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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 56  
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■■
■■ 今回は,「大和国家の成立」について勉強します!
■■

三重:ねぇ,佳代,古墳って大きいのねぇ。
佳代:そうね,前にヘリコプターからの中継を見たけど,すごく大きかった
   よ。
三重:なんで,あんな大きな墓を作ったのかなぁ・・・?
佳代:そうよねぇ・・・。なんでかなぁ・・・。
藤原:それはね。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:多分,強大な権力を持つ人が現れたからじゃないかな?
三重:強大な権力ですか?
藤原:うん,あれだけのものを作るには,多くの人手を必要とするよね。大
   きな権力を持っていなければ作ることは出来ないはずだ。
佳代:確かにそうですよね。絶対に作らなければならないというものでもな
   いわけだし。
藤原:そうだよね。その辺は,かなり難しい問題になるから,とりあえず,
   古墳が盛んに作られるようになった3世紀後半から4世紀ごろに強大
   な政権が存在したと考えていいだろう。
三重:ハイ,それが大和国家ということですね。
藤原:そう,大和,つまり現在の奈良県だね。この周辺には大きな古墳がた
   くさん作られているから,この辺に強大な国家があったと考えていい
   と思う。
三重:先生,大和国家と大和朝廷って,どういう風に違うのですか?
藤原:うん,大和国家とは,大和政権と言い換えてもいい。つまり政権のこ
   とだ。それに対して,朝廷とは,普通,その政府のことを言う。
三重:政府ですか?
藤原:そうなんだ。本来は,大王(おおきみ)中心に,儀式や政務が行われる
   場所のことを言うんだけど,大王自身のことを言ったり,政府を指し
   たりする。この場合は政府でいいだろう。ところで,何で,朝廷って
   言うか知ってる?
三重:えっ,えっ・・・?
藤原:佳代ちゃんは?
佳代:何ででしょうね?考えたこともありません。
三重:もしかして,朝に政治をする・・・なんてことはありませんよね(汗)。
藤原:おっと,正解だ。
三重:えっ,ホントですか!
藤原:うん,実は,当時は,政治にも呪術的な要素が深くかかわりあってい
   たんだ。簡単に言うと占いなどで政治の方向を決めることもあったわ
   け。
三重:えー,占いですか!
藤原:占いって言うのは,夜中に行うものだろ。だから,朝早く集まって政
   治を行ったということだ。
佳代:そうなんですか。それは意外でした。
藤原:まあ,それはいいとして,氏姓制度に行こう。
三重:ハイ。
藤原:まず,三重ちゃん,「氏」と「姓」の違いを言ってごらん。
三重:「うじ」と「かばね」の違いですか?
藤原:うん,簡単でいいから。
三重:ハイ・・・,ぜんぜん分かりません(>_<)。
藤原:佳代ちゃんは?
佳代:ハイ,氏は,血族の集団です。姓は,大王から与えられた称号です。
藤原:そうだね。氏とは,血縁を基礎とする集団だ。豪族と言い換えてもい
   いよ。それを姓という称号によって秩序づけたのが氏姓制度なんだ。
三重:なるほど。
藤原:姓の中では,臣(おみ)と連(むらじ)が重んじられ,特に,有力な豪族
   が,大臣(おおおみ)や大連(おおむらじ)になって政治に当たった。
佳代:地方では,国造(くにのみやっこ)や県主(あがたぬし)が政治に当たっ
   たのですね。
藤原:そういうこと。地方の豪族たちは,国造や県主に任じられて,地方の
   政治に当たり,朝廷に貢物を納めたんだ。
三重:先生,それから屯倉(みやけ)ってありましたよね。何でしたっけ?
藤原:うん,屯倉は,朝廷が直接支配する土地のことだよ。
三重:朝廷が持っていた土地のことですか。
藤原:そう,豪族が持っていた土地は,田荘(たどころ)という。一応,覚え
   ておこうね。最後に,豪族に支配されていた人々を何というのかな?
佳代:ハイ,部民(べのたみ)です。
藤原:正解だ。彼らは労働と生産を義務付けられた。中には,奴(やっこ)と
   呼ばれる奴隷もいたんだ。
三重:分かりました。どうもこの辺は,ややこしい名前が多くて嫌いです。
佳代:わたしもあまり好きじゃないな。
藤原:うん,確かに,なじみにくいかもしれないけど,慣れてしまえば難し
   くはないよ。ただ,この辺の歴史は,まだまだ謎に包まれている部分
   も多いから,全体のイメージだけつかんでおいてね。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

