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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 186
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■■ 今回は「日本の内閣−16」を勉強します!
■■

三重:佳代、爆弾が・・・、戦車が・・・、恐いよう〜。
佳代:本当ね。ついに始まっちゃったのね・・・。
三重:先週の時点では、小泉さんも、雰囲気で決めるなんていっていたけど、
   今は、完全にアメリカの手先ね。
藤原:そうだね。中学生でもわかるね。
三重:あっ、先生、こんばんは。
藤原:この戦争は、第二次世界大戦後の秩序が根本から変わる可能性を秘め
   ているから、ニュースや新聞で、よく見ておこう。
佳代:ハイ。それにしても、どうなるのでしょう?国連が機能しなくなると、
   恐いですね。
藤原:そうだね。今、勉強しているところは、第一次世界大戦後、うまく国
   際協調ができなかったために第二次世界大戦に向かっていくところだ
   よね。当時の国際連盟の力が弱かったから、その反省を踏まえて強い
   力を持った国際連合が設立された。それも働かなくなるということに
   なると、ヤバイことになるかもしれない。
佳代:本当です。それが心配です。
藤原:それじゃあ、今回は、浜口雄幸内閣からやろう。
三重:あっ、浜口雄幸ってライオン宰相ですね。
藤原:おお、よく覚えていたね。
三重:ハイ、小泉さんが登場したころ、クイズのメルマガでやりました。
藤原:うん。小泉さんが登場したころ、随分話題になったよね。でも、今、
   覚えている人がいるのかな(笑)
佳代:たぶん、覚えていると思います。少し影が薄くなってしまいましたが。
藤原:浜口雄幸は、国民の絶大なる人気で迎えられた。
三重:その辺も小泉さんに似ていますね。
藤原:そう。そして、掲げたスローガンは「産業合理化」と「緊縮財政」だ。
佳代:それも、そっくりですね。
藤原:まあね。多少は違うけど、トーンは、非常によく似ているね。そして、
   経済の大失政をする。
三重:それも似ているような・・・。どんな失政なのですか?
藤原:それは、停滞する経済を貿易によって打開しようとして、金を解禁し
   たことだ。
三重:金を解禁?
藤原:うん、金の輸出を解禁したんだ。当時、金の輸出は禁止されていたの
   だけど、金本位制への復帰によって、貿易の拡大を図った。これは、
   外務大臣の井上準之助の指揮によって行われた。
佳代:あっ、井上準之助ですね。後で、暗殺されてしまう。
藤原:そう。これも、クイズのメルマガでやったね。
三重:まったく覚えていません・・・(涙)
藤原:これが大失敗。金を解禁前の平均価格で解禁したため現実の為替相場
   より円高で取引したのと同じことになった。
佳代:円高では、輸出は不利ですね。
藤原:そのとおり。円高は、輸入は有利、輸出不利だったよね。それに、世
   界恐慌の波にも飲まれて昭和恐慌を招くことになる。物価は下落し、
   株価も下がっていったんだ。
三重:えー、物価の下落って、今話題のデフレじゃないですか。それに、株
   価も下がるって、今とそっくりじゃないですか!
藤原:そう。
三重:ということは、これから平成恐慌が・・・・・・・。
藤原:起きるかもしれないね。このままにしておくと。でも、経験則がある
   から、何とか恐慌を起こさないようにしてほしいと思っている。
佳代:本当です。何とかがんばってください。政治家のみなさん。
藤原:更に悪いことに、この時期は、農業恐慌の真っ最中だった。
三重:農業恐慌? 何ですかそれは?
藤原:うん、まず、1930年は、大豊作だった。
三重:豊作で何で恐慌なのですか?
藤原:豊作で、米価が下がったんだ。
佳代:ああ、需要と供給の関係ですね。
藤原:そう。公民で習っただろ、簡単に言うと、物余りだ。
三重:わかりました。供給量が多いと、価格は下がるのでしたね。
藤原:そのとおり。買いたい人よりも売りたい量のほうが多いわけだからね。
   こういうのを豊作飢饉という。
三重:それで、農業恐慌になったのですね。
藤原:いや、それだけじゃない。翌年は、逆に大飢饉になったんだ。
三重:えっ、今度は飢饉ですか?
藤原:そう。つまり、2重のダメージを受けて農業恐慌に陥った。そのため、
   欠食児童が蔓延し、農村では女子の身売りが相次いだ。
三重:そう言えば、教科書の写真で、身売り引き受けますなんて貼り紙を見
   たことがあります。
藤原:うん。当時は、役場が、その斡旋をしていたんだ。
佳代:今では考えられないことですね。
藤原:そうだね。今は、違う意味で、少女売春などが問題になっているけど、
   当時は、どんな思いで、そうせざるを得なかったのかをよく考えてほ
   しいね。
佳代:そうですね。
藤原:最後に、この内閣のとき結ばれた「ロンドン海軍軍縮会議」について
   見てみよう。
佳代:この会議は、ワシントン会議と違って補助艦の制限でしたね。
藤原:そのとおり。ワシントン会議は、主力艦だったけど、ロンドン会議は、
   補助艦だ。この割合を、アメリカ:イギリス:日本は、10:10:7と
   決められた。
三重:相変わらず、日本の立場を表していますね。
藤原:そう。しかし、この条約を意見の統一なしに批准してしまった。その
   ために、天皇の統帥権を侵したということで、浜口雄幸は、東京駅で、
   狙撃されることになる。そして、後に、その傷が元で死ぬことになる。
佳代:本当に大変な時代の内閣だったということですね。
藤原:そのとおり。現在の小泉政権にも共通点が多いし、戦争も始まってし
   まったことだから、もっともっと歴史を勉強し歴史に学ぶ姿勢を持っ
   てほしいと思う。
佳代:わかりました。先生、今日はありがとうございました。

