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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 61  
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■■
■■ 今回は,「ナポレオン」について勉強します!
■■

三重:ねえ,佳代,ナポレオンってお酒があるよね。
佳代:そうね。トランプでもナポレオンというゲームがあるわよ。
三重:やっぱり,英雄なのかな?
佳代:たぶんね・・・。
三重:でも,どうしてだろう?
藤原:それはね・・・。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:フランス革命の成果を諸国に伝えたからだよ。
三重:革命の成果ですか?
藤原:うん,確かに,ナポレオンは,軍事力で政権を握り,皇帝にまでなっ
   たから,革命とは逆行しているようにも見えるけど,実は,革命の成
   果を具体的に表していったんだ。
三重:例えば,どんなものがあるのですか?
藤原:有名なのは,ナポレオン法典だ。これは,個人の自由,法の下の平等,
   私有財産の不可侵など,革命の成果を固めたものだ。これが,近代民
   法の模範となったというわけ。
三重:へえ〜,すごいのですねぇ〜。
藤原:ところで,ナポレオンは,どこで生まれたか知ってる?
佳代:ハイ,コルシカ島です。
藤原:そのとおり,地中海に浮かぶ小さな島だよね。しかも,イタリアから
   フランスに編入されたばかりの辺境の地だ。このコルシカの貧しい青
   年が,フランスの栄光をつくりだしたということだ。
佳代:それはすごいですね。下剋上みたいなものですか?
藤原:うん,それもあるけど,フランスは,出身地や出自に関係なく出世の
   機会を保証する社会であることを証明したとも言えるんだ。
三重:なるほどなるほど。
藤原:そして,それは,のちに世界各地の多くの若者に理想をあたえること
   になったと言ってもいい。
佳代:やっぱり,ナポレオンは英雄なんですね。
藤原:そういうことだ。その辺が評価されて,現在でも,英雄としてたたえ
   られている。
三重:でも,ナポレオンって,島流しにされたんじゃないのですか?
藤原:そうだよ。一度目は,エルバ島に流され,いったん脱出して,もう一
   度天下を取るものの最後は,セントヘレナ島に流されることになる。
三重:いったい,どうして流されたのですか?
藤原:うん,その前に,どうしてナポレオンが没落したかを考えてみよう。
三重:ハイ。
藤原:ナポレオンは,一時的とはいえ,ヨーロッパのほとんどを支配するこ
   とになったのだけれども,最初にも言ったように,革命の成果を各国
   に伝える役割も果たしわけだ。
佳代:ええ。
藤原:それがナポレオンに対する反発にもなってきたんだ。
佳代:なるほど,自分のまいた種があだになったのですね。
藤原:そういうことだね。ナポレオンによってまかれたフランス革命の精神,
   つまり,封建的な抑圧からの自由や解放が,諸国に民族意識を芽生え
   させたわけだ。
三重:なるほど,そんなこともあるわけですか・・・。
藤原:そして,ナポレオンは,ロシア遠征に失敗し,その後,各国は,解放
   戦争に立ち上がった。
三重:ナポレオンのピンチですね。
藤原:うん,そして,同盟軍がパリを占領し,エルバ島に流されたんだ。
佳代:でも,再び返り咲くのですね。
藤原:そう,いったんは,ルイ18世が王位についたが人気がなかった。また,
   戦後処理のために行われたウィーン会議は,各国の利害が一致せず,
   会議ははかどらなかった。その辺をついて,ナポレオンは,エルバ島
   を脱出,再び皇位についたんだ。
佳代:いわゆる百日天下ですね。
藤原:そう,それに伴い,各国はまた同盟を結び,ワーテルローの戦いで,
   ナポレオンを破り,大西洋の孤島,セントヘレナ島に流したんだ。
三重:何か,すごい人生ですね。
藤原:うん,本当にすごい人生だね。しかも,ナポレオンが表舞台に現れて
   20年ぐらいの出来事だ。そして,短い間に,ヨーロッパ全体を目覚め
   させ,社会を変えてしまった。そういう意味でも,すごい人物といえ
   るよね。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。

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□□ 今回の復習
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● ナポレオンの登場

・1796年 イタリア遠征軍総司令官となりオーストリアを屈服させる。
 ↓
・1797年 カンポ=フォルミオ条約締結→国民的英雄に。

・1799年 ブリュメール18日のクーデターで実権を握る。

・1804年 ナポレオン法典発布。皇帝になる。

● ナポレオンの政治

・フランス銀行の設立(産業の保護,奨励)

