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       いつもはきちんと揃えて脱ぐ靴が慌てたように左右バラバラに放り出されている。 
      それより一回り小さいシューズも、同じように散らばっていた。 
      手塚は玄関のすぐ横にある和室にリョーマを連れていき、再び口づけながら、もどかしそうにガクランのボタンを外しにかかる。 
      リョーマは直立不動のまま目を閉じて手塚の好きなようにさせていた。 
      シャツのボタンがうまく外れなくて小さく舌打ちする手塚を見てリョーマは密かに感動する。 
      (こんな風に焦ったりもするんだ…) 
      だがリョーマのそんな余裕はすぐに手塚にかき消されてしまう。 
      「あ…っ!」 
      シャツのボタンをようやく外し終えた手塚が、冷たい指先でリョーマの胸の飾りをきつく摘んだ。 
      リョーマの唇から頬、首、鎖骨、と降りていった手塚の唇が胸の突起にたどり着き、チュッと口づけてから舌で転がしたりきつく吸い上げたりし始める。 
      「ヤダ……くすぐったい…っ!」 
      身を捩るリョーマの身体を押さえつけるように肩を掴んだ手塚は、唇や歯を使ってしばらくの間ピンク色の小さな突起を嬲り続けた。 
      吸われ続けて敏感になったためか、最後の仕上げとばかりに手塚が舐め上げると、リョーマは「ひっ!」と小さく叫んだ。 
      胸に意識が集中していたリョーマのズボンのファスナーがいつの間にか下ろされており、いきなり進入してきた手塚の手に緩く握り込まれてリョーマは身体を竦ませた。 
      「ああ…っん!」 
      そのまま数回撫で上げられて焦らされた後、下着とズボンが膝まで一気に下げられる。外気に晒されたリョーマのそれは、すでに形を変えて勃ち上がっていた。 
      手塚はリョーマの前に跪くと、躊躇わずにリョーマ自身を口に含んだ。 
      「わっっ!?何してるんスかっ!や……っ、あ…っ」 
      慣れない舌使いだが、時折きつく吸いながら口腔内を往復させてやっているうちにリョーマが甘い声を漏らし始め、わずかに腰も揺れ始めた。 
      「あ……気持ちい………っ!、ダメ…っ、出るよ…っ、離して…っ!!…あっ」 
      甲高い声を短く発して、リョーマが手塚の口の中で弾ける。リョーマが吐き出す全てを手塚は自分の口で受け止めた。 
      荒い息をしながら、リョーマが顔を真っ赤にして目をきつく閉じる。 
      「ご、ごめ………っ、でもオレ、出るって言ったじゃん!」 
      手塚は口で受け止めたものを飲み込まずに左手の掌に出した。 
      「向こうを向いて、手をつけ」 
      リョーマは一瞬目を見開くが、言うなりに四つん這いになった。 
      「あっっ!?」 
      手塚は自分へ向けられた双丘の間に、先ほど掌に出したものを垂らす。 
      冷たくはないが、いきなり液体の感触を尻に垂らされ、リョーマは驚いて手塚を振り返った。しかし次に襲ってきた感覚に、リョーマは畳の上に腰だけ高く上げたまま突っ伏した。 
      「ああっ、い、やっ!」 
      手塚がリョーマの秘蕾に指を突き立てて掻き回す。乱暴とまでは行かないが、いつもよりも荒っぽく中を掻き回されて、リョーマは目を見開いたまま強い刺激に堪えた。 
      自分でも余裕がないことを自覚しているようで、手塚は顔をしかめながらズボンの前を開け、すでに固く勃ち上がった自身を取り出す。 
      「すまん、あまりじっくりしてやれない」 
      掠れた低い声でそう言った手塚は、まだ完全にほぐれていないリョーマの固い蕾に自身を押し込み始めた。 
      「や…痛っ…待って…っ!」 
      「…………」 
      懇願するリョーマをほとんど無視して、手塚は強引に腰を進めた。 
      何度か身体を繋げたと言っても、まだ慣れているはずもなく、リョーマの秘蕾はメリメリと悲鳴を上げながら、やっとの事で半分ほど手塚を呑み込む。 
      一旦動きを止めた手塚がリョーマの腰や背中を宥めるように優しく撫でる。 