● 氏姓制度(しせいせいど)

 ・氏(うじ):豪族がつくった血縁を中心にした集団。

 ・姓(かばね):大王から与えられた氏の家柄を示す称号。

 ・地方の政治:国造(くにのみやっこ),県主(あがたぬし)

● 土地の支配

 ・朝廷の私有地:屯倉(みやけ)

 ・豪族の私有地:田荘(たどころ)


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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 57  
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■■
■■ 今回は,「絶対王政」について勉強します!
■■

三重:ねぇ,佳代,ヨーロッパでやってないところがあったよね。
佳代:そうね,市民革命とか産業革命とか。
三重:その辺を勉強したいなぁ。ちょっと苦手なのよ。
佳代:いいわよ。
藤原:おっと,随分ジャンプするんだねぇ。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:一気に市民革命かい?
三重:ハイ,とりあえずやっていないところを済ませておきたんので。
藤原:分かったよ。それじゃあ,今日は,市民革命の前の絶対主義を勉強し
   よう。
三重:ハイ,お願いします。
藤原:うん,まず,絶対主義あるいは絶対王政でもいいけど,簡単に言うと
   どういうことだっけ?
三重:えーと,王様が絶対的な権利を持っている・・・って感じですか?
藤原:うん,だいたいそういうことだね。絶対主義とは,国王が無制限に近
   い権力を持つ中央集権の国家体制のことだ。
三重:む,無制限ですか!
藤原:そう,そのぐらい強い権力をもったということ。
三重:どうしてそんなに強い権限をもつことが出来たのですか?
藤原:制度的に言えば,官僚制度と常備軍を整えたということ。つまり,優
   秀な役人を持ち,国王のための強い軍隊を持っていたことだ。
佳代:なるほど,頭もいいし,力も強いということですね。
藤原:そういうこと。更に,大商人と結びついて経済的な裏付けもあったと
   いうこと。
三重:えー,すると頭もよくて,力も強くて,お金もあったということです
   ね!でも,どうして,大商人と国王が結びついたのですか?
藤原:うん,ヨーロッパは,かつて封建的な地方分権だったよね。それが,
   十字軍の遠征などでだんだん崩れてきたのは前に勉強したよね。
三重:ハイ,しました。
藤原:商人にとって,封建制度は,やりにくいんだ。自由に商売しにくいか
   らね。
佳代:そう言えば,日本でも,織田信長が楽市・楽座をやりましたね。
藤原:うん,あの感じなんだ。商売がしやすくなるよね。だから,大商人ほ
   ど中央集権を望んでいた。国王も,多くの貨幣を手に入れるため,商
   工業を重視する政策,つまり重商主義をとったんだ。
佳代:完全に利害が一致したんですね。
藤原:そういうこと。没落した貴族たちは,官僚や常備軍に組み込まれるこ
   とで生き残りをはかり,農民たちも,封建勢力をおさえてくれる国王
   に期待した。また,兵として雇われることもあったしね。
三重:すごいですねぇ。みんなの期待が国王に集まったんですね。
藤原:そう,更に,王権神授説という理論が後押ししたんだ。
三重:王権神授説ですか?
藤原:うん,君主権は神から与えられたもので,国王は,神の代理人である
   という理論だ。だから,国民は王に従わなければならないということ。
佳代:そこまで揃っていたんですか。無制限に近い権力をもてた理由が分か
   りました。
藤原:絶対主義が行われたのは,だいたい16世紀から18世紀にかけてだけど
   国によって全盛期は異なる。
佳代:まずは,スペインあたりですか?
藤原:そう,スペインは,16世紀に最もさかえた「太陽の没することのない
   大帝国」とすら言われたんだ。しかし,1588年に無敵艦隊がイギリス
   に敗れ,おとろえていった。
三重:あっ,思い出しました。1588年って,秀吉が刀狩をやった年ですよね。
藤原:おう,よく覚えていたね。確か,秀吉のところで勉強したよね。
三重:ハイ,いごやーやーって,何故か頭に残っていたんです。
藤原:それはいいね。是非とも覚えておいてね。そして,スペインを破った
   イギリスの女王は誰だっけ?
三重:エリザベス女王です。
藤原:正解だ。彼女は,教会を教皇の支配から切り離してイギリス国教会を
   確立したんだ。そして,スペインを破り,1600年に東インド会社を設
   立した。
三重:えっ,1600年って関ヶ原の戦いの年じゃないですか!
藤原:そう,女王の即位は,1558年で,織田信長が桶狭間の戦いで全国デビ
   ューを果たすちょっと前,つまり,信長,秀吉,家康の時代に活躍し
   た女王だと覚えておけばいい。
三重:分かりました。他に有名な人はいますか?
藤原:うん,たくさんいるけど,フランスのルイ14世を覚えておこう。
佳代:太陽王ですね。
藤原:そうだね。17世紀の中ごろの人だ。みずから「朕は国家なり」と言っ
   たぐらいだから,相当強い権力を持っていたんだろうね。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

