■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 36  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は,アジア太平洋戦争を勉強します。
■■

三重:佳代,アジア太平洋戦争って何?
佳代:確か,中国との戦争と太平洋戦争を一緒に言ったものだと思うけど。
三重:でも,そんな言葉は,教科書になかったわよ。
佳代:そうねぇ〜。でも,何かの本で読んだことがあるわ。
藤原:最近,そう呼ぶことが多くなったんだよ。
三重:あっ,先生,こんにちは。
藤原:今日は,その辺の勉強だね。
三重:ハイ,お願いします。
藤原:アジア太平洋15年戦争。最近は,そんな感じで呼ぶことが多くなって
   きた。なぜなら,実際に太平洋で戦った期間よりも,中国を中心にア
   ジアと戦った期間のほうが長いし,一連の流れがあるから。
佳代:なるほど,満州事変から数えるとちょうど15年ですね。
藤原:そうなんだ。満州事変が起きたのが,1931年。この年から,戦の年に
   入る。
三重:戦の年?
佳代:戦,つまり,いくさだから,1930年代。
三重:ああ,だから,いくさの年ということね。分りやすい!
藤原:その一番手が,1931年の満州事変だから,まず,ここから覚えよう。
三重:分りました。
藤原:まず,満州事変は,柳条湖事件から始まった。
佳代:日本軍がわざと鉄道を爆破して,中国のせいにした事件ですね。
藤原:うん,一般的にはそういわれている。ほかの説もあるけど,そう覚え
   ておいていいだろう。
佳代:ハイ,そして,翌年,満州を中華民国から独立させました。
藤原:そうだったね。そして,清の最後の皇帝溥儀を満州国の皇帝にし,実
   際は日本の植民地にしたんだったね。それに対して,中国は,国際連
   盟に訴えた。
佳代:ハイ,そして,リットン調査団が来て調べました。
藤原:うん,その結果,日本の行動は,侵略とみなされ,満州国も認められ
   ないということになったというわけだ。それに対して,日本はどんな
   行動を取ったんだっけ?
三重:知ってま〜す。冗談じゃねえ,やめてやる!って感じです(^-^)。。。
藤原:正解だ。日本は,翌年,国際連盟を脱退した。そして,世界から孤立
   することになるんだ。それから,この時期にもう一つ重要な事件が起
   きていたね。
三重:何ですか?
藤原:うん,五・一五事件だ。
佳代:1932年でしたね。
藤原:そう,満州事変と国際連盟脱退にサンドイッチされている。この辺は,
   混み合っているところだから,きちんとデジタルに覚えておいたほう
   がいいね。
三重:先生,五・一五事件ってどんな事件でしたっけ?
藤原:海軍の青年将校がおこした事件だ。首相の犬養毅が暗殺された。でも,
   一番大切なのは,この事件によって政党政治が終わったことだ。
三重:政党政治ですか?
藤原:そう,原敬が日本で初めて本格的な政党内閣を作ったのは,前回勉強
   したよね。そして,一旦途切れたあと,1924年の加藤高明内閣からは,
   ずっと政党内閣が続いていたんだ。それが,この事件で終わったとい
   うことだ。
佳代:そう言えば,問題集に,政党政治が終わったのどこか,年表から選べ
   という問題が載っていました。
藤原:そう,五・一五事件のキーワードは「政党政治の終り」これはしっか
   り覚えてね。以後は,軍人や官僚たちが内閣を作ることになる。
佳代:ハイ,分りました。そして,同じように,ニ・ニ六事件が起こります。