<今回出てきた内閣>
第27代 浜口雄幸(はまぐちおさち) 1929-1931


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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 187
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■■ 今回は「日本の内閣−17」を勉強します!
■■

三重:佳代、ますます、戦争が激しくなってきたね。
佳代:本当ね。窓が落ちてきただけでも恐いというのに・・・。
藤原:戦争は、ゲームじゃないってことがわかったかな?
三重:あっ、先生、こんばんは。
藤原:一見、映画を見ているのと同じような画像が入ってくるけど、その瞬
   間に、本物の命が奪われている。
佳代:嫌ですね。
藤原:うん。でも、戦争は、絶えることなく続いてきた。なぜか?その理由
   を考える必要がある。そうでないと、人類がいる限りなくなることは
   ないと思う。
三重:そうですね。平和と叫ぶだけでは、なくならないような気がします。
藤原:そう。だから、歴史というデータベースをもっと活用しなければね。
三重:ハイ。それじゃあ、先生、続きをお願いします。
藤原:わかったよ。今日は、28代の若槻内閣からだね。
三重:えーっと、若槻って、この前やった若槻礼次郎ですか?
藤原:そう。第二次若槻内閣だ。この内閣では、大変なことが起きる。
佳代:あっ、わかりました。満州事変ですね。
藤原:そのとおり。ここから、15年にわたる泥沼の戦争が始まる。
佳代:満州事変は、いわゆる柳条湖事件から始まりました。
藤原:そうだったね。この柳条湖事件というのは、1931年、南満州鉄道を爆
   破した事件だ。
三重:少し思い出しました。1930年代だから、いくさの年でしたね。
藤原:ホント、皮肉なことに、いくさ、いくさの1930年代になってしまった。
   その一番手が、満州事変だ。この辺は、本当は、詳しく勉強したいと
   ころだけど、あまりも血なまぐさいので、少し、省略するよ。興味が
   あったら、勉強してね。
佳代:ハイ。あまり、軽々しいことは言えないところだと思います。
藤原:そうなんだ。へたなこと言うと殺されるかもしれないよ(笑)
三重:先生、恐いこと言わないでください。
藤原:うん。とにかく、若槻内閣は倒れ、次に有名な犬養毅内閣が成立する。
三重:えーっと、犬養毅って、尾崎幸雄とともに、憲政の神様といわれた人
   ですね。
藤原:そのとおり。そして、最後は、五・一五事件で殺されるのは知ってい
   るよね。
三重:もちろんです。前に、人物編でも勉強しました。
藤原:この内閣のとき、リットン調査団が来日した。
三重:リットン調査団?えーっと、何でしたっけ、それ?
佳代:三重、国際連盟の調査団よ。
三重:あっ、あれね。つまり、今で言うと、査察団みたいなものですね。
藤原:そうだね。イラクを訪れていた査察団みたいなものだと考えるとわか
   りやすいだろう。
佳代:ハイ。内容は違いますが、似たようなものだと思います。満州事変が、
   正統なものかどうかを調べに来ました。
藤原:確かに、この事変は、不当なものには違いないけど、当時の帝国主義
   諸国は、みな、同じようなことをやっていたからね。日本がやっても
   かまわないという気持ちはあっただろうね。
佳代:そして、満州国も建国されます。名目上の執政は、ラストエンペラー
   の溥儀(ふぎ)です。
藤原:そうだね。清朝最後の皇帝、溥儀だ。映画にもなったから有名だね。
三重:ハイ。映画は知りませんが、有名です。
藤原:この満州国は、陸軍が中心になって作ったのだけど、日本政府が認め
   なかったために、犬養毅は、暗殺されることになる。そして、これで、
   政党政治が終わることになった。
三重:それが、わずか、70年前のことですね。
藤原:そうだね。だから、まだ、事情を知っている人はたくさん生きている。
   今、イラクの戦争ばかりが注目されているけど、戦後の処理を誤れば、
   大変なことになりかねない。叡智を集め、戦争が起こらないように努
   力しなければならないね。
佳代:わかりました。先生、今日はありがとうございました。

