Dolce
〜Gelee del vino rosso〜
夕飯は母屋の方で、手塚の母・彩菜も交えて三人で摂った。
手塚の熱があっさりと下がり、食欲も回復していることに驚きつつ、彩菜はいつものように穏やかに微笑みながら、たくさんの料理でリョーマをもてなした。
「ごちそうさまっした!」
手塚に延々と求められて疲労困憊だったリョーマも、彩菜の手料理で一気に回復した。
「あら、もういいの?」
「はい、もう腹いっぱいっス」
膨れた腹を擦りながらリョーマが笑うと、彩菜も楽しそうに笑った。
「越前くんが来てくれたおかげで国光も回復して、本当によかったわ」
一瞬ギクリとしてしまった二人だが、手塚は小さな動揺を全く顔に出さずに頷いた。
「こいつが傍にいてくれると、心が休まるんです。おかげで熱まで下がりました」
「まあぁ」
「ちょっ、アンタ、何、言って…」
頬を紅くして慌てるリョーマに微笑みかけ、手塚は続ける。
「俺にとって、とても大切な存在なんです。かけがえのない……」
穏やかに、しかし熱っぽい瞳で手塚に見つめられて、リョーマは瞳を揺らして黙り込む。
「……わかっているわ。国光にとって、越前くんが、かけがえのない、大切な人だっていうこと」
「え…」
手塚とリョーマは、ほぼ同時に彩菜を見つめた。
「あの夏の日にね、私は母親のくせに、自分の息子の心の中の、最後の扉の中には入れなかった。でも越前くんは、国光の心の奥にまで入り込んで、理解して、支えて、私の元に連れ戻ってくれた。だからわかるのよ、国光にとって、越前くんは、とても特別で、大切な人なんだって」
「母さん…」
「越前くん、これからも国光の傍にいてあげてね。この子には、あなたが必要なの」
柔らかく、それでいて真っ直ぐに見つめてくる彩菜の瞳を正面から受け止め、リョーマは大きく頷いた。
「オレにとっても国光…先輩は大切で、とっても大事な人です。一緒にいちゃダメだっていわれても、オレは、先輩を攫ってでも傍にいます」
「リョーマ…」
「あら、じゃあ越前くんは、国光姫を攫ってゆく素敵な王子様なのね」
「え」
目を丸くする手塚の横で、リョーマは楽しげに笑って「はい」と頷いた。
「姫はやめてください」
額を押さえて手塚が言うと、リョーマと彩菜は声を揃えて笑った。
穏やかで、そして何かが少しだけ変わった夜だった。
「オバサンは、オレたちのこと、わかっていて、あんなこと言ったのかな」
「……さあな」
交互に風呂を使い、また手塚の部屋に戻ってきてから、二人は静かに語り合う。
「……アンタ、オバサンにカミングアウトするつもりだった?」
「……いや、そこまでは考えていなかった……あの時は、自然に、あんな言い方になっただけだ」
「オバサンは頭いい人だから、きっと気づいただろうね」
「ああ。……だが、母は、俺たちの関係を認めてくれたのだと思う」
「………うん」
リョーマは少しだけ神妙な顔で考え込み、だがフッと微笑んで手塚にもたれかかった。
「さすが、アンタのお母さんだね」
「…母は、肉親という贔屓目を除いても、素晴らしい人だと思う。俺は彼女をとても尊敬している」
「うん」
手塚がリョーマを引き寄せ、口づける。
「……また…する?」
「………」
手塚は、ギュウッとリョーマを抱き締めてから、大きく溜息を吐いた。
「…今度はお前が熱を出してしまう」
「べつに、大丈夫だけど?」
「無理をするな。さっきも、少し後ろが腫れてしまっただろう」
リョーマを抱き締めたまま、手塚が呻くように呟く。
「そりゃ腫れるよ。アンタ、激しいし」
「………」
「でもさ」
そう言ってクスッと笑ってから、リョーマも手塚の身体を抱き締めた。
「激しくされると、ちょっと嬉しい。アンタに欲しがられてるなーって思えて」
