■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 86  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は「江戸時代の学問」を勉強します!
■■

三重:ねぇ,佳代,前回,江戸時代の文化をやったけど,学問とかやってな
   いんじゃない?
佳代:そうね。じゃあやろうか。
藤原:そうだね。
三重:あっ,先生,今回は登場が早いですね。
藤原:うん,入試直前の人が多いからね。ちょっと早く出てきたよ(笑)。終
   わっちゃた人もいるみたいだけど。
佳代:そうですね。終わりましたって報告もたくさん来ています。
藤原:うん,でも,まだの人の方が多いみたいだから,がんばっていこう。
三重:ハイ,それじゃあ,江戸時代の学問についてお願いします。
藤原:OK,まずは,江戸時代の学校から行こうか。
三重:学校ですか?知っています!寺子屋です。
藤原:うん,正解だ。庶民の教育機関として寺子屋があったよね。主に,読
   み書き,そろばんを教える。それから,藩の学校があったよね。
佳代:ハイ,そのまんまです!藩校といいます。
藤原:うん,それでいい。まず,この二つを覚えておこう。それから,学問
   としては,大きく分けて日本の学問と外国の学問が発達したんだった
   よね。
佳代:国学と洋学ですね。
藤原:そういうこと。これも,そのまんまだね。そこで,まず,日本古来の
   思想を求めて古典研究などをした国学からいこう。
三重:国学って,確か,本居宣長がそうだったんじゃないですか?
藤原:おう,正解だよ。本居宣長が二重丸だ。受験生の方は,最低でも覚え
   ておいてほしいね。
佳代:そうですね。後は,宣長の師匠の賀茂真淵ですね。
藤原:そのとおり。まだいるけど,とりあえず,この二人を覚えておけばい
   いだろう。万葉集の研究をしたのが賀茂真淵で,古事記伝を著したの
   が本居宣長。その程度を頭に入れておけば大丈夫だ。
三重:ハイ,洋学の方は,誰が二重丸なのですか?
藤原:もちろん,解体新書を著した,前野良沢と杉田玄白だね。それから,
   日本地図を作った伊能忠敬も忘れてはならない。
三重:えっ,伊能忠敬って洋学に入るのですか?
藤原:そうだね。地理学も洋学に入るから。でも,そんなに気にしなくてい
   いよ。
三重:他に覚えておくことはありますか?
藤原:うん,オランダ商館の医師として来日した人がいたよね。
佳代:シーボルトですね。
藤原:そう,彼は,長崎に鳴滝塾を設けて,医学や天文学などを教えた。一
   応,覚えておいた方がいい。それから,もう一人,最近の入試にもよ
   く登場するようになった安藤昌益も覚えておこう。
三重:安藤昌益?そんな人いましたっけ?
佳代:あれっ,三重,前にやったんじゃない?
三重:えっ,えっ,記憶にないわよ。
藤原:まあ,それはいいとして,安藤昌益とは,八戸の医者で,武士も百姓
   も区別なくみんなが耕す自然な世界が理想であると主張した人だ。
佳代:自然真営道を著して封建制を批判した人ですね。
藤原:うん,そういうこと。まだまだ,たくさんいるけど,最低,このぐら
   いが頭に入っていれば大丈夫だと思うよ。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。


□□
□□ 今回のまとめ
□□

● 教育の発達

 ・藩校:各藩が,藩士の子弟を教育するために設けた機関。

 ・寺子屋:読み書きそろばんなどを教える庶民の教育機関。

● 国学 古典を研究して古い日本人の精神を知ろうとした学問。

 ・賀茂真淵(かものまぶち):万葉集の研究
   ↓大成
 ・本居宣長(もとおりのりなが):「古事記伝」

 ・平田篤胤(ひらたあつたね):復古神道

 ・塙保己一(はなわほきいち):「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」

● 洋学

 ・前野良沢(まえのりょうたく),杉田玄白(すぎたげんぱく):解体新書

 ・伊能忠敬(いのうただたか):大日本沿海輿地(よち)全図

 ・シーボルト:オランダ商館の医師(ドイツ人),鳴滝塾の設立。
        シーボルト事件を起こし追放される。

 ・安藤昌益(あんどうしょうえき):自然真営道(しぜんしんえいどう)
                      (じねんしんえいどう)


