1日目
 7月21日、朝5:30に家を出る。こんなに早いわけは、東北新幹線の『たび割7きっぷ』を使うから。早朝の便限定で、料金がほぼ半額(盛岡往復¥13600)になるという、いわば新幹線の”特割”だ。上越新幹線にも同様のきっぷの設定があり、ともども愛用している。※現在は発売していない。

大宮6時38分発のやまびこに乗ると、たまらず睡眠..起きたらもう仙台到着であった。

 さて、きょうのメインイベント、仙台スタジアムのベガルタ戦はナイターである。それまでどうやってすごすか、出発前に地図をながめて計画していたら、くりはら田園鉄道、というローカル線の名前が目に入った。終点は「細倉マインパーク」。鉱山跡を活用した施設で、旧坑道などが見学できるらしい。 こういう探検めいたことが大好きなぼくは、さっそくこれに決めて、東北本線を各駅停車で北上、約1時間で石越という駅に降りたった。

JRの駅のすぐむかいに、ちいさなふるい駅舎が。なんか30年前くらいで時が止まってしまったかのような、ノスタルジックな佇まいだった。

この路線は、もともと鉱山の貨物を運ぶためにできた、栗原電鉄という私鉄ローカル線なのだが、閉山後、やはり利用客の減少に苦しみ、第3セクター化して”くりはら田園鉄道”という名前で再出発したのだった。

その名のとおり、沿線にはこれぞ東北、これぞ日本という田園風景が広がる。途中の駅はすべてホームと待合所だけの無人駅で、それも集落のすみっこなんかに、目立たない感じでぽつねんと存在している。備え付けの運賃表には、”○○停留所”と表示されていたが、そんな言い方が実に良く似合う。


電車のかわりにネコバスがはしってきそう

そんなのんびりした車窓にこころをなごませるうち、次第に山が迫ってきて、約50分で終点、細倉マインパークに到着した。人通りは少なかったが、駅前は最近整備されたらしく明るくきれい。マインパークに歩いていく途中、いわゆる炭住の跡らしき住宅地を見かけたが、それも2階建ての立派な町営住宅に生まれ変わっており、旧鉱山町にありがちな暗さは感じられなかった。

灼熱の太陽の下を10分ほど歩いて、おめあてのマインパーク到着。夏休み最初の週末とあって、駐車場はマイカーや観光バスがたくさん入っていた。こちらはすでに汗だくになっており、切符を買って”観光坑道”へ。トンネルに一歩入ると、外とは別世界の冷たさで、生き返る思い。

こうした鉱山跡を見学する施設は全国各地にあり、ぼくもあちこちでみてきたが、うーん、ここはちょっと子供だまし、だったかな。鉱山の歴史を紹介するコーナーは一部分だけで、途中からは『宇宙の神秘をさぐる・タイムスリップゾーン』だかに変わってしまった。ぼくは、この鉱山でなにを採掘していたのか、それすらわからないままであった。 で、このゾーンが、薄暗かったり、火山が噴火してたり、生命の誕生だったりして、ひとりで歩いてると、かなり不気味なのだ。。。早足で通り過ぎ、地上にもどってくると、むっとする蒸し暑さに迎えられ、メガネが一瞬でくもってしまった。うう。 


鉱山跡では、いまも顔料の工場が稼動中であった

そんなわけでマインパークは期待はずれだったのだが、帰りの電車までの時間、周囲を歩いてみると、町立の鉱山資料館があった。こちらは小さいながらもちゃんとした施設で、鉛やスズを生産していたということもわかり、まずは満足。


さびれた駅構内に1両の列車がはいってくる。

帰りものんびりと”くりでん”にゆられ、また各駅停車で仙台までもどった。電車に揺られ、ただ窓の外をながめているだけなのに、旅の充実感はなにものにも代え難い。

『仙台スタジアム』へ続く