「リョーマ……」
「アソコが腫れるのは、アンタがオレのナカに入って目一杯愛してくれた証拠だし、腰が怠いのとか、股関節がちょっと痛いのとかも、全部嬉しい」
「ばか……」
手塚が熱い吐息を零しながら、さらにきつくリョーマを抱き締める。
「お前とSEXだけがしたいわけじゃないが……こうして触れていると、たまらない……」
「オレもたまんない。アンタと一緒にいると、すぐに魔法にかかったみたいになる」
「魔法?」
「アンタの声とか、仕草とか、全部にドキドキするし、アンタが息してるっていうだけで、身体中が熱くなってきて、こうして抱き合ってるともっと深く感じ合いたくなる」
ゆっくりと手塚の身体を押し返し、リョーマがじっと手塚を見つめる。
「アンタ自身が、オレにとってはヤバい薬、みたいな感じ?」
「薬、か……」
手塚が小さく苦笑する。
「甘いだけではないということか?」
「だって、アンタと一緒にいると、クラクラするから」
「それは俺も同じだ」
二人は唇を寄せ合って、そっと啄み合う。
「ヤバい薬ってのがイヤなら、うーん……そうだな……ぁ、ワインゼリー」
「ワインゼリー?」
「うん。ずっと前にさ、親父が北海道の知り合いから綺麗な紅い色したワインゼリーもらってきたんだ。でもそれワインそのままゼリーにしたって感じで、すっごくアルコールがきつくてさ、酔っぱらっちゃった」
クスクス笑いながら話すリョーマを、手塚は柔らかな瞳で見つめる。
「でも本当にそのゼリー、真っ赤な色がキレイで、香りもスゴくよくて、とっても甘くて美味しくて、食べたらふわふわしていい気分になって……でも子どもは食べちゃイケナイものだったんだって」
「………なるほど」
「ね?アンタみたいでしょ?」
「俺は紅くはないが?」
額を擦り合わせながら言う手塚に、リョーマはまたクスッと笑みを零す。
「そうだね……国光は、白ワインのゼリー、かな……ぁ……」
「紅いのはお前の方だろうな」
吐息混じりに囁き、手塚がしっとりと、リョーマに深く口づける。
「………こうしてキスすると、唇が綺麗に紅くなる」
「ん……」
手塚の手が、リョーマのTシャツの中に滑り込み、胸の突起を摘まみ上げる。
「ぁ…っ」
「ここも……吸い上げると、すぐに紅く尖るんだ」
「あ……ぁ、んっ」
ゆっくりと、大切なものを抱えるようにして、手塚がリョーマの身体を押し倒してゆく。
「あっ」
手塚の指が下着の奥へ入り込み、リョーマの後孔の縁をなぞってからジワジワと埋め込まれてくる。
「……お前は知らないだろうが、ここも……ナカはとても綺麗な紅、だ」
「や……っ、ば、ばかっ」
「…頬も紅い…」
吸い付くように頬に口づけられ、リョーマの頬がさらに赤みを帯びる。
「も、いいから……、焦らさないで、早く……っ」
堪えきれなくなったリョーマが、叫ぶようにねだると、手塚はふわりと微笑んだ。
「今日はホワイトデーだから……甘くて美味しい赤ワインのゼリーを、じっくり味わおうか」
「子どもは食べちゃいけないんだけど?」
「ん?」
リョーマの服を脱がしながら、手塚が笑う。
「ならば、」
「ぁ…」
「ワインゼリーとは比べ物にならないほど深く、甘いお前の身体で酔わせてくれ」
「キザ」
リョーマが真っ赤になって唇を尖らせると、手塚がまた微笑んだ。
「そうだな……俺はもうとっくに、お前に酔っているようだ」
「オレも……もうメロメロ」
クスクスと笑い合い、二人は微笑みながら口づけを交わす。
「…たっぷり濡らして、なるべくお前に負担のかからないようにする」
「うん…」
「痛かったり苦しくなったら、すぐにちゃんと言うんだぞ」
「うん。ちゃんと言うから……国光…」