・教育制度を整える。

・ローマ教皇と和解する。

・ナポレオン法典の発布。

● ナポレオンの全盛

・ヨーロッパのほとんどを支配に入れる。

・マリ=ルイズと結婚(オーストリア皇女,名門ハプスブルグ家)

● ナポレオンの没落

・各国で,ナポレオンからの解放運動はじまる。

・1812年 ロシア遠征の失敗

・1814年 同盟軍によるパリの占領→エルバ島に流される。

・1815年 エルバ島を脱出→百日天下に

     ワーテルローの戦いに敗れ,セントヘレナ島に流される。


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■■
■■ 今回は,「産業革命」について勉強します!
■■

三重:ねえ,佳代,IT革命って産業革命以来の大革命って言われている
   よね。
佳代:そうよ。
三重:産業革命が起こったのは,18世紀の半ばだから,随分昔のことよね。
   そんなにすごいできごとだったのかなぁ〜。
佳代:たぶんね。産業革命によって資本主義社会が生まれたんだし,それ
   が今につながっていることは確かよ。
藤原:おう,今日は,難しいことを話しているねぇ。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:今日は産業革命かい?
三重:ハイ,お願いします。
藤原:それじゃあ,三重ちゃん,そもそも産業革命って何なの?
三重:えっ,えっ,産業革命は,産業の革命・・・。うー,答えになって
   ない(汗)。
藤原:佳代ちゃんは分かる?
佳代:そうですねぇ。機械がたくさん発明されて,それまで手で作ってい
   たものを機械で作れるようになったということですか?
藤原:そう,いいところをついているよ。それまで,お手手で作っていた
   ものが,機械で作れるようになった。するとどうなるの?
三重:ハイ,いっぺんにたくさんのものを作れるようになります。
藤原:そう,つまり,それまでの工場制手工業に比べ,機械を使う工場制
   機械工業は,生産力が飛躍的に大きいというわけ。その結果,社会
   のしくみが大きく変わっていった。これが産業革命の正体だ。
三重:なるほど,機械の発明により,生産の方法が変わり社会が大きく変
   化したことを言うわけですね。
藤原:そういうこと。ところで三重ちゃん,産業革命はどこの国で始まっ
   たの?
三重:ハイ,イギリスです。
藤原:うん,正解だ。産業革命が起こった時期は国によって違うけど,一
   番最初に起こったのはイギリスだね。
三重:先生,どうして最初にイギリスで起こったのですか?
藤原:うん,まず,この時代,イギリスは,すでに市民革命を成し遂げて
   いて経済活動が自由だったことがあげられるね。それに,早くから
   毛織物工業が発達し,マニュファクチュア,つまり,工場制手工業
   が盛んだったことも要因の一つだ。
佳代:他にはありますか?
藤原:そうだね,石炭や鉄などの資源が豊富だったことや囲い込み運動で,
   土地を失った農民が職を求めていたことなどもあげられる。
三重:先生,囲い込みって何ですか?
藤原:うん,囲い込み,エンクロージャーともいうんだけど,従来共有が
   みとめられていた土地や,開放耕地,未開墾地などを生垣や石垣で
   囲い込んで私有地にすることだ。
佳代:文字どおり囲い込むわけですね。
藤原:そう,この囲い込みは,2回あるから注意しよう。1回目は,17世
   紀中ごろで市民革命の前で,2回目は,18世紀の中ごろで産業革命
   の前。
佳代:内容は同じなんですか?
藤原:う〜ん,規模は違うけど,基本的に土地を追われ,職を失った農民
   がたくさん出たという点では同じだと言ってもいいだろう。
佳代:その失業者たちが,新しくできた工場の労働者になったんですね。
藤原:そういうこと。このような要因があって,イギリスに産業革命が起
   きたわけだ。そして,最初に佳代ちゃんが言っていたように資本主
   義社会というものが確立していくことになるんだ。
三重:なるほど,だから,会社があって労働者がいるという今の形ができ
   てきたというわけですね。
藤原:まあ,そんなところだろう。資本主義だから,資本,つまりお金を
   持っている人たちが,機械を買い,工場を作って,労働者を雇い入
   れる,そんな形が出来上がってきたわけだ。
三重:なるほど,だいたい分かりました。
藤原:産業革命については,まだまだ話したいことがあるけど,今日は,
   このぐらいにして,次回にもう少し詳しく話をしよう。
佳代:ハイ,分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
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● 産業革命