      「あ……んっ」 
      その手塚の手の動きに、リョーマの肌が粟立つ。 
      リョーマの身体から少し力が抜けたところで、手塚は再び少しずつ腰を進めていつもの半分ほどの時間で完全に奥まで押し込んでしまった。 
      「も、…ムチャクチャ…っ!」 
      荒く息を弾ませながらリョーマが抗議する。 
      「………すまない……気が急いてしまっている…」 
      言い終わらないうちに手塚が腰を揺らし始めた。 
      「ああっ、あ、んっ、ああっ」 
      「…リョーマ…っ」 
      凄まじい摩擦感の中、手塚が強引に抽挿を繰り返していると、リョーマの中で先走りが零れ始めたらしく次第に摩擦が緩くなってくる。 
      それと比例して、リョーマの唇から漏れる声に艶が混じり始めた。 
      「あ……はぁっ、んんっ、あ、はっ…ぁ…っ」 
      「…よく、なって…きたか?」 
      「う、ん……ああっ!」 
      コクコクと頷くリョーマの背中に優しく口づけると、手塚は抽挿のピッチを上げる。 
      「あ、あ、あっ、ひっ…い!」 
      ぱんぱんと肉を打ちつける音が室内に響き、リョーマは縋るものを探して、固い畳に爪を立てた。 
      それに気付いた手塚が腰の動きを緩めてリョーマの身体を抱き起こして膝立ちにさせる。 
      「い、…やだっ!」 
      リョーマの腕ごと後ろから抱きしめるような形で拘束し、再び手塚が腰を打ちつけ始めると、先ほどよりもスイートスポットに当たるらしく、リョーマが甘えたような嬌声を発しながらビクビクと痙攣しだした。 
      「あ、すご…っ!出そう…くにみつ…っ…まだ?」 
      「もう少し、我慢しろ…っ」 
      言いながら手塚の左手がリョーマの根元をきつく握り込む。 
      「あっ!ヤダっ!…早くっ!」 
      促されるままに、手塚の動きがまた激しさを増す。 
      深く捩じ込まれた上にさらに奥を抉られ、腰を回されてリョーマの膝が浮き上がる。 
      「うあっ、ああっ、あ、うっ、は、んんっ!」 
      「リョーマ…」 
      解放の瞬間が近づいてきたのを感じた手塚はラストスパートをかける。 
      リョーマの腕の拘束を解き、腰骨をがっちり掴むと、勢いをつけて鋭く突き込む。 
      何度も何度も繰り返し最奥を激しく抉られ、凄まじい快感の中、ついにリョーマが悲鳴に近い嬌声をあげて飛沫を迸らせる。 
      その直後、リョーマにキツく締め上げらた手塚も二度三度と激情をリョーマの内部に吐き出した。 
      精を放つ際の低い呻き声を耳の近くで聴いたリョーマは、その声の艶に、再び身体が熱くなる。 
      リョーマの中に自身を埋め込んだまま息を整えている手塚にしっかりと抱き込まれると、リョーマは手塚に寄りかかるようにして身体を預けた。 
      「…ねえ」 
      「………なんだ?」 
      「次は…アンタのイク時の顔が見たい」 
      「………大丈夫なのか?」 
      リョーマはクスッと笑って手塚を締め付ける。 
      「…全然足りないって感じっスよ、まだガチガチじゃん」 
      「おまえのせいだ」 
      「え……あ、うんんっ!」 
      手塚は一度ゆっくり中を掻き回してから、自身を一気に引き抜いた。そしてリョーマを静かに仰向けに寝かせ、ズボンと下着を完全に取り去ると膝裏を掴んでその脚を大きく開き胸に付くほど折り曲げる。リョーマの中に大量に吐き出された白濁液が、晒された秘蕾からゴプッと音を立てて零れ出した。 
      「は…ハズカシイからあんまり見ないでよね」 
      真っ赤になって自分の体勢を見ないようにするリョーマに口づけながら、手塚は再び自身を埋め込んでいった。 
      「う…ぐっ…んんっ」 
      先ほどまで中に収まっていたとはいえ、改めて広げられる感覚にはやはりかなりの抵抗があるのか、リョーマはきつく眉を寄せる。 