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 87  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は「卑弥呼」を勉強します!
■■

三重:卑弥呼の「弥」は,弥生の「弥」
佳代:随分,懐かしいことをいっているわね。
三重:そうよ。あのころは,歴史は本当に苦手だったけど,最近は,得意と
   まではいかないけど,相当自信がついたわ。
佳代:それじゃあ,これからは人物中心にやろうか?
三重:あっ,いいね!そうしようよ!
藤原:いよいよ人物編かい?
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:前にも人物編をやるっていっていたよね。
佳代:そうなんです。これまでは高校受験編だったけど,だいたいの範囲は
   終わりましたから,これからは違った視点から勉強したいと思います。
藤原:分かったよ。これからは,代表的な人物中心にやろう。
三重:ハイ,お願いします!
藤原:すると,今日は卑弥呼かな。
佳代:そうですね。いきなり難しいですが,卑弥呼しかないでしょ。
藤原:それでは,やるよ。まず最初に,押さえておいてもらいたいことは,
   弥生時代ということだったね。
三重:それは大丈夫です。2度と飛鳥時代なんていいません(笑)
藤原:うん,そして,次に押さえておいてもらいたいのが,卑弥呼の記述が
   ある中国の書だ。
佳代:魏志倭人伝で〜す。
藤原:そのとおり。正確に言うと,有名な三国志の中の魏志東夷伝の倭人の
   条ということだけど,通称,魏志倭人伝でいいだろう。その倭人伝の
   記述が長い間日本人の頭を悩ませてきた。
三重:難しいことはよく分かりませんが,卑弥呼がいた邪馬台国がどこにあ
   るのかがはっきりしないということですね。
藤原:うん,ものすごくたくさん説があるんだ。その中でも,有力なのが,
   九州説,畿内大和説だ。
佳代:わたしは,九州だと思いますが・・・。
藤原:うん,先生も九州のような気がする。でも,分からないね。直感的に
   は九州だけれども。
佳代:確か,新井白石も悩んだといわれています。
藤原:そのとおり。江戸時代の学者,新井白石は,最初畿内説をとっていた
   けど,九州説に変ったらしい。どちらにしても,難しい問題だね。
三重:魏志倭人伝には書いていないのですか?
藤原:書いてあるのだけど,どう解釈しても矛盾が出るから論争になってい
   るんだ。まあ,ここでは,有力な説は,九州と畿内だということを知
   っておけばいいだろう。
三重:すると,どうしたら分かるのでしょう?
藤原:そうだねぇ・・・。ま,卑弥呼が授かったという金印が見つかれば,
   分かるかもしれない。
佳代:あっ,親魏倭王の金印ですね。
三重:あれ?先生,金印って発見されたんじゃないのですか?
藤原:ああ,違うやつがね。前にも勉強したように,卑弥呼より前に使いを
   送った,奴の国のやつだ。後漢の光武帝から送られた漢委奴国王って
   やつだ。
三重:あれ,そうだっけ・・・。でも,九州で見つかったんですよね。
藤原:そのとおり。志賀島というところで見つかった。長さ約2.35cm四方と
   の小さな印鑑だから,見つかっただけでも奇跡だよね。
佳代:ホントですね。でも,卑弥呼が授かったといわれる金印さえ見つかれ
   ば邪馬台国の位置がはっきりしますね。
藤原:う〜ん,それはどうかな?
佳代:えっ,どうして。そんな重要なものが見つかれば,間違いないんじゃ
   ないですか?
藤原:確かに,九州で見つかれば,間違いないだろう。でも,畿内だったら
   まだ分からない。
三重:えっ,えっ,どうしてですか?
藤原:うん,邪馬台国は,もともと九州にあって,あとから畿内に移ったと
   いう説もあるんだ。そうなると,移るときに持っていくだろ。
佳代:なるほど,そうですね。すると,九州で見つかれば決定,畿内で見つ
   かれば保留ということですね。
藤原:そういうこと。この問題は,簡単には答えは出ないから,今後の発掘
   などに期待したいね。
佳代:そうですね。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 人物データファイル
□□