● 絶対主義(絶対王政):16世紀〜18世紀

・国王が絶対的な権力を持つ。

・官僚と常備軍を持つ。

・重商主義政策をとる。

・王権神授説が理論的に擁護。

・イギリス−エリザベス女王,フランス−ルイ14世などが代表的人物。


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■  ■ 大場佳代の            
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■  ■     楽しくヒストリー 58  
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■■
■■ 今回は,「イギリスの市民革命」について勉強します!
■■

三重:佳代,共和制って何だっけ?
佳代:簡単に言えば,王様とか皇帝とか世襲の君主がいない制度のことよ。
三重:ああ,アメリカみたいにね。
佳代:そう,日本は,天皇がいるから共和制じゃないわ。
三重:でも,イギリスで,2回市民革命があったでしょ。
佳代:そうね,清教徒革命と名誉革命。
三重:確か,清教徒革命で,共和制になったはずよね。でも,何でまた名
   誉革命が起こって,新しい国王を迎えたのかしら?
藤原:それはね。
三重:あっ,先生,いいところに来ました。
藤原:相当,こんがらがっているね。少し整理した方がいいね。
三重:ハ,ハイ・・・,お願いします(滝汗)。
藤原:うん,それじゃあ,今日は,その辺をしっかりと勉強しよう。
三重:分かりました。先生,市民革命って,何故起こったのですか?
藤原:うん,簡単に言うと市民が成長したからだ。
三重:成長ですか?
藤原:そうなんだよ。前回,絶対主義を勉強したよね。絶対主義って国王
   の力がものすごく強かったよね。
三重:ハイ,無制限に強かったと・・・。
藤原:そうなんだ。無制限に強かったら,さすがに革命をおこすのは難し
   いよね。つまり,市民が成長して力をつけたから可能になったと言
   えるんだ。
佳代:つまり,国王と市民の間の力関係が接近したということですね。
藤原:そういうこと。
三重:どうして,市民は力をつけたのですか?
藤原:うん,当時のイギリスは,毛織物工業が盛んになってきたんだ。そ
   して,都市部だけでなく農村にも貨幣経済が浸透し,富を蓄積する
   人たちが増えてきた。
佳代:その人たちが市民と呼ばれるんですね。
藤原:そう,今の○○市民というのとはちょっと意味が違うよ。中産市民
   階級と呼んでいる。まあ,裕福な市民と考えればいい。彼らが,市
   民革命の主役なんだ。
三重:なるほど,一般市民というのとは違うわけですね。
藤原:そうだね。ところが,ジェームズI世やチャールズI世は,絶対主
   義に傾倒し,ぜいたくをし放題で,増税なども行い議会と対立した
   んだ。
佳代:その議会の中心になっていたのが成長した市民ということなんです
   ね。
藤原:そのとおり。そして,中産市民は,権利の請願を提出して,国民の
   基本的権利と議会の権能を要求したんだ。
佳代:そう言えば,ずっと前にマグナ=カルタというのがありましたね。
藤原:うん,マグナ=カルタは,封建貴族による王権の制限を求めたもの
   だった。
三重:なるほど,マグナ=カルタは,貴族の要求,権利の請願は,市民の
   要求ということなんですね。
藤原:そういうこと。そして,その後も議会派と王党派は,いろいろ対立
   があり,ついに内乱になっていくんだ。