藤原:うん,今度は,陸軍の青年将校の反乱だね。蔵相や内大臣などが暗殺
   された。
三重:ニ・ニ六事件にもキーワードがあるんですか?
藤原:そうだね,こちらは「軍部独裁へ」これをキーワードとしておこう。
   以後,全面戦争へと突入する。
佳代:二・二六事件が,1936年で,翌年の1937年から日中戦争になります。
三重:いくさ長びく日中戦争!
藤原:そのとおり,その覚え方はいいね。実際,日中戦争は,長期戦を覚悟
   していた。そして,翌年,国家総動員法が成立する。
三重:どんな法律なんですか?
藤原:うん,戦争に備えて,資本や労働力,物資などを議会の承認がなくと
   も勅令で動員できるという法律だ。
佳代:まさに,戦争一色って感じですね。
藤原:そうなんだ。だから,日中戦争→国家総動員法って感じで,セットで
   覚えておいてほしい。
三重:つまり,日中戦争が長びくことを踏まえて国家総動員法ができたって
   考えればいいんですね。
藤原:そのとおりだよ,三重。そして,1940年になると,政党を解散し,大
   政翼賛会ができた。これで,議会は名前だけになってしまったんだ。
三重:ますますって感じですねぇ。
藤原:その他,さまざまな国民生活が規制されるようになり,1941年には,
   ついに,アメリカやイギリス,オランダと戦争をはじめることになっ
   たんだ。
三重:太平洋戦争ですね。
藤原:そう,まずは,ハワイの真珠湾攻撃から始まった。
佳代:奇襲作戦ですね。
藤原:うん,今では,アメリカは,この作戦を知っていたのだけど,開戦の
   大義名分を得るために敢えて奇襲をやらせたという説が有力みたいだ。
三重:なんで中国と戦っているのに,アメリカやイギリスと戦うのですか?
藤原:原因はたくさんあるけど,一番大きいのは,石油のストップだろうね。
佳代:ABCD包囲陣ですね。
藤原:そう,当時は,戦闘機の時代だから,石油は不可欠だよね。でも,日
   本には石油がない。輸入をストップされるとキツイんだ。また,アメ
   リカから再三の挑発があり,最終的に戦いを決意したわけだ。
佳代:首相は,東条英機でしたね。
藤原:そう,陸軍大将の東条英機が開戦を決意した。開戦直後は,東南アジ
   アを次々占領し,石油の出るインドネシアなどに進出を図った。まあ,
   戦いについて詳しくやると,いくら時間があっても足りないから,最
   初は,華々しかったが,ミッドウェイ海戦に敗れたあたりから,悲惨
   な戦いになり,最後は,防戦一方になった。
佳代:沖縄に上陸され,最後は,広島や長崎に原爆が落とされます。
藤原:そうだね。日本人が,戦争の恐ろしさを身をもって感じたのがこの戦
   争だった。
佳代:そして,ついに日本はポツダム宣言を受け入れて降伏することになり
   ました。
藤原:8月15日。この日は,毎年,黙とうなどをするよね。天皇陛下がラジ
   オを通じて詔を放送した日だ。これで長い長い戦争も終わった。
三重:たいへんだったですね。私たちには,まったく実感できませんが,以
   後,平和国家として戦争のない時代になってよかったです。
藤原:ホントだね。今や,日本人の多くは,戦争体験がない。でも,世界中
   では,今でも,戦争の悲劇に遭っている人たちがいる。だから,本当
   の意味での世界平和を実現するために,日本が大きな役割を果たして
   ほしいものだね。
佳代:そうですね。私たちもがんばりたいと思います。先生,今日は,あり
   がとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