・人物名:卑弥呼(ひみこ)
・時 代:弥生時代(3世紀前半)
・性 別:女性
・地 位:邪馬台国女王,親魏倭王
・業 績:魏に使いを送る(239年)
・その他:巫女であったと思われる。邪馬台国については謎が多い。


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 88  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は「聖徳太子」を勉強します!
■■

三重:佳代,聖徳太子4点セットってあったよね。
佳代:そうね。前に勉強したよね。
三重:それだけで大丈夫かなぁ〜?
佳代:そうねぇ・・・,まあ大丈夫だと思うけど・・・。
藤原:本当に大丈夫かい?
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:今日は,聖徳太子かい?
三重:ええ,やっぱり,もう一度きちんと勉強しておかないと。
藤原:そうだね。前にもやったけど,もう一度きちんとやろう。
三重:お願いします。
藤原:それじゃあ,復習からやるよ。聖徳太子って,誰の摂政だったの?
三重:えっ,えっ,先生,そんなの4点セットになかったですよ。
佳代:三重,それってジョーシキよ。4点セットに入ってないけど。
三重:そうだったの!それじゃあ教えてください。
藤原:有名な女帝だよ。推古天皇って聞いたことないかい?
三重:あります!そうか,推古天皇の摂政だったんですね,聖徳太子は。
藤原:そのとおり。実は,この辺の歴史は,少し疑わしいところもあるけ
   ど,君たちは,とりあえず,通説を覚えておこう。何しろ難しい問
   題をはらんでいるからね。
佳代:そうですね。聖徳太子って結構謎が多いと思います。
藤原:とにかく,謎は謎として研究することとして,今日は普通にやるよ。
三重:ハイ,わたしクラスでは,まずは基本をやらないと・・・。
藤原:そうだね。その上での研究だから。
佳代:ところで,先生,聖徳太子って厩戸皇子とも呼ばれているんですよ
   ね。
藤原:そうだね。それも頭に入れておいたほうがいいかもしれない。何し
   ろ有名人だから,聖徳太子=厩戸皇子って知らないと恥ずかしいか
   らね(笑)。それでは,4点セットをやろう。
三重:ハイ,最初は確か,十七条の憲法でしたね。
佳代:あれっ?違うよ,三重。
三重:えっ,どうして?
佳代:冠位十二階と十七条の憲法はセットなのよ。順番どおりにいかなく
   ちゃ?
三重:えっ,えっ,えっ,冠位十二階と十七条の憲法と関係があるの?
藤原:そうだね。前にキーワードを教えたよね。
