。

きょうのゲームへの期待を胸に、スタジアムへと向かうひとの列。混雑する窓口でチケットを買い、ゲートをくぐる。。 初めてのスタジアムとの出会い、至福の瞬間。

 ”夢”、という言葉が、まず浮かんだ。すげーよ、こりゃ。。
写真やTVでは何度も見てはいたが、本物の仙台スタジアムは、その何倍も良かった。ヨーロッパや南米のサッカー場はこんな風なのだろうか、屋根に覆われたスタジアム全体が、外界から切り離され、完全に一つの別世界になっているという感じ。うまく言葉にできないけど、たとえばディズニーランドのゲートをくぐると、もうここが日本であることを忘れてしまう、そんなイメージ。

キャパシティは2万弱と、決して大きくはないのだが、この日も、1万6000を超える大観衆が詰め掛けた。メイン・バックの中央寄りの席を確保しようと思えば、かなり早めに来なくてはならないだろう。逆にゴール裏は、フィールドとの距離が意外に遠く(サッカーよりもフィールドが長いアメフトにも使用するためと思われる)、サポーター軍団もバックスタンドに陣取っているので、比較的空いている。ぼくはここからの眺めがお気に入り。(下の写真)

 さて今日の試合は、ベガルタ仙台がサガン鳥栖を迎えての一戦。J1昇格を争う仙台にとっては、落とせないゲームだ。
立ち上がりから、FWマルコスを中心に攻め立てる仙台だったが、先制点!がオフサイドの微妙な判定でノーゴールになるなど、いまひとつ攻めきれず、逆に鳥栖にワンチャンスを生かされ先制を許すいやな展開に。

 しかし後半、仙台の至宝・MF財前を投入すると流れが一変。彼の華麗なテクニックは完全にDF陣を翻弄し、後半開始早々、コーナーキックからFW藤吉が押し込んでまず同点。一気にスタンドのボルテージが上がる。仙台のサポ−ターはチームや選手名のコールよりも”歌”が中心で、楽しく、そしてかっこいい。

サポーターが歌い、選手が攻め、さらにサポーターが盛り上がる。相乗効果で完全に押せ押せムードになった仙台は、元日本代表・岩本輝のFKであっさりと逆転!
”熱狂”、という言葉はこういうときに使うのか、というほど、異様な熱につつまれるスタンド。さらには、財前みずからもループ気味のシュートをたたきこみ 3−1。
卓越した個人技でねじ伏せる、仙台の良さが出たゲームだった。

 

 喜びを分かち合う選手とスタンド、美しい光景だ。
やがて選手がピッチを去り、みんなが帰り支度をはじめても、ぼくはまだそこに座っていた。ただそこにいるだけで、なんともいえぬ幸福感があった。

仙台スタジアム、最高です。やっぱり来た甲斐がありました。

『盛岡競馬場』へ 続く