● 関連年表

1931年 満州事変

1932年 五・一五事件→政党政治の終り

1933年 国際連盟を脱退

1936年 ニ・ニ六事件→軍部独裁へ

1937年 日中戦争

1938年 国家総動員法の成立

1941年 太平洋戦争はじまる

1945年 ポツダム宣言を受け入れ終戦

● ABCD包囲陣について

Aは,アメリカ(America) Bは,イギリス(Britain) Cは,中国(China)
Dはオランダ(Dutch)のことです。


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 37  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は,戦後の民主化を勉強します。
■■

三重:佳代,ホームページのアクセス数が2万を超えたんだって。
佳代:ありがとう。みなさんのおかげです。
藤原:佳代ちゃん,本当にがんばったね。
佳代:ハイ,そして,来週から問題編も始まります。
三重:忙しくなるね。
佳代:うん,でも,楽しいから大丈夫。
藤原:そうだね,先生も楽しみにしているよ。このマガジンを読んで歴史が
   得意になったという知らせもいっぱい入っているし,ますます充実す
   るね。
佳代:ハイ,がんばります。
藤原:それじゃあ,今日の勉強をしよう。戦後の民主化だね。
三重:お願いします。
藤原:まず,日本は,ポツダム宣言を受け入れて,連合国軍に降伏した。そ
   こでやってきたのが有名なマッカーサーだ。
佳代:コーンパイプをくわえて(^^)。
藤原:そう,マッカーサーのトレードマークだね。彼を最高司令官とする連
   合国軍総司令部が設けられた。
佳代:GHQですね。
藤原:うん,そして,いろいろな民主化をはかることになる。
三重:どんなことをしたのですか?
藤原:まずは,軍隊を解体した。日本軍は恐れられていたからね。そして,
   軍事裁判をしたりして,戦争にかかわった人たちを処刑したり,公職
   から追放したりした。
佳代:う〜ん,敗戦の責任を取らされたわけですね。
藤原:そうだね。そして,男女同権ということで,20歳以上のすべての男女
   に選挙権が与えられたんだ。
三重:女子に選挙権が与えられたのは戦後なんですね。
藤原:そういうこと。1925年に,25歳以上の男子はすべて選挙権を与えられ
   たけれども,女子に与えられたのは,20年後の1945年だ。そして,財
   閥が解体される。
佳代:三井・三菱・住友・安田。
藤原:そうそう,戦前の日本経済は,財閥が独占していた。それを解体し,
   経済の民主化をはかったんだ。
三重:なるほど。
藤原:更に,農地改革を行い,農業の民主化を図った。
佳代:これによって,多くの小作農が自作農になったんですね。
藤原:そのとおり。
三重:どうやって,小作農を自作農にしたのですか?
藤原:うん,国が,地主から強制的に土地を買い上げて,小作人に安く売っ
   たんだ。
三重:地主はたまったものじゃありませんね(笑)
藤原:そうだね。でも,これが戦後の起爆剤になった。それまで,しいたげ
   られてきた小作人たちがやる気になったからね。
佳代:そして,労働者に対する民主化も行われましたね。
藤原:うん,まずは,労働組合法ができた。労働者というのは弱い立場だか
   ら団結しなければ何にもできなかったんだ。これによって,団結権や
   団体交渉権が認められ,のちに労働基準法もできて労働条件が改善さ
   れた。
三重:どんどん民主化されていきますねぇ。
藤原:教育も変わったよ。
佳代:教育基本法ですね。
藤原:そう,それまでは,教育勅語に基づいて軍国主義教育が行われていた。
   それが,民主主義的な人間教育を目指す新しい教育に変わったんだ。
佳代:今の6・3・3・4制ができたのもこのころですね。
藤原:そう,小学校,中学校の9年間が義務教育になった。今の形と同じに
   なったんだ。そして,憲法の改正。
三重:日本国憲法ですね。
藤原:そう,これは,しっかり覚えておこう。1946年の11月3日に公布され,
   翌年の5月3日に施行された。
佳代:つまり,文化の日に公布されて,憲法記念日に施行されたということ
   ですね。
藤原:そういうことだ。三重ちゃん,日本国憲法の三大原則を言ってごらん。
三重:ハイ,国民主権,基本的人権の尊重,平和主義です。
藤原:そのとおり。これまでの大日本帝国憲法は,天皇が主権者だった。し
   かし,天皇は国民の象徴となり,政治上の機能を持たなくなった。
佳代:180度変わりましたね。
藤原:本当だね。戦争には負けたけど,民主的な国家ができた。それは,い
   いことだったみたいだね。
佳代:本当ですね。戦後の民主化によって,日本が生まれ変わったわけです
   ね。
藤原:そういうこと。今の暮らしがあるのも,戦争に負けたからともいえる。
   皮肉なもんだね。
佳代:分りました。今日はありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

