手塚はリョーマの身体を軽々と抱き上げると、ベッドにそっと下ろした。
口づけながら服を脱がせ、胸の突起を弄り始めると、身を捩りながら少しだけリョーマは恥ずかしそうに頬を染めた。
「あのさ…初めて?」
照れ隠しなのか、今更そんなことを聞いてどうするのかという質問をリョーマは口にする。
「ああ、そうだ」
隠すことでもないと思い、手塚は正直に答える。ふと気になって同じ質問をリョーマにしてみた。
「…どうだと思う?」
からかうような視線が手塚に向けられる。だがそんな挑発に乗る気は手塚にはなかった。
「そうか、これから確かめればいいんだな?」
「え?あっ!」
唯一リョーマが身につけている下着の中に、手塚は少し強引に手を滑り込ませる。
途端にリョーマは息を詰め、唇を噛んだ。手塚の指が快感を引き出そうと動き始めると噛み締められていた唇から熱い吐息が漏れ始める。
「自分でしたことはあるのか?」
「………あんまり……」
ちょっと気まずそうにリョーマは言葉を濁す。
「好奇心、猫を殺す…というのを知っているか?今ならまだ…」
「ヤダ!」
言葉の続きを遮ってリョーマが叫ぶ。
「今のがラストチャンスだからな。……もうやめてやらない……」
手塚はそう言うとリョーマに深く口づけた。

指をペロッと舐めると、手塚はリョーマの双丘の間に手を這わせる。そして堅い蕾を見つけるとゆっくり周りをほぐしてから徐々に中指を埋め込んでいった。
しばらく入口近くを広げるように動かしたあと、奥まで指を押し込めた。すると指先が、他とは少し違う感触の場所をすぐに見つけた。
「ひゃっ!」
そこを撫でた途端、リョーマが激しく痙攣する。
「ここか…」
「や…っなに?」
自身の身体のことなのに、リョーマはそこが自分の一番感じる場所だとは知らない。手塚はその一点だけを狙って刺激を与え続ける。
「やだっ、やだやだやだっ!出るっ…!」
構わずに手塚は指をもう一本埋め込む。二本の指でぐりぐりと刺激され、リョーマの身体はびくびくと痙攣を続けてしまう。
「出せよ」
「……っ!はあぅっ!」
手塚がその場所に指を深く突き刺すと、リョーマは呆気なく若い精を放ってしまった。放出している間も手塚は指で刺激を続け、リョーマは何度も身体を震わせながら全てを吐き出した。
「すごいな…」
手塚の、心底感心したような言い方にリョーマは恥ずかしさがどっと押し寄せる。
「ずるい…オレばっか…っ!」
抗議の言葉はキスに封じられてしまう。宥めるように深く舌を絡ませてから、手塚はゆっくりと唇を離した。
大きな瞳を潤ませて、リョーマが無言で見上げる。
その瞳に吸い込まれるようにもう一度啄むようなキスをすると、そのまま手塚の唇はリョーマの首筋へと移動する。耳朶を軽く噛んだ後、手塚は欲望を秘めたような掠れた声で囁いた。
「まだ終わりじゃない…」
「あ……ん…うん」
リョーマが手塚の頭を抱え込むように抱きしめると、再び深く口づけてから手塚はリョーマの身体を離した。
「…ちょっと待っていろ」
「え…?」
手塚が机の引き出しからチューブのようなものを取り出す。
「なに、それ」
「ハンドクリームだ」
意図を察してリョーマが赤面する。
手塚はチューブから絞り出したクリームを指に取り、リョーマの熱い秘蕾に塗り込めようとする。
「あ……っ」
「…………上手く塗れないものだな…」
手塚は指に付いたクリームをリョーマの後孔の周りに塗りつけた。そしてもう一度チューブを手に取ると、チューブの口を直接リョーマの後孔に差し込んだ。
「やだっ!」
「この方が早い」
リョーマの内部に冷たい感触が広がる。
「んっ……あ…」
手塚は、大半を絞り出したチューブをリョーマから引き抜き、残ったクリームを手に取る。そして片手で器用にズボンのボタンを外しファスナーを下げ、自身を取り出してクリームをなすりつけた。
「でか……」