「ん…?」
リョーマが手塚の首に腕を回して妖艶な微笑みを浮かべる。
「全部、オレのナカに出してね」
「……ああ……一番奥に、全部注いでやる」
手塚の瞳が、妖しい光を宿す。
「だから、俺のすべてを、受け止めてくれ」
「うん」
嬉しそうに頬を染めてリョーマが笑うと、手塚も眩し気に目を細めて微笑んだ。
「リョーマ……好きだ……ずっと……離さない…」
「オレも……国光が大好き……ずっと傍にいて…」
微笑みながら、互いに瞳を揺らして見つめ合う。
昨年の春に、二人は出逢った。
そうして恋に落ち、苦難を乗り越えて、夏の日に結ばれた。
傷つけたくはないのに、傷つけているつもりはないのに、自分の存在が相手を傷つけていた時間もあった。
そして、自分の想いが相手を傷つけていることに、自分自身さえもが傷ついた。
だが、本当に大切なものは、とてもシンプルで、とても強く揺るがぬものであることを、二人は知った。
二人でいる時間が長ければ長いほど、二人は互いを深く想い、愛し、様々なことに気づき、知っていく。
「ぁ………あ、ぅ……」
尻朶までグチャグチャに濡れるほどローションをたっぷり使って後孔を解され、やがてゆっくりゆっくり、手塚の雄が挿入される。
「…痛くないか……リョーマ……?」
快感に掠れる声で問われ、リョーマは硬く閉じていた瞳を薄く開く。
「痛くないよ……大丈夫……もっと……、来て……」
両脚を大きく開いて手塚を受け入れ、快感に潤む瞳で手塚を見つめて微笑むリョーマに、手塚はさらにゆっくりした動きで伸し掛かってゆく。
「ぁ……ぁ……ぅ、あ……ぁ…っ」
怒張した性器が根元までリョーマの胎内に埋め込まれ、滑る腸壁を押し広げながらドクドクと脈打っている。
「く…国…光…」
リョーマが震えながら仰け反り、熱い吐息を漏らし、そっと目を閉じる。
「ぁ……ん…」
「あぁ……」
手塚も目を閉じて、感じ入ったように艶めいた声を零す。
「リョーマ…」
「スゴイ……こんな……奥まで…来てる……」
そう言ってリョーマは、そっと自分の下腹を撫でた。
手塚はフッと微笑み、下腹部を押さえるリョーマの手に左手を重ねる。
「わかるのか?」
「わかるよ……だって、スゴイ、熱くて……ドクンドクンって……ぁ……また…っ」
胎内の熱塊が質量を増したのを感じ取り、リョーマは小さく眉を寄せて、揺れる瞳で手塚を見つめる。
「国光が……オレの中、埋め尽くしてる感じ…」
リョーマが頬を真っ赤に染め直しながらそう言って微笑むと、手塚もふわりと微笑んだ。
「もっと……深く、お前が欲しい…」
手塚はリョーマの下腹をリョーマの手ごと押さえつけるようにして腰を揺らし始める。
(うわっ)
リョーマの手の平に、胎内を行き来する熱塊の動きが微かな振動となって伝わってくる。
「ぁ……っ、ダ、メ…そんな……こと……したら、スゴ……ぁあっ」
グッ、グッと手塚の腰が突き出される度にリョーマの身体が仰け反り、シーツの上で妖しく撓る。
「あっ、あっ、ぁ…あぁっ」
徐々に手塚の動きが大胆になってゆき、それにつられてリョーマの身体も大きく揺さぶられてゆく。
(スゴイ…国光のが、どんどん大きくなって、オレのナカを…行ったり、来たり、してる……)
「あっ、くに、…つっ、ぁあ、あ、あ、ぁあっ」
「ん……リョーマ……っ……ぁ……っ」
リョーマの奥を突き上げながら手塚が熱い吐息を零す。
「ぅ、あ……ぁあ……あっ……ぁ…ん…」
ゆっくりと大きく揺さぶられ、深く突き込まれる度にリョーマは身体を小さく痙攣させて喘いだ。
手塚はリョーマの下腹部を押さえていた手をずらして、昂るリョーマの雄を優しく握り込む。
「あ……ひ…ぁ……っ」
「リョーマ…っ」