● 戦後の民主化

・軍隊の解体,治安維持法の廃止。

・政治の民主化・・・婦人参政権の成立。

・経済の民主化・・・財閥の解体,独占禁止法の成立。

・農業の民主化・・・農地改革の実施。

・労働者の保護・・・労働組合法,労働関係調整法,労働基準法の成立。

・教育の民主化・・・教育基本法の制定

・新憲法の制定・・・日本国憲法の成立。


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 38 
■  ◆=================

■■
■■ 今回は,戦後の日本を勉強します!
■■

三重:そろそろ,歴史の教科書も最後の方に近づいてきたね。
佳代:うん,でも,世界史など,まだ十分やってないところもあるから,と
   りあえず,最後までいったら,元に戻って,世界史中心にやっていく
   つもりだよ。
三重:そう言えば,産業革命とかあまりやらなかったね。
佳代:そう,だから抜けているところは,きちんと補充して,中学の範囲を
   完璧に勉強しようよ。
三重:そうだね。高校に行っても中学の勉強が基本だからね。
藤原:おう,よく分かっているね。中学生の勉強は,基礎だから,しっかり
   やらないとね。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:高校生になっても,このマガジンは,すごく大切だよ。きちんと流れ
   を把握して,その上で勉強しないと混乱するだけだからね。
佳代:そうですね。暗記だけに頼っていると,訳がわからなくなります。
三重:わたしなんか,いまだにしっちゃかめっちゃかですm(>_<)m
藤原:でも,随分成長したね。前は,鑑真(がんじん)とガンジーが区別で
   きなかったんだから(笑)
三重:それを言わないでくださいよ,先生。
藤原:分った。それじゃあ,戦後についてもう少し勉強しよう。
三重:ハイ,お願いします。
藤原:前回勉強したように,連合国軍総司令部,つまりGHQによってさま
   ざまな民主化政策が行われたんだったよね。
三重:ハイ,財閥解体とか農地改革とか。
藤原:そうだったね。連合国軍の占領政策は,日本を民主主義国家に転換さ
   せることを目的としていた。しかし,そのころ,世界の情勢は,ソ連
   が強くなることにより,米ソの対立が深まっていったんだ。
佳代:冷たい戦争ですね。
藤原:そう,冷戦とも言う。1948年のベルリン封鎖によって,ドイツの統一
   は難しくなった。また,翌年には,アメリカ中心の軍事同盟である北
   大西洋条約機構ができた。
佳代:いわゆる,NATOですね。
藤原:そう,ナトウと呼んでいるね。それに対して,ソ連側は,経済相互援
   助会議,つまりコメコンを作り,更に,ワルシャワ条約機構を作るこ
   とになる。
三重:戦争が終わったばかりなのに,すぐに対立してしまったのですね。
藤原:それが,冷たい戦争のままだったら,まだよかったのだけれども,つ
   いに,熱い戦争が起きてしまったんだ。
佳代:朝鮮戦争ですね。
藤原:そういうこと。そして,日本に対する占領政策も,中華人民共和国が
   成立したり,朝鮮戦争がおこったりということで,変化してきた。
三重:どんな風にですか?
藤原:うん,日本を自由主義陣営の一員として強化していくという政策に変
   わってきたんだ。
三重:なるほど,ソ連を中心とする共産主義陣営に対抗するためですね。
藤原:そうなんだ,日本は,ソ連に近いから危機感があるよね。そこで,総
   司令部は,日本が防衛力を持つことを認めた。
佳代:それが警察予備隊ですね。
藤原:うん,今の自衛隊だね。戦力の不保持をうたっている日本国憲法だけ
   ど,防衛のためとはいえ,戦力を持つことになった。
三重:朝鮮戦争はたいへんだったんですか?
藤原:そうだね。たいへんな戦争だった。結局,一進一退を続け,停戦した
   もの南北に分かれたまま現在にいたっている。
佳代:そんな中,日本は,独立を回復します。
藤原:1951年,サンフランシスコ平和条約によって独立を回復した。同時に,
   日米安全保障条約を結んだ。
佳代:実質的にアメリカと同盟を結んだということですね。
藤原:そういうこと。これは現在でも生きている。その辺の詳しいところは
   次回にやろう。
佳代:ハイ,分りました。今日はありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

● 冷たい戦争(冷戦)・・・米ソの直接戦火を交えない対立。

・アメリカ側(西側)北大西洋条約機構(NATO)

・ソ連側(東側)コメコン→ワルシャワ条約機構

● 朝鮮戦争(1950年)

・大戦後,日本から独立。

・北緯38度線を境に,北はソ連,南はアメリカの占領下に置かれる。

・1948年,北に朝鮮民主主義人民共和国,南に大韓民国が成立。

・1950年,開戦→1953年,停戦…板門店(はんもんてん)で停戦協定。

・日本への影響

  開戦後,警察予備隊ができる。以後,1952年保安隊→1954年自衛隊へ。

  特需景気…朝鮮戦争のための軍需物資を日本で調達したため好景気に。


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 39  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は,「日本の独立」を勉強します!
■■