 ・意味:機械の発明により,工業生産力が飛躍的に増大し,生産技術の
     変化にともなって,社会構造が大きく変化したこと。

 ・イギリスからはじまる(18世紀半ば頃)・・・日本では江戸時代。

 ・資本主義社会が確立された要因の一つ。


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■■
■■ 今回は,「産業革命の展開」について勉強します!
■■

三重:佳代,今回は,産業革命がどんな感じで進んでいったのかを具体的
   に勉強しようよ。
佳代:いいわよ。
三重:まずは,機械の発明ね。どんな機械が発明されたのかなぁ。
佳代:う〜ん,確か,最初は綿工業の機械だったと思ったけど・・・。
三重:綿工業・・・か?イギリスって羊毛がさかんだったんじゃない?
佳代:そうよ,でも,18世紀に入ると木綿工業もさかんになったはずよ。
藤原:そのとおりだよ。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:今日は,この前の続きかな。
三重:ハイ,お願いします。
藤原:今,二人が言っていたように,イギリスはもともと羊毛工業のさか
   んな国だった。でも,東インド会社が,インド製の綿織物を輸入す
   るようになると大打撃を受けるようになったんだ。
三重:なるほど,羊毛にライバルが現れたいうことですね。
藤原:そういうこと。伝統的な産業だった羊毛工業に木綿工業という強力
   なライバルが現れたということだ。そして,産業革命における機械
   の発達は,その新しい木綿工業の方からおこったことを頭に入れて
   おこう。
佳代:ハイ,分かりました。そして,動力の革命もありましたよね。
三重:あっ,知ってるよ,ワットでしょ。蒸気機関を発明しました。
藤原:そうだね。でも,正確に言うと,蒸気機関を発明したのはワットじ
   ゃない。
三重:えっ,違うんですか。
藤原:うん,発明したのはニューコメンという人だ。ワットは,それを改
   良して,より優秀なものにしたんだ。
三重:そうだったんですか。わたしはてっきりワットが発明したものだと
   思っていました。
藤原:まあ,それは細かいことだからいいだろう。この蒸気機関の発明に
   よって,紡績機械などに応用されてますます木綿工業を発達させた。
三重:蒸気機関が発明される前は何を利用して動かしていたんですか?
藤原:うん,主に水力だ。だから,工場の建設は,河川の流域に限られて
   いたんだ。
三重:なるほど,そうするとこの発明で,工場を作る場所を考えなくても
   よくなったわけですね。
藤原:おう,いいところに目をつけたね。そのとおりだよ。だから,石炭
   や鉄などの産地の近くに工場が建てられるようになった。その結果
   として新興工業都市が生まれることになったというわけだ。
佳代:それから,蒸気船や蒸気機関車も発明されましたね。
藤原:うん,これは,交通の面での革命だね。三重ちゃん,蒸気船を発明
   した人は誰だっけ?
三重:ハイ,フルトンです。
藤原:OK,それじゃあ蒸気機関車は?
三重:えーと,誰だっけ?
佳代:スティーブンソンよ。
三重:ああ,そうだった。
藤原:この蒸気船と蒸気機関車の発明が,海上,陸上,両方に大きな影響
   をもたらした。機械化の発達で,大量の原料や製品を輸送する必要
   があったからね。
佳代:本当ですね。時代の要求もあったのだと思いますが,まるで生きて
   いるかのようにうまく展開していったんですね。
藤原:そういうこと。こうして,世界ではじめて産業革命を達成したイギ
   リスは「世界の工場」と呼ばれるようになり,世界的に優越するこ
   とになった。イギリスにとって19世紀は,正に栄光の世紀と言って
   いいだろうね。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
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● 産業革命の展開