佳代:それが,清教徒革命ですね。
藤原:そうなんだ。1642年に始まった内乱は,クロムウェルの活躍などで
   議会派が勝利し,国王を逮捕したんだ。その後,1649年には,国王
   を処刑し共和制になったんだ。
三重:なるほど,そこまでは分かりました。それじゃあ,何で,名誉革命
   でまた王政に戻ってしまったのですか?
佳代:三重,何を言っているの!名誉革命で王政に戻ったんじゃないのよ。
三重:えっ,えっ,えっ,えっ・・・?
藤原:三重ちゃん,そこのところをしっかり整理しておこうよ。実は,ク
   ロムウェルの死後,また王政が復活したんだ。
三重:えー,どうしてですか?
藤原:それはね,クロムウェルの政策があまりにも厳格すぎたんだ。一言
   で言うと禁欲的独裁政治だったので,裕福になった人たちは不満だ
   ったんだ。
三重:禁欲的って,どんな感じなんですか?
藤原:そうだね,競馬などのばくちは禁止,あるいは演劇や居酒屋などの
   娯楽も禁止といった具合だ。せっかく裕福になった人たちにとって
   は不満も起きるよね。それで,王党派と妥協をはかって王政復古を
   画策したということだ。
三重:なるほど,そういうことですか。
藤原:そして,王政が復活するんだけれども,またまた国王は反動的政治
   を行うようになる。更に,宗教的な対立や政党の対立などもあって
   名誉革命がおこることになるんだ。
三重:なんとなく,流れが分かってきました。
藤原:そうだね。そして,ジェームズ2世は廃位され,オランダから,オ
   レンジ公ウィリアムを国王に迎えた。このとき,一滴の血も流れな
   かったので名誉革命と呼ばれるようになったんだ。
佳代:分かりました。そして,翌年,権利章典が公布されるんですね。
藤原:そういうこと。権利章典は,それまでに獲得してきた市民的な権利
   を徹底したもので,イギリス史上でも最も重要な内容を持つものだ。
   まだ,ほかの国では,絶対主義が支配的だったのにもかかわらず,
   イギリスでは,早くも,議会政治や立憲政治の基礎が確立したとい
   える。
三重:分かりました。なんとなくスッキリしました。
藤原:そうだろ。しっかり流れを頭に入れておいてね。
佳代:ハイ,先生,今日はありがとうございました。

□□
□□ 今回の復習
□□

1215年 マグナ=カルタ(大憲章):貴族が国王の権利を一部制限。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1628年 権利の請願。
1642年 清教徒革命始まる。
1649年 クロムウェルが,国王を処刑,共和制になる。
1660年 王政復古。
1688年 名誉革命起きる。
1689年 権利章典出される。

※ 1649年,クロムウェルが国王を処刑したころ,日本では,江戸時代で,
 徳川家光が「慶安の御触書」を出していました。同時代の出来事として
 よく出題されるので,一緒に覚えて起きましょう。


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■  ■ 大場佳代の
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■  ■     楽しくヒストリー 59
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■■
■■ 今回は,「アメリカの独立」について勉強します!
■■