      だが中に注ぎ込まれた手塚の体液のおかげで、先ほどよりは楽に繋がることが出来た。 
      リョーマの両脚を肩に担ぎ上げ、手塚が抽挿を始めると濃厚な粘着音が室内に響き始める。 
      「あ……ああ、はんっ、…く…みつ…っ」 
      手塚が奥まで自身を捩じ込んで円を描くように腰を回す。大きく腰を回されると、リョーマの腰が畳から浮き上がった。 
      「あっ、…ああっ、気……ち、いい……っ、ああ…」 
      手塚は熱い吐息を漏らして目を細めると、リョーマの左足を肩から下ろして自分の脚の間に挟み込み、リョーマの身体を横向きに変える。 
      右足をしっかり抱えて腰を打ちつけ始めると、先ほどよりさらに深く抉られるらしく、リョーマが激しく喘ぎだした。 
      「ああっ、ひあっ、ああっ!」 
      「く……っう!」 
      肉のぶつかる鈍い音と接合部分の粘着音が二人の官能を刺激し、さらに激情を煽る。 
      ガクガクと揺さぶられ、リョーマは手塚から与えられる強烈な刺激に目の前がスパークする。 
      しかし、己の欲求に素直になっている手塚の、ひとつひとつの変化を見逃さないようにと リョーマは必死に手塚を見つめ続ける。 
      普段滅多に見られない手塚の激しさが、今は自分に向けられているのがリョーマはとても嬉しかった。 
      「あっ、ああっ、うあっ!」 
      「リョーマ…っ」 
      獰猛な光を湛えた瞳がリョーマを捕らえる。手塚はまだ身につけていたシャツを脱ぎ捨て、肩に担いでいたリョーマの右足を下ろして自分の腰に絡めさせる。 
      「あっ……やっ!」 
      繋がっている部分が微妙にねじれて、リョーマは小さく喘いだ。 
      そのリョーマの表情を食い入るように見つめていた手塚がリョーマに覆い被さって口づけてくる。 
      深く舌を絡め取られたまま突き上げられて、リョーマは声を発することも出来ず手塚に縋り付いた。意識を飛ばさないように必死に堪え、手塚の肩に指を食い込ませると、リョーマの中の手塚がさらに質量を増した。 
      「ふあっ、あああっ、あ、はぁっ!」 
      やっと解放された口から空気を取り込むと、自分でも驚くほどの喘ぎ声が漏れ出してしまいリョーマは一瞬恥ずかしさに唇をかみしめる。 
      しかし、飛びかけた理性では、羞恥心を繋ぎ留めることは出来なかった。 
      手塚に揺さぶられるままに声を上げ続け、あまりの快感にリョーマの瞳から涙がこぼれ落ちる。 
      「リョーマ……っ?」 
      突き上げを緩めて手塚がリョーマを覗き込む。 
      リョーマは真っ赤な瞳で手塚を見上げて、うっすらと微笑んだ。 
      「くにみつ…」 
      (アンタが好きだよ…) 
      全てを言葉にすることが出来なくて、リョーマはその想いを込めて手塚を見つめる。 
      手塚は一瞬目を見開くと、顔を顰めて小さく「だめだ」と呟いた。手塚の中の、最後の理性の糸が切れた瞬間だった。 
      「…あっ!ひっ!!ああっ、ああっ、うあぁぁっ」 
      リョーマの身体がずり上がるほど激しく手塚が腰をぶつけ始める。何度も何度も激しく腰を打ちつけ、突き上げられる衝撃にずり上がる身体を引き寄せて、さらに奥を抉り込んだ。 
      「やっ、あああっ、ああああぁっ!!」 
      「リョーマ…っ!」 
      「だ、め…っ、イクっ!!!」 
      あまりの激しさに堪えようとする理性まで奪い取られて、リョーマは突き上げられながら熱い飛沫を撒き散らしていた。 
      快感を極めてしまって脱力しそうになるが、リョーマは最後の力を振り絞って、必死に手塚を締め上げる。 
      「く…ぅっ、リョーマ…っ!!…っあ!」 
      そしてようやく手塚も解放の時を迎える。 
      リョーマの最奥に自身を突き刺すと、絞り出すように呻きながら熱い飛沫を叩きつける。身体を震わせながら、長い絶頂を終えると、手塚はリョーマの中に留まったまま深く息を吐いた。
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