手塚のモノを見たリョーマはちょっとだけ逃げ出したい気分になった。
だが次の瞬間、手塚の指が再びリョーマの中に差し込まれ、リョーマの身体が跳ねる。
「はぁっ!…んんっ」
「…これなら大丈夫そうだな……いいか?」
リョーマは首を横に振りたかったが、さっきの刺激は確かに快感であったのを思い出し、好奇心も手伝って小さく頷いた。
それを確認すると、手塚はリョーマの細い引き締まった足を左右に大きく開いて腰を持ち上げさせ、晒された秘孔に自身を密着させた。
「う…っ」
どちらともなく呻く。
クリームに助けられてさほど抵抗はないものの、手塚の大きさにリョーマの秘孔がメリメリと音を立てているような錯覚を二人は感じた。
「…痛いか?」
理性はなくしていても優しさまでなくしたわけではなく、手塚は掠れた声でリョーマに尋ねる。
「痛くは…ない…けど、もっとゆっくり…して…」
「ああ…すまん」
一気に突き入れたい衝動をどうにか宥めながら、少し進めては引き、引いては少し埋める。
少しずつ深くなる感触に、リョーマは期待と恐怖で震え始める。
「怖いのか?」
動きを止めて手塚が尋ねる。
リョーマは手塚にしがみついたまま首を横に振り「いいから…」と小さく呟いた。
だんだんと振幅の幅を大きくしながら手塚が動き出す。リョーマの内部が、手塚の大きさに少し馴染んだらしく何度目かの前進の際にぬるんと全てが奥まで入り込んだ。
「んあっ!……あ……入った…?」
「ああ…リョーマ…」
手塚が熱い息を吐きながらリョーマに口づける。
「あ……好き…っ」
唇を離した途端、リョーマが艶を含んだ表情で微笑んだ。
その表情が手塚を煽り、リョーマの中の肉剣が質量を増した。
「ひっ!」
手塚がリョーマの顔を覗き込みながら腰を動かし始める。
ゆっくりと引き出され鋭く突き込まれる。突かれるたびにリョーマの身体は硬直し手塚を締め上げる。
そしてそのたびにリョーマの口から漏れる声は、明らかに快楽の色を宿していた。
「もう…少し…力を…抜けないか…?」
「で…きな、いっ…!」
このままでも気持ち良すぎてお互いすぐにイってしまいそうだが、手塚はリョーマの「あの場所」を狙いたくなった。
手塚は身体を起こすと、リョーマの腰を掴み自分に引き寄せる。
「いやぁっ!」
そのままリョーマの膝裏に腕を通して固定し、身体の上にのしかかって真上から突き刺すように腰を打ちつけ始めた。
「んっ、んっ、んっ!」
ギシギシと大きな音を立てるベッド。
ぐちゅぐちゅといやらしく粘着音を零す二人の接合部分。そして肉のぶつかり合う卑猥な音…二人分の荒い息づかい。
官能をそそる音たちがリョーマの耳から入り込み、神経も意識も感覚も、全てが手塚との接合部分に集中していった。
「んっ、んっ、んあっ、ああっ、やぁっ、も、だめ…っ!」
きつく締め付けるリョーマの中を手塚の熱い雄は容赦なく抉り込む。大量に注入したクリームのおかげか、摩擦による抵抗は少ないが、狭さゆえの圧迫感は凄まじい。
「くっ……リョーマ…っ!」
「あっ、あっ、いっ…く!」
手塚が極める前に、リョーマが達してしまっていた。
だが手塚は構わずに突き込み続ける。
揺さぶられながら吐き出された愛液がリョーマの上に撒き散らされた。
「すまない、もう、少し…!」
「あっ、ああっ、あうっ!」
吐き出したばかりのリョーマ自身が、揺さぶられているうちに再び形を変えてゆく。
「あっは…ん、んんっ、すご…、気持ちい……いっ」
生理的なものか、それとも快感が強すぎるのか、あるいは本当のところはよほど辛いのか…リョーマの瞳から止めどなく涙が流されていた。
手塚はその滴を唇ですくい取り、名前を囁きながらリョーマに口づける。
「あっ、あっ、ひっ、やぁ…っ!」
手塚の動きが加速される。
ぱんぱんと腰を打ちつける音が激しくなっていき、リョーマの嬌声は悲鳴に近くなる。