三重:えーと,日本が独立を回復したのは,1951年だから,6年間占領され
   ていたのね。
佳代:そうね。随分長く独立できなかったのね。
三重:う〜ん,長いような短いような・・・。
藤原:難しいよね。その辺の判断は。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:今日は,日本の独立のあたりだね。
三重:ハイ,お願いします。
藤原:今日はいくつか質問するよ。まず,日本が独立を回復したときの会議
   の名前は?
三重:ハイ,サンフランシスコ講和会議です。
藤原:そのとおり。そして,サンフランシスコ平和条約を結ぶことになるん
   だったね。それから,この会議に出席した日本の代表は誰だっけ?
佳代:ハイ,吉田茂です。
藤原:OKだ。なかなかいいよ。それじゃあ,少し難しいことを聞くよ。こ
   の会議に出席した国はいくつだった?
三重:えっ,そんなこと分かるわけないじゃないですか。
藤原:佳代ちゃんは?
佳代:えーと,確か,48か国だったと思いますが・・・。
藤原:うん,確かに,日本は,平和条約を48か国と結んだ。でも,出席した
   のは,52か国だ。
三重:そんなに出席したのですか。
藤原:そうなんだ。そこで,大切なことが二つある。
三重:何ですか?
藤原:まず,一つは,中国だ。中国は,この戦争の最大の被害者であった。
   にもかかわらず,この会議に招かれなかったんだ。
三重:えー,中国が入っていないんですか!
藤原:うん,たぶん中国を招くと紛糾の元だと考えたのだろうね。それから,
   さっきも言ったように,参加したのは,52か国なのに,条約を結んだ
   のは,48か国だ。
三重:つまり,結ばなかった国があるということですね。
藤原:そういうこと。その中で絶対に覚えておいてほしいのが,ソ連だ。
三重:今のロシアですね。
藤原:うん,今のロシアと,その周辺の国で構成されていたソ連だ。
佳代:何故,ソ連は平和条約を結ばなかったのですか?
藤原:講和の内容に不満があったのだろうね。だから,同じ社会主義の国で
   あったポーランドやチェコスロバキアも結ばなかった。
三重:あれ,先生,あと一つ足りませんよ。
藤原:あと一つ?
三重:だって,52か国が参加して,48か国しか結ばなかったんでしょ?
佳代:やだ,三重,何か忘れているんじゃない?
三重:エッ,エッ,何?
藤原:そうだよ,三重,よく考えてごらん。
三重:えー,だって,52−48だから,4つないと・・・。
佳代:会議に出席したのは全部で52か国よ。
三重:だから・・・???
藤原:三重,52か国の中には日本も含まれているんだよ。
三重:あっ,そうか,それを忘れていました・・・(汗)
藤原:まあ,細かいことはいいから,ソ連と平和条約を結べなかったことだ
   けはしっかり覚えておこうね。
三重:ハイ,分りました。
藤原:そして,この平和条約と同時に日米安全保障条約が結ばれた。
三重:何故ですか?
藤原:う〜ん,名目上は,日本の安全とアジアの平和ということだね。
佳代:朝鮮戦争も起きているし。
藤原:そうそう,アメリカは,日本が,ソ連が近いだけでなく,中華人民共
   和国ができたこともあり,共産勢力の脅威を感じていたんだ。アジア
   には,まだ,たくさんの火種があったということだね。地理的にも日
   本は,とても大事だったんだ。
佳代:なるほど,今でも,沖縄とかアメリカ軍が駐留しているところもあり
   ますね。
藤原:そう,そして,戦後,50年以上経っているのに,いまだ,朝鮮半島や
   台湾などで戦争の危機にさらされている。
佳代:本当ですね。先週,台湾の新しい総統が選ばれましたが,もし,独立
   するということになると,中国は武力行使すると言っています。難し
   いことは分りませんが,戦争だけはやめてもらいたいと思います。
藤原:ホントだね。そういう意味では,当時の課題は,まだ,解決されてい
   ないということになるね。その辺は,君たちもしっかり認識しておい
   てね。
佳代:分りました。よく勉強しておきます。
藤原:それじゃあ,今日は,この辺で終りにしよう。
三重:ハイ,ありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

● サンフランシスコ講和会議(1951年)

・日本の独立を認める。

・西側諸国(自由主義諸国)48か国と締結。

・ソ連と平和条約を締結せず。現在も平和条約は結んでいない。

● 日米安全保障条約(1951年)

・日本の安全とアジアの平和のために結ぶ。現在も,形を変えながら継続中。


■  ◇=================
■  ■ 大場佳代の            
□■■□                  
■  ■     楽しくヒストリー 40  
■  ◆=================