三重:ハイ,覚えています。冠位十二階は,才能のある人を登用,十七条
   の憲法は,役人の心得を示すです。
藤原:よろしい。よく覚えていたね。それで分かっただろ?
三重:え・・・。あっ,何となく分かりました!
藤原:言ってごらん。
三重:ハイ,冠位十二階で,身分に関係なく才能のある人を役人に登用し
   ました。そして,そのこともあって,役人の心得を示す必要が出来
   たので十七条の憲法を制定したということですか?
藤原:よろしい!それでいいんだよ。冠位十二階の制が定められたのが,
   603年で,十七条の憲法が定められたのが,翌年の604年だ。そんな
   風に流れで理解しておくといいね。
三重:分かりました。連動していたんですね。
藤原:そういうこと。それから,残りの2点は大丈夫だろうね。
三重:そうですねぇ。確か,遣隋使と飛鳥文化だと思いますが・・・。
藤原:うん,正解だよ。この4点を中心に押さえておけばいいんだったね。
佳代:そうですね。
藤原:遣隋使の方は,例の隋の皇帝を怒らせたという内容の国書を送った
   んだったね。
佳代:ハイ,隋の皇帝,煬帝にです。使者は小野妹子です。カンカンに怒
   ったそうです(笑)。
藤原:そうだったね。国書の内容は対等外交を目指したものだった。
三重:えっと,確か,日出づる処の天子,書を日没する処の天子にいたす
   ってやつですよね。
藤原:おお!これはビックリ!そんなことまで覚えていたの!
三重:ハイ,なんとなくですが・・・Y(^_^)Y。
藤原:まあ,海の向こうの小さな国がこんなことを言うとは,皇帝もビッ
   クリしただろうね。
三重:よく攻めて来ませんでしたね。
藤原:そうだね。でも,攻めようにも攻められない事情があったんだ。
佳代:事情ですか?
藤原:うん,実は,当時,隋は高句麗と戦争中だったんだ。そんなときだ
   から怒りに任せて攻めることは出来なかった。それに,日本を味方
   につけておけば,高句麗をはさみうちするという戦略も考えられる
   から,怒っても無下に扱うことが出来なかったんだ。
佳代:なるほど,そういう事情もあったんですね。
藤原:そうだね。そういう状況を考えて対等外交を目指した国書を送った
   とすれば,相当外交感覚のいい人だといえるね。
三重:やっぱりすごい人だったんですね。
藤原:そうだね。聖徳太子については,こんなものではとても語り尽くせ
   ないのだけれども,だいたいそんなところを押さえておけばいいだ
   ろう。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 人物データファイル
□□