<今回出てきた内閣>
第28代 若槻礼次郎(わかつきれいじろう)1931-1931 <第二次>
第29代 犬養 毅 (いぬかい つよし) 1931-1932


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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 188
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■■ 今回は「日本の内閣−18」を勉強します!
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三重:佳代、やっぱり戦争、終わらないね。
佳代:そうね。早く終わってほしいけど。
三重:ブッシュ大統領って、すごく恐いよ。
藤原:本当だね。
三重:あっ、先生、こんばんは。
藤原:戦争は早く終わってほしいけど、どんなに悲惨なものか学ぶ機会でも
   ある。鵜呑みにしてはいけないけど、テレビや新聞などをよく見てお
   こう。
三重:わかりました。しっかりと目に焼き付けます。
藤原:今日は、30代だね。
三重:そうです。調べてきましたが、斎藤実内閣ですね。
藤原:そのとおり。ちゃんと「まこと」って読めた?
三重:いいえ、「みのる」だと思っていました。
藤原:まあ、それはいいとして、前回、犬養内閣が、満州国を認めなかった
   ため暗殺されたって言ったよね。
三重:ハイ、覚えています。
藤原:そこで、この斎藤実内閣は、ソッコーで、承認したんだ。
三重:命は惜しいですからね。
藤原:そうだね。そして、満州での日本の既得権と日本軍の駐留などを定め
   た日満議定書を締結する。
佳代:いわゆる、傀儡(かいらい)政権ですね。
藤原:そう。日本政府は、帝政にして、満州帝国とし、溥儀を皇帝に据えた。
   しかし、国際連盟は、日本の満州からの撤退を求めた。
佳代:でも、日本は、それを蹴って、国際連盟を脱退します。
藤原:そうだね。これで、国際的に孤立することになる。そのときの外務大
   臣が松岡洋右だ。
佳代:ハイ、後に、日独伊三国軍事同盟を結んだときの外務大臣です。
藤原:うん。そして、この斎藤内閣は、帝人事件という汚職事件で退陣し、
   次に、岡田啓介内閣が成立する。
佳代:この内閣では、大事件が起きましたね。
三重:あっ、それならわかります。二・二六事件ですね。
藤原:そう。1936年2月26日、雪の日に起きた大事件だった。
三重:確か、奇跡的に岡田首相は助かったのでしたね。
藤原:うん。これは、クイズのメルマガでやったかな?
三重:そうですね。比較的最近です。よく覚えています。
藤原:この事件は、陸軍皇道派の青年将校が起こした。そして、大蔵大臣の
   高橋是清、内大臣の斎藤実などが殺された。
三重:えっ、斎藤実って、前総理ですか?
藤原:そう。首相を辞めた後、この事件で殺されたんだ。
佳代:そして、反乱軍の青年将校たちは、処刑されます。
藤原:同時に、反乱には参加していないが、思想に影響を与えたということ
   で、北一輝も処刑されている。そして、この事件を契機に皇道派と対
   立していた統制派が政治の実権を握り、戦争に突入していくことにな
   る。
三重:いやですね。日本も血にまみれていたのですね。
藤原:そのとおり。だから、同じ過ちを繰り返さぬよう、しっかり勉強して
   ね。
佳代:わかりました。先生、今日はありがとうございました。

