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むかしむかし、今日の都の中納言様には娘がたくさんおりました。
その中で一人だけ、早くに母親を亡くした娘がおりました。他の娘た
ちが大切に育てられる中で、北の方はこの娘だけにひどい扱いをして
落窪に押し込めて「落窪の君」と呼ばわって人並みに扱おうともしません。
...と、まぁ、「落窪物語」てば平安調継子いじめものがたりなので
す。わしが読んだ数少ない古典の中で、こいつはぴか一の面白さ
です。平安時代の人が源氏物語みたいによ感動してはよよよ、悲し
くてはよよよ、「あな、いみじ」とよよよ、と泣いてばっかりいるのかと
思ったら「落窪物語」の登場人物は上へ下への大騒動をしまくるの
です。平安時代の人がじたんだふんで悔しがるなんてわしはここで
知りましたよ。古典が苦手な人もお話がすきなひとにはおすすめだ
ー!ぜひ読んでみてください。
<種本>古典を読むならば新潮日本古典集成がわしのお気に入 りです。現代文の書き下し文はありませんが難しいところにだけ古文 の横に現代語訳を入れてくれています。下手な書き下し文を読むよ りはわしにはずっと読みやすいです。 参考資料は高校のときの国語便覧だけなもので、わからないことば かり...。いいビジュアル資料があったら教えてたも...。 現代語訳ならば、こちらが読みやすいです。ただし、多少、設定に変更が見られます。 やはり、「面白の駒」のエピソードは現代には非道すぎるのかしら^^;(平安時代でも非道だと思うけど)個人的には、少将の非道さが気に入っているので、現代語訳がおもしろかったら、ぜひ、原文も読んでみてください。 あとがきで、田辺氏が「ここでは、話の半分しかとりあげなかった。なぜならば、後半は急速におもしろくなくなるから」と書いているのを見て、わたくしもニヤリ。そう思うのはわしだけではなかったのであるな。この話のうまみは、すべて前半にあるのじゃ。 |
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