ビオトープネットワークの拠点としての五条川

 岩倉北小学校に、学校ビオトープを作っています。とりあえず土木工事が、ほぼ終わりました。「ビオトープ」というとまだ聞きなれない言葉だと思われる方も多いかと思いますが、北島にある自然生態園みたいなものと思っていただければ、だいたいあたっています。規模は、自然生態園よりは小さいのですが、PTAが主体となり、NPO、教職員、地元企業、防水塗装業者、市民の皆さんとの、汗を流しての手作りビオトープです。来年の夏には、下草や湿地の植物も生えそろい、木々も生い茂ると思います。子どもたちが、生き物たちとふれあう光景を思うと、これからが楽しみです。もちろん、設計者の思惑通りの様相を示すのは、10年後くらいになるのでしょうが…。
 ところで、岩倉の上空から写した航空写真を見ると、みごとに市内を縦断するグリーンベルト地帯があります。「五条川」。虫たちが、広範囲に行動するために、あるいは新しいエリアに進出していくためには、なくてはならない緑の回廊です。五条川から半径***m以内なら、ちょっとした庭を作れば、すぐにせみたちの楽園になります。いつも、水面を見ながら歩いている五条川のもうひとつの一面です。
北小学校に作っているビオトープには、すでにガムシなどの水生昆虫やおたまじゃくしが泳いでいます。北小ビオトープは、線路沿いの雑木づたいに岩倉神社につながっています。さらに岩倉神社から東へ200mも行けば、新溝神社へつながります。昆虫たちはそちらから、新たな繁殖地をを求めてやってくるわけです。
しかしいま、市内に残されたわずかな寺社林、屋敷林のおおくはは、孤立しています。面積もどんどん削られています。私がこの春、畑に作った池にも、ヤゴ以外の水生昆虫は見当たりません。ゲンゴロウやタイコウチ、ミズスマシ。以前身近にいた水生昆虫たちも、普段ほとんど姿を見なくなりました。カブトムシやクワガタはもちろん、タマムシ、フンコロガシも見なくなりました。
今、名神高速道路の斜面の名鉄の線路より東側は、緑化されて、すでにうっそうとした様相を示しています。もし、高速道路の斜面の緑が、さらに線路より西へ伸びてくれば、自然生態園ともつながり、市南部で五条川が西に曲がっているのとあわせれば、カタカナのコの字型に、岩倉は緑の回廊に囲まれることになります。さらにそこから、街路樹や屋敷林、寺社林、学校ビオトープ、公園、公共施設、はたまたビオトープ付マンション(関東圏には既にあるそうです。)などで、市内を毛細血管のように、ビオトープのネットワークを張り巡らす。
五条川ではコイ、おいかわが目立ちます。護岸工事のためある程度泳力のある魚しか生き残れません。そりゃ、年に一度の桜の花の元での宴会は、大好きだけれど、せめて1本おきか、2本置きでいいから、桜以外の植樹ってのは、だめでしょうか?植物の多様性は、とうぜん昆虫の多様性をもたらします。それとも、もう、昆虫たちやメダカなどの小動物は、いらない?
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