<今回出てきた内閣>
第30代 斎藤 実(さいとう まこと) 1932-1934
第31代 岡田啓介(おかだ けいすけ) 1934-1936


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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 189
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■■ 今回は「日本の内閣−19」を勉強します!
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三重:佳代、ついに、バグダッドが陥落しちゃったね。
佳代:本当ね。もっと強い抵抗があると思っていたけど。
三重:それにしても、戦争って、こういうものだったのね。
藤原:そうだね。
三重:あっ、先生、こんばんは。
藤原:まだ終わったわけじゃないけど、今回の戦争はよく見て、心に焼き付
   けておこう。悲惨な場面だけに目をとらわれず、意味も考えてみる必
   要があるよ。
三重:ハイ。考えてみます。
藤原:今日は、32代の広田弘毅からだね。
三重:ハイ、お願いします。
藤原:まず、この広田弘毅は、悲劇の人として知られている。
佳代:えっ、どんな悲劇ですか?
藤原:うん、戦後の東京裁判で、A級戦犯とされ、死刑になったんだ。
三重:えっ、それじゃあ、戦争に深くかかわったのですか?
藤原:いや、そうでもないよ。裁判で、ソビエトの検事に激しい攻撃を受け、
   結果、いい人なのに死刑になってしまった。
佳代:どうしてですか?
藤原:原因の一つが、この内閣で、日独防共協定が結ばれたことだろう。
三重:ぼーきょー?
藤原:うん。共産主義を防ぐということだ。
佳代:つまり、ソ連を敵とみなした協定ということですね。
藤原:そういうこと。それが気に入らなかったのだろうね。東京裁判で、ソ
   連が、強硬に主張して、死刑にされたんだ。
三重:それは、かわいそうです。
藤原:本当だ。だから、奥さんが猛烈に抗議し、自殺することになる。
佳代:本当に悲劇ですね。
藤原:そのとおり。この内閣では、さきほど行った日独防共協定のほかに、
   天下の悪法といわれた軍部大臣現役武官制が復活する。
三重:何ですか?それは。
藤原:読んで字のごとく、軍部大臣は、現役の武官が担当するということ。
   これによって、内閣に対する軍の介入の余地を作ってしまった。
佳代:なるほど、それも、A級戦犯にされた理由の一つですね。
藤原:たぶんね。でも、この内閣は、もともと、二・二六事件の後に成立し
   たため、軍の要求を受け入れて、かろうじて成立した内閣なんだ。
佳代:つまり、ものすごく厳しい時期に成立したということですね。
藤原:そういうこと。結局、この内閣は、陸軍大臣の寺内寿一と衆議院議員
   の浜田国松の腹切り問答で退陣することになる。
三重:は、腹切りですか?
藤原:そう。浜田国松が国会で「僕が軍隊を侮辱した言葉があったら、割腹
   して君に謝る。なかったら君が腹を切って謝れ」と言った。
佳代:すごい発言ですね。
藤原:そうだね。つまり、この時期の国内情勢は、にっちもさっちも行かな
   くなっていたんだろうね。そして、軍も不満、政党も不満ということ
   で、結局総辞職の追い込まれることになる。
三重:本当に大変な時代に首相になったものです。小泉さんなど比ではあり
   ませんね。
藤原:そうだね。確かに、小泉さんも難局で登場しているけど、比べものに
   ならない大変な時期の内閣だったということだね。
佳代:わかりました。先生、今日はありがとうございました。

<今回出てきた内閣>
第32代 広田弘毅(ひろたこうき) 1936-1937


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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 190
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■■ 今回は「日本の内閣−20」を勉強します!
■■