・木綿工業での発明

 ジョン=ケイ「飛び梭」,ハーグリーヴス「ジェニー紡績機」
 アークライト「水力紡績機」,クロンプトン「ミュール紡績機」
 カートライト「力織機」

・動力革命 ワットが「蒸気機関」を改良

・交通革命 フルトン「蒸気船」スティーブンソン「蒸気機関車」


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■■ 今回は「土地制度と税制−1」を勉強します。
■■

三重:ねぇ,佳代,わたし土地制度とか弱いのよ・・・。
佳代:う〜ん,あんまり面白くないことは確かね。
三重:でも,勉強しなくちゃならないでしょ,あっちこち出てきたんじゃ
   ハチャメチャになっちゃって,全然覚えられないのよ。
佳代:それじゃあ,これからはテーマ別に勉強しようか?
三重:テーマ別?
佳代:そうよ,だいたいの範囲は一回勉強しているから土地なら土地をい
   っぺんに勉強するのよ。
三重:そうねぇ。確かにそれなら覚えられるかもしれないけど・・・。
藤原:それはいい考えだよ。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:教科書を順番に勉強するのもいいけど,それだけでは理解しづらい
   ところも多いから,テーマ別にやることはいいことだよ。
佳代:確かにそうですね。試験ではテーマ別に出る場合もありますし。
藤原:そういうこと。それじゃあ,がんばっていこうね。今日のテーマは
   何かな?
佳代:ハイ,三重のリクエストにお答えして,しばらくは,土地や税金の
   制度を勉強したいと思います。
藤原:なるほど,地味なところだね。でも,大切なところだ。何と言って
   も土地や税制は国家の基本だからね。
佳代:ええ,1回ではとても無理ですよね。だから何回かに分けてやって,
   終わったところでもう一度まとめたいと思います。
三重:佳代,それがいいわ。いっぺんにやると思うとそれだけで嫌になる
   から。
藤原:そうだね。少しずついこうよ。その方が分かりやすいからね。
佳代:ハイ,それじゃあ,今日は,公地公民の前の大和時代についてやり
   ましょう。
藤原:OK。ここで覚えることは,ほんの少しだから,がんばって覚えよ
   うね。
三重:ハイ。
藤原:まずは,質問するよ。大和時代に朝廷が所有していた土地のことを
   何と言うの?
三重:・・・・・・・・・・・・?
藤原:全然覚えていない?
三重:ハイ,まったく覚えがありません。
藤原:それじゃあ,これを機会に覚えてね。屯倉だよ。
三重:みやけですか?
藤原:そう,みやけだ。字が難しいから読めるようにしておいてね。これ
   が朝廷の私有地だ。そして,豪族が持っていた土地は?
佳代:田荘(たどころ)です。
藤原:正解。朝廷の私有地が屯倉,豪族の私有地が田荘。簡単だろ。
三重:ハイ,でも,まったく記憶にありません・・・(涙)
藤原:まあ,この辺は,ある程度意識してしっかり覚えないとね。読み方
   も難しいし・・・。でも,この二つだけなら簡単に覚えられるよね。
三重:そうですね。朝廷の私有地が屯倉,豪族の私有地が田荘ですよね。
佳代:な〜ぁんだ,もう覚えちゃったじゃない。
三重:たった二つだからね,でも明日になったら危ない(笑)
藤原:ついでだから,屯倉で耕作する人々,つまり朝廷の耕作民と田荘で
   耕作する人を覚えよう。
佳代:ハイ,屯倉の耕作民は田部,田荘の耕作民は部曲で〜す。
三重:「たべ」に「かきべ」ね。
藤原:そう,だから,屯倉と田部,田荘と部曲をセットで覚えておけばい
   い。
三重:なるほど,なんとなく覚えられるような気がしてきました。
藤原:それでいいんだ。いい感じがつかめたら覚える。それが大切だよ。
   無理やり暗記してもすぐ忘れるからね。特に受験生は,その辺を気
   をつけてね。
佳代:ところで先生,このころ財政面を担当していたのは誰ですか?
藤原:おお,いい質問だね。これが蘇我氏なんだ。
三重:蘇我氏ですか?
藤原:そう,後に,大化の改新で滅ぼされる蘇我氏だね。蘇我氏は,三蔵
   を管理していたんだ。
佳代:みつのくら?
藤原:うん,三蔵というのは,神々を祭るお金である斎蔵(いみくら),天
   皇家生活費である内蔵(うちつくら),国家のお金である大蔵の三つ
   の蔵のこと。まあ,そこまで覚えなくともいいけど,要するに国家
   のお金を管理していたと言うことだね。
佳代:なるほど,だから,蘇我氏の力がどんどん強くなっていったんです
   ね。
藤原:そういうことだ。いつの世も,お金を握っている人は強いね。
佳代:そうですね。それじゃあ,今日はこの辺にします。土地制度は,今
   後も続けていきますので,先生,ずっとお願いします。
藤原:分かったよ。できるだけ簡単にいこうね。
三重:分かりました。今日はありがとうございました。

□□
□□ まとめとポイント
□□

● 朝廷・・・[私有地] 屯倉(みやけ)  [耕作民] 田部(たべ)