身を屈めて顔を覗き込まれていることにも気づかず、リョーマは硬く目を閉じて、必死に愛しい者の名を呼ぶ。
「くに、みつ…、ぁ……く…国…光……っ」
「リョーマ……リョーマ……好きだ……愛している…」
「ぁ……ぁあ、ん…っ」
熱い吐息混じりの掠れた声を耳元に感じ、リョーマは薄く目を開けた。
「ぁ…くにみつ…キス…っ」
ガクガクと揺さぶられながら、縋るように、リョーマが手塚の首に腕を回してキスをねだる。
「ん…、んんっ、ふぁ、んっ」
深く舌を絡め合い、一瞬離れて下唇を軽く啄み合い、また深く口づけ合う。
そうして口づけながらグゥッと深く突き込まれて、リョーマは眉をきつく寄せて手塚にしがみついた。
「ん…っ、んんっ、んぁ…っあっ」
どんどん質量を増す手塚の熱塊が、湿った音を立ててリョーマの胎内を行き来し、時折奥に留まって、力任せに左右にグイグイと揺すられる。
「…っ!、…っあ…はぅっ、ぁ…」
奥を抉り回すような手塚の動きに一瞬声すら出せずに目を見開くリョーマは、だが、手塚に一言も抗議の言葉をぶつけたりはしない。
手塚に求められるままに身体を開き、受け入れ、そしてリョーマからも手塚を欲するかのように熱塊を締め付け、腰を揺らす。
「ぁあ……ぁ…あ……くに、みつ……すき……ぁあっ」
「リョーマ……っ、くっ」
二人の身体がベッドの上で大きく弾む。
絶頂が、すぐそこまで来ている。
「くに、みつ…も、イク……イキそ……ぁ、ダメ、あっ、あぁっ」
リョーマが手塚にしがみついたまま、突き上げられる度に叫び、小さな痙攣を繰り返す。
「もう少し……もう少しだ、リョーマ……っ」
「ぁ…あ、あ、あ、ぁあ、ん、ぅ…あっ」
「……一緒に、リョーマ…っ」
身体を波打たせながら手塚が懇願するようにリョーマに甘く囁く。
「ぅ、ん……くに、み、つ……ぁ、あ、あぁっ、は、ぁあ、んっ」
リョーマは答えられはしなかったが、大きく揺さぶられながら、手塚の髪を愛おしげに撫でた。
「……リョーマ…っ!」
「ぅあっ」
手塚の動きがさらに激しさを増し、ベッドを大きく軋ませながら淫らにうねる。
「ひ、ぃ、あぁっ、あぁっ」
「ぅ、ぁ…ぁ…っ」
リョーマの身体が硬直する。
(イっちゃう……っ!)
もうこれ以上は堪えきれないと思った瞬間、手塚の身体が小さく痙攣した。
「出すぞ、リョーマ…っ」
「ぁ……ぁあん、ぅあっ」
ものすごい勢いで最奥まで突き込まれ、そこからさらに奥へと太いモノを無理矢理捩り込むようにして、力任せに抉り込まれる。
そうして辿り着いたリョーマの胎内深くで、手塚が息を詰め、一気に熱い濁液を放出し始めた。
「ひ、ぃ、ぁ…あ……あぁぁっ」
熱液が腸壁に叩き付けられる衝撃に、リョーマも全身を痙攣させながら濁液を噴き上げる。
「あ……ぁ……は、ぁ……ぁ…」
互いにビクビクと身体を揺らしながら、最後の一滴まで、すべて残さず相手へ向けて放出する。
やがて、最後のひと雫を絞り出すと、二人は同時に息を吐いて身体の硬直を解いた。
「………ん……」
「……リョーマ……」
荒い息のまま手塚がリョーマに口づけて来る。リョーマはうっとりと手塚を見つめてから目を閉じ、絡まってくる熱い舌に自らも舌を絡めて吸い上げた。
「国光……」
「ん……?」
唇が触れ合うほど近くで、二人は甘く囁き合う。
「…しばらく……このままで、いて…」
「あぁ……」
微笑み合い、優しく、強く、互いを抱き締め合う。
「リョーマ…」
「なに…?」
「好きだ」
「うん」
嬉しそうに微笑みながらリョーマが手塚の胸に頬を擦り寄せる。
「オレも……大好き……」
「………」
手塚が熱い吐息を零しながらリョーマの額に口づける。
「好きだ……好きだ……愛してる……リョーマ……」