三重:佳代、このシリーズもいよいよ20回目ね。
佳代:そうね。結構、長いわね。
三重:まだまだ、先は長そうよ。
藤原:がんばって、最後までやろう。
三重:あっ、先生、こんばんは。
藤原:イラク戦争が一段落しているみたいだけど、現在も戦争状態であるこ
   とは間違いない。
佳代:そうですね。今日やるところも、戦争に突入するところです。
藤原:うん。これまでの日本人は、戦争について能天気だったけど、今回の
   悲惨な状況を目の当たりにして、随分、見方が変わったと思う。
三重:ハイ、大いに変わりました。戦争って、本当に恐いのですね。
藤原:そのとおり。時には、戦わなければならないときもあるけど、できる
   だけ戦わずに済ます方法を考えてほしいものだ。
佳代:そうですね。今日は、33代の林銑十郎内閣からです。
藤原:それじゃあ、始めよう。
三重:この内閣って、あまり聞いたことがありません。
藤原:確かに。僅か4ヶ月で終わっちゃった内閣だからね。
三重:えっ、たったの4ヶ月ですか!
藤原:そう。前回やった広田内閣が退陣した後、組閣したのだけど「祭政一
   致」をスローガンとして掲げた。
佳代:祭政一致?ホントですか!それじゃあ、古代じゃないですか!
藤原:うん。だから、民衆が付いてくるわけないよね。それに、大蔵大臣が、
   「軍財抱合」などと言ってしまう。
三重:どういうことですか?
藤原:つまり、軍と財界が手を組むということ。
三重:えー、それはひどい。
藤原:だから、政党は見放し、身内のはずの陸軍もあきれて、総選挙で大敗
   したことを機に退陣することになる。
佳代:次に出てくるのが有名な近衛文麿ですね。
藤原:そう。国民に大人気だった近衛文麿だ。
三重:何か、格調の高そうな名前ですね。
藤原:もちろん。藤原氏の中でも最高の家格、五摂家筆頭の近衛氏だ。
佳代:藤原鎌足以来の名門ということですね。
藤原:そういっていいだろう。
三重:それは、すごいですね。先生の藤原は怪しいけど(笑)
佳代:何言ってるの、三重。三重だって先生の一族なんでしょ。
三重:ま、そうだけど。それはそれとして、近衛文麿に話を戻しましょう。
藤原:うん。その近衛は、閣僚経験の無いまま46歳の若さで首相の座に登り
   つめたんだ。
三重:へぇ〜、それは、若いですね。信じられません。
藤原:しかし、日本の歴史上でも、最も厳しい時代に首相になり、結果的に
   戦争に引きずり込んだ形になった、きわめて特別な首相だ。
佳代:内閣は、3回組織したのですね。
藤原:そう。今回は、1回目だけしかやらないけど。この人物には注目する
   必要がある。
佳代:確か、このころは、中国で抗日運動が高まっていたのですね。
藤原:そのとおり。それまで、中国は、蒋介石の国民党と毛沢東の共産党が
   争っていた。しかし、西安事件をきっかけに、両者は停戦し、協力し
   て日本に対抗しようと考えた。
佳代:そんな中、起きたのが、盧溝橋事件ですね。
藤原:そのとおり。これで、日中戦争が勃発する。そして、長い長い、泥沼
   の戦いに入っていくことになる。
三重:嫌ですねぇ・・・。
藤原:うん。軽々しく言えることではないけど、この時代に、南京大虐殺が
   起きている。
三重:南京大虐殺って本当にあったのですか?
藤原:非常に難しい問題だね。少なくとも、東京裁判で言われた30万人の大
   虐殺は無理のように思われる。その辺は、敗者の悲しいところで、で
   っち上げられた可能性が強いと考えている。
佳代:わたしも、ちょっと無理だと思います。虐殺自体は、あったみたいで
   すが、異常なまでの虐殺は信じられません。
藤原:その辺は、現在、再検討されている。いずれ、明らかにされるだろう
   けど、まだまだ先のことだね。どちらにしても、中国の方に多大な迷
   惑をかけたことだけは確かだ。そして、近衛は、決定的な発言をして
   しまう。
佳代:あっ、知っています「蒋介石を相手にせず」ですね。
藤原:そのとおり。蒋介石の国民政府を相手にせずということで、全面戦争
   に突入することになる。そして、近衛は、「東亜新秩序」を唱えるこ
   とになる。
三重:何ですか、それは?
藤原:つまり、日中戦争の目的は、東アジアの新しい秩序を作るためだとい
   うこと。
三重:えー、それって、ブッシュ大統領と似ているじゃないですか。
藤原:そうだね。イラクの民主化って言っているのに似ている。そして、日
   中戦争が長引くのを見越して、国家総動員法を制定する。
三重:100%戦争状態ですね。
藤原:そういうこと。しかし、近衛は、日中関係がうまく行かないのに嫌気
   がさし、内閣を投げ出すことになる。
三重:えー、投げ出しちゃったんですか。
藤原:そう。近衛は、人気は高いけど主義も主張もない優柔不断な政治家と
   いう評価がある。その象徴的な事件といえるだろう。
佳代:わかりました。先生、今日はありがとうございました。

<今回出てきた内閣>
第33代 林銑十郎(はやしせんじゅうろう)1937-1937 
第34代 近衞文麿(このえふみまろ)   1937-1939 <第1次>


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