三重:ねぇ,佳代。アメリカって,けっこう新しい国なのね?
佳代:そうね,日本で言えば江戸時代,田沼意次が活躍していたころだわ。
三重:いいなぁ,歴史の勉強が楽で・・・,うらやましいよ。
佳代:う〜ん,でも,短ければ短いなりに詳しく勉強しなければならない
   から同じじゃない?
三重:そぅっかなぁ・・・。
藤原:そのとおりだよ。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:何事も楽しようとしちゃダメだよ,世の中そんなに甘くない(笑)。
三重:ハ,ハイ・・・(汗),分かりました。
藤原:それじゃあ,今日は,アメリカの独立について勉強しよう。
佳代:ハイ,お願いします。
藤原:まずは,三重ちゃん,アメリカってどこの植民地だったの?
三重:ハイ,イギリスです。
藤原:うん,正解だ。もちろん,イギリスばかりじゃないけど,とりあえ
   ずイギリスに限って勉強するからね。
三重:ハイ。
藤原:実は,1620年にピルグリム=ファーザーズと呼ばれる清教徒の一団
   が信仰の自由を求めてアメリカ大陸に渡り,植民地の基礎を作った。
佳代:メイフラワー号ですね。
藤原:そう,メイフラワー号だ。そして,アメリカのプリマスというとこ
   ろに上陸するだけれども,彼らは,新しい自由な世界を開拓すると
   いう精神を確認していたんだ。
三重:なるほど,はじめから自由な国を目指していたというわけですね。
藤原:そういうこと。そして,アメリカの東部を中心に13の植民地を作る
   ことになるだけど,全体的に自主的で自由な雰囲気があったんだ。
佳代:それに対して,本国のイギリスが,いろいろ圧迫かけたんですね。
藤原:うん,イギリスもね,このころ,だいぶ財政が苦しかったんだ。そ
   こで植民地に圧迫をかけることになる。
三重:例えば,どういうものですか?
藤原:うん,砂糖法とか,印紙法とかね。特に印紙法は,植民地の人々の
   激しい怒りをかった。
三重:どんな法律なんですか?
藤原:うん,簡単に言うと,何でもかんでも印紙を貼れっていう法律だ。
   印紙って知っているよね?
佳代:領収書なんかに貼るやつですか?
藤原:そう,あれが印紙だ。それを法律や商業書類,挙句は,新聞やカレ
   ンダーまでに貼れって命じたんだ。つまり,本国が植民地に直接課
   税したということなんだ。
三重:それは,怒りますよね。
藤原:結局,印紙法は,激しい反対のもと廃止された。そこで「代表なく
   して課税なし」という有名な言葉が生まれたんだ。
佳代:確か,アメリカは,本国の議会に代表を送っていなかったんですよ
   ね。
藤原:そうなんだ。だから,本国で勝手に決めた税を負う必要はないと主
   張したんだ。そして,この言葉が,反イギリス運動のスローガンに
   なったんだ。
三重:なるほど,なんとなく,独立に向かう気分が分かってきました。
藤原:それでも,イギリスは,タウンゼント諸法などを出して,植民地支
   配を強化しようとした。対立はどんどん激しくなっていったんだよ
   ね。そして,ついに,独立戦争のきっかけとなる事件がおこる。
佳代:あっ,知ってます!ボストン茶会事件ですね。
藤原:そう,有名なボストン茶会事件だ。イギリスが,茶法で東インド会
   社に茶の独占権を認めたので,そうとう頭に来ていたんだろうね。
   船を襲って,茶箱を海に投げ捨てたんだ。
三重:あっ,何か,そんな絵を見たことがあります。
藤原:うん,教科書に載っていたかな?どちらにしても,この事件をきっ
   かけに,植民地の全代表がフィラデルフィアに集まり,1775年に,
   ついに独立戦争がはじまることになる。
三重:いよいよですか?
藤原:うん,総司令官は,ワシントン。もちろん,後に初代大統領になる
   ワシントンだよ。そして,翌1776年に,あの独立宣言が出されるこ
   とになる。
佳代:確か,ジェファーソンの起草でしたね。
藤原:そう,トマス=ジェファーソン。彼は,第3代の大統領にもなって
   いるよ。
三重:先生,独立宣言って宣言しただけですよね。
藤原:そうだよ。だから,この宣言で独立したと思っている人が多いけど
   実際は,独立するぞって宣言しただけで,実際に独立するのは,ず
   っと後になる。
三重:何故,そんな宣言を出したのですか?
藤原:いくつか考えられるけど,まずは,独立運動の正当性を内外に表明
   するということだね。また,植民地内でも,中立派などを仲間に引
   き入れること,そして,外国からの支援を期待することなどだ。
佳代:実際,外国からの支援を受けたのですね。
藤原:もちろん,外国からの支援がなければ勝ち目はなかっただろう。フ
   ランスをはじめとしてスペインやオランダなどが参戦した。
三重:国際的ですねぇ。
藤原:そうだね。実際,国際戦争だったんだよ,独立戦争は。こうしてい
   るうちに,イギリスはどんどん不利になり,結局,1783年にパリ条
   約を結んで,13の植民地の独立を承認し,ルイジアナをアメリカに
   譲ったんだ。
三重:分かりました。ところで,先生,何故,この戦争が,市民革命のと
   ころに入っているんですか?
藤原:うん,一つには,独立宣言の内容が,ロックの人民主権などの内容
   を含んでいたことだろうね。また,植民地支配と結びついていた特
   権階級が没落し,新興の商工業ブルジョワジーが台頭したことや,
   封建制度を撤廃し,信仰の自由が確立したことなどがあげられる。
三重:なるほど,確かに,市民革命みたいですね。
藤原:うん,それに,合衆国憲法ができ,初代大統領にはワシントンが就
   任した。アメリカは,はじめから共和制だったということだ。
三重:あっ,そうですねぇ。
藤原:何か,ワシントンは皇帝になることを勧められたらしいけど,断っ
   たらしい。どちらにしても,アメリカ合衆国という国は,歴史は浅
   いけど,はじまりは,すでに当時の先端を行っていたわけだ。
三重:日本とは大違いですね。
藤原:うん,日本では,江戸時代で鎖国をしていた。一連の出来事は,田
   沼意次がわいろ政治をやっていたころだからね。
佳代:分かりました。先生,今日はありがとうございました。 