・人物名:聖徳太子(しょうとくたいし)
・別 名:厩戸皇子(うまやどのおうじ・うまやどのみこ)
・時 代:飛鳥時代
・性 別:男性
・地 位:(推古天皇の)摂政
・業 績:冠位十二階の制を定める・・(603年)
     十七条の憲法を定める・・・(604年)
     遣隋使を送る・・・・・・・(607年)
・その他:飛鳥文化の中心的人物


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 89  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は「蘇我馬子」を勉強します!
■■

三重:ねぇ,佳代,蘇我馬子ってへんな名前ねぇ。
佳代:そうねぇ,たぶん本名じゃないと思うよ。
三重:えっ,えっ,どうして?教科書にも載っているのに・・・。
佳代:だって,馬子に蝦夷,入鹿よ。後の世の人がつけたのよ。やはり,敗者
   の宿命じゃないの?
藤原:たぶん,そうだと思うよ。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:君たちが名前の話をしているとはね・・・(笑)
三重:先生,それを言わないでくださいよ。わたしたち,みんな変な名前なん
   ですから。
藤原:そうだったね。蘇我氏も,今,佳代ちゃんが言っていたように,結局,
   中大兄皇子らに滅ぼされて,敗者となったから,後の世の人にひどい名
   前に変えられたんだと思うよ。
佳代:あっ!
藤原:どうしたの,佳代ちゃん。
佳代:よ,よく見てください。馬子と入鹿で,馬鹿です!
三重:あっ,ホントだ。佳代みたい。
佳代:何いってるの,三重!・・・(怒)
三重:ごめんごめん。でも,気づかなかったわ。
藤原:本当だ。これで,後の世の人がつけた名前だって可能性が強くなったね。
三重:ところで,先生,蘇我馬子って,どんなことをした人なんですか?
藤原:そうだね。定説では,相当力があった人だったらしい。中には「蘇我馬
   子は天皇だった」などという説を唱える人がいるぐらいだからね。
三重:そんなに力があったのですか?
藤原:うん,この時代のことだから,はっきりしたことはいえないのだけど,
   実力者であったことは間違いないようだ。
佳代:馬子は,大臣でしたね。
藤原:そう,大臣は,政治の中心的な役割を持っているし,蘇我氏は,当時の
   財政権を握っていたらしい。
三重:なるほど,国家の金を握っているということですね。
藤原:まあ,そんなところだろう。当然,力があるわけだ。そして,最大のラ
   イバルだった,大連の物部守屋を滅ぼすことになる。
佳代:大臣と大連の対決ですね。
藤原:そう,大和政権において最高の執政官である大臣と大連が対決し,蘇我
氏が勝利を勝ち取る。その結果,大連は廃止されることになる。
三重:つまり,蘇我氏の天下ということですね。
藤原:そうだね。さらに,対立していた崇峻天皇をも暗殺し,推古天皇を立て
   たんだ。
三重:何だ,馬子って悪い人なんですね。
藤原:う〜ん,それはどうかな?権力争いというものは,とにかく醜いものだ
   けどね。とにかく,ライバルを倒し,自分に都合のいい天皇を立てた。
佳代:推古天皇と馬子は関係があるのですか?
藤原:そうだね。推古天皇は,馬子の姪にあたる。しかも,摂政になった聖徳
   太子の奥さんは,馬子の娘だ。
三重:えっ,そんな関係なのですか?
藤原:まあ,この時代は,何らかの血縁関係があるのが普通だよ。
佳代:確かに,テレビで北条時宗などを見ていても,あっちこちで血縁関係を
   結んでいるのが分かります。
藤原:そうだね。だから,驚くには値しないよ。
三重:すると,聖徳太子の時代って,蘇我馬子の時代とも言えるわけですね。
藤原:そのとおり。聖徳太子と協力して政治を進めたというよりも,聖徳太子
   が,蘇我馬子と協力して政治を進めたといっていいだろうね。だから,
   前回,勉強した聖徳太子の実績は,馬子の実績といっても過言ではない
   と思う。
佳代:それにしても,後の世では,誰も悪く言わない聖徳太子と,悪者の代表
   みたいにいわれる蘇我馬子が,一緒にやっていたと思うと不思議です。
藤原:そうだね。まあ,どちらにしても「蘇我馬子は天皇だった」とか「聖徳
   太子は,蘇我入鹿である」という説を述べる人もいるわけだから,この
   時代の本当のことははっきりしないよ。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 人物データファイル
□□

・人物名:蘇我馬子(そがのうまこ)
・時 代:飛鳥時代
・性 別:男性
・地 位:大臣(おおおみ)
・業 績:聖徳太子とともに国政の改革をすすめる
     仏教の導入に積極的な態度を見せる
・その他:物部守屋(もののべのもりや)を滅ぼす(587年)
     →大連(おおむらじ)の廃止
     崇峻天皇(すしゅんてんのう)を暗殺する(592年)
     →推古天皇(すいこてんのう)の擁立


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 90  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は「中大兄皇子」を勉強します!
■■