● 豪族・・・[私有地] 田荘(たどころ) [耕作民] 部曲(かきべ)

         ※ 財政の担当は蘇我氏,三蔵(みつのくら)を管理。


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■■ 今回は「土地制度と税制−2」を勉強します!
■■

三重:ねえ,佳代。公地公民制って,何だっけ?
佳代:土地や人民は,国のものってやつよ。
三重:そうすると,前回勉強した屯倉とか田荘とかはどうしたの?
佳代:う〜ん,確か撤廃されたと思ったけど・・・。
三重:でも,屯倉は朝廷の私有地だからいいけど,田荘って豪族の私有地
   でしょ。そんなことされて黙っていられるのかなぁ〜。
佳代:そうねぇ。別に,戦争で負けたわけじゃないし・・・,変ねぇ〜。
藤原:確かに変だね。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:今日は,公地公民かい?
三重:ハイ,お願いします。
藤原:それじゃあ,がんばろうね。まず,公地公民ってどこで出てきたの?
三重:確か大化の改新のところだったと思いますが・・・。
藤原:うん,正解だ。中大兄皇子たちが蘇我氏を滅ぼした翌年に,大化の改
   新の詔が出た。これは覚えていたね。
三重:ええ,何とか。
佳代:詔が出たのが,646年ですね。
藤原:そういうこと。そこに公地公民について書かれている。この詔の目玉
   と言ってもいいよね。でも,今,二人が言っていたように,屯倉はと
   もかく田荘まで取り上げて,全部国家のものだよというのは腑に落ち
   ないよね。
佳代:まったくです。
藤原:先生も腑に落ちない。武力で勝ち取ったわけではないからね。蘇我氏
   を滅ぼしたのは,単なるクーデターで,政権が変わったというだけだ
   から,そんな強い政策を実行できないと考えている。
三重:そうだよね〜。なんか変だよ。
藤原:でもね,その辺は難しいところだから,ここでは深く追求しないよ。
   大化の改新はなかったという説もあるぐらいだから,とても中学生の
   レベルでは解明できないからね。
佳代:えっ,そんな話があるんですか?分かりました。大学に行って研究し
   ます。
藤原:期待しているよ(笑)。でも,それで終わってはスッキリしないから,
   一応,それに対する理由を教えておこう。
三重:理由があるんですか?
藤原:うん,簡単に言うと,土地を取り上げる代わりに給料をあげるよって
   いうことで豪族たちを納得させたんだ。
三重:給料ですか?
藤原:うん,食封(じきふ)って言ってね,これは高校で習うよ,公地公民に
   するかわりに豪族たちに保証を与えたんだ。
佳代:それなら,何とか納得するかもしれません。
藤原:つまり,大化の改新の詔は,国家のあるべき姿を示しただけで,すぐ
   に実行されたわけではないんだ。
佳代:やはり,段階があるんですね。
藤原:そのとおり。
佳代:すると,明治になって,まず版籍奉還があって廃藩置県へと進んだよ
   うなものでか?
藤原:うん,いいたとえだね。公地公民が提唱されたのが大化の改新の詔で
   実際に行われたのは,天武天皇が食封を廃止したころだね。天武天皇
   は,壬申の乱を戦い,武力で奪った政権だから力が違う。
三重:なんとなく分かってきました。
藤原:とりあえず,君たちは,大化の改新の詔から公地公民制になり,基本
   的に私有地は認められず,国家のものになったと考えておこう。そし
   て,班田収授法を簡単に覚えておけばいい。
三重:そう言えば,そんなのありましたねぇ〜(苦笑)
藤原:だいたい覚えている?
三重:いえ,ぜんぜん・・・(汗)
藤原:それじゃ,簡単に言うよ。班田収授法っていうのは,6歳以上の男女
   に死ぬまで田んぼを貸してくれるっていう制度だ。
三重:あっ,思い出しました。前に勉強しました。
藤原:とりあえず,公地公民と班田収授について,その程度を頭に入れてお
   けばいい。細かいことは,また後で勉強しようね。
佳代:ハイ,分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ まとめとポイント
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● 公地公民

 ・646年 大化の改新の詔で示される。

 ・土地の私有を認めない。

  屯倉(みやけ:天皇の私有地),田荘(たどころ:豪族の私有地)の廃止。

 ・土地は原則として国家のものになる。

● 班田収授法

 ・6歳以上の男女に田を貸し与える。

 ・死んだら,国家に返す。


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