□□
□□ 今回の復習
□□

● アメリカ独立のあゆみ

1765年 印紙法出される
1766年 印紙法を撤廃させる
1773年 茶法出される→ボストン茶会事件おこる
1775年 独立戦争はじまる
1776年 独立宣言出される
1783年 パリ条約
1788年 合衆国憲法の発効
1789年 ワシントンが初代大統領になる

● 一口メモ

アメリカ人は,あまり,茶を飲まないのは,ボストン茶会事件の影響であ
ると言われています。


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■■ 今回は,「フランス革命」について勉強します!
■■

三重:ねぇ,佳代,ギロチンって恐いよねぇ。
佳代:そうね,あんなところに首を突っ込んで刃が落ちてきたら・・・。
三重:やーだ,何であんな恐いものを作ったの(>v<;。
藤原:あれはねぇ・・・。
三重:あっ,先生,こんばんは。
藤原:ギロチンを作ったのはお医者さんだよ。
三重:えー,本当ですか!
藤原:うん,ジョゼフ・ギョタンというお医者さんが,苦痛を与えない人
   道的な処刑器具として提案したんだ。
佳代:えっ,そうなんですか?確かに,瞬間的に首が飛びますから苦痛を
   感じないかも知れませんね。
藤原:うん,でも,後に分かったことだけど,断頭後も,しばらく意識が
   残っているらしいんだ。
三重:すると,胴体と首が離れても,しばらくは生きているんですね。
藤原:そうらしいねぇ。その辺,どう解釈するかは難しいけど,本来は,
   人道的立場から作られたギロチンも,単なる残酷な処刑道具になっ
   てしまったみたいだね。
三重:やーだ,ますます恐くなってきました。
藤原:そうだね。それじゃあ,今日は,そのギロチンも大いに用いられた
   フランス革命のあたりを勉強しよう。
三重:ハイ,お願いします。
藤原:まず,革命前のフランスは,絶対王政のもと,3つの身分に分けら
   れていたんだ。
三重:3つの身分ですか?
藤原:うん,第1身分が僧侶で,第2身分が貴族などの特権階級。そして,
   第3身分が市民や農民だ。
佳代:特権階級は,ほんの一部の人たちだったのですか?
藤原:もちろんだ。僧侶や貴族などの特権階級は,全体の2%ぐらいだっ
   た。そして,彼らはぜいたくをし放題で,市民や農民は政治上の権
   利もなく重税に苦しんでいたんだ。
三重:それは,ひどいですねぇ。
藤原:うん,不満は大きかっただろうね。そして,ルイ16世が財政難を乗
   り切るために,三部会を召集した。このときに,第3身分の者は,
   身分別の票決に不満をもって国民議会を作ったんだ。
佳代:なるほど,だんだん革命に近づいていくんですね。
藤原:そうなんだ。国王が,この国民議会を武力で弾圧しようとしている
   のを知ったパリの民衆が,バスチーユ牢獄を襲い,革命の火蓋が切
   られたというわけだ。
三重:なるほど。
藤原:この事件が伝えられると,各地で暴動が広がり,貴族や特権階級が
   襲われた。そして,国民議会は,人権宣言を採択したんだ。
佳代:有名な人権宣言ですね。
藤原:そうなんだ。この宣言には,自由や平等,主権在民など市民革命の
   内容を高らかに宣言した。しかし,ルイ16世は,これを認めなかっ
   たんだ。
三重:往生際が悪いですねぇ。やりたい放題やっていたのに。
藤原:それは仕方がないよ。誰だって国王の立場ならそうするんじゃない
   かな?でも,それは通用せず,国王はパリに連行された。