荒い息の中に手塚の艶めいた呻きが混じり始め、熱い奔流が出口を求めて手塚の理性を食らい尽くした。
「…っ、リョ……マ…っ!……あ、くっ!」
「ああっ、あああぁぁっ!」
全体重をかけ、リョーマの尻朶を変形させるほど深く限界まで自身を埋め込ませて、その最奥に熱い飛沫を叩きつける。
一度だけでは出しきれずに、手塚は何度も身体を震わせて呻きながらリョーマの中に放出し続けた。
全てを出し終え深く息を吐いてリョーマを見ると、手塚は見下ろしたその表情の、あまりの艶っぽさに目を奪われた。
上気した頬、吸われて赤くなった半開きの唇、汗で貼りついた前髪、そして妖しく揺れる瞳。
息を整えている暇もなく、手塚の中心に再び熱が集まり始める。
それに気付いたリョーマが手塚の腰に脚を絡めた。
「ねえ、……足りないんでしょ?」
リョーマはまだ自分の中に深く埋め込まれたままの手塚を締め付けた。
明らかな挑発を受けて手塚の瞳に獰猛な光が宿る。試合の時とは違う高揚感を抑えることが出来ない。
手塚は身体を繋げたままリョーマの身体を反転させた。
「あうっ……な……!」
その行動はリョーマには予測外だったらしく、頬を上気させたまま手塚を睨み返す。
繋がった部分からは濃厚な粘着音がした。
無言のまま手塚はリョーマの腰をがっちり掴むと、すでに固く変形した自身でリョーマを苛み始める。
「ああっ?…んっ、は……ぁっ!」
先ほどとは違う角度で突き込まれ、リョーマは激しい快感に目を見開いた。
スイートスポットを何度も狙い打ちされ、リョーマもすぐさま自身を変形させてゆく。
抽挿が繰り返される接合部分からは手塚が放ったものが時折溢れてきて、リョーマの太股を伝い落ちていった。
だんだんと激しくなっていく手塚の動きにリョーマの身体が大きく前後に揺さぶられ始める。
手塚は突き込む際にリョーマの腰を強く引き寄せるため、先ほどよりも奥まで抉り込まれる衝撃にリョーマの口からは甲高い嬌声が上がり続けた。
「ああっ、ああっ、やっ、あ、はっ!」
「くっ…う…」
あまりの締め付けに手塚も呻きを漏らす。
一度出したはずなのに、限界がすでに近づいてきていた。
手塚はリョーマの腰を抱え直すと、腰骨を掴む力を強めてさらに激しく腰を動かし始めた。
「や、あ、ああぁぁっ、ああっ、ああっ!!」
ガツガツと腰をぶつけられて内部をかき回され、リョーマの背は撓り返ったまま硬直している。しかし身体を支えきれなくなった腕がついに力つき、腰だけを高く残して枕に突っ伏してしまった。
するとまた角度が変わり、リョーマは突き込まれるたびにビクビクと身体を痙攣させた。
「あ、…す、ご……っ!」
「…っ、リョーマ…」
手塚は時折上を仰ぎながら、リョーマの秘孔を抉り続ける。
リョーマへの愛しさと快感への欲望が混ざり合って、どうしようもなく身体が熱かった。
この熱を吐き出さないと自分はこの熱さに死んでしまうのではないかとさえ、頭の片隅で感じていた。
だがそんなことを考えている余裕もなくなり、いつしかただひたすらにリョーマの身体を貪っていた。
「ああ、ダメっ、もうダメ…あ、ああっ!」
リョーマの方もすでに理性も何もかも飛んでいってしまっているらしく、目をきつく閉じたまま枕にしがみついて喘ぎ散らしていた。
「いくぞっ……うあっ…くっ!」
「あああぁぁぁっ!!」
手塚が腰を打ちつけながらリョーマの中に激情を注ぎ込む。リョーマの方も身体を痙攣させ、自身に一度も手を触れないままに達していた。
全てを出し終えたあと、緩く自身を出し入れすると、リョーマの中から白濁液がくちゃっと音を立てながら溢れ出した。
その様を見ていて再び欲情しそうになった手塚だが、今度はなんとか自分を宥めることが出来た。
リョーマから自身を引き抜くと、荒く息をついているリョーマが小さく呻いた。
手塚はリョーマのむき出しの背中に優しく口づけ、前髪をかき上げてリョーマの隣に身を横たえた。