熱く囁きながら、手塚はリョーマの顔中に甘いキスの雨を降らせる。
「くにみつ…」
「………」
揺らめく瞳に互いを映し合い、うっとりと見つめ合う。
だがすぐに、手塚は小さく眉を寄せて縋るように見つめてきた。
「すまない……リョーマ……もう一度……いいか……?」
「ぁ……」
リョーマの胎内では、すでに手塚の雄が脈打ちながら変形を始めている。
「もっと、お前に酔いたい…」
「………いいよ」
懇願するように見つめてくる手塚の両頬を手の平で包み込み、リョーマは婉然と微笑む。
「オレのことも、酔わせてね?」
「あぁ…」
手塚がふわりと微笑み、だがすぐに、その瞳は飢えた獣のそれに変わる。
「リョーマ…」
「ぁ……あ……ぁん……」
ゆっくりと身体を揺すられ、胎内の熱塊の抽挿が始まる。
リョーマはうっとりと目を閉じ、逞しい背に腕を回して手塚の激情に身を任せた。
喉の渇きを覚えて、リョーマは夜中にふと目を覚ました。
確か風呂上がりにミネラルウォーターを部屋に持ってきていたはずだと思い出し、リョーマはゆっくりと身体を起こす。
結局、二回ではすまなかったSEXの余韻が身体のあちこちに甘く残り、リョーマは小さく溜息を吐いてから、そっとベッドを降りた。
(ぁ……)
立ち上がった途端、後孔から手塚の放った精液が流れ出てきてしまい、リョーマは慌てて傍にあったティッシュを数枚手に取り、後ろに宛てがった。
濡れてしまった太腿もティッシュで綺麗にしてから、手塚の机の上においてあったペットボトルを手に取り、温くなった水を渇いた喉に流し込む。
「はぁ……」
一息ついて、リョーマはペットボトルを手にしたまま窓際に行き、空を見上げた。
「眠れないのか?」
ふいに背後で声がして、ベッドが軋む音が聞こえる。
「ううん、喉が渇いただけ」
リョーマが微笑みながら静かに答えると、手塚はどこか安堵したようにホッと息を吐き、小さく頷いた。
「…身体、冷えるぞ」
何も身に着けていないリョーマを自分の羽織る毛布の中に包み込み、手塚の温かな腕が細い身体をそっと抱き締める。
「………あったかいね」
「ん…」
「国光も飲む?」
「いや」
頭がぼんやりしているらしく、手塚はリョーマの肩口に顔を埋めて甘えるように鼻や唇を擦り付けてくる。
「ねえ、国光」
「ん……?」
リョーマは手塚の髪に頬を擦り寄せる。
「なんかさ、今、スゴイ、幸せだね」
「………」
リョーマの言葉に、手塚はふと顔を上げた。
「……ああ」
フッと吐息で微笑み、手塚がリョーマを強く抱き締める。
「今だけじゃない。ずっと、俺たちは幸せなんだ」
「………うん」
ペットボトルを机に置き、リョーマが向きを変えて手塚を正面から抱き締める。
「……大好き、国光…」
「愛してる」
チュッと、啄むだけの優しい口づけを交わし、二人は微笑みながら見つめ合う。
「ベッドに戻ろう」
「うん」
まだ暖かいベッドに再び横たわり、二人は抱き合ったまま目を閉じる。
「寒くないか?」
「ヘーキ。アンタとくっついてるから」
クスクスと笑いながら答えるリョーマを、手塚はさらに深く胸に抱き込む。
「おやすみ、リョーマ」
「おやすみ、国光」
優しく囁き合い、甘い温もりの中で二人はゆっくりと穏やかな眠りへと落ちてゆく。
幸せな、とても幸せな夜。
強い絆の恋人たちは、二人を包み込むすべての優しさに感謝した。
終 20090429
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もちろん、押してくださるだけでも次回への励みになりますのでよろしくお願い致します!
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