佳代:そこで,ギロチンにかけられるのですね。
藤原:そうだね。実際に処刑されるのは,だいぶ後のことになるけど。
三重:先生,どうして国王を捕らえたのに,何万人もの人がギロチンにか
   けられたのですか?
藤原:うん,国王を捕らえたとは言っても,革命軍の中には,いろいろな
   考え方をする人がいたからだ。
三重:いろいろな考え方?
藤原:うん,例えば,革命を徹底的にやろうと考えていた人もいるし,ほ
   どほどでいいと考えていた人もいるわけだ。
三重:なるほど。
藤原:そして,最も過激なジャコバン派と呼ばれる人たちが独裁政治をは
   じめたんだ。
佳代:ロベスピエールですね。
藤原:おう,さすが佳代ちゃん,よく知っているね。このロベスピエール
   という人が,恐怖政治と呼ばれる独裁政治を行ったんだ。
三重:すると,ロベスピエールが,たくさんの首を切ったということです
   か?
藤原:そうなんだ。彼に逆らうものは,どんどんギロチンにかけるという
   本当に恐ろしい政治を展開したんだ。
三重:それは,残忍ですねぇ。
藤原:うん,でも,彼は,ルソーの信奉者で,民主主義に情熱を持ってい
   た。中途半端な民主主義は認めないという気持ちだったみたいだ。
佳代:それにしても,やりすぎですね。
藤原:まあ,そうだろうね。でも,彼は,理想を求めて改革を行った。や
   り方はともかく,革命に対する情熱は評価できる。
三重:私は,どうも,恐い人にしか思えないけど・・・。
藤原:うん,難しいところだね,その辺は。そのロベスピエールも,結局,
   反対派に捕らえられ,ギロチンの露に消えることになるんだ。
佳代:何か,フランス人の革命ってイギリスより過激ですね。
藤原:そういうこと。そして,ロベスピエールの死後,富裕な市民によっ
   て新しい政府が作られ,恐怖政治は終わるのだ。
三重:その後はどうなるのですか?
藤原:そうだね。革命後の混乱もあり,社会が不安定になったんだ。だか
   ら,国民は,ただただ安定を望むようになった。そこで,混乱を収
   拾できる人物が登場する。
佳代:ナポレオンですね。
藤原:そうなんだ。これ以上やると長くなるので,ナポレオンとフランス
   革命の意義などは次回にやっていこう。どちらにしても,社会を変
   えるということは本当に大変なことだ。多くの血も流れるしね。
佳代:分かりました。昔の人たちは,自由や平等を勝ち取るのに,ものす
   ごいエネルギーを使っていたんですね。先生,今日はありがとうご
   ざいました。

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□□ 今回の復習
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● 革命前のフランス

 ・第1身分(僧侶),第2身分(貴族),第3身分(市民,農民)に分けられ
  ていた。・・・旧制度(アンシャン=レジーム)という。

● 革命の進行

1789年 三部会の召集
    国民議会の成立
    バスチーユ牢獄の襲撃
    人権宣言
    国王をパリに連行
1792年 共和政の成立
1793年 ルイ16世の処刑
    恐怖政治始まる
1794年 恐怖政治終わる
1799年 ナポレオンが総裁政府を倒しフランス革命終わる


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