■■
■■ 今回は,「国際社会への復帰」を勉強します!
■■

藤原:三重ちゃん,ロシアの大統領が変わったんだけど知っているかい?
三重:ハイ,知ってます!プーチンです。
藤原:正解,よく新聞を見てるね。
三重:テレビで見たんですよ。だいたい,私は新聞を読みません。
佳代:私も,インターネットでニュースを見ています。
藤原:そうか,ふたりとも,ネットにハマっているんだね。
佳代:ハ〜イ,相当ハマってま〜す\(^o^)/
藤原:今日は,そのロシア,つまり,当時のソ連と仲直りした話をしよう。
三重:分りました。
藤原:まず,ソ連は,サンフランシスコ講和会議で,日本と平和条約を結ば
   なかったことは,前回勉強したね。
佳代:ハイ,覚えています。
藤原:だから,独立は回復したものの,全面講和というわけには行かなかっ
   た。特に大国のソ連とけんか状態が続いているのは,不都合だった。
三重:どんな点で不都合だったんですか?
藤原:うん,例えば,国際連合に加入したくともソ連の反対でできなかった
   ことだ。
佳代:ソ連は,国際連合の安全保障理事会の常任理事国でしたね。
藤原:そう,5大国とも言われ,拒否権を持っている。だから,ソ連がダメ
   だと言えば,何でもダメなんだ。
三重:なるほど,今は,それがロシアに引き継がれているわけですね。
藤原:そう,ところで三重ちゃん,常任理事国の5つを言ってごらん。
三重:えっ,えっ,そんな・・・。アメリカ,イギリス・・・,う〜ん。
藤原:この5つは重要だから絶対覚えてね。佳代ちゃん,知ってる?
佳代:ハイ,アメリカ,イギリス,フランス,中国,ロシアです。
藤原:そのとおり。それじゃあ,三重のために,とっておきの覚え方を教え
   よう。
三重:えっ,そんなのあるんですか?
藤原:うん,昔,先生と温泉に行ったことがあったよね。
三重:ハイ,覚えています。私が幼稚園のときです。
藤原:そのとき,一緒に入っただろ。
三重:やだ,先生,そんなこと・・・(汗)。
藤原:まあ,幼稚園のころのことだから,いいじゃないか。そのとき,三重
   が『あっちゅ〜い』って言っていたのを思い出したんだ。
佳代:・・・・・・・・・。
藤原:そこで,思いついたんだ。国際連合の安全保障理事会の常任理事国は,
  『ア,中,イ,フ,ロ』だってね。
三重:えー,あちゅい風呂ですか!
藤原:そう,アメリカ,中国,イギリス,フランス,ロシア。これなら三重
   でも覚えられるだろ。
三重:ハイ,覚えられます。でも,恥ずかしい・・・。
藤原:恥ずかしくても覚えたものの勝ちだからね。そして,1956年になって
   ようやく,ソ連と仲直りすることになる。
佳代:日ソ共同宣言ですね。
藤原:そのとおり,このときは,領土問題などが解決しないため,平和条約
   を締結するには至らなかった。でも,国交は回復したんだ。
佳代:今でも,北方領土の問題は解決していませんね。
藤原:うん,数年前,当時の橋本総理大臣とエリツィン大統領の間で今世紀
   中に平和条約を結ぶという目標が出された。
三重:今世紀中って,今年中ってことじゃないですか。
藤原:そう,タイムリミットは迫っている。しかし,日本もロシアも指導者
   が変わったし,事の成否はわからない。今後のニュースに注目しよう。
三重:そう言えば,サミットの前に小渕総理大臣がプーチン新大統領に会い
   たいって電話をかけたらしいです。
藤原:そうだね。どちらにしても,注目すべきことであるに違いない。先生
   は,ちょっときついかなという気がしている。どちらにしても,とり
   あえずソ連と仲直りしたために,国際連合への加入が認められたんだ。
佳代:国際社会に復帰したのですね。
藤原:そういうこと。そして,このころから,日本も高度成長の時代に入り,
   経済大国への道を歩くことになるんだ。
佳代:分りました。それにしても,いとこ同士とはいえ,一緒に温泉に入っ
   たなんて初めて聞きました。
三重:佳代,誰にも言っちゃダメだよ。
佳代:みんなに言っちゃおうかな〜(笑)
三重:ダメダメ。絶対ダメだよ。
佳代:分ったわよ,三重。先生,今日は,ありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

● 日ソ共同宣言(1956年10月)ソ連と国交回復
     ↓
● 国際連合加入(1956年12月)ソ連の支持が得られ,認められる。

※ 必ず,この二つはセットで覚えておきましょう。ソ連と仲直りしたから
  国連加入が認められたのです。


★ 目次のページへ ★ ★ TOPのページへ ★ ★ 次(41〜45)へ ★