三重:ねぇ,佳代,乙巳(いっし)の変って大化の改新のこと?
佳代:そうよ。というか,大化の改新って,蘇我入鹿を倒した乙巳の変だけ
じゃなくて,その後の改革をひっくるめて言うのよ。
三重:えっ,そうだったの?てっきり蘇我氏を滅ぼした事件のことだと思っ
   ていたけど・・・。それにしても,日本語って難しいね。
佳代:そうね。漢字も難しいし。
藤原:おっと,どうしたの深刻な顔をして。
三重:あっ,先生,こんばんは。ちょっと難しい話をしていたんです。
藤原:ああ,乙巳の変がどうこうってやつね。ということは,今日は,中大
   兄皇子をやるのかな?
三重:ハイ,お願いします。
藤原:分かったよ。中大兄皇子といえば,のちの天智天皇だよね。
三重:ハイ,それは知っています。
藤原:うん,そして,話題に上がっていた,蘇我入鹿を殺して,蘇我氏を滅
   亡させたクーデター,つまり乙巳の変の中心人物だよね。
三重:その辺は分かるのですが,すぐに天皇にならなかったんですよね。
藤原:おう,よく知っているね。中臣鎌足らとともに蘇我氏を滅ぼした中大
   兄皇子は,皇太子にとどまって実権を握ることになったんだ。
佳代:どうしてすぐに天皇にならなかったのですか?
藤原:難しい問題だね。諸説があって分からない。まあ,大化の改新はなか
   ったという説もあるぐらいだから,その辺の追求は,ここではしない
   よ。しかし,この事件の後の政治の中心は,中大兄皇子にあったこと
   は確からしい。
佳代:そうですね。蘇我氏を滅ぼした翌年,大化の改新の詔(みことのり)を
   出しています。
藤原:うん,皇子は,県主(あがたぬし)や国造(くにのみやっこ)などによる
   分権体制から天皇を中心とした中央集権国家への転換を表明したわけ
   だね。
三重:確か,公地公民とか・・・ですね。
藤原:そういうこと。その辺の詳しい内容は,ホームページの歴史用語解説
   にあるから,そっちを見てもらうことにしよう。
佳代:気になるのは,白村江の戦いですね。
藤原:そうだね。このとき朝鮮半島では新羅に滅ぼされた百済の求めに応じ
   て,皇子は北九州に行って救援の大軍を送ったけど,唐・新羅連合軍
   に敗れることになる。
三重:先生,白村江って「はくそんこう」でいいのですか?「はくすきのえ」
   って書いてあるやつもあります。
藤原:まあ,どちらでもいいよ。最近は「はくそんこう」で通っているから
   ね。両方覚えておくのが一番いいのだけど。
佳代:この戦いに敗れてから皇子は天智天皇として即位します。そして,都
   を大津に移します。
三重:大津?もしかして,滋賀県の県庁所在地の大津なの?
藤原:そうなんだ。琵琶湖の近く。これも,一説でしかないのだけれども,
   中大兄皇子は,白村江の戦いに敗れ,窮地に落ちたんだ。唐の報復に
   も備えなければならないし,豪族たちの不満も高まっていた。
三重:それと琵琶湖が関係あるのですか?
藤原:まあね,琵琶湖の近くだと,いざというとき脱出しやすいというメリ
   ットがある。
佳代:なるほど,琵琶湖の水運を利用するわけですね。
藤原:そう,だから,琵琶湖というのは,軍事的にも重要なものだったわけ
   だ。
佳代:そういえば,織田信長も琵琶湖湖畔に安土城を築いていますね。
藤原:うん,たぶん似たような発想があったと思う。
三重:すると,天智天皇になっても,大ピンチということですか。
藤原:そうだね。そして,実力者だった弟の大海人皇子(おおあまのおうじ)
   を後継候補からはずし壬申の乱の原因を作ってしまった。乙巳の変で,
   はなばなしいデビューを飾った皇子だったけど,晩年は,あまりかん
   ばしくなかったということだね。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 人物データファイル
□□

・人物名:中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)
     のちの天智天皇(てんじてんのう)
・時 代:飛鳥時代(626〜671年)
・性 別:男性
・両 親:父・舒明(じょめい)天皇,母・皇極(こうぎょく)天皇
・地 位:第38代天皇(在位661〜71年・天智天皇として)
・業 績:乙巳の変で蘇我氏を滅ぼす(645年)
     大化の改新を推進(646年に詔を出す;天皇は孝徳天皇)
     白村江の戦いで敗れる(663年)
     都を大津宮(おおつのみや)に移す
     日本で最初の法律「近江令(おうみりょう)」を制定
     全国的戸籍「庚午年籍(こうごねんじゃく)」(670年)をつくる。
・その他:後継者に,もともとの後継候補で弟の「大海人皇子」でなく,子
     の「大友皇子」を事実上指名したことにより「壬申の乱」の原因
     を作る。


★ 目次のページへ ★ ★ TOPのページへ ★ ★ 次